臨床研修ブログ

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胃潰瘍とピロリ(1)

2022.01.29

コロナのせいでジムに行けてないDr. Muscleの記事です。今回も自分の経験症例からのまとめです。

 

今回は胃潰瘍について。Commonな疾患ですが、研修医に質問すると、歯切れのよい答えが返ってこないことが意外と多いと思います。ぜひ読んでみてください。

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今回は入院中の担当患者さんで黒色便を認め、内視鏡検査で多発性の胃潰瘍を認めた症例を経験したので胃潰瘍について簡単にまとめてみました。

 

・胃潰瘍の原因としては、ほとんどはNSAIDs内服、H.pylori感染です。

そのほかの原因としては、組織血行障害を起こす基礎疾患(肝硬変による門脈圧亢進や糖尿病、狭心症)やビスホスホネート製剤、Zolinger-Ellison症候群、サイトメガロウイルスや単純ヘルペスウイルス感染によるものなどが稀ではありますが挙げられます。

 

・症状としては心窩部痛、上腹部不快感、胸やけ、げっぷ、呑酸と多様な症状がありますが、どれも特異度は低く、高齢者では消化管出血や穿孔などの合併症が起こるまで全く無症状ということも多くあります。

 

・重篤な合併症としては吐血・下血・穿通・穿孔・狭窄があげられます。

出血が大量にあれば血圧低下や頻脈をきたしますが、少量の場合は症状がみられず動悸、息切れ、めまいで来院することもあります。穿通・穿孔は十二指腸潰瘍に多く、穿通が起こると疼痛は限局し背部に放散し、強度の疼痛を訴えます。突然腹部全体に重度のびまん性の腹痛が生じた場合は穿孔が示唆されます。

 

・次に胃潰瘍ステージ分類についてです。

胃潰瘍は内視鏡検査の所見によってActive stage(A1,A2), healing stage(H1,H2), scarring stage(S1,S2)に分類されます。

 

(日本医師会ホームページ 健康の森より)

 

A1では潰瘍辺縁に浮腫を伴い、潰瘍底は一般に白苔または黒苔でおおわれています。

A2ステージに移行すると辺縁の浮腫が改善し潰瘍底は白苔に覆われます。

これらの時期には悪性腫瘍との鑑別が難しいため、潰瘍辺縁からの生検が鑑別診断に有効です。

 

H1・H2ステージでは潰瘍辺縁に再生上皮を認め、白苔を伴う潰瘍底の面積は減少します。白苔が残存している場合はhealing stageとされます。

 

Scarring stageでは白苔は消失。赤色瘢痕を認めるS1と白色瘢痕を認めるS2に分類されます。

 

・内視鏡にて活動性の出血を認める場合や非出血性の露出血管を認める場合には内視鏡的止血術の適応となります。内視鏡的止血術としてはクリップ法や凝固法、血管収縮剤や硬化剤の局注法が存在します。

 

・薬物治療としてPPI・H2RA・ボノプラザン(VPZ)内服、H.pylori除菌などがあります。

 

次回はピロリについてです。

(Dr. Muscle)

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