臨床研修ブログ

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レートが走っている時の対処法

2020.08.18
カテゴリー: カンファレンス循環器

あなたは病棟から

「先生!レート走ってます。

どうしますか?」

とコールされたことはありませんか?

で、行ってみるとモニターでこんな波形。

 

これは頻脈性心房細動のモニター

波形です。

 

たとえ循環器疾患で入院していなくとも、

発作性心房細動の既往があったり、

既往がなくとも状態が悪い時は、

よくこんな状況に遭遇します。

 

こんな時どうしたら良いのでしょう?

あなたは準備が出来ていますか?

 

最初にすべきことは・・・・、

バイタルの確認と

・患者さんの様子を見に行く

この2つです。

 

頻脈でも患者さんはケロッとして

いることもあれば、苦しそうに

していることもあります。

必ず見に行くことが大事です。

 

血圧が下がっているとか、具合が

悪そうなら、急いで対応しなければ

いけないのは当然ですが、血圧もOKで、

元気そうなら慌てないで対応を考えます。

 

では、その次はどうしましょう?

 

少し慣れてきたあなたは

「ベラパミル(ワソラン®)」とか、

「ランジオロール(コアベータ®、

オノアクト®」など、指導医が使って

いたのを思い出しているかもしれません。

 

でも、これは編集長的にはNGです。

状況によっては危険だからです。

 

次にやるべきことは、

「なぜレートが速くなったのか?

なぜ心房細動になったのか?

その原因を考えること」です。

*心房細動は一般的に頻脈になるので、

ここからは頻脈性心房細動のことを

心房細動と書くことにします。

 

心房細動になる原因には何がありますが?

たとえば

・心不全

・発熱

・低酸素

・貧血

・甲状腺

・疼痛

・脱水

・薬剤(β刺激薬など)

など、いろいろあります。

 

今まで大丈夫だった患者さんが

急に心房細動になったのですから、

何かしら原因はないか?

と考えましょう。

 

心不全が悪化しているのに

β遮断薬を静注しては、

かえってヤバいことになります。

 

肺炎が悪化して低酸素が原因に

なっているのなら、NPPVや挿管を

先にしないと、薬剤だけでは

良くなりません。

 

脱水が原因で心房細動になって

しまうことは、特に高齢者で

しばしば経験します。こんな時に

ワソランの静注をすると、

びっくりするほど血圧が下がる

ことがあります。(編集長は研修医

時代に経験済みです)

 

もちろん、心房細動でも早い段階で

電気的除細動をしなければいけない

こともあり得ますが、そんなに多い

状況ではありません。

 

繰り返しますが、

心房細動などの頻脈を見たら

すぐにレートを落とそうとせず、

その原因を探りましょう!

(編集長)

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