臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

アルドステロン症の見つけ方  その5

2018.01.04
カテゴリー: カンファレンス循環器

 前回はカプトプリル負荷試験など機能検査で

原発性アルドステロン症(PA)と診断された

後の対応について紹介しました。

 

次に知りたいことは片側性か、両側性かで、

最初にやることはCTでした。ただし、

一般にPAでは腫瘍サイズが小さいので、

CTで腫瘍が分からなくとも否定は

できません。

 

もし、仮に片側性病変だったとしても、

患者さんが手術を望まない、

もしくは手術できない状況であれば、

ここで打ち止めです。

この後は内科的治療になります。

 

一般論として、片側病変であれば

病側の副腎摘出を勧めますが、

じつは副腎摘出と内科的治療とで、

長期的な臓器障害や生命予後を比較した

エビデンスはありません。

 

なので、手術を希望しなければ

内科的治療としてアルドステロン拮抗薬

(スピロノラクトンやエプレレノン)を

服用してもらいます。

 

通常はスピロノラクトンで100㎎~200㎎/日

ほど必要になりますが、カリウム値を

見ながら用量を調整していきます。

 

一方、CTで片側性が疑われたり、

両側性かどうかはっきりしない場合で

患者さんが手術をしてでも血圧の

コントロールを得たり、降圧剤を

減らしたいと思っているのであれば、

次にすることは局在診断、具体的には

副腎静脈サンプリング(Adrenal venous

sampling:AVS)を行います。

 

次回はAVSについて紹介します。

             (編集長)

年末のICUの一コマ

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アルドステロン症の見つけ方  その4

2017.12.28
カテゴリー: カンファレンス循環器

 前回までアルドステロン症のスクリーニング

と機能検査について紹介しました。

カプトプリル負荷試験などの機能検査で

アルドステロン症と診断されれば、

次の病型診断に移ります。

 

実はアルドステロン症の病型分類は

下の表のように10個もあります。

でも実際に覚える必要はなく、片側病変か

両側病変かを判断することがポイントに

なります。何故かというと、片側病変なら

手術を、両側病変なら内服治療となるから

です。

 

そのためにまずやるべき検査はCTです。

一般に片側性であるAPAの腫瘍サイズは

平均12㎜程度と小さいので、CTでは1㎜

スライスで撮影する必要があります。

 

またアルドステロン症はコレステロールが

豊富な腫瘍なので、単純CTでは腫瘍が

Low densityになっています。このため

単純CTでも十分にあたりはつけることが

出来ます。ただし、副腎静脈サンプリング

(AVS:Adrenal venous sampling)をする際

には造影CTでの副腎静脈の同定が役に

立ちます。

 

注意点は、片側に径が10㎜程度で

Low densityの腫瘍を認めれば、かなり

疑わしいのですが、径が6㎜以下の微小腺腫

がAPAの約半数を占めていることや、腫瘍

病変の無いUAHやUMNがあるので、

CTで副腎に異常がなくともAVSで局在診断

が必要となります。

 

             (編集長)

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