臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

いつCTを撮るべきか?

2020.01.28
カテゴリー: カンファレンス循環器

50歳代の男性が胸痛で搬送

されてきました。心電図は

下壁誘導(Ⅱ、Ⅲ、aVF)でST上昇が

見られます。

 

バイタルは血圧170/100mmHg、

心拍数86bpm、体温36.5℃、

呼吸数20回/分

 

STEMIと診断して、緊急PCIの準備に

取り掛かりました。

 

そんな最中に、

「A型解離の可能性は大丈夫かな?」

「CTどうする?」

と誰かが言いました。

 

こんな時、あなたならどうしますか?

 

確かに、急性A型大動脈解離では

胸痛の訴えが多いですし、

右冠動脈を巻き込むことが多く、

下壁梗塞の心電図を呈します。

 

では、下壁梗塞とか、胸痛を

訴える患者さんは、A型解離を

鑑別するために、全員に造影CTを

施行するべきなのでしょうか?

 

一方で、STEMIに比べれば、

急性A型大動脈解離は頻度が

ずっと少ないですし、CTを撮れば

PCI開始までの時間が長くなり、

せっかちな循環器医は待ってくれません。

 

こんなときに参考になるのが、

大動脈解離診断リスクスコア

(ADD-RS : Aortic Dissection

Detection Risk Score)です。

(Circulation 2011; 123:2213-8)

 

 

3つのカテゴリーがありますが、

各カテゴリーの中で1つ以上

該当するものがあれば1点とし、

0点から、最高3点となります。

 

0点は低リスク、1点は中リスク、

2点以上は高リスクとします。

 

このスコアでは、症状も重要で、

裂けるような痛みと表現されて

います。

(ちなみにSTEMIでは胸痛と

言っても、「象に乗られたような、

胸全体が苦しい感じ」という

表現に近くなります。ですので、

胸痛と一言で片づけないで、

良く症状を聞き出しましょう)

 

さらに、このADD-RSとDダイマーを

あわせて、大動脈解離を除外

していくアルゴリズムも提唱

されています。

(Circulation.2018; 137:250-8.)

 

 

「解離の可能性は?」

「CTを撮るべきか?」

悩んだ時は参考にしてみてください。

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

水戸済生会総合病院の臨床研修は

『総合診断能力を有するスペシャリスト』

を目指します

 

当院へ病院見学に来ませんか?

 

当院の研修医が

どんなふうに仕事しているのか?

どんな生活を送っているのか?

あなたの目で確かめてみてください!

 

病院見学をご希望の方は、

こちらからご連絡ください。

https://recruit-mito-saisei.jp/entry

 

◆感想やコメントはFacebookページから

お願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

 

—–

ST上昇だけではありません

2020.01.23
カテゴリー: カンファレンス循環器

70歳代の男性が胸痛を主訴に

近医から急性冠症候群(ACS)の

疑いで、転院搬送となりました。

前医では糖尿病と高血圧、脂質

異常症で処方を受けています。

 

来院後に患者さんの話を聞くと

胸痛は呼吸や体動で悪化する

刺し込むような痛みです。

どうもACSらしくアリマセン。

 

バイタルは血圧146/86 mmHg 

心拍数92 bpm、体温 37.9℃ 

呼吸回数 22回/分、

SpO2 96%(室内気)でした。

身体所見は特記ありません。

 

前医では大動脈解離も疑って

CTを施行していますが、

解離の所見はなく、肺炎像や

胸水も認めません。でも、

少量の心嚢液がみられました。

 

さて、何を鑑別に挙げますか?

考えてみてください。

来院時の心電図を示します。 

ST変化は・・・、はっきり

しないですね。

 

ところが、その約4時間後には

心電図はこうなりました。

この4時間後の心電図では

Ⅱ、Ⅲ、aVFやV2~V6は

来院時のものと比べて、明らかに

STが上昇しています。 

 

発熱と体動や呼吸に伴う胸痛

そしてST上昇、心嚢液貯留から、

急性心膜炎と診断しました。

 

でも、ちょっと待ってください。

 

急性心膜炎の心電図変化は

ST上昇だけでしょうか?

 

ここまで読んでくれたあなたには

是非もう一つ、覚えてもらいたい

ことがあります。

 

急性心膜炎の心電図変化は 

ST上昇(下に凸)に加えて、

PR低下を来すこと覚えて

おきましょう。

 

同時に、PR低下をどうやって

判定するかも知っておきましょう。

(実際に答えられる人は極めて

少ないです)

 

PR低下は、基線から低下

しているかで判定するのですが、

心電図における基線は、

P波とP波を結んだ線になります。

 

 

ちなみにこの症例では、

回復期の心電図は下記のように

なりました。

 

もう一度繰り返しますが、

急性心膜炎の心電図変化は

・下に凸のST上昇

・PR低下

 

急性心膜炎が鑑別に挙がる時は、

ST上昇だけでなく、PR低下も

探し出してください。

(編集長)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

水戸済生会総合病院の臨床研修は

『総合診断能力を有するスペシャリスト』

を目指します

 

当院へ病院見学に来ませんか?

 

当院の研修医が

どんなふうに仕事しているのか?

どんな生活を送っているのか?

あなたの目で確かめてみてください!

 

病院見学をご希望の方は、今すぐに

こちらからご連絡ください。

https://recruit-mito-saisei.jp/entry

 

◆感想やコメントはFacebookページから

お願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

 

—–

「先生、酸素始めますか?」

2019.02.16
カテゴリー: カンファレンス循環器

あなたがER当直をしている時でした。

ようやくERの患者が途切れた夜中に

病棟からあなたのPHSにコールが

来ました。

 

「先生、肺炎と心不全で入院中の

87歳の○○さんですが、SpO2が

80台に下がっています。酸素始め

ますか?」

と言われました。

 

確か、この患者さんは先週入院して、

今はだいぶ改善していたはず。

そろそろ退院について

家族に話をしていた患者さんです。

 

調子がよかったはずなのに

さて、何が起こったのでしょう?

そして何を確認すればいいのか?

ちょっと考えてみて下さい。

編集長なら、まず看護さんにこう尋ねます。

「SpO2下がっているけど、本人の様子は

スヤスヤ寝ていますか?」

 

苦しそうなら、まず心不全の悪化を考えて

すぐに病棟に向かい、本人の呼吸状態や

バイタルを確認します。

 

必要なら夜中でも胸部レントゲンや

血ガスをチェックします。

 

でも、スヤスヤと寝ていたら

何を考えればいいでしょう?

 

ここで編集長が真っ先に考えたのは

チェーンストークス(Cheyne-Stokes)呼吸

です。

 

チェーンストークス呼吸とは

呼吸が段々と深くなり、また段々と浅くなり、

最後には無呼吸になる。そしてまた

浅い呼吸が始まり段々と深くなる、

という周期を繰り返す呼吸です。

 

1周期はだいたい1~2分くらいで、

繰り返すため「交代性無呼吸」とも

呼ばれています。睡眠時など

覚醒レベルが低下している時に

出現し、脳梗塞後や心不全、肺炎の時

などによく見られます。

 

冒頭の患者さんは、高齢で心不全の

方ですからチェーンストークス呼吸が

あってもおかしくありません。

無呼吸や呼吸が浅い時にSpO2を測れば、

当然低下しています。

 

対応の基本は原疾患の治療なので、

この場合、「スヤスヤ眠っている」

=「心不全の悪化は来していない」

と考えて、そのまま経過観察でOKです。

 

ところで、看護師さんに

「・・・・しなくてイイですか?」

と言われると、何かしないとマズい気に

なってしまいますよね。

 

なのでつい、あまり根拠もないのに

「じゃ、お願いします」と言ってしまい

がちです。

 

もちろん編集長も何度もやったことが

ありますが、看護師さん達に分かって

もらえるように説明して、必要のないことは

「必要がない」と言えるようにしましょう。

(編集長)

 

ERで蘇生後、これからICUに向かいます

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第19回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成31年3月2日(土) 3日(日) 

2日間で開催します。

開催概要はこちら

 

五感をフルに使って真剣に身体診察に取り組み、

身体診察後の詳細なフィードバックを受ける。

 

すると、あなたはもう一度ベッドサイドに

行ってみたくなるはずです。

 

あなたは身体診察のみで、どこまで診断に

迫れるのか?ぜひ挑戦してみて下さい!

 

水戸医学生セミナーは、大学の授業で

体験できない、内科と救急のエッセンスを

盛り込んだ「究極の体験型セミナー」です!

 

現在参加者募集中です。

定員まで若干名の空きがあります。

お急ぎお申し込み下さい!!

 

申込みの詳細はこちらから

https://ameblo.jp/mitosa-re/entry-12431130451.html

 

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–

心筋梗塞の診断基準

2018.11.03
カテゴリー: カンファレンス循環器

ERに搬送されて来た80歳代の女性。

主訴は胸痛。発症から約3時間で

来院しました。心電図は下壁誘導で

ST上昇あり。緊急PCIで右冠動脈の

閉塞を認めてステント留置で再灌流

成功と、よくあるSTEMIの症例です。

 

ところがPCI終了後にERで対応した

研修医からこんな質問がありました。

 

「来院時の採血でWBCもCPKも

LDHもトロポニンも全く正常でしたけど、

こんなことってあるんですか?」

 

答えはもちろん、「あり」です。

 

STEMIでも発症から早ければ

血液検査が正常ということは

当然あります。

 

でも現場でやっていると、

「WBCも何も上昇していない、

いいのかな?」とか

「循環器の先生を呼んじゃったけど

良かったのかな?」

などと、急に不安になった経験が

あなたにもあるはずです。

 

後から考えれば何てことないのですが、

臨床とはそういうものです。なので

心配しなくて大丈夫です。

 

でも、自分なりに症例を振り返り、

次に同じような状況に遭遇した時に

自信をもって対応できるように

経験を積み上げていくことが大事です。

 

では、この症例に関連して質問です。

急性心筋梗塞の診断基準は何でしょう?

意外とこの質問に自信をもって

答えられる研修医は少ないです。

なので、この機会に是非とも

覚えてください。

 

急性心筋梗塞の診断基準は2012年に

欧州心臓病学会と米国心臓病学会から

Universal definitionなるガイドラインが

出されています。これには、

 

トロポニン上昇に加えて、

  1. 心筋虚血による症状
  2. 心電図による新たなST-T変化、新たな左脚ブロックの出現
  3. 心電図にて異常Q波出現
  4. 画像診断にて新たな心筋のバイアビリティ喪失、新た壁運動異常
  5. 冠動脈血管造影や剖検での冠動脈内の血栓の同定 

上記5つのうち1つ以上を満たす

と定義されています。

 

このUniversal definitionが覚えにくい

もしくは覚えたくない、という場合は

以前に用いられていた

WHOの診断基準が簡単です。

 

それは

「虚血による胸部症状」

「(心筋梗塞に合致する)心電図変化」

「心筋逸脱酵素の上昇」

このうち2つ以上あれば急性心筋梗塞

と診断します。

 

疾患の定義や診断基準は変わるもの

ですが、自分の不得意な領域でも、

現場で経験した時に確認してみると

効果的ですよ。

(編集長)

慌ただしくPCIの準備中

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第3回

水戸医学生“小児科”セミナー 

小児救急はこわくない

~こども達の未来を救おう~

 

2018年12月15日(土)

当院で開催します!詳細はこちらから!!

http://www.mito-saisei.jp/resident/mitoigakuseiseminar201812.html

 

特典期間は終了しましたが、

定員まで、あと2名です!

お急ぎお申し込みください!

 

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

 

◆感想やコメントは

 Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–

新しい肺塞栓診断アルゴリズム 船越先生のレクチャーより

2018.06.14
カテゴリー: カンファレンス循環器

肺塞栓を上手に除外して、

無駄な造影CTを減らすために

年齢調整Dダイマーを使うことを

紹介しました。

 

今までの話をまとめると、

ERで肺塞栓を疑った時のアルゴリズムは

以下のようになります。

 

(ただし、WellsやPERCは術後など

入院中の患者さんには適応できません)

 

 

船越先生からのメッセージは

 

肺塞栓を疑ったら

・Wells criteria 低リスク+PERC陰性

  ⇒Dダイマー省略

・Age-Adjusted D-dimer 用いて

 ⇒画像診断を省略

・Dダイマーは取ったら責任を取る

 

肺塞栓はそんなに多く遭遇することは

ないかもしれません。

 

でも、油断していると怖い思いをする

疾患です。

 

あなたも油断せずに、このアルゴリズムを

実践してみて下さい

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第18回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成30年7月28日(金) 29日(土) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「究極の体験型セミナー」で

身に付けてください!

 

現在参加者受付中です。

すでに 残り3名 となりました!

詳細はこちらから

http://www.mito-saisei.jp/index.html

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–

年齢でDダイマーが変わる?  船越先生のレクチャーより

2018.06.12
カテゴリー: カンファレンス循環器

肺塞栓疑った時にDダイマーが正常範囲なら

肺塞栓の除外に使える有用な検査です。

 

でもDダイマーが上昇していたら

全例で造影CTが必要なのでしょうか?

もしかしたら無駄な造影CTをやってしまって

いるかもしれません。

 

かと言って、異常値が出たからには

そのままにしておくわけにはいきません。

大事なことは、Dダイマーは調べる前に、

よく考えておく必要がある項目

ということです。

 

前回の記事では

肺塞栓の発生確率が低い集団+PERC陰性

ならば肺塞栓は否定的なので、

Dダイマーはチェックしなくてよい

ことを紹介しました。

 

ただし、PERCを使う際の注意点は

病棟や術後の患者さんには使えないこと、

50歳以上ならやっぱりDダイマーをチェック

しなければいけないことです。

 

あなたも経験があるかもしれませんが、

j実際にDダイマーをチェックしてみると

高齢者では肺塞栓も深部静脈血栓症が

なくとも高値の人がいます。

 

つまり、50歳以上ならDダイマーが

引っかかり、結局のところ造影CTに

なってしまいそうです。

 

その問題点を解決してくれそうなのが

年齢調整Dダイマー(Age-Adjusted

D-Dimer)です。

 

Age-Adjusted D-dimer cutoff levels to rule out pulmonary embolism

JAMA 2014;  311: 1117-1124

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/1841967?resultClick=1

(Freeで読めます)

 

これは高感度Dダイマーを使用していますが

50歳以上なら

Dダイマーのカットオフ値=年齢×10

にするというもの

 

例えば75歳なら、Dダイマーが750未満は

画像検査に進まなくてOKということです。

 

まだガイドラインには取り上げられて

いませんが有用なものなので、いずれ

取り上げられるはず、と船越先生が

紹介してくれました。

(編集長)

 

朝カンファの一コマ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第18回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成30年7月28日(金) 29日(土) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「究極の体験型セミナー」で

身に付けてください!

 

現在参加者受付中です。

すでに 残り3名 となりました!

詳細はこちらから

http://www.mito-saisei.jp/index.html

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

          

—–

PERC criteria 船越先生のレクチャーより

2018.06.05
カテゴリー: カンファレンス循環器

前回は肺塞栓を疑う時のツールとして

Wells criteriaと診断アルゴリズムを

紹介しました。

 

Wells criteriaで5点以上のLikelyならば、

そのまま造影CTに進みます。

でも1~4点のUnlikelyなら、

D-ダイマーを確認します。

 

Dダイマーは正常範囲なら肺塞栓の

除外に使える有用な検査です。

 

たぶん違うけど、なんとなく念のためと

思ってチェックしていたら

Dダイマーが高値だった・・・・。

 

ERの採血セットに入っていたので

チェックしたら高値だった・・・。

 

ということを、あなたも経験したことが

あるはずです。

 

こんな時、はたして上昇していた時は

全例で造影CTが必要なのでしょうか?

もしかしたら無駄な造影CTをやって

しまっているかもしれません。

 

でも、異常値が出たからには

そのままにしておくわけにはいきません。

だってERの診療はROWS

(Rule out the worst scenario)の大原則

がありましたよね?

 

大事なことは、Dダイマーは調べる前に、

よく考えておく必要がある項目だという

ことです。

 

では、Dダイマーをチェックする必要のない

肺塞栓をほぼ間違いなく除外するには

どうしたら良いのでしょう?

 

ここで船越先生が教えてくれたのは

PERC criteriaです。

 

肺塞栓の発生確率が低い集団+PERC陰性

ならば、感度96~100% 特異度15~27%で

肺塞栓は否定的、つまりDダイマーは

チェックしなくてよいという根拠に

なります。

 

Dダイマーをチェックしなければ

無駄なCT検査を減らせる可能性が

高くなりますよね。

 

もちろん使い方に注意があります。

あくまでERレベルで用いるものなので、

病棟や術後の患者さんには使えません。

 

そしてもう一つ、このPERCには弱点が

あります。

 

そう、50歳以上ならやっぱり

Dダイマーをチェックしなければ

いけないことになります。

 

そして高値なら、結局は造影CTに

なってしまう・・・。

 

次回はこんな時にどうしたら良いかを

紹介します。

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第18回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成30年7月28日(金) 29日(土) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「究極の体験型セミナー」で

身に付けてください!

 

現在参加者受付中です。

すでに 残り4名 となりました!

詳細はこちらから

http://www.mito-saisei.jp/index.html

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–

Wells criteria    船越先生のレクチャーより

2018.05.29
カテゴリー: カンファレンス循環器

船越先生のレクチャーからです。

前回はERで見逃してはいけない

Five Killer Chest Painを紹介しました。

 

今回のレクチャーではその中から

肺塞栓を取り上げてもらいました。

 

ERの現場で、まず肺塞栓を疑うのは

どんな時でしょう?

 

例えば、呼吸困難感や胸痛を主訴に

受診した場合、失神や動悸という場合

もあり得ますね。

 

一番大事なのは疑うことです。

「もしかしたら肺塞栓かも?」

と鑑別に挙げておくことが最初。

 

でもそれだけだと、全例にDダイマー測定や

造影CTってことになってしまいます。

 

では、どうやって肺塞栓の可能性が高いか? 

DダイマーやCTを行うべきかどうか?

を判断するにはどうしたら良いでしょう。

 

そんな時に用いられるのが、

Wells criteriaです。

 

 

ただし、これはあくまでERや外来などで

用いるもので、術後や入院中の患者さん

には適応できないことに注意しましょう。

  

このWells criteriaのスコアには2つある

そうですが、簡単に0~4点をUnlikelyと

5点以上のLikelyに分ける方法を用いて

その後の流れを示したのが下のアルゴ

リズムです。

 

 

Likely(>5点)ならば、そのままCTなどの

画像検査に進みます。

 

Unlikely(1~4点)なら、D-ダイマーを確認

するという流れです。

 

でも、ここに出てくるDダイマーに

注意です。Dダイマーは正常範囲なら

肺塞栓の除外に有用な検査ですが、

肺塞栓以外でもいろいろな状況で

上昇します(偽陽性が多い)。

 

でも、異常値が出たからには

そのままにしておくわけにはいきません。

ERでは最悪のシナリオを考えておく

必要があるからです。

 

つまり、無駄な検査や時間を省くために、

Dダイマーはよく考えて調べる必要

があります。

 

船越先生はそのあたりも教えて

くれましたので次回に紹介します。

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第18回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成30年7月28日(金) 29日(土) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「究極の体験型セミナー」で

身に付けてください!

 

現在参加者受付中です。

すでに残り6名となりました!

詳細はこちらから

http://www.mito-saisei.jp/index.html

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

 

—–

Five Killer Chest Pain    船越先生のレクチャーより

2018.05.26
カテゴリー: カンファレンス循環器

5月14日に船越先生のレクチャーを開催

しました。

 

船越先生は東京ベイ・浦安市川医療

センターの救急・集中治療科の部長として

活躍中ですが、編集長とはIVRつながりで

不定期に当院に来てもらっています。

 

当院にお越しいただいた時には、短時間

ですが研修医向けにレクチャーをして

もらっています。

 

今回はERにおいて見逃してはならない

胸痛について話してもらいました。

 

まず一般外来と比べて、ERでの診療の

特殊な点はRule out the worst scenario

(ROWS)にあります。

 

つまり最悪のシナリオを除外する必要が

あることです。あなたがER当直をしている

時に無理に診断を付ける必要はなく、

見逃してはならない疾患をきちんと除外する

必要があります。

 

例えばERには胸痛を主訴に受診する患者

さんが多くいますが、あなたはどんな疾患を

除外する必要があるでしょうか?

 

考えてみて下さい・・・。

 

それはFive Killer Chest Pain

・緊張性気胸

・食道破裂

・大動脈解離

・急性心筋梗塞

・肺塞栓

 

緊張性気胸は緊急脱気すればその後は

大丈夫ですね。

 

食道破裂は、重症度は高いけど緊急性は

低めです。

 

残る3つのうち、今回のレクチャーでは

肺塞栓を取り上げましたので、イイところを

次回から紹介していきます。

(編集長)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5月は徳田安春先生です!

 

おなじみの徳田先生のカンファ

昨年度は4回もお越しいただきました。

今年度第1回目が下記日程で開催されます。

平成30年5月29日(火)11時~

*日程が変更となりました

 

◆そして6月は・・・・、

松永先生の感染症カンファ

平成30年6月28日(木)13:00

 

いずれも院外からの参加を歓迎します!

参加を希望される方はこちらにご連絡ください!

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–

アルドステロン症の見つけ方  その8

2018.01.16
カテゴリー: カンファレンス循環器

前回は副腎静脈サンプリング(AVS)の

評価方法について紹介しました。

コルチゾール値で適切にサンプリング

されているのかを評価したうえで、

片側性病変と診断されたら手術を

考慮します。

 

手術は、腹腔鏡下の片側副腎全摘術

になります。最近は腹腔鏡手術も

単孔式で行われているようです。

 

どこに紹介したらよいのかは、その地域

ごとに異なると思いますが。泌尿器科が

手術を行っていることが多いようです。

大学病院によっては内分泌外科が行う

こともあります。ちなみに当院では

泌尿器科で行っています。

 

なお、編集長はまだ見たことがありません

が、症例の多い病院ではAVSも副腎内の

分葉内静脈支脈ごとの超選択的にサンプ

リングを行う選択的副腎分葉内支脈採血

(Segment-selective adrenal tributary

sampling: S-ATS)を行って、片側副腎の

部分切除で済ませるということもできるそう

です。こうすることで約10%程度にみられる

両側性のアルドステロン産生腫瘍(APA)

においても外科手術が可能になるとともに、

対側に病変を生じた場合の副腎不全を防止

できる利点があるそうです。

 

術後はアルドステロン拮抗薬を中止して

大丈夫ですが、経験的に全例で降圧剤が

全く不要になるわけではありません。

血圧を見ながら降圧剤を減量していきます。

 

さて、アルドステロン症に関して紹介して

きましたが、これでおしまいです。

 

思っている以上にアルドステロン症の

患者さんがいることが分かって

きましたので、ぜひ見つけて、

小さくガッツポーズをしてください(笑)。 

           (編集長)

執刀中(副腎全摘ではありません(>_<))

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第17回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

2月24日(土)、25日(日)

で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「体験型セミナー」で身に付けて

ください!

 
残りあと2名です!
今すぐにお申し込みください!

詳細はこちら

http://www.mito-saisei.jp/resident/mitoigakuseiseminar17.html

 

 

病院見学や、ご質問・お問い合わせは

こちらからご連絡ください。

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

  

◆感想やコメントは

Facebookページからお願いします!

https://www.facebook.com/mitosaiseikai/

—–