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水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
田口先生の”皮膚科レジデントレクチャー”が開催されました
入院中でも、外来でも、ERでも皮膚症状の訴えに多く遭遇します。判断がつかない症例や、どの軟膏を処方したらよいのか分からないことが多いのが正直なところです。
実は水戸済生会では、以前に常勤の皮膚科医がいたのですが、現在は非常勤のみになっています。その非常勤はお隣の水戸協同病院の皮膚科の先生方に来ていただいています。
このようなご縁もあって、当院のJ2が水戸協同病院の皮膚科をローテートさせてもらうことが昨年度から増えてきました。そんな、いつも快く受け入れてくれている水戸協同病院皮膚科部長、筑波大学臨床教授の田口先生が、わざわざ当院でレジデントのためにレクチャーを開催してくれました。
テーマは「夏休み、必ず遭遇する救急皮膚疾患 ~レジデントでもできる初期対応~」で、主に帯状疱疹の対処法について教えていただきました。
帯状疱疹と言っても、新しい薬剤のことや内服薬と点滴の使い分け、入院を考慮すべき状況など、編集長もかなり参考になることばかりで、飽きさせないレクチャーでした。
実は9月にもお越しいただく予定ですので、今から楽しみです♪
(編集長)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!
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検査結果はその日のうちに
今回は以前にも紹介した記事です。編集長が研修医のころの話ですが、個人的には忘れられないエピソードの一つで、今も肝に銘じています。
でも、「肝に銘じている」と書いているものの、「人間は忘れる生き物」です。実は先日も検査結果を1日遅れで確認して、内心慌てたことがありました。
Sensitiveな内容ですが、すでに20年以上経っており時効ということにして、ぜひ知ってほしいので紹介します。
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研修医が担当患者さんの心エコーをオーダーしました。心エコーでは僧帽弁に明らかな疣腫を認め、感染性心内膜炎(IE)と診断。検査技師さんは、レポートを書くと同時にオーダーした研修医に連絡を入れました。
でも、研修医はレポートを当日のうちに確認しませんでした。その結果、何が起こったと思いますか?
その日の夜中に、疣腫によるひどい脳塞栓を起こし、結果的に患者さんは亡くなってしまいました。
その時、編集長は別の病院に異動していたのですが、あとから裁判になったと聞きました。もし、その日のうちに抗菌薬治療を開始していたら、塞栓症のリスクを少し減らせることができたかもしれません。心臓外科と相談して、緊急手術を考慮できたかもしれません。たとえ、結果が同じであったとしても、結果が判明した時点ですぐに本人や家族に説明していたら、裁判までにはならなかったかもしれません。
教訓としておきたいことは
・検査結果は、必ずその日のうちに確認する
そして、
・すぐにアクションを起こさなければいけない状況を見逃さない
あなたも、当日のうちに検査結果を確認できているでしょうか?
(編集長)
術中の一コマ
指導医に見つめられ(睨まれ)ながら・・
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患者さんとの会話がはずむネタ
80歳代後半の患者さんが入院してきました。ADLは自立していたものの、当然ながら、軽度の認知症もあります。病歴を聞こうと思っても、なかなか話を分かってくれないし、自分からは話をしてくれません。
こんな時、あることを尋ねたら、その後は患者さんの方からいろいろ話をしてくれるようになりました。何を尋ねたと思いますか?考えてみてください。
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答えは、「以前の職業」です。この患者さんは、若いころから魚屋さんをやっていたそうです。その話を聞き出したことをきっかけに、患者さんはいろいろ話してくれるようになりました(病歴とは関係ない話もだいぶありましたが・・・笑)。
患者さんが、あまり話してくれないことはよくありますが、こちらとしては結構ストレスですよね。こんな時は、FORMを意識して質問してみるといいかもしれません。
FORMとは
Family:家族のこと
Occupation:仕事のこと
Recreation:趣味のこと
Message:自分の信念や人生観など
これらのトピックについては、自分から話しやすい話題だということが分かっています。患者さんから上手く話を聞き出しにくい時は、このFORMを使って、あなたから話しやすいネタを振ってみてください。
(編集長)
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済生会の指導医講習会
臨床研修病院の情報を検索すると、「指導医数」といったことが書いてあると思いますが、あなたは「指導医」がどんなものか知っていますか?
初期研修における指導医とは、厚労省の認める指導医養成プログラムでしっかりと学び、修了した医師のことを指します。
ここで“しっかり”というのは、厚労省により内容や時間などが厳密に定められた指導医講習会に参加するという意味です。指導医講習会を開催するのはなかなか大変なのですが、済生会グループでは初期臨床研修制度が始まった頃から指導医講習会を開催し、今回で49回目を迎えました。
そして、今回の指導医講習会を当院が主幹したので、ちょっとだけ紹介しようと思います。
今回の指導医講習会では、全国の済生会グループの病院からタスクフォースとして先生が集まり、2日間にわたって卒後7年目以上の医師20名が参加しました。研修目標や評価、フィードバックなど、臨床研修の全体像から、日常臨床の中でどう教えていくのかといった、すぐに役立つ内容までを扱いました。
病院からの命令で参加させられていた参加者もいましたが、始まって時間も経たないうちに役立つことが分かり、非常に積極的に参加している人がとても多く印象的でした。
そして、このブログでおなじみの空飛ぶ消化器内科こと当院のNao先生は、前回からタスクフォースとして参加してますが、今回も2つのセッションを担当するなど大活躍でした。
そして、講習会をサポートしてくれた当院の臨床研修センターのスタッフや院内のスタッフにも役立つ内容でしたし、院長も2日間を通して参加しており、病院全体がよい方向に変われるきっかけになりました。さらに当院の初期研修がパワーアップしますので、ご期待ください!
(編集長)
タスクフォースを務めたNao先生
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「できない」を「できる」に変える方法
例えば、あなたがCVやPICCを入れるとき、またはERで挿管するとき、指導医やすでに経験済の同期から教えてもらったり、YouTube動画を確認したり、時間があるならシュミレーターでやってみてから臨むかと思います。
実際やってみると、イメージ通りには上手くいかない。。。もちろん初めから上手くできる人はいませんが、何度か失敗すると「自分には向いていない」「できない」と思ってしまい、ついついやらなくなりませんか?せっかく指導医から「やってみる?」と言われても、些細な理由をつけてチャンスを同期に譲っていたり・・・。
我々の脳は一度「できない」と思うと、「できない」記憶の連鎖がループのように回り始め、なかなかそこから抜け出せなるクセがあるそうです。それをそのままにしておくと、ホントに「できない自分」が作られてしまいます。今回はそんな「できない」から「できる」に変える方法を紹介します。
1.「できなかった」記憶を「できた」記憶に変える
失敗の記憶は、少し見方をズラしてあげると「できた」記憶に変えることができます。たとえば、過去の失敗から「できた」を探すことで記憶をポジティブなものに変えることができます。
例えば、エコーガイドでPICCの挿入を例にすると、「PICCを挿入できなかった」という失敗があったとして、その記憶をあらためて見直して「できた」ところを振り返ってみましょう。
例えば
・患者さんの体位はよかった
・エコーで目的の血管はきれいに描出できていた
・患者さんに上手く声掛けできていた
など、いろいろ出てくると思います。我々は何か失敗して、不快な感情、恥ずかしかったという感情がわくと、「全然ダメだった…」と一般化してしまうクセがあるのですが、100%ダメってことはまずありません。些細なことでOKなので、「できた」と思えることを1つずつ思い出してみると、「できなかった」が「できた」という記憶に変わってきます。
2.「何ができていないか」を具体化してみる
これとは逆に「何ができていないか」をできるだけ具体化していく作業も重要です。前述のとおり「全然できなかった」と一般化して認識してしまいがちですが、これではどう改善したらいいかわからないから「できなかった」という自分が強化されるだけです。なので、「何ができていなかったか」を具体的にすることが重要です。
先ほどのPICC挿入での失敗を分析してみると
・左手で持っていたエコーが動いてしまい、針先を見失った。
・消毒前にエコーで確認した時の体位と消毒して覆布をかけた時の体位が少し変わってしまい、見えにくくなった。
・穿刺は上手くいったけど、左手で持っていた外套を動かしてしまった。
ということが出てくるかもしれません。何ができたのか?何ができなかったのか?を具体的に分けることで次の改善案やアクションが生まれて、「できた」「乗り越えた」という記憶に変えることができます。
ただし、できなかった記憶と向き合うことは辛いので、みんなやりたがりません。でも、みんなやらないからこそ、これをやることで大きな差がつきます。プロフェッショナルは、「できなかった」体験と向き合うプロでもあります。ぜひ失敗と向き合って、「できる」を少しずつ増やしてみてください。
(編集長)
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言葉の重み
だいぶ以前のことですが、開業医の先生から紹介されて編集長が担当した患者さんの話です。その患者さんは治療の甲斐なく亡くなられてしまったのですが、少したってから患者さんの奥様がわざわざ編集長の外来にやってきました。
奥様との話の中で、「(紹介してくれた)先生もお葬式に来てくれて、主人の顔を眺めながら『とってもきれいにしてもらいましたね』、『あの病院にお願いすると、亡くなった時もとても良く対応してくれるんです』と言ってもらいました。どうか看護師さん達にもお礼を言っていただけますか」と言われました。
編集長は患者さんのお葬式に参列したことはなかったので、その先生が患者さんのお葬式に参列したことも驚いたのですが、ご家族にこのように声をかけていたのには、もっと驚きました。そして、この先生の一言でご家族がすごく安心されたので、わざわざ病院までお礼を言いに来てくれたのではないかと思いました。
もちろん亡くなった患者さんの対応してくれた看護師さんも丁寧にやってくれたと思いますが、この先生の言葉は家族が亡くなったという悲しみの中に、ホッとした気持ちにさせる力があったのだと思いました。当時の編集長にとって、我々ドクターが発する一言が、こんなに家族のこころに深く残るのだなと、すごく印象に残ったエピソードでした。
病院で亡くなりそうな時や死亡確認をする状況にはいろいろあるので一概には言えませんが、ドクターのちょっとした一言で、家族もホッとした表情を見せてくれます。逆に、かえって不安をあおってしまうこともありえるので、十分心して対応しないといけません。
当院でも、担当の患者さんが亡くなった時には、研修医に死亡確認をしてもらいます。もちろん指導医がそばについているのですが、実際その場になると、うまく言葉が出てこないものです。
こんな時のために、指導医たちのセリフだけでなく、立ち居振る舞いをよく観察しておくと良いと思います。そして、自分がその立場になったときに、どんなセリフ言うのか、どんな立ち居振る舞いに気を付けるべきかをシュミレーションしておくと良いと思います。最初から完璧にできる訳ではありませんが、丁寧に対応すればご家族にも気持ちが伝わるものだと思います。
(編集長)
ICUの一コマ
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救命救急センターだより「熱中症の初期治療」
お久しぶりです。空を夢見る消化器内科医Naoです。
非常に暑い日と雨降りの日が続いておりますが皆様はいかがお過ごしでしょうか。またしても間が空いてしまいまして申し訳ありませんでした。
意外と救命センターだよりを読んでくださっている方がおられるようで、「最近滞ってるけど忙しいのか?」とお声がけいただけてうれしい限りです。
さて、今年もこの季節がやってまいりました!みんな大好き、熱中症です!
以前も熱中症のブログを書きましたが、熱中症は初期治療がとても大切な疾患です。そして適切な初期治療により予後を大幅に改善させることが見込める、逆に適切な初期治療が遅れると、重篤化してしまい生命に危機を及ぼすことのある疾患です。
この記事を読んでいただいている皆様は、これをきっかけに改めて熱中症の初療を思い出していただき、レジャー中にこのような方に遭遇したら適切な治療をしてあげてください。
熱中症の重症度を見分ける簡単な方法は
軽症 水分の自力摂取が可能
中等症 ぐったりし水分摂取ができない、嘔気などのために水分摂取ができない。
重症 呼びかけに応じない。
中等症は適切な対応で現場対応可能な可能性もありますが、基本的には中等症~重症はためらわずに医療機関へ収容しましょう。特に重症は救急車を呼びましょう。
軽症の対応は、
①日陰やできれば冷房のかかった部屋に移動します。
②厚手の衣服を着ている場合、汗の気化を阻害してしまいますので、なるべく薄い格好にします。仰いで汗の気化を促進させるのも効果的です。
③冷たい電解質を含む飲料水(経口補水液やスポーツドリンク)を摂取させます。細かい説明は省きますが水やお茶は最適解ではありません。熱中症の場合は塩分の喪失を起こしておりますので、電解質を含む飲料水が望ましいです。
中等症以上の場合であっても、救急車を待つ間や医療機関へ運ぶ間に上記対応を行いましょう。冷却したペットボトルがあれば首や腋下、股の間にあてて冷却するのも効果的です。
なお、経口補水液として有名なOS-1ですが、カリウムを比較的多く含んでおりますので透析患者さんには要注意です。また塩分濃度も高いので、予防的に常用するのは望ましくありません。経口摂取不良がある高齢者や運動などで水分の喪失が多いときに補助的に使用しましょう。
(Nao)
慌ただしいER
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低血糖の鑑別
今回はJ1の小D先生がまとめてくれた記事をシェアします。
入院中の患者さんで、糖尿病の既往もなく、血糖降下薬も服用していないのに低血糖を来した場面に遭遇しました。実は低血糖の原因は非常に多く、キノロン系抗菌薬(ガチフロキサシン)、抗不整脈薬(シベンゾリン、ジソピラミド)、アルコールなどの薬剤の確認は必須です。他に肝硬変や末期腎不全、心不全も原因となります。さらに入院患者では敗血症や副腎不全も忘れてはならない鑑別疾患です。
そんな経験から、今回は鑑別の進め方についてまとめてあります。ぜひご覧ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
糖尿病の治療中は低血糖に注意するという話はよく聞きますが、他に低血糖をきたす原因としてどんなものがあるのか調べてみました。
一般的に血糖値70mg/dl未満が低血糖とされており、動悸や発汗、振戦といった交感神経症状がみられます。さらに進むとけいれんや頭痛、意識障害といった中枢神経症状が出現します。
低血糖の原因検索として、①→④の順番に考えていきます。
①糖尿病治療薬(インスリン、経口血糖降下薬)の使用
②食後低血糖の有無
③アルコール摂取、他の薬剤の使用
④低血糖時の血中インスリン、Cペプチド(CPR)を測定
①糖尿病治療薬(インスリン、経口血糖効果薬)の使用
使用がある場合は治療に伴う低血糖と考え、使用していない場合は②に移ります。
②食後低血糖の有無
食後低血糖がある場合は反応性低血糖を考え、胃切除の既往があれば後期ダンピング症候群を考えます。後期ダンピング症候群は腸管で糖が急速に吸収されてインスリン分泌が亢進して血糖値が下がりすぎてしまうもので、一般的に食後2~3時間後に起こります。他に特発性や境界型・軽症2型糖尿病でも反応性低血糖がみられることがあります。
食後低血糖がない場合は③に移ります。
③アルコール摂取、他の薬剤の使用
アルコールを多量に摂取すると肝臓での糖産生が低下することにより低血糖をきたすことがあります。特に糖尿病治療を行っている方は低血糖になるリスクが高いため注意が必要です。
また、副作用として低血糖をきたす薬剤にβ遮断薬やジソピラミド(Naチャネル抑制薬)などがあるそうです。
③に該当しない場合は④に移ります。
④低血糖時の血中インスリン、Cペプチド(CPR)を測定
(ちなみにCPRはプロインスリン(インスリン前駆物質)が分解されるときに発生する物質のことで、内因性インスリン分泌能を推定します。)
・血中インスリン↑、血中CPR↑
→血中インスリン抗体を検査し、上昇していればインスリン自己免疫症候群となります。上昇していなければインスリノーマを考え造影CTを考慮します。
・血中インスリン↑、血中CPR↓
→隠れてインスリンを注射していることを考えます。
・血中インスリン↓、血中CPR↓
→副腎皮質機能検査(ACTH、コルチゾール)を行います。副腎皮質機能が低下している場合は下垂体前葉機能低下(下垂体腺腫、Sheehan症候群、ACTH単独欠損症など)や副腎不全を考えます。
副腎皮質機能が低下していない場合は肝硬変や敗血症、糖原病、膵外腫瘍を考えます。
(小D)
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心電図 渡されて、なに見るの? その2
さて、今回は心電図を見ていく順番を確認してみます。
1. 調律はどうか
2. 心拍数は
3. P波は正常か
4. P Q時間は正常か
5. Q R Sは正常か
6. S T-TとT波は正常か
7. Q T時間は正常か
8. U波は正常か
1.調律はどうか
P波が捉えやすい第II誘導またはV1において正しくP波とQRSが対応しており、P波が一貫して同じ形である事を確認する。整、不整も確認。
2.心拍数は
正常の心拍数は60/分以上、100/分未満である。心電図上で濃い線(5mmごとに濃い線)に重なっているQRSを探し、次のQRSまで5mmごとに300、150、100、75、60、50と数えれば心拍数を大まかに数える事ができる。
3.P波は正常か
P波はI、II、aVfで陽性。aVrで陰性が正常。V2-V6で陽性。これ以外の誘導ではP波は陽性、陰性、二相性などどれでも良い。実際にはI、IIで陽性で事足りる。また、第II誘導で幅3mm未満、高さ2.5mm未満をチェック
4.PQ時間は正常か
PQ時間の正常は3mm(0.12秒)以上5mm(0.22秒)未満である
5.QRSは正常か
【1】肢誘導において
- IとII誘導でQRSの振幅和(上向きの振れを陽性、下向きの振れを陰性とし【R波の高さ】-【q波の高さ】-【s波の高さ】として計算)がともに0以上である事
- 異常Q波の確認。異常Q波はaVr以外の誘導の幅が1mm(04秒)以上、深さがR波の高さの1/4以上であるQ波の事。IIIとaVlには単独で異常Q波があっても良い。
- QRS時間5mm(0.10秒)未満である事
【2】胸部誘導において
- R波がV1からV6と左側にいくにつれて大きくなるR波の増高がある事
- V1以外に異常Q波がない
6.ST-TとT波は正常か
連続するP波の立ち上がり部分を結んだ線を等電位線という。STはこの等電位線に一致し、上昇も下降もしてないのが原則。しかし、V1-V3などの右側胸部誘導では正常でも1-3mm程度ST上昇していることが多い。
T波はaVrで陰性であり、I、II、V2-V6で陽性で、高さは12mm未満かつR波の1/10であるのが正常。若年成人だと正常でもV2、V3で陰性T波が見られうる
7.QT時間は正常か
T波の終点がRR間隔の1/2を超えていれば明らかにQT延長
8.U波は正常か
陽性でありT波の高さの5-50%の範囲が正常。T波より高いU波や陰性U波は異常
参考書やGoogleに書かれてある事を書かせて頂きました。各々の波がどういう意味をなのか、異常ならどういう病態が考えれるのか。なぜその場所で陽性(or陰性)が正常(or異常)なのか、例外はどういう時か。などを考えたら、心電図理解への道のりは長いです。
とりあえず基本的な正常の形を頭に叩き込もうと思います。「理由は分かりませんが〇〇という理由でこの心電図は異常です。」と言える事を最初の目標に頑張ります。
学生の頃心電図の実習ありましたが、何をしていたのでしょうか。あの頃は出来ていたのになあと思う事が最近増えてきています。そういう年頃なのでしょうか。
(パイナップル頭)
プレゼンを終えてホッとしているところ
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心電図 渡されて、なに見るの? その1
初めまして。本年度から研修医になりました、パイナップル頭です。
はじめにペンネームの由来を説明させてください。私の育った家庭はあまり裕福な方ではなく友達のおもちゃや自転車を羨ましがってばかりいました。そんな私は2-3000円もするような美容室には行けず、何をどう注文しても同じ髪型にする近所の目の細いおじさんが経営する怪しい床屋で、破格の800円で散髪をしていました。
そのおじさんが毎回、頭の中央のみを軽度ふさふさにする髪型にしか辿りつかないため、当時小学校の私はパイナップル頭やパイナップルマン、パイナップル坊やなどのあだ名が付与されていました。個人的にパイナップル頭が気に入っていたためこの度ペンネームとして使わせて頂くに至った次第です。
研修医生活も4ヶ月目に突入しました。薬の処方の仕方など基本的なカルテ操作に少しずつ慣れていく中で、今でも逃げ続けている事があります。それが心電図を判読することです。
入院患者や救急で運ばれてきた患者に対して行う事がある心電図ですが、オーダーだけ飛ばして、出てきた紙を先輩や上級医に見せる事で苦手なものから目を背け続けていました。しかし、自分が先輩や上級医になったときに、オーダーだけ飛ばして判読せず、紙を誰かに渡しに行く姿を想像したら悲しい気持ちになりました。
頼れる先輩・上級医になれるように苦手なもの覚えられないもの、新しい発見や疑問などをこれから発信していこうと思います。よろしくお願いいたします。
さて、本題に入ります。皆さんは心電図を渡されて何を見ますか。レントゲンやC Tでも同様ですが、いつも決まった順番通りに見ていく事が見逃し所見を少なくする1つのコツと教わったので私も参考書を開いて順番を確認してみます。
1. 調律はどうか
2. 心拍数は
3. P波は正常か
4. P Q時間は正常か
5. Q R Sは正常か
6. S T-TとT波は正常か
7. Q T時間は正常か
8. U波は正常か
次回から一つ一つを見ていこうと思います。
(パイナップル頭)
朝の回診中
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