臨床研修ブログ

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救命救急センターだより「アナフィラキシー2」

2023.09.07
カテゴリー: 救命救急センター

ドクヘリが好きすぎて、パイロットになりたくなった消化器内科医naoです。こんにちは。

 

今日はドクターカーの日でしたが、当院の研修医の先生の中には、ドクヘリに憧れて医者になったなんて言う素敵な先生もいることが判明しましたので、是非レジデントになってからも当院で活躍してほしいなと思いながら本、日もアナフィラキシーの話をしたいと思います。

  

アナフィラキシーの対応しているとき、患者さんにアドレナリンを打ちつつ、自分自身の体内でもアドレナリンが大量分泌されています。

 

内視鏡治療中に後輩によく「夢中になるな、夢中になると周りが見えなくなって偶発症をおこしやすくなる」と指導するのですが、自分自身も周りが見えなくなってしまうことがあります。

 

以前、アナフィラキシーショックの対応していた時、もう収縮期血圧が50-60前後を推移し、患者さんは嘔吐を繰り返し、アドレナリンを2回打っても効果がなくどうしようと思っていたら、そばで見ていた別の先生が 

 

「グルカゴン!」

 

と叫んで、グルカゴンを静注したら速やかに改善した、という体験があります。βブロッカーを内服している患者さんではグルカゴンが有効なことがあるということを身をもって知りました。

 

グルカゴンは1-5mgをゆっくり静注

必要に応じて5-10分ごとに追加(ただし高血糖や消化器症状に注意)

今度は静注です。筋注ではありません。

 

緊急時だからこそ、冗談を言えるくらい落ち着いて、周りを見ながら、常に次の選択肢を頭に入れつつ冷静に対応をしましょう。それができると、めちゃカッコいいですよ!

  

そして最後に、本来は最初にお伝えするべきだったかもしれませんが、皆さんが医師としてではなく、一市民としてアナフィラキシーの現場に立ち会ってしまったときの対応についてもお話ししたいと思います。長くなりますが、今回はちゃんとこの記事の中でお伝えします。

 

なによりもまず、応援を呼びましょう。

 

そのうえでアナフィラキシーの原因となったものを可能な限り除去します。とはいっても、ほとんどの場合食物などで体内に入ってしまっているのでむつかしいかとは思いますが。

 

そして、体位は基本的に床に寝てもらったほうが良いです。必要に応じて下肢挙上も効果があるとされています。血圧が低下していなくても、急な体位変換で血液分布が変わり急変する可能性があるからです。なので仰臥位あるいは回復体位で安静にしていることが望ましいです。

 

すきを見ながら体の状態をできるだけ評価します。呼吸の状態、後から来る医師のための体重などの情報(特に小児で)、皮疹の範囲、血圧の情報も可能な限り、橈骨が触知するか、鼠経が触知するか、頸動脈が触知するかでおおよその血圧を推定できます。

 

何事も、いざ対面すると固まってしまうことが多いですので、シミュレーションが大切です。この記事をここまで読んでいただいたのであれば、是非、シミュレーションして、いざというときスムーズに動いてください!

 

ではまた次回の記事で!

(Nao

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