臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
TAFな3X
年明け早々にER当番をしていたら、バイクの単独事故の患者さんが搬送されてきました。橈骨動脈は蝕知できるけど、脈が速く、皮膚は冷たくしっとりしていて、意識もイマイチです。何より呼吸がおかしいことに、あなたも一目見て分かりました。聴診すると胸部で呼吸音に左右差があります。そのうちに橈骨動脈も触れなくなってきました。
何が起こったのでしょう?
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今回は胸部外傷の患者に遭遇した時の対応についてです。外傷患者でもABCDEが基本となりますが、B(Breathing & Breast)の評価には「呼吸・頸部の評価と致命的な胸部外傷の処置」が含まれます。
モニターで酸素飽和度や呼吸回数の変化に注意を払いながら、胸部では
・外傷性出血は?
・胸郭挙上は?
・左右差は無いか?
・奇異呼吸は?
・呼吸音の左右差は?
・胸郭の動揺は?
・圧痛は?
・皮下気腫は?
・頸静脈の怒張は?
・呼吸補助筋の使用は?
・気管の偏位は?
これらを素早く評価して、すぐに処置をしないと致命的な疾患を見逃さないようにします。
致命的な胸部外傷を疑う状況では「TAFな3X」が役立ちます。
TAFな3X(タフなスリーエックス)とは、
T:Tamponade Cardiac 心タンポナーデ
A:Air way obstruction 気道閉塞
F:Flail chest フレイルチェスト
X:Open pneumothorax 開放性気胸
X:Tension pneumothorax 緊張性気胸
X:Massive hemothorax 大量血胸
これらはABCの異常がオーバーラップしているので生命に直結してきます。
ERで行う処置は、気道確保、人工呼吸、陽圧換気、胸腔ドレナージですが、複数を併発していることもあるので、繰り返しの評価も重要になります。
冒頭の症例は、緊張性気胸を起こしていたため血圧低下を来していましたが、ドレナージで改善できた症例です。外傷患者では素早い評価と対応が重要ですね。
(編集長)
ERで申し送り中
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