臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
起立性低血圧・・・山中先生のZoomレクチャー
5月19日に山中先生のZoomレクチャーが開催されました。
山中先生は、福島県立医大会津医療センター総合内科の教授として活躍されていますが、総合内科の大御所(!)の一人です。著書もたくさんあり、ドクターGにも出演されたことがあります。
そんな山中先生とは、以前当院の小児科に勤務されていた先生が、山中先生と部活の先輩後輩という仲で紹介していただいたのがご縁です。コロナ前は水戸にお越しいただいていましたが、昨年度は2回ともZoomでのレクチャーをしていただきました。
山中先生と言えば「攻めの問診」ですが、症例を使いながら、そのコツを分かりやすく教えていただきました。今回はその中から一つシェアします。
よく経験する失神について、特に頻度が多いのが①心血管性失神(心疾患、不整脈)、②神経調節性失神(迷走神経反射、状況失神など)、そして③起立性低血圧の3つですが、山中先生はこれらを「失神3兄弟」と呼んでいます。
その中で起立性低血圧は
・⽴位では下肢に500-1000 mlの⾎液が貯留する
・起⽴性低⾎圧の定義
⽴位3分以内に収縮期⾎圧が>20 mmHg or 拡張期⾎圧が>10 mmHg低下するもの
ただし、高齢者では少し3分以上経ってから血圧が下がってくることも多いそうです。
・頻度︓>65歳では20%(症状があるのは2%)
・症状︓めまい、ふらつき、失神、倦怠感、嘔気、頭痛、認知⼒低下
この認知力低下というのが意外ですね。他にも、
・循環⾎液量の20%を失う出⾎でも起こる
・⾷後低⾎圧、薬剤性(利尿薬、降圧薬、抗うつ薬)、アルコールが原因のこともある
・鑑別診断:糖尿病、パーキンソン症候群、アミロイドーシス、シェーグレン症候群
たいていの場合は問題ないのですが、起立性低血圧だと診断しても、普段からその背景に隠れている疾患がないかを忘れないようにしましょう。
(編集長)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
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◆次は、5月31日(火)開催のレジナビでお会いしましょう!
レジナビFairオンライン 6年生対象 ~今からでも間に合う!病院特集~
5月31日 18時から登場します!
ぜひご参加ください!!
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なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
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低カリウム血症
今回は、J2のナス顔研修医が経験症例をもとに低K血症についてまとめてくれたのでシェアします。
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カリウム(K)の正常範囲としては3.6~5.0mEq/Lであり、主にそれ未満の値を低K血症といいます。特に血清K2.5mEq/L未満になると筋力低下や不整脈が起こる可能性が高くなり、循環器内科Drから言わせれば高K血症よりも低K血症の方が怖いとのこと(だいぶ意外でした)。
高K血症はなんとなく危ないイメージだからこの一年で対応は学べたけど、そもそもなんで低K血症になるんだろう?そんな迷える研修医の先生の方々(自分も含め)のために実際に経験した症例を踏まえて低Kの鑑別の仕方についてまとめました。
症例は80代男性。誤嚥性肺炎で入院しました。入院時の採血でK3.2と低値であり、内服薬の中に利尿剤などの低K血症を来す疑わしい薬剤もなく、元々入院前のADLは自立して食事摂取も良好だったのですが早急にPICC挿入し補正を開始しました。
ここで、低K血症の原因として、
①細胞内へのシフト
②腎からのK喪失
③腎外でのK喪失
これらを考ていきます。
低K血症を見た時は病歴の聴取や薬剤の確認のほかに、まず随時尿で尿中Kと尿中Cl、血液ガスを調べます。
尿中Kが20mEq/L未満の場合、③の腎外でのK喪失を考えます。具体的には摂取不足、嘔吐、下痢がないかを確認します。消化管の術後やイレウスなどで胃管挿入中も同様に低K血症になります。
尿中Kが20mEq/L以上の場合、まず②の腎からのK喪失を考えます。しかし微妙な時は①の細胞内へのシフトも含めて考える必要がでてくるので、血液ガスをチェックします。①の細胞内シフトは、アルカローシス(代謝性・呼吸性とも)やインスリンの使用、周期性四肢麻痺などでみられます。
②の腎からのK喪失では高血圧の有無を確認します。高血圧の既往があるならアルドステロン症や腎血管性高血圧などが鑑別となるので、レニン、アルドステロンを測定します。
高血圧の既往がなければ血液ガスをもう一度確認し、アシドーシスがあってHCO3<22mEq/Lなら尿細管性アシドーシスの可能性が出てきます。
高血圧なしでアシドーシスもなく、HCO3が低下していなけば、次に尿中Clを確認します。尿中Clが10mEq/L未満であれば嘔吐や利尿薬使用後を考えます。尿中Clが10mEq/L以上であれば利尿薬、Bartter症候群、Gitelman、Mg欠乏などを考えます。薬剤の中で合成ペニシリン、アミノグリコシドなどの抗菌薬も低K血症の原因になるそうです。
鑑別疾患が非常に多くあり、ちょっと分かりにくくなりましたが、低K血症を見たときは尿の電解質と血液ガスをチェックして鑑別を考えていきます。
ちなみに冒頭の症例は、入院時に呼吸性アルカローシスを呈しており、点滴や経口でのK補充でも当初はあまり改善しませんでした。しかし肺炎の改善とともにK補充なしで正常範囲になったことから、アルカローシスの影響と考えられた症例でした。
(ナス顔研修医)
鑑別を考え中
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◆次は、5月21日(土)開催のエムスリーです!
<関東・甲信越エリア>研修病院ナビ合同座談会に参加します。
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γ(ガンマ)計算
先日のことですが、糖尿病性腎症で維持透析中の方の敗血症性ショックの症例を担当しました。その時にノルアドレナリンの持続点滴をしたのですが、指導医から「ノルアドレナリンは何γ(ガンマ)で開始する?」と質問されて、固まってしまいました(笑)。なので、今回はγ計算について勉強したことをシェアします。
ノルアドレナリンを投与する際、投与量は非常に大切です。例えば5ml/hrのノルアドレナリンをお相撲さんと赤ちゃんに投与したとします。同じ5ml/hrでも体重が違えば、必要な量は変わってきます。そこで体重1kgあたり、1分間でどのくらいの量を投与すればいいのかを表すγ(ガンマ)を用います。
まず、1γ=1μg/kg/min と表されます。
→ minをhrに変換すると、1γ=60μg/kg/hr
→μgをmgに変換(1mg=1000μg)すると、1γ=0.06mg/kg/hr
→単位を並び替えると、1γ=体重(㎏)×0.06㎎/hr ということになります。
ノルアドレナリンは生理食塩水で希釈し用います。当院のICUなどでよく使う組成はノルアドレナリン5㎎+生食45㎖で計50㎖にするので、濃度は0.1㎎/㎖ですが、開始時は0.05γからとなっています。
この組成の場合、患者さんの体重が50㎏だとすると 0.05γ=0.05×50㎏×0.06mg/hr=0.15㎎/hr となります。
でも、看護師さんに指示を出すときは【㎎/hr】ではなく【㎖/hr】にしないと間違いのもとになるので、薬剤の濃度で割ると 0.15㎎/hr÷0.1㎎/㎖=1.5㎖/hr となります。
つまり体重50㎏の患者さんなら、ノルアドレナリンは開始時には1.5㎖/hr(=0.05γ)で開始すればよいということになります。
γをml/hrに変換する式は 1γ=体重×0.06÷濃度(㎎/㎖) で求めることができるので、これを覚えておくといいと思います。
なお、良く使う薬剤としては
・ノルアドレナリン 0.05γ〜0.3γ
・ドブタミン 1γ〜20γ
・ランジオロール 心機能低下例では1〜20γ
この3つは覚えておいた方がイイです。
そして、病院や病棟によってルーチンで使う組成があるので、必ずそれを確認しておきましょう。
(ミッフィー)
タイミングが合えば、、、
見学時にガウンを着て一緒にPICC
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◆マイナビレジデントフェスティバルに参加します!
5月11日(水)の関東エリア特集に当院も参加します。
当院は18:30~、19:00~の2枠で配信します。
前半は病院説明、後半は研修医への質問コーナーです(2回とも同一内容の予定です)。
マイナビへの登録が必要ですが、直前まで申し込み可能ですので、ぜひご参加ください!!
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P/ F 比
さて、今回は新J1のヒゲだるまが記事を書いてくれました。
研修医になって最初のローテーションが総合内科なので、いろいろベーシックなところを確認しながら病棟で奮闘中です。そんなヒゲだるまに酸素化の評価をどうするのか?と宿題を出したら、まとめてくれたのでシェアします。
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とても真面目とは言えなかった僕は、呼吸状態は「SpO2が95%くらいあれば大丈夫っしょ」くらいに思ってました。
ですが実際は鼻カニューレ、リザーバーマスク、NPPVさまざまな環境で計測されるSpO2があるわけで、そう単純なものではありませんでした・・・・。
例えばSpO2は98%であるがリザーバーマスク10Lを付けてる状況ではどうでしょうか?
SpO2は確かに高い値ですが、リザーバーマスク10Lはなかなかの量です。さて、こんな時はどう考えたらよいでしょう?
ここで出てくるのがP/F比です。
PはPaO2=動脈血酸素分圧、FはFiO2=吸入気酸素濃度の割合のことを言います。
FiO2の大まかな値は以下に載せておきます。
そしてこのP/F比は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症度を示す基準にもなっています。
具体的には
軽 症: 200 < P/F ≦300
中等症: 100 < P/F ≦200
重 症: P/F ≦ 100
さて、ここで冒頭の例を考えてみましょう。
SpO2が98%ではPaO2≒100と考え、リザーバーマスク10LはFiO2が0.8とすると、P/F=100/0.8=125となります。
これは上述したARDSの基準を参考にするとだいぶ悪いということがわかります。
おそらく1年前の僕なら「大丈夫じゃね?」でスルーしてたと思いますが、これからは酸素化の指標としてはP/F比を自然と使えるようになりたいものです。
(ヒゲだるま)
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貧血の鑑別・・・RI(網状赤血球指数)
今回はJ1のミッフィーが貧血の鑑別、特に網状赤血球指数を中心にまとめてくれたのでシェアします。
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担当した患者さんのプロブレムに貧血(その患者さんは正球性貧血でした)があったので、貧血の鑑別について調べてみました。
まず貧血がある場合、他に白血球減少や血小板減少がないか確認します。あれば造血器疾患や骨髄疾患を考えます。
次にRI(網状赤血球指数)を調べます。
RIは以下の式で求めるものですが、RIが2以上であれば骨髄の造血は正常の反応であり、2以下だと反応が低下しているとわかります。
ちなみに網状赤血球とは、赤血球の中で最も若いもので、赤芽球が成熟し脱核した1~2日以内の赤血球のことを指します。正常値は4~19‰(パーミルと読みます)で、パーミルは%(パーセント)の1/10の単位なので、0.4~1.9%でも同じことです。また、RIはReticulocyte Indexの略ですが、RPI(Reticulocyte Production Index)と書かれているものもありますが同じことです。
RI >2の場合、さらに溶血しているか検査し、溶血がない場合出血を考えます。溶血ある場合は自己免疫性溶血性貧血や、遺伝性球状赤血球症、発作性夜間血色素尿症などの溶血性貧血を考えます。
RI<2の場合、MCVを確認し、それぞれ大球性貧血、正球性貧血、小球性貧血の鑑別を行います。
小球性貧血ではフェリチンが低下していれば鉄欠乏性貧血。フェリチンの低下なければ慢性疾患に伴う貧血。
正球性貧血では慢性腎臓病や脾腫、甲状腺機能を確認し、腎性貧血や脾機能亢進症、甲状腺機能低下症を鑑別として考えます。
大球性貧血ではビタミンB12欠乏や葉酸欠乏がある場合、巨赤芽球性貧血を考えます。
実は国家試験勉強中、貧血の問題が出てきたら鉄欠乏貧血や溶血性貧血など国家試験に出やすい種類の貧血の鑑別をまず考えていましたが、実際には胃潰瘍や大腸癌など出血に伴う貧血や腎性貧血、慢性疾患に伴う貧血など、患者さんの背景を踏まえて鑑別することの大切さを学びました!
(ミッフィー)
今日はペースメーカー植え込みの助手
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脊髄空洞症
J1の Dr.muscle が自分の経験症例からのまとめを書いてくれたのでシェアします。
この記事のように、自分が関わった患者さんの主病名はもちろん、主病名以外の既往などから知らない疾患とかあやふやな点を拾い上げ、調べて整理しておくのが一番効率の良い勉強法だと思います。
ちなみにペンネームのDr.muscleは同期の研修医たちが名付け親です。理由はあなたのご想像通り・・・です。
(編集長)
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今回、既往に脊髄空洞症の手術歴があり、尿道カテーテル長期留置患者の尿路感染症という症例を受け持つことになったので、脊髄空洞症について調べてみました。
【脊髄空洞症とは】
脊髄の中に液体がたまり、脊髄がちくわのように空洞が形成され、脊髄の中心部分を交差する温痛覚が宙吊り型(上肢・胸部のみ障害され、頭部や下肢は正常)に障害されます。また、病状の進行に伴い、脊髄の中心以外にも空洞が広がるため、筋力低下や自律神経障害など多様な神経症状を引き起こします。
原因としてはキアリ奇形が原因となることが多いですが、脊髄損傷や脳脊髄神経の癒着を起こすような病気でも起こります。片手の痛みや温痛覚障害で発症することが多く、その後徐々に両上肢の麻痺が進行し、治療せずに放置した場合は下肢にまで麻痺がおよび、車いすが必要になることも。
ちなみに、キアリ(Chiari)奇形の定義は以下の通りです。
1型:小脳扁桃が大後頭孔より3mm以上下垂し、原則として小脳扁桃の変形を生じているもの。延髄の下垂を伴ってもよい。
2型:小脳下部(主に虫部)と延髄が大後頭孔より下垂し、第4脳室も下垂する。原則として腰仙部に脊髄瘤又は脊髄髄膜瘤を伴う。
治療としては空洞を縮小させる手術の他はありません。
手術法としては大後頭拡大術・空洞短絡術があり、どちらも全身麻酔下に行います。
・大後頭拡大術
キアリ奇形が原因となっている脊髄空洞症に有効
頭蓋骨から脊柱管に移行する部分を拡大させて、脳脊髄液の流れを改善する。
・空洞短絡術
脊髄空洞内に直接カテーテルを留置し、そのチューブから他の場所へ空洞内にたまった水を逃がす。具体的には『空洞-くも膜下腔シャント(SS shunt)』が行われることが多い。
手術による合併症としては手足のしびれや動きの悪化、髄液瘻や髄膜炎、感染などが挙げられます。手術によって空洞は縮小し症状の悪化を止められることは多いですが、空洞が縮小しても、手足のしびれや痛みは残存し、期待通りの神経症状の回復はできないことは少なくなく、そのような場合は内服での治療を継続する必要があります。
以上です。国家試験の際になんとなく宙づり型というキーワードは目にしたことはあったのですが、それ以外、治療法や予後などについてはほとんど知らなかったのでとても勉強になりました。
(Dr. muscle)
頚髄レベルの脊髄空洞症
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画像問題・胸部レントゲン
胸部レントゲンは基本の検査ですが、実際のところ読影はすごく難しいものです。パッと見た時の印象も大事ですし、細かい所見を丹念に見ていくことも大事です。
そんな胸部レントゲンから決して難しくはないけど、研修医が意外と分かっていないものを取り上げてみます。
今回はこのレントゲン。
あとで質問するので、まずはじっくり見てください。
あ、ペースメーカーが入っていますが、これは気にしなくてOKです。
↓
↓
↓
そろそろイイですか? では、質問です。
左右の下肺野の透過性が異なっていますが、どうしてでしょうか?
↓
↓
もちろん、画面が小さくとも、この解像度でも分かることです。
↓
↓
正解は・・・・・、右乳房切除後だからです。
よく見ると、下記の矢印ように乳房の輪郭が左では見えているのに、右では見えていません。
正解できましたか?
この症例は80歳台の女性のもの。本人も忘れているくらい昔に乳がんで手術を受けた方です。
今は乳がんでも、乳房を温存する術式が多いですが、以前は乳房切除が当たり前でした。患者さんを診察すればすぐにわかることですが、左右の胸壁の厚さが明らかに異なっているので、レントゲンでも左右差が出ます。ときどき遭遇しますので、覚えておくとイイですよ。
(編集長)
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喘息の話(6)・・・吸入薬の特性
井上先生の呼吸器レクチャーからです。
今回は吸入薬の特徴です。あくまで井上先生の私見ということでご覧いただきたいのですが、吸入薬を外来で処方する機会もそれなりにある編集長としては、非常に納得する部分と、目からうろこの部分がありました。あなたも、是非とも患者さんに合わせて使い分けられるようになってください。
【タービュヘイラー】
<良い点>
・違和感が少ない
・合剤、単剤の変更がしやすい
<悪い点>
・吸った感じがあまりしない
・操作が難しい
【ディスカス】
<良い点>
・操作は簡単
・吸った感覚がある
・合剤、単剤の変更がしやすい
<悪い点>
・違和感が強い
・いずれ無くなる?
【エリプタ】
<良い点>
・操作の手順が最も簡単
・ラインナップが多い
<悪い点>
・ためしができない
・違和感は強い
【ブリーズヘラー】
<良い点>
・吸った感覚がある
・吸う時に音が出る
<悪い点>
・吸入後の席がある
・詰め替えが必要
【ジェヌエア】
<良い点>
・吸ったときに表示が変わる
<悪い点>
・ラインナップが少ない
【レスピマット】
<良い点>
・肺への拡散が良好
・吸入力が少なくとも大丈夫
<悪い点>
・操作に力が必要
・吸入のタイミングが必要
【エアゾール】
<良い点>
・違和感が少ない
・吸入力が少なくとも大丈夫
<悪い点>
・タイミングが合わないと吸えない
・アルコール臭がある製品もある
あなたも「患者さんが使える吸入薬」を選ぶ時の参考にしてみてください!
(編集長)
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喘息の話(5)・・・吸入薬の指導
井上先生の呼吸器レクチャーからです。
前回は喘息の長期管理について紹介しました。
その中に「服薬アドヒアランスは良好か?吸入手技が正しいか?」というチェック項目がありました。喘息でもCOPDでも吸入薬が治療の中心となりますので、正しく吸入できているかは大変重要なポイントです。そこで10月に続いて、11月も井上先生に吸入指導についてのZoomレクチャーをお願いしました。
喘息やCOPDで使われる吸入薬にはICS(吸入ステロイド)、LABA(長時間作用型β刺激薬)、LAMA(長時間作用型抗コリン薬)がありますが、単剤のものやICS+LABAやLABA+LAMAの2剤合剤、今ではICS+LABA+LAMAの3剤合剤があり、非専門家にはとても覚えられません。しかも、ご覧の通りいろいろなタイプのデバイスがあります。
井上先生の診察室にある吸入器たち
使い方をきちんと指導して、患者さんができるようにならないと・・・
・ふたを開けないで吸入する
・タンクを装着しないで使用している
・吸入剤に息を吹き込んでしまう
・吸入剤のカプセルを飲んでしまう
・吸入剤の粉末を水に入れて飲んでしまう
・吸入剤を部屋に噴霧している
などと、笑い話のようなことがホントに起こってしまっています。
どんなに「エビデンスがある」とか「効果が強い」と言っても、個々の患者さんが吸入できなければ意味がありません。井上先生も「吸入できる薬剤であることが絶対条件」と何度も強調していました。
井上先生の吸入剤の使い分けのポイントとして
・吸入を自分のタイミングしたい・・・DPI(ドライパウダー吸入)
・吸入力が弱い・・・pMDI、ソフトミスト
・吸入した感覚が欲しい・・・音、味がある
・吸入の違和感が嫌・・・粒子が細かい
・手先が不自由・・・力がいらないもの
・介護が必要・・・外から見て吸入が分かる
といったことを挙げていました。
次回はそれぞれの吸入剤の特性について紹介します。
*なお、それぞれの吸入剤の使い方やピットフォールについても、もちろん教えてもらいましたが、ここでは割愛しました。もし興味のある方はお問い合わせフォームからご連絡ください。動画を閲覧できるようにいたします。
(編集長)
相変わらず分かりやすい話でした!
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喘息の話(4)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom
井上先生の呼吸器レクチャーからです。前回は喘息の治療について紹介しました。症状から治療ステップを選択するというものです。
しかし実際の臨床では、なかなか症状がコントロールできない場合があります。そんな時の診療の進め方がガイドラインにあります。
他に井上先生は、喘息のコントロール状態について医師と患者との間で認識に大きなギャップがあることを強調していました。治療を受けている患者らを調べると、医師側は79%でコントロール良好と認識していたのに、患者側では約半数しかコントロール良好と回答していなかったというデータがあるそうです。つまり、患者側の喘息治療に対する治療満足度が低いということです。
もう一つ、全身ステロイド投与、つまり経口とか点滴でのステロイド投与についてですが、長期に全身投与することは、いろいろ問題があるのは容易に想像できると思います。ですので、喘息コントロールのための経口ステロイドの使用は短期間の間欠投与(ステロイドバーストと呼ぶそうです)が原則です。
でも、ステロイドバーストを年4回以上行っていると、いくら短期使用といっても、骨粗鬆や高血圧、肥満、糖尿病などのリスクが上昇してしまいます。ですので、年に何度もステロイドの全身投与をするような患者さんでは、生物学的製剤の位置づけが高くなっているそうです。生物学的製剤は値段も高くて使用に条件がありますので、専門医に紹介して導入してもらいましょう。
まとめると、喘息の管理目標である
1、症状のコントロール(発作や喘息症状がない状態を保つ)
2、将来のリスク回避(喘息死回避、急性増悪予防、呼吸機能の経年低下抑制、治療薬の副作用回避、健康寿命と生命予後を良好に保つ)
これらを意識しながら、患者さんの満足度を高めるように積極的な治療を行う必要があります。
(編集長)
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