臨床研修ブログ

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退院までの道のり(2)

2022.11.22
カテゴリー: 初期研修

今回は退院,転院調整についてです.

 

自宅退院できるほどに回復した患者の退院はさほど難しくはないです.しかし入院期間が長くなってしまい,サルコペニアが進み栄養状態が悪くなってしまった患者さんの退院先をどうしようかと悩む場面はこの先必ず遭遇します.そういった場合に利用できる医療,介護資源は以下の3つが挙げられます.

 

1.回復期リハビリ病床

2.療養病床

3.施設介護サービス

 

1.回復期リハビリ病床

入院の目的:社会生活への復帰を目標とする転院

入院の要件:主病名が以下に示す対象疾患であること(図1)

適用される保険:医療保険

この病床に入るためには,入院主病名が対象疾患でないといけません.(大腿骨頸部骨折でこの前まで入院していたが,退院後に廃用が進んだからとの理由では入床できません)

 

 

2.療養病床

急性期の医療必要度が無くなった患者さんが,退院後の通院が困難であり,継続的に医療による介入が必要な場合に転院先となる病棟です.急性期が過ぎたけど,経管栄養に依存していて自宅退院や施設退院ができない患者さんはこういった病院への転院を行う場合が多いです.気管切開や難病等の患者の疾患や状態に応じた「医療区分」,患者のADLに応じた「ADL区分」により評価され,診療報酬体系が変化します.

 

入院の目的:早期退院を目指す転院

入院要件:疾患が慢性期にあること

できる医療内容:胃ろう,TPN,インスリン,吸引や抗菌薬加療,人工呼吸器管理

月額利用料金:10万円ほど

適用される保険:医療保険

看護師人員配置:20:1(夜間帯に患者を見る人数比)

(参考資料)

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0613-3c.pdf

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000110607.pdf

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000145177.pdf

 

3.施設介護サービス

公的施設と民間施設があり,公的施設の方が月額費用が安い傾向にあります.しかし,24時間の看護師在駐がないところもあり,医療依存度の高い方は,療養病床での転院となります.

 

公的施設としては (*この順で、要介護度が高 → 低となります)

特別養護老人ホーム  介護老人保健施設  ケアハウス

 

民間施設としては (*この順で、要介護度が高 → 低となります)

介護付き有料老人ホーム  住宅型有料老人ホーム  サービス付き高齢者向け住宅  健康型有料老人ホーム  グループホーム          

 

民間施設は前払金が必要な場合や,月々の費用が高額に設定されている場合が多いですが,その分早期に入所できるメリットがあります.対して公的施設は前払金が必要なく,月々の費用も低価格で設定されている分,入所希望が多く,早期の入所はあまり期待できません.また,これらの介護施設に入所するためには,要介護申請を経て要介護度を明らかにしなければ,入所する施設を選ぶことができません.このため,普段からの家族内での高齢者の介護についての話し合いと,かかりつけ医による介護サービスの導入と定期的な要介護度の見直しが非常に重要になってきます.

 

当院に限らずERには,施設入所中の発熱や食事摂取不良で搬送されてくる患者がとても多いですが,そういった場合,急性期を早期に乗り越え,ADLが低下しないうちに早期にもとの施設に退院を目標として加療していきます.しかし入院が長くなり,医療依存度が高まってしまうと施設退院の適応がなくなってしまい,退院先がなくなって療養転院を余儀なくされることもしばしばあります.

(Nくん)

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