臨床研修ブログ

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脊髄梗塞(1)

2023.10.14
カテゴリー: カンファレンス 内科

みなさんこんにちは、初めてブログを書いています、研修医のUminekoです。

 

実は水戸済生会に、今秋から新しく神経内科やリウマチ・膠原病内科の先生が常勤としていらっしゃることとなりました。そのため今では総合内科での日々の回診で循環器内科、神経内科、膠原病内科のプロフェッショナルな方々からの熱心なご指導・フィードバックをいただけるという贅沢なものとなっています。

 

今日はそんな回診の中で話題に上がった「脊髄梗塞」についてまとめてみようと思います。自分としても脊髄梗塞は大学の学びであった以来であり、改めて学び直した内容ですのでみなさんもぜひ一緒に勉強していってください。

 

そもそも脊髄梗塞とはどういう疾患なのか。梗塞といえば心筋梗塞や脳梗塞などがよく聞き馴染みますが、脊髄梗塞も他の疾患と同じで脊髄を栄養する動脈の虚血が原因で起きる疾患です。発症頻度としては、脊髄動脈が脳動脈と比べてアテローム性変化が少なく、側副血行路が発達しているため、脳梗塞と比べて脊髄梗塞の頻度は極めて少ないと言われています。

 

【血管支配】

脊髄梗塞を学ぶにあたって、脊髄周囲の動脈について学ばないといけません。脊髄に栄養する血管は主に2種類あり、脊髄前方を栄養する前脊髄動脈と後方を栄養する後脊髄動脈があります。

 

前脊髄動脈(ASA)は椎骨動脈から発生し、大後頭孔から脊髄円錐まで走る体内で一番長い血管です。各神経根に栄養する際には神経根動脈によって増強されます。有名な動脈としては腰部にあるAdamkiewiczs動脈で、脊髄尾側1/3への栄養を補助していると考えられています。また脊髄深部への栄養はASAから出る中心溝動脈(Sulcul artery)が担っています。

 

後脊髄動脈(PSA)も椎骨動脈から発生しています。PSAはASAよりも多くの神経根動脈によって補助されていると考えられています。

 

脊髄への血流は平均動脈圧と脊髄内圧の差である灌流圧の影響を受けます。本来であれば自己調整により脊髄血流は一定のレベルで維持されています。しかし自己調整できない範囲の全身性低血圧や脊髄内圧の上昇は、脊髄を栄養する血管の灌流を減少させ脊髄梗塞を引き起こす可能性があります。

 図 脊髄周囲の血管

 

【原因疾患・要因】

・大動脈疾患:大動脈解離、大動脈瘤、TEVAR後

・全身の低灌流:心停止、全身出血

・心原性塞栓症:細菌性心内膜炎、心房粘液腫

・血管炎:全身性エリテマトーデス、動脈炎

・感染症:細菌性髄膜炎、梅毒

・脊椎・脊髄疾患:脊椎手術後、椎骨動脈解離、脊髄血管奇形

 

今日はここまでにしようと思います。次回のブログでは脊髄梗塞の症状や診断、治療方法など臨床で知っておくべき内容についてまとめていきたいと思います。それではさようなら。

              (Umineko)

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