臨床研修ブログ

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救命救急センターだより「腹部刺傷」

2022.12.10
カテゴリー: 救命救急センター

みなさんこんにちは、空飛ぶ消化器内科医を目指すnaoです。

 

当院の休日の救急外来は一般日直(walk in担当)、ER日直(救急車対応)、ドクターカー番、ドクターヘリ番と4人の医師がおり、このうちER、ドクターカー、ドクターヘリを救急科が担当します。

 

私はドクターカーだけ独り立ちさせてもらっているのですが、ER やドクターヘリはOJT(On the job training:上級医について仕事をしながら学ぶ)の立場です。ERやドクターヘリがなぜOJTでカーだけは独り立ちさせてもらえるのか、その差を話すと長くなりますので次回にでも書かせていただきます。

 

ところが、先日突然、独りER当番が割り当てられました。自分の判断でHotLineを受け、ドクターヘリやドクターカーも同時に搬入してくる患者をトリアージしながらマネージメントすることは非常に難しいことを身をもって体験しました(今までは言われたように動いていましたので、自分が指示を出すのは大変でした)。

 

当直明けの先生が長めに残ってくれて助けてくれたり、何より、当院の研修医は当院の救急で育ってますから、なんなら私よりよっぽど頼りになる!笑 救急担当医が自分以外院内にいない時間が何度か発生し、恐怖におびえましたが、なんとか無事に乗り越えられました。

 

さて、関係のない話が長くなりましたが、今回はナイフによる腹部刺傷に関するお話です。先日腹部に包丁を突き立てた患者さんが包丁と共に救急搬送されました。初めての経験で、当然救命救急センターでは対応できなければならない疾患ながら、どのように対応すればいいのかわかっていないので和文誌をあたってみました。

 

「刺された包丁は病院に行くまで抜いちゃダメ!」

 

これはみんな知っていると思います。でも、じゃあ受け入れた病院ではどうやって抜けばいいの?救急外来でぱっと抜いてしまっていいの? そんなことも知らなかったので調べてみました。

 

原則的には深く刺さったナイフはope室で抜くことになります。ナイフなどによる腹部刺傷は緊急手術を念頭に対応します。ただし、意味のない侵襲的処置を減らす取り組みもされていて、手術の必要のない症例を見極めながら対応することになります。

 

緊急手術の絶対的適応は

①    ショック、腹膜刺激症状がある(多量出血や腸管損傷を示唆)

②    多量の内臓脱出を認める(消化管損傷の可能性があるため検索が必要)

③    吐下血、血尿(消化管、腎尿管損傷を示唆)

④    凶器が体内深部に留置(包丁が深くまで入っている状態:抜去時の多量出血、内臓損傷のおそれのため)

 

上記のいずれでもない場合は、画像検査などを行いながら開腹以外の方法での加療を検討することになります(開腹手術をしなくとも、腹部ドレーン留置し腹腔洗浄を行うなどの治療をすることがあります)。

 

つまり、包丁が深く刺さった状態で来た時点で、緊急手術は確定です。外科にcallしながら、全身状態の安定および可能な限りの検索を行います。

 

凶器が取り除かれている状態で、かつ全身状態が安定している場合に限り慎重経過観察の手が取られます。初期治療で緊急開腹を選択しなかった症例でも4.7-20%で遅延手術を要したという報告もあるため慎重な経過観察が必要になります。

 

よく、「もう一度診療科を選択しなおす機会があったら何科を選択するか」を考えることがあります。できればすべてをできる医者になりたいのですが、知識的にも習得するべき技術的にも無理がありますのである程度分野を絞る必要がありますね。これまでは消化器外科医や心臓血管外科医など外科系へのあこがれがあったのですが、最近は外傷外科医になりたいなと思っています。

 

そういうことで、次の人生では内視鏡のできる外傷外科医を目指して頑張ろうと思いますが、この人生では空飛ぶ消化器内科医を引き続き目指して頑張ります。笑

(Nao)

ERでの処置中

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