臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
新しい肺塞栓診断アルゴリズム 船越先生のレクチャーより
肺塞栓を上手に除外して、
無駄な造影CTを減らすために
年齢調整Dダイマーを使うことを
紹介しました。
今までの話をまとめると、
ERで肺塞栓を疑った時のアルゴリズムは
以下のようになります。
(ただし、WellsやPERCは術後など
入院中の患者さんには適応できません)
船越先生からのメッセージは
肺塞栓を疑ったら
・Wells criteria 低リスク+PERC陰性
⇒Dダイマー省略
・Age-Adjusted D-dimer 用いて
⇒画像診断を省略
・Dダイマーは取ったら責任を取る
肺塞栓はそんなに多く遭遇することは
ないかもしれません。
でも、油断していると怖い思いをする
疾患です。
あなたも油断せずに、このアルゴリズムを
実践してみて下さい
(編集長)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆第18回水戸医学生セミナー
~内科と救急のエッセンスを体験しよう~
平成30年7月28日(金) 29日(土)
の2日間で開催します。
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もし多数傷病者が発生する多重事故や
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年齢でDダイマーが変わる? 船越先生のレクチャーより
肺塞栓疑った時にDダイマーが正常範囲なら
肺塞栓の除外に使える有用な検査です。
でもDダイマーが上昇していたら
全例で造影CTが必要なのでしょうか?
もしかしたら無駄な造影CTをやってしまって
いるかもしれません。
かと言って、異常値が出たからには
そのままにしておくわけにはいきません。
大事なことは、Dダイマーは調べる前に、
よく考えておく必要がある項目
ということです。
前回の記事では
肺塞栓の発生確率が低い集団+PERC陰性
ならば肺塞栓は否定的なので、
Dダイマーはチェックしなくてよい
ことを紹介しました。
ただし、PERCを使う際の注意点は
病棟や術後の患者さんには使えないこと、
50歳以上ならやっぱりDダイマーをチェック
しなければいけないことです。
あなたも経験があるかもしれませんが、
j実際にDダイマーをチェックしてみると
高齢者では肺塞栓も深部静脈血栓症が
なくとも高値の人がいます。
つまり、50歳以上ならDダイマーが
引っかかり、結局のところ造影CTに
なってしまいそうです。
その問題点を解決してくれそうなのが
年齢調整Dダイマー(Age-Adjusted
D-Dimer)です。
Age-Adjusted D-dimer cutoff levels to rule out pulmonary embolism
JAMA 2014; 311: 1117-1124
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/1841967?resultClick=1
(Freeで読めます)
これは高感度Dダイマーを使用していますが
50歳以上なら
Dダイマーのカットオフ値=年齢×10
にするというもの
例えば75歳なら、Dダイマーが750未満は
画像検査に進まなくてOKということです。
まだガイドラインには取り上げられて
いませんが有用なものなので、いずれ
取り上げられるはず、と船越先生が
紹介してくれました。
(編集長)
朝カンファの一コマ
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PERC criteria 船越先生のレクチャーより
前回は肺塞栓を疑う時のツールとして
Wells criteriaと診断アルゴリズムを
紹介しました。
Wells criteriaで5点以上のLikelyならば、
そのまま造影CTに進みます。
でも1~4点のUnlikelyなら、
D-ダイマーを確認します。
Dダイマーは正常範囲なら肺塞栓の
除外に使える有用な検査です。
たぶん違うけど、なんとなく念のためと
思ってチェックしていたら
Dダイマーが高値だった・・・・。
ERの採血セットに入っていたので
チェックしたら高値だった・・・。
ということを、あなたも経験したことが
あるはずです。
こんな時、はたして上昇していた時は
全例で造影CTが必要なのでしょうか?
もしかしたら無駄な造影CTをやって
しまっているかもしれません。
でも、異常値が出たからには
そのままにしておくわけにはいきません。
だってERの診療はROWS
(Rule out the worst scenario)の大原則
がありましたよね?
大事なことは、Dダイマーは調べる前に、
よく考えておく必要がある項目だという
ことです。
では、Dダイマーをチェックする必要のない
肺塞栓をほぼ間違いなく除外するには
どうしたら良いのでしょう?
ここで船越先生が教えてくれたのは
PERC criteriaです。
肺塞栓の発生確率が低い集団+PERC陰性
ならば、感度96~100% 特異度15~27%で
肺塞栓は否定的、つまりDダイマーは
チェックしなくてよいという根拠に
なります。
Dダイマーをチェックしなければ
無駄なCT検査を減らせる可能性が
高くなりますよね。
もちろん使い方に注意があります。
あくまでERレベルで用いるものなので、
病棟や術後の患者さんには使えません。
そしてもう一つ、このPERCには弱点が
あります。
そう、50歳以上ならやっぱり
Dダイマーをチェックしなければ
いけないことになります。
そして高値なら、結局は造影CTに
なってしまう・・・。
次回はこんな時にどうしたら良いかを
紹介します。
(編集長)
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Wells criteria 船越先生のレクチャーより
船越先生のレクチャーからです。
前回はERで見逃してはいけない
Five Killer Chest Painを紹介しました。
今回のレクチャーではその中から
肺塞栓を取り上げてもらいました。
ERの現場で、まず肺塞栓を疑うのは
どんな時でしょう?
例えば、呼吸困難感や胸痛を主訴に
受診した場合、失神や動悸という場合
もあり得ますね。
一番大事なのは疑うことです。
「もしかしたら肺塞栓かも?」
と鑑別に挙げておくことが最初。
でもそれだけだと、全例にDダイマー測定や
造影CTってことになってしまいます。
では、どうやって肺塞栓の可能性が高いか?
DダイマーやCTを行うべきかどうか?
を判断するにはどうしたら良いでしょう。
そんな時に用いられるのが、
Wells criteriaです。
ただし、これはあくまでERや外来などで
用いるもので、術後や入院中の患者さん
には適応できないことに注意しましょう。
このWells criteriaのスコアには2つある
そうですが、簡単に0~4点をUnlikelyと
5点以上のLikelyに分ける方法を用いて
その後の流れを示したのが下のアルゴ
リズムです。
Likely(>5点)ならば、そのままCTなどの
画像検査に進みます。
Unlikely(1~4点)なら、D-ダイマーを確認
するという流れです。
でも、ここに出てくるDダイマーに
注意です。Dダイマーは正常範囲なら
肺塞栓の除外に有用な検査ですが、
肺塞栓以外でもいろいろな状況で
上昇します(偽陽性が多い)。
でも、異常値が出たからには
そのままにしておくわけにはいきません。
ERでは最悪のシナリオを考えておく
必要があるからです。
つまり、無駄な検査や時間を省くために、
Dダイマーはよく考えて調べる必要
があります。
船越先生はそのあたりも教えて
くれましたので次回に紹介します。
(編集長)
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Five Killer Chest Pain 船越先生のレクチャーより
5月14日に船越先生のレクチャーを開催
しました。
船越先生は東京ベイ・浦安市川医療
センターの救急・集中治療科の部長として
活躍中ですが、編集長とはIVRつながりで
不定期に当院に来てもらっています。
当院にお越しいただいた時には、短時間
ですが研修医向けにレクチャーをして
もらっています。
今回はERにおいて見逃してはならない
胸痛について話してもらいました。
まず一般外来と比べて、ERでの診療の
特殊な点はRule out the worst scenario
(ROWS)にあります。
つまり最悪のシナリオを除外する必要が
あることです。あなたがER当直をしている
時に無理に診断を付ける必要はなく、
見逃してはならない疾患をきちんと除外する
必要があります。
例えばERには胸痛を主訴に受診する患者
さんが多くいますが、あなたはどんな疾患を
除外する必要があるでしょうか?
考えてみて下さい・・・。
それはFive Killer Chest Pain
・緊張性気胸
・食道破裂
・大動脈解離
・急性心筋梗塞
・肺塞栓
緊張性気胸は緊急脱気すればその後は
大丈夫ですね。
食道破裂は、重症度は高いけど緊急性は
低めです。
残る3つのうち、今回のレクチャーでは
肺塞栓を取り上げましたので、イイところを
次回から紹介していきます。
(編集長)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆5月は徳田安春先生です!
おなじみの徳田先生のカンファ
昨年度は4回もお越しいただきました。
今年度第1回目が下記日程で開催されます。
平成30年5月29日(火)11時~
*日程が変更となりました
◆そして6月は・・・・、
松永先生の感染症カンファ
平成30年6月28日(木)13:00
いずれも院外からの参加を歓迎します!
参加を希望される方はこちらにご連絡ください!
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アルドステロン症の見つけ方 その8
前回は副腎静脈サンプリング(AVS)の
評価方法について紹介しました。
コルチゾール値で適切にサンプリング
されているのかを評価したうえで、
片側性病変と診断されたら手術を
考慮します。
手術は、腹腔鏡下の片側副腎全摘術
になります。最近は腹腔鏡手術も
単孔式で行われているようです。
どこに紹介したらよいのかは、その地域
ごとに異なると思いますが。泌尿器科が
手術を行っていることが多いようです。
大学病院によっては内分泌外科が行う
こともあります。ちなみに当院では
泌尿器科で行っています。
なお、編集長はまだ見たことがありません
が、症例の多い病院ではAVSも副腎内の
分葉内静脈支脈ごとの超選択的にサンプ
リングを行う選択的副腎分葉内支脈採血
(Segment-selective adrenal tributary
sampling: S-ATS)を行って、片側副腎の
部分切除で済ませるということもできるそう
です。こうすることで約10%程度にみられる
両側性のアルドステロン産生腫瘍(APA)
においても外科手術が可能になるとともに、
対側に病変を生じた場合の副腎不全を防止
できる利点があるそうです。
術後はアルドステロン拮抗薬を中止して
大丈夫ですが、経験的に全例で降圧剤が
全く不要になるわけではありません。
血圧を見ながら降圧剤を減量していきます。
さて、アルドステロン症に関して紹介して
きましたが、これでおしまいです。
思っている以上にアルドステロン症の
患者さんがいることが分かって
きましたので、ぜひ見つけて、
小さくガッツポーズをしてください(笑)。
(編集長)
執刀中(副腎全摘ではありません(>_<))
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆第17回水戸医学生セミナー
~内科と救急のエッセンスを体験しよう~
2月24日(土)、25日(日)
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アルドステロン症の見つけ方 その7
前回は副腎静脈サンプリング(AVS)の
具体的なやり方について紹介しました。
AVSは右副腎静脈のサンプリングが
最大の難関ですが、うまくサンプリング
できたかどうかの判定はコルチゾールで
判定します(つまり、AVSでは
左右副腎静脈、IVCの3か所から
ACTH負荷前後でアルドステロン、
コルチゾールを測定します)。
具体的には副腎静脈とIVCのコルチゾール
濃度比(Selectivity Index:SI)または
コルチゾール濃度を用います。
日本内分泌学会のコンセンサス
ステートメントでは、
SIのカットオフ値を
ACTH負荷前のSIは2.0以上、
ACTH負荷後のSIは3.0または5.0以上
で適正なサンプリングと判断します。
コルチゾール濃度については
ACTH負荷前では40μg/dl以上、
ACTH負荷後は200μg/dl以上
で適正なサンプリングと判断します。
さて、コルチゾールでサンプリングが
適正に行われたことが確認されれば、
局在診断(片側性か両側性か)の判定に
移ります。
局在診断にはACTH負荷後の
Lateralized ratio(LR)と
Contralateral ratio(CR)を用います。
LRは左右副腎静脈で比較し、
(高値側のアルドステロン/コルチゾール)
÷(低値側のアルドステロン/コルチゾール)
で求めます。
CRは
(副腎静脈低値側のアルドステロン/コルチゾール)÷(IVCのアルドステロン/コルチゾール)
で求めます。
LR>4かつCR<1.0で片側性と診断し、
手術適応を決定するように推奨されて
います。
実際にはこれに当てはまらない
グレーゾーンがあるのですが、
総合的に判断するか、AVSをやり直して
みることになります。
明らかな結果であれば心配いりませんが、
判定に悩む時には内分泌専門医に
相談したほうが良いですね。
(編集長)
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アルドステロン症の見つけ方 その6
今回は副腎静脈サンプリング(AVS)について
紹介します。
AVSはアルドステロン症の局在診断に
必要な検査ですが、前提として手術を
考えている場合に施行します。
逆に、手術を考えていない場合や何らかの
理由で手術できない場合にはAVSをする
必要はありません。
AVSのことは知っていても、実際にAVSを
見たことがある人や、具体的にどうやる
のかを知っている人はほとんど見かけ
ませんので、細かいですが解説します。
当院ではほとんどの場合は外来検査
として行っています。
精度を上げるためにACTH負荷を行い、
検査時間は平均90分程度です。
このため、朝に来てもらい準備をして
10時ころから開始し、昼頃には検査終了。
1時間弱の安静で穿刺部出血がないかを
確認して昼過ぎに帰宅という流れです。
検査結果はその日にはでないので、
1週間後に外来で結果説明となります。
手技について具体的に説明すると
・右大腿静脈から5Frシースを挿入。
・左副腎静脈用カテーテルを進めて
IVCでサンプリング
・次に左腎静脈に還流する左下横隔膜静脈
にエンゲージ。
・さらにマイクロカテーテルを左副腎静脈に
進めてサンプリング
・同じカテーテルのまま、右副腎静脈を
探します。
・右副腎静脈を同定できても、カテーテル
が安定しない時は右副腎静脈用カテーテル
に交換してエンゲージさせます。
・マイクロカテーテルを右副腎静脈内に
進めてサンプリング。
・左右のサンプリングを終えたら、点滴から
コートロシン0.25μgを静注
・静注後20~30分の間に右副腎静脈、
左副腎静脈から負荷後のサンプリングを
行います。
・最後にIVCのサンプリングも行って終了。
右副腎静脈へのエンゲージが困難で、
せっかくエンゲージさせたカテーテルを
動かしたくない時は、もう1本右大腿静脈
からシースを挿入して、同時に2本の
カテーテルを入れてサンプリングを行う
こともあります。
AVSの最大の難所は右副腎静脈からの
サンプリングです。
右副腎静脈は非常に細い静脈で、
カテーテルがエンゲージしにくいし、
小児の採血のようにポタポタとゆっくりしか
血液が引けません。呼吸などでエンゲージ
が外れたりと、非常に気を使います。
そして上手くサンプリングできたか、
その場では分からないのです。
ちなみに当院では、今までに30例の
AVS施行例がありますが、平成18年から
平成23年末までの初期の20例だけを
見てみると、左副腎静脈のサンプリング
成功率は95%でしたが、右副腎静脈の
成功率はなんと40%しかありませんでした。
幸い、その後の連続10例については
右副腎静脈の成功率は90%まで改善
しています。
成功率が改善したのは、造影CTで右副腎静脈
を同定しておくことと、マイクロカテーテル
の使用ですが、造影CTもルーチンには
行っていません。きちんとサンプリング
できているかをコルチゾール迅速測定キット
で判定する手もあるのですが、
まだ利用したことはありません。
たぶん経験値が改善に一番寄与している
気がします。ちなみに失敗理由を探ると、
右副腎静脈をそもそも間違っていたことが
しばしばありました。
というのも、IVCにはあんまり腎静脈と
肝静脈以外はあんまり流入する枝が
ないようなイメージですが、じつは色々と
細かい枝が入っています。
写真のように、初期は右下肝静脈や肝小葉
から直接IVCに還流する短肝静脈を間違って
認識していました。もしこれから取り組む人
がいたら気を付けてください。
ハッキリ言ってAVSは見ていても、
全く面白くない検査です(笑)。
術者としても達成感がないのですが、
1週間後にきれいなデータが出ていると、
一人でガッツポーズをしています(笑)。
次回はAVSの結果判定についてです。
(編集長)
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アルドステロン症の見つけ方 その5
前回はカプトプリル負荷試験など機能検査で
原発性アルドステロン症(PA)と診断された
後の対応について紹介しました。
次に知りたいことは片側性か、両側性かで、
最初にやることはCTでした。ただし、
一般にPAでは腫瘍サイズが小さいので、
CTで腫瘍が分からなくとも否定は
できません。
もし、仮に片側性病変だったとしても、
患者さんが手術を望まない、
もしくは手術できない状況であれば、
ここで打ち止めです。
この後は内科的治療になります。
一般論として、片側病変であれば
病側の副腎摘出を勧めますが、
じつは副腎摘出と内科的治療とで、
長期的な臓器障害や生命予後を比較した
エビデンスはありません。
なので、手術を希望しなければ
内科的治療としてアルドステロン拮抗薬
(スピロノラクトンやエプレレノン)を
服用してもらいます。
通常はスピロノラクトンで100㎎~200㎎/日
ほど必要になりますが、カリウム値を
見ながら用量を調整していきます。
一方、CTで片側性が疑われたり、
両側性かどうかはっきりしない場合で
患者さんが手術をしてでも血圧の
コントロールを得たり、降圧剤を
減らしたいと思っているのであれば、
次にすることは局在診断、具体的には
副腎静脈サンプリング(Adrenal venous
sampling:AVS)を行います。
次回はAVSについて紹介します。
(編集長)
年末のICUの一コマ
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アルドステロン症の見つけ方 その4
前回までアルドステロン症のスクリーニング
と機能検査について紹介しました。
カプトプリル負荷試験などの機能検査で
アルドステロン症と診断されれば、
次の病型診断に移ります。
実はアルドステロン症の病型分類は
下の表のように10個もあります。
でも実際に覚える必要はなく、片側病変か
両側病変かを判断することがポイントに
なります。何故かというと、片側病変なら
手術を、両側病変なら内服治療となるから
です。
そのためにまずやるべき検査はCTです。
一般に片側性であるAPAの腫瘍サイズは
平均12㎜程度と小さいので、CTでは1㎜
スライスで撮影する必要があります。
またアルドステロン症はコレステロールが
豊富な腫瘍なので、単純CTでは腫瘍が
Low densityになっています。このため
単純CTでも十分にあたりはつけることが
出来ます。ただし、副腎静脈サンプリング
(AVS:Adrenal venous sampling)をする際
には造影CTでの副腎静脈の同定が役に
立ちます。
注意点は、片側に径が10㎜程度で
Low densityの腫瘍を認めれば、かなり
疑わしいのですが、径が6㎜以下の微小腺腫
がAPAの約半数を占めていることや、腫瘍
病変の無いUAHやUMNがあるので、
CTで副腎に異常がなくともAVSで局在診断
が必要となります。
(編集長)
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