臨床研修ブログ
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肺炎患者の対応・・・誤嚥のリスク
今回もNHCAPの続きで、誤嚥のリスクについてです。
誤嚥と言うと、「誤嚥性肺炎」とほぼ同義に用いられているのが、実情だと思います。あなたも、聞いたり、使ったことがあると思います。
では、誤嚥性肺炎の定義がどうなっているのかあなたは知っていますか?
実は誤嚥性肺炎の明確な定義はないのですが、一般的には、「ADLや全身機能の低下、特に脳血管障害を有する場合に認められやすい嚥下機能障害を背景に起きる肺炎で、高齢者の食事摂取に関連して発症する」と理解されています。
実際のところNHCAPの患者さんは、高齢でADLの低下を来しており、脳血管疾患の既往も多いなど、誤嚥性肺炎とかなりオーバーラップしているというのは、あなたも直感的に理解できると思います。
HAPでも、免疫能が低下した耐性菌リスクの高い肺炎と、脳血管障害を背景とする誤嚥が関与する肺炎との二面性を併せ持っているのも理解できます。
実際、誤嚥のリスクが多いほど急性期や慢性期の死亡率、さらに再入院率の上昇に関連しており、そのリスク因子を考慮することで急性期死亡率を低下させる可能性があります。
そこで、NHCAPでもHAPでも、最初に患者背景のアセスメントで誤嚥のリスク評価をしましょうと、ガイドラインでも推奨しています。
ただし、ここで注意点があります。誤嚥性肺炎の明確な定義はないと先述しましたが、誤嚥のリスクが多いから、誤嚥性肺炎を起こすという訳ではありません。つまり、誤嚥のリスクが多い≠誤嚥性肺炎ということです。
モヤモヤが解消されないかもしれませんが、高齢者の肺炎だから抗菌薬はABPC/SBTと、何も考えずに機械的に選択するのではなく、患者さんの状態をよく把握して、「どこで?何が?」を考えながら治療にあたることが大事だと思います。
*このシリーズは今回で終了します。
(編集長)
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