臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
糖尿病のお薬・・・SU剤
前回までは糖尿病薬のうちインスリン分泌非促進系の薬剤(ビグアナイド、チアゾリジリン、αGI、SGLT2阻害薬)を紹介してきました
今回からインスリン分泌促進系薬剤を紹介していきますが、このクラスの薬剤は、さらに血糖非依存性と血糖依存性に分類されます。今回紹介するSU剤は血糖非依存性薬剤ということになります。
【機序】
・膵β細胞に作用して、インスリン分泌を促進
【特徴】
・作用は強力だが、高齢者や腎機能低下例では、重症の低血糖が遷延しやすい
・同じインスリン分泌促進系の薬剤と併用は、より低血糖を起こしやすくする
【禁忌】
・腎機能障害(eGFR<30)は禁忌(当然、透析患者さんはダメです)
【副作用】
・重症・遷延性低血糖
・肝機能障害(稀)
・無顆粒球症(稀)
・体重増加
かなり以前は糖尿病治療薬の種類も少なく、SU剤を極量まで増やして、それでだめならインスリンという流れで使っていた時期がありました。その頃は遷延性低血糖が問題で、編集長は5日間も低血糖が遷延した症例を経験したことがあります。薬剤の影響と分かっていても、さすがに心配になりました。もしあなたが、SU剤を服用中の低血糖症例に遭遇したら、入院のうえ経過観察してください!
現在はまず他剤で開始して、2剤目もしくは3剤目以降に少量から併用して、とにかく低血糖を避けることが重要です。となると、高齢者や腎機能が悪い人には避けて、太っていない(インスリン抵抗性のない)比較的若い患者さんに少量追加するのが良いように思います。
(編集長)
朝回診の一コマ
見学の学生の前でイイところ?見せてます
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糖尿病のお薬・・・SGLT2阻害薬
今回はSGLT2阻害薬です。
ご存じの通り、SGLT2阻害薬は糖尿病薬というよりも、心血管イベントを低下させる循環器病薬、腎保護作用を有する腎保護薬としての地位を確立しましたが、なぜ心血管イベントが低下するのか詳細な機序ははっきりしていません。これからもしばらく話題を提供してくれるでしょう。
今回は、循環器領域のことはあえて触れず、基本に戻って糖尿病薬としての役割を整理しておきます。
【機序】
・腎臓で糖を再吸収させるSGLT2の働きを阻害することで、尿糖排泄を促進させます。
【特徴】
・インスリンとは独立して作用を示す。
・1型、2型糖尿病どちらにも適応あり
・体重減少や血圧低下が見られる
・腎保護作用がある
・心血管イベントを抑制する
【禁忌】
・重症感染症、術後などは使用しません
【副作用】
・尿路・性器感染症
・脱水・口喝
・DKA
・皮疹 など
エネルギーを尿に排泄するので、高齢者では低栄養やサルコペニアを悪化させる可能性があり、症例を選ぶ必要があります。またケトン体上昇に関連した有害事象の増加が報告されており、術前は中止が必要です。さらに血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性があります(正常血糖ケトアシドーシス)。服用中の患者さんが全身倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛などを訴える場合は血中ケトン体(できない時は尿ケトン体)を確認することが大事です。
腎機能低下例では効果が減弱するので良い適応ではありません。また透析例では使用しません。尿路感染症はADLの良い人ではそれほど経験しませんが、編集長は、おむつを使用するような高齢者(特に女性)には使用を避けています。
最も向くのは比較的若年で、腎機能に問題なくて肥満や脂肪肝のあるような人に良いと思います。もちろん心不全が合併している患者さんにもよい適応です。
(編集長)
Aラインの確認中
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糖尿病のお薬・・・αグルコシダーゼ阻害薬(αGI)
今回は、インスリン分泌非促進系薬剤のうちαグルコシダーゼ阻害薬(αGI)を紹介します。
【機序】
・小腸において二糖類からブドウ糖への分解を阻害し、糖の吸収を遅らせて食後の急激な血糖上昇を抑える。
【特徴】
・二糖類が未消化のまま大腸に行き、それが大腸の細菌叢により発酵されてガスが発生する。このため副作用として、おならや腹部膨満感などがある。
・体重が増加しにくい。
【禁忌】
・重症感染症、術後などでは使用しない
【副作用】
・重篤な肝機能障害
・開腹手術歴がある人、高齢者では腸閉塞に注意
空腹時の血糖はそれほど高くないけど、食後高血糖があるような、比較的軽症の糖尿病患者さんに向きます。しかし中等症以上の糖尿病では他剤との併用薬という位置づけです。糖尿病の前段階である耐糖能異常における2型糖尿病発症を抑制する目的で処方する場合もあります(ボグリボースのみ)。食事の直前に服用しないと効果が大きく減弱してしまうので、その点で向かない患者さんがいます。
もしαGIを服用中の患者さんが低血糖を起こした場合は、ブドウ糖を服用させないと速やかに血糖が改善しないので注意が必要です。
アカルボースは1回50㎎から開始し、1回100㎎まで増量できます。ボグリボースは1回0.2㎎から開始で、0.3㎎まで増量可能です。昼食直前の服用はどうしても飲み忘れが多くなるので、編集長は朝夕食直前で処方することが多いです。
(編集長)
今日のER♪
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糖尿病のお薬・・・ビグアナイド
今回は、インスリン分泌非促進系薬剤のうちチアゾリジリンについてまとめてみます。一般名はピオグリタゾン(先発品はアクトス)です。
【機序】
・肥満細胞に作用して、インスリン抵抗性を改善
【特徴】
・インスリン分泌に関与しないので、単独では低血糖を起こしにくい
・体重増加がみられる
【禁忌】
・心不全患者
【副作用】
・水分貯留傾向があり、浮腫や心不全の増悪に注意
・女性で骨折のリスク上昇が報告されている
・肝機能障害
一時期は抗動脈硬化作用もあると、もてはやされた薬剤です。その後は膀胱がんのリスクが上がるのではないかとのデータが出され、これを契機にあまり処方されなくなりました。しかし現在は膀胱がんのリスク上昇は否定されています。
用量としては通常30㎎錠を1日1回服用ですが、女性や高齢者では15㎎錠から開始。最大用量は45㎎/日です。
体液貯留傾向があるので心機能が悪い人高齢者には避けた方がイイですが、インスリン抵抗性のある肥満患者で心機能に問題ない人には良い適応となります。また体重増加を来しやすいので、食事療法もきっちりやる必要があります。
現在はあまり処方されることもない薬剤になってしまいましたが、編集長の個人的な意見としてはHbA1cがリバンウンドすることなく長期に安定して低下するので良い印象をもっています。
(編集長)
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糖尿病のお薬・・・ビグアナイド
糖尿病薬については、細かくなくて良いので主な作用機序と禁忌や有名な副作用、そして適した症例や避けた方がいい症例という感じにイメージを掴んで覚えるのが効率的だと思います。
今回は、インスリン分泌非促進系薬剤の代表格であるビグアナイドについてまとめてみます。
【機序】
・肝臓での糖新生抑制
・他に消化管からの糖吸収抑制
・末梢組織でのインスリン感受性改善など
【特徴】
・体重が増加しにくい
・心血管イベントを低下させる
・安い
【禁忌】
・肝硬変・肝不全
・腎機能低下例では注意、特にeGFR<30では禁忌
造影CTなどのヨード造影剤を使用する際は休薬することは良く知っていると思いますが、造影剤に限らず、脱水やショック、心筋梗塞、重症感染症など、eGFRが急激に低下する可能性のある病態では中止しましょう。
【副作用】
・乳酸アシドーシスが有名
・臨床的には、消化器症状(軟便、下痢、心窩部不快感など)
・ビタミンB12の吸収阻害による大球性貧血を来すことがある
以上のことから、ビグアナイドが向くのは、心血管イベントリスクが高そうな、比較的若めの肥満のある2型糖尿病が良いでしょう。こういった患者さんは腎機能も肝機能も問題ないことが多いです。逆に、痩せている高齢で腎機能がちょっと低下気味の人には避けた方がいいでしょう。
用量は1日500㎎~2250㎎を2~3回に分けて服用となっていますが、お昼の服用は忘れる人が多いので編集長は朝と夕の2回で処方しています。効く人は500㎎程度でもA1cが低下してきますが、1000㎎まで増やしてから他の薬剤追加を検討しています。
(編集長)
インスリン勉強会での一コマ
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糖尿病のお薬・・・・内服薬の分類
どの診療科に行っても糖尿病の患者さんがいます。当然、手術や検査の時に食事を止める場合は糖尿病薬を中止したり、減量したりする必要があります。また高齢者では、今までずっと服用していた糖尿病薬だとしても、入院を契機に減量や中止など、処方を見直す必要が出てくる場面にも良く遭遇します。
ですので、糖尿病が苦手と思っているあなたでも糖尿病薬について全く知らない訳には行きません。そんな時にあなたが知っておくべき最低限のクスリの知識を紹介していきます。
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糖尿病薬には内服薬が9種類、インスリンを含めて注射薬が2種類あります。多くて覚えにくいかもしれませんが、まずは大きく内服薬の分類を把握してみましょう。
内服薬には
【インスリン分泌非促進系】
・ビグアナイド薬
・チアゾリジリン薬
・αグルコシダーゼ阻害薬(αGI)
・SGLT2阻害薬
【インスリン分泌促進系】
<血糖非依存性>
・スルホニル尿素薬(SU薬)
・速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
<血糖依存性>
・DPP4阻害薬
・GLP1受容体作動薬(内服薬、注射薬)
・イメグリミン
【インスリン製剤】
インスリン各種
インスリン+GLP1受容体作動薬の配合剤
それぞれの機序や副作用、禁忌などを把握して、1剤から開始するのが原則です。薬剤名と一般名を覚えるのはちょっと大変ですが、まずは院内に採用されているものを覚えていきましょう。
ここでは取り扱いませんが、現在は合剤も多く発売されており、錠数も少なくて服薬アドヒアランスが向上するなど、慣れてくるとメリットは大きいものがあります。慣れてきたらぜひ使ってみてください。
次回はビグアナイドについて紹介します。
(編集長)
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COPDの話(2)・・・井上先生の呼吸器レクチャー
井上純人先生による呼吸器レクチャーから、前回に引き続きCOPDの話題をシェアします。今回はCOPDの治療、特に安定期COPDの管理についてです。
なお、略語ばかりで嫌になるかもしれませんので、先に説明しておきます。
SABA(短時間作用型β刺激薬)
SAMA(短時間作用型抗コリン薬)
ICS(吸入ステロイド)
LABA(長時間作用型β刺激薬)
LAMA(長時間作用型抗コリン薬)
さらに、「喘息病態の合併」とは分かりにくいものですが、喘息の既往がある場合、アレルギーの要素がある場合と考えると良いそうです。症状では、労作時の症状だけでなく、安静時にも息苦しさなどの症状がある場合も喘息病態が合併していると考えるそうです。
<一過性の息切れ、または咳、痰の時>
必要に応じてSABAまたはSAMA吸入の屯用
<日頃からの息切れと慢性的な咳、痰がある時>
・喘息病態 非合併例 → LAMA(またはLABA)
・喘息病態 合併例 → ICS+LABA(あるいはICS+LAMA)
<症状の悪化、あるいは増悪>
・喘息病態 非合併例 → LAMA+LABA(テオフィリン・喀痰調整薬追加)
・喘息病態 合併例 → ICS+LABA+LAMA(テオフィリン・喀痰調整薬追加)
<頻回の増悪>
・喘息病態 非合併例で、
末梢血好酸球増多あり → ICS+LAMA+LABA(未使用ならテオフィリン・喀痰調整薬追加)
それでもだめなら → 3剤吸入+マクロライドの追加
末梢血好酸球増多なし → LAMA+LABA+マクロライドの追加
・喘息病態 合併例 → 3剤吸入+マクロライドの追加
(未使用ならテオフィリン・喀痰調整薬追加)
COPD診断と治療のためのガイドライン第6版より
なお、COPDに対するマクロライドの追加は未承認ですが、使うとすればクラリスロマイシン(CAM)は避けましょう。昨今はCAM耐性の非結核性抗酸菌症が非常に大きな問題となっているからです。
(編集長)
吸入指導のコツを伝授♪
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点滴の目的はなに?
どの診療科でも、入院患者さんが検査や手術を受けるときに点滴を取りますよね?よく指導医から「点滴出しておいて」と頼まれると思いますが、そもそもこの点滴は何のために行っている
のでしょうか?そして、具体的に何をオーダーすればいいのでしょう?
パスに入っている点滴だから・・・・と何も考えずにオーダーしないで、ちょっと考えてみてください。
例えば、消化器内科でERCPをする時なら、前投薬(鎮痛剤)など薬剤投与ルートの確保が主たる目的です。心不全や腎不全が無いかなど、患者さんの背景を考えて点滴内容を決めればよいと思います。では、全身麻酔で胃切患者さんの点滴は?
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抗生剤など前投薬の投与ルート確保に加えて、麻酔導入時に血圧が下がったりするので、十分な細胞外液を入れておく必要があります。
では、PCIの患者さんの場合ではどうでしょう?
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薬剤の投与ルート確保はもちろんですが、もう一つ重要なこととして造影剤腎症の予防目的に補液が必要です。教科書的には生理食塩水ですが、これも心機能などを見て決めるのがよいでしょう。
最後に、同じPCIの時でも透析患者さんの場合はどうでしょうか?
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この場合は造影剤腎症については無視してよいですし、過剰な輸液は透析時の除水量を増やすので不利になります。なので、例えば500㎖の点滴ではなく、わざと100㎖や200㎖の点滴にするのも手です。
パスを利用するのは当然ですが、なぜそのようなパスの内容になっているのか、理由を考えなくなってしまいうのはパスの欠点かもしれません。
目的や理由を理解しておかないと、応用が利かなくなってしまいます。その状況での点滴の目的は何か?患者背景は大丈夫か?を考える習慣はつけておきましょう。
(編集長)
超音波内視鏡(EUS)の指導中
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COPDの話(1)・・・井上先生の呼吸器レクチャー
当院では10月後半から今月前半まで、院外講師のレクチャーが目白押しですが、先月に引き続き井上純人先生による呼吸器レクチャーが先日Zoomで開催されました。
タイトルは「喘息、COPDガイドラインを勉強して吸入指導をしよう」でした。この領域は井上先生の専門分野でガイドラインの委員も務めているので、毎回分かりやすく、キレキレのレクチャーになっています。
以前に喘息のことこのブログで紹介しているので、今回からCOPDのことをシェアしていきたいと思います。
過去の喘息の記事もご覧ください♪
【COPDの病態】
・喫煙によって肺が壊れる→肺気腫
・気管支が炎症を起こして通りが悪くなる→慢性気管支炎
この2つの病態が混ざり合って起こっている
【COPDの疫学】
WHOによると、世界で死亡者が多い疾患は①虚血性心疾患、②脳卒中に続いて、③COPDとなっていて、年間の死亡者数は300万人以上です。300万人と言ってもピンときませんが、世界中で2020年に新型コロナで亡くなった患者さんが200万人とされているので、その数の多さがイメージできると思います。
国内でも2020年の死亡統計では男性で10位になっています。一方で、COPDの患者数は22万人ですが、有病推定患者数が530万人と推定されていますから、わずか4.2%の患者しかCOPDと診断されていないそうです。
【COPDの診断】
気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで FEV1/FVC(1秒率) が70%未満であれば COPDと診断しますが、上記のように診断されていない患者さんが数多くいるので、スパイロメトリーを使わなくともスクリーニングするためのツールがあります。
COPD Population Screener(COPD-PS)と呼ばれるもので、点数を見てCOPDの可能性を判断できます。専門医への紹介は4点以上となっています。
また、COPDと診断されている患者さんの状態を把握するためのツールとして、COPDアセスメントテスト(CAT)があります。40点満点ですが、10点以上で症状が強いと判断します。
(編集長)
レクチャー中の一コマ
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紫斑のみかた・・・徳田先生のカンファレンス2023秋
徳田安春先生をお迎えしての症例検討会が11月28日に開催されました。
この企画は茨城県が主催しているもので毎年恒例となっています。徳田先生が県内の各臨床研修病院をまわって症例検討会を行うもので年に2回開催されています。前回は6月でしたが、今回は2回目でした。
徳田先生は著書も多数あり、あなたも知っているかと思いますが、当院とは徳田先生が水戸協同病院に赴任した16年前からのお付き合いになります。
今回もJ1の二人が症例提示をしてくれました。まずは平尾先生が汎血球減少の症例を、そして福本先生が紫斑を伴う腎不全の症例を提示してくれました。二人ともスライドが分かりやすく良くまとまっていて、徳田先生からお褒めの言葉も頂きました♪
今回は福本先生の発表からシェアします。
症例は60歳代の男性。1か月前から両足背に紫斑が出現し、発熱と腹痛を主訴に近医を受診したところ、腎機能低下を指摘され紹介入院となりました。診断はIgA血管炎なのですが、これは後日改めてシェアするとして、今回は決め手になった紫斑について。
【紫斑のみかた】
まず、紫斑と紅斑を区別します。
・紫斑とは、血管から血液成分が漏れ出したもの → スピッツ等で押しても消えない
・紅斑とは、血管の拡張、充血によるもの → スピッツ等で押すと消える
紫斑と判断したら、触診をしてみます。
・紫斑部分が若干盛り上がったように触れるとき
‐炎症細胞が血管外に漏出している
‐まずは壊死性筋膜炎と感染性心内膜炎を除外
‐これらが除外できれば血管炎を考えていきます。
ANCA関連血管炎、IgA血管炎、抗GBM抗体関連、クリオグロブリン血症、リウマチ、
SLE、シェーグレン症候群、感染(HBV、HCV、梅毒)、薬剤性
・触れないとき
‐出血だけと考える
‐血小板の問題(抗血小板薬、ITP)
‐凝固の問題(抗凝固薬、DIC、肝機能低下)
‐血液疾患(血友病、白血病、再生不良性貧血)
‐その他(尿毒症、壊血病、老人性、薬剤性)
あなたも紫斑を見たら、触ってみて、この記事を思い出してください!
(編集長)
徳田先生とディスカッション中
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