臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
CPC報告 赤痢アメーバ(1)
先月のことですが、院内でCPCが開催されました。CPCでは2症例が提示されましたが、そのうちのJ2の2人が発表してくれた赤痢アメーバによる重症大腸炎の症例を2回に分けてシェアします。
症例は50歳台の独身男性。主訴は下痢、腹痛でした。近医で加療を受けたものの症状改善なく、腎機能も悪化したため当院に紹介となった患者さんで、約1か月の経過で腸管穿孔、汎発性腹膜炎、多臓器不全となり亡くなったケースです。
ちなみに、この症例の診断のキモは問診でした(次回に紹介します♪)。
<赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)>
【感染経路】
感染者の糞便に排泄されるシスト(嚢子)の経口感染による。発展途上国では汚染された水や飲食物を介して感染が起き、本邦では同性間・異性間性的接触(口腔・肛門性交)で感染する
【流行地域】
発展途上国を中心に世界中で流行。本邦では流行地域への渡航・滞在、男性同性愛者間、知的障害者施設入所者に多い
【発生頻度】
日本では年間800件ほどで、9割が男性
【潜伏期間】
通常2-4週間が潜伏期間だが数か月~数年に及ぶ場合もある。
【症状、検査所見】
感染者のうち5-10%が発症。
イチゴゼリー状の粘血便、下痢、テネスムス、排便時の下腹部痛、体重減少など(発熱に至る例は肝膿瘍を認めることが多い、基本的には稀)。盲腸~上行結腸、S状結腸~直腸など大腸に病変が多い。時に肉芽腫様病変や潰瘍部が壊死性に穿孔することがある。
(編集長)
矢頭はS状結腸壁の菲薄化・大きな穿孔
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