臨床研修ブログ

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ショックの分類・・・・閉塞性ショック

2024.02.06
カテゴリー: カンファレンス循環器

前回は分布性ショックについて紹介しました。今回はショックの分類の最後となる閉塞性ショックです。

 

閉塞性ショック(Obstructive shock)の代表格は肺血栓塞栓症(PTE)です。PTEでは体液量は減っていないのですが、肺動脈が閉塞してしまうことで左房、左室への還流が低下して、心拍出量が維持できない状態です。

 

他には緊張性気胸(血胸)や心タンポナーデ、挿管中のPEEPのかけすぎや外傷によるACS(Abdominal compartmentsyndrome)も閉塞性ショックに該当します。

 

循環動態のパラメーターは、収縮能はよいのですが、左室への還流が低下するので心拍出量(CO)と肺動脈楔入圧(PCWP)は低下します。でも、肺動脈圧(PA)、右室圧(RVP)、右房圧(RAP)、肺血管抵抗(PVR)は全て上昇します。PVRの明らかな上昇が特徴的です。

 

そして末梢血管抵抗(SVR)変わらないか、循環不全の影響で上昇し、末梢への酸素供給も悪化するのでSvO2は低下します。

 

表にすると下のようになります。

 

治療は、体液量は変わりませんが、左室への還流が低下しているので輸液をします。そして原因の除去です。

 

たとえばショックをともなうPTEならば血栓溶解療法や補助循環(PCPS)を行います。緊張性気胸なら胸腔ドレナージ。とにかく原因の除去が出来るものであれば、速やかに対応する必要があります。

 

 

ここまでショックの分類に関して紹介してきました。当たり前ですが、ショックといっても原因によって対応が変わります。どのタイプのショックなのか?今は何をすべきなのか?を考えながら行動してみてください。

(編集長)

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