臨床研修ブログ

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救命救急センターだより「鼠径ヘルニア嵌頓」

2022.10.22
カテゴリー: 救命救急センター

先日、鼠経ヘルニア嵌頓の患者さんが転院搬送されてきました。そこで今回は鼠経ヘルニアに対して用手還納を試みる際の注意点についてお話ししたいと思います。

 

鼠経ヘルニアについてはガイドラインが存在しますが、ガイドラインは基本的に外科的治療についての話が主体となっており、用手還納については基本的に言及がありません。ですので、私個人的な注意点という形になりますので、参考程度にとどめていただければと思います。

 

まず、ヘルニア嵌頓に対して用手還納を行ううえでどのような点に注意が必要でしょうか?

 

1.還納手技の際に腸管損傷をしてしまう(遅発的な間膜損傷の報告もあります)。

2.腸管壊死のため、結局嵌頓解除後に穿孔してしまう。

3.壊死腸管の急速な血流改善により、サイトカイン放出によるショック

 

などがあります。ですので、単純でよいので極力CT検査は行うことが望ましいです。

 

腹水や腸管浮腫などの(free airは論外ですが)、腸管壊死を疑う所見がないかをまず確認します。私は、加えて超音波を行い、腸管の血流を評価したり、ヘルニア門の位置を確認をしたりします。ヘルニア門と脱出臓器をしっかり確認することで還納がより確実になります。還納前に、腸管浮腫やヘルニア嚢内に腹水があるような症例では、用手還納後もできれば入院経過観察が望ましいと考えます。ルニア嵌頓は今後高齢化社会の中で増えてくるかもしれませんね。

(Nao)

水戸済生会のICU

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外来診療をスムーズにする10のコツ その2

2022.10.20
カテゴリー: 初期研修

「外来診療をスムーズにする10のコツ」の続きです。

 

4)雰囲気や態度で共感的理解を示す

前回の繰り返しになりますが、気になっていることを全部話せて、しっかりと話を聞いてもらった(=共感的理解)という安心感はとても重要です。

 

でも、しっかり聞いてもらっているというのは、言葉よりも、むしろ言葉以外の態度が大きく影響することが分かっています。患者さんが話している時は、電子カルテの方を見ながらではなく、患者さんの方を向いて、少し前かがみになって、視線を時々合わせながら話を聞く、という姿勢が印象を大きく変えます。

 

5)受診動機を明らかにする

なぜ今日に外来受診をしたのか?  なぜ時間外のこの時間に受診したのか?  なぜ夜中にわざわざ受診したのか?こういった受診動機を把握しましょう。

 

それだけ症状が辛くて我慢できなかったという重症度の把握にも役に立ちます。また不安が大きくて受診したという心理的な状況も把握できます。実は、主訴と全く関係ないことで助けを求めている、ということもあり得ます(例えばDVなど)。不安が受診動機なのであれば、検査は最小限に、場合によっては検査なしで、時間をかけて話を聞く必要があります。

 

6)解釈モデルを把握する

解釈モデルとは、患者さんが病気のことや、検査、治療に関して、どのように理解しているかということです。例えば、心筋梗塞のために先月まで入院していた患者さんが、頭痛を主訴にERを受診したとしましょう。我々からすると、心筋梗塞と頭痛は恐らく関係ないものと考えます。実際に筋緊張性頭痛の症状でした。

 

しかし、患者さんは心筋梗塞の影響で頭が痛くなったのではないか?と考えていたとしたら、「心配ありません」とか「痛み止めを出しておきますね」と言っても、患者さんは納得しません。一言、「この頭痛は、心筋梗塞とは関係ないですよ」と言えば、痛み止めも必要なくなります。

 

解釈モデルを理解しないと、いつまでも患者さんとの会話がかみ合わないし、お互いに「なぜ分かってくれないんだ!」と不満が募るだけです。

 

似たようなことですが、例えば知人や家族が癌になったので、自分も不安になって受診したというのはよくあることです。こういった受診動機を把握しないまま検査だけ行っても、かえって不安が大きくなることがあります。患者さんの不安を解消しつつ、なるべく少ない検査を計画しましょう。

(編集長)

ERの診察室

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外来診療をスムーズにする10のコツ その1

2022.10.18
カテゴリー: 初期研修

前回は水戸済生会での外来研修について紹介しました。一般内科外来を1年間を通して患者さんをフォローすることで、ERとは違った臨床能力が身につくと考えています。

 

とは言っても、外来では限られた時間の中で患者さんの状態を把握して、必要な検査を計画し、診断さらに治療計画を立てるという、非常に高度なスキルが求められる場でもあります。

 

当院でも外来研修を始めたばかりの頃は上手くいかずに大事なことを聞き出せなかったり、患者さんの話を止められずに時間ばかりかかったり・・・、と言う感じですが、コツをおさえると能率よく、そして患者さんと良好な関係が作れます。

 

今回から、そんなあなたに役立つ「外来診療をスムーズにする10のコツ」を紹介します。もし、あなたがこの通りにやれば、患者さんに良い印象を持たれて、外来もスムーズに進むはずです。たとえ一部分だけでも取り入れてみると、だんだんとその良さを実感できるはずです。ぜひやってみてください。

 

1)挨拶と自己紹介

患者さんが診察室に入ってきたら、患者さんの方に体を向けて挨拶です。「お待たせしました。内科の○○です」と、はっきり言いましょう。ここでの注意点は、電子カルテの方に体を向けたままでの挨拶はNGです。これから話を聞くのに、誠意に欠けた印象を持たれてしまいます。そして患者さんの名前を確認して、荷物や姿勢などに配慮しましょう。

 

この時に付き添っている人にも患者さんとの関係を聞いておくと良いと思います。ここで注意点は「患者さんとのご関係を教えていただけますか?」と聞きくことです。例えばご年配の男性患者さんに付き添っていた方を、勝手に奥さんだと思い込んで「奥さまですね」と話しかけたら、なんと娘さんだった(!)という失敗を編集長は何度もやっています。この後の会話の気まずさと言ったらありません・・・。必ず上記のセリフ通りに尋ねることが大事です。

 
2)開放型質問から始める

よく言われることですが、「今日はどうしましたか?」など、患者さんが自由に話せるような質問(開放型質問)から始めます。最初の数分間だけでも、こちらから言葉を挟まずに聞くことに徹します。患者さんの方に体を向けて、時々目線を合わせながら話を聞きましょう。

 
3)言葉かけ,うなずき,相槌で話を促す

患者さんは医師の前では話したいことの半分も話せていません。ホントはもっと話したいと思っています。なので、うなずいたり、上手に相槌を入れたり、「他に心配なことはないですか?」と話を促しましょう。これですごく良い印象を持ってもらえます。誤解を恐れずに言うと、気になっていることを全部話せると、それだけですっきりして検査をせずに安心して帰ってくれます。 

(編集長)

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救命救急センターだより「ECMOとPCPS」

2022.10.15
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科医を目指して救急科修行中のnaoです。こんにちは。

 

先日のドクターカー出動事案で実は初めての経験がありましたので、ご報告します。比較的若年の方のCPAで、目撃あり、バイスタンダーCPRありという救命を目指せる事案でした。初期波形はVFでDCを何度かかけ、その後PEA。現場で挿管し、ライン確保の上、自院へU turn搬送しました。直ちに救急外来直結のハイブリッドカテ室に搬入しPCPS導入しました。

 

以前にもお話ししたように当院はコロナに対してECMO対応していたため、呼吸状態悪化からのECMOは経験がありましたが、心肺停止患者さんに対してのPCPS導入に立ち会うのは今回が初めての経験でした。ほとんどAが全く触れない中で救急科Drたちの恐ろしい速さでのシース留置に驚きましたが、循環器Drがすぐに到着したため、そのまま循環器に引継ぎ、PCPS開始し併せて冠動脈造影に移行していただきました。

 

さて、今回あえてここまでECMOとPCPSという単語をごちゃまぜにして書いてみましたが、現場ではECMOという単語とPCPSという単語を使う人とに分かれていて、用語がわからないと話が通じないという状況になります。

 

ECMOはextracorporeal membrane oxygenationといい、体外式膜型人工肺と言われます。脱血管と送血管の留置の位置の違いでVV ECMOとVA ECMOと呼ばれます。

 

VV ECMOはrespiratory ECMOとも呼ばれ、重症の呼吸不全患者に対して適応になります。VA ECMOはcardiac ECMOとも呼ばれ、重症心不全患者に対して適応になります。

 

PCPSはPercutaneous cardio pulmonary supportといい、経皮的心配補助を指します。つまりV-A ECMOとほぼ同義です。ですので、今回の現場で言うECMOは(VA-)ECMOを指していたわけです。

 

ECMO導入は初めてで自分は救命士と交代でCPRしていただけという形でしたが、動きが少し理解できたので、次回からは自分のできる仕事の幅を広げていきたいと考えています。

 

ちなみに、この事案、実は最初に現場直近の中核病院に収容依頼をしたのですが、依頼中にROSCしたため当院へ搬送した事案になります。この時、僕のプレゼンがひどいもので、Hotに対応してくださった先生が、「復唱」という形で僕に簡潔明瞭なプレゼンを指導してくれた(ように感じた)ということで強く記憶に残った症例です。プレゼン力、大切ですね。

(Nao)

空飛ぶ消化器内科医

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水戸済生会の外来研修2022

2022.10.13
カテゴリー: 初期研修

初期研修のカリキュラムに外来研修が必修化されて3年目になります。水戸済生会の外来研修は、一般内科外来を1年間を通して行う並行研修で行っています。

 

具体的にはJ1の秋からJ2の秋までの1年間をかけて、週1回の外来を継続する、というものです。このようなスタイルで外来研修を行っている施設はほとんどないと聞きていますが、当然ながら問題点もあるものの、メリットも大きいと考えていて、今年度も10月末からJ1の外来研修を開始する予定です。

 

外来研修では、「症候・病態について適切な臨床推論プロセスを経て解決に導き、頻度の高い慢性疾患の継続診療を行うために、特定の疾病に偏ることなく、原則として初診患者の診療及び慢性疾患患者の継続診療を含む研修を行う」とされています。

 

そして、研修目標として「コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、単独で一般外来診療を行える」ことが掲げられています。ERや病棟での診療とは異なり、一般外来診療となると、対象となる患者さんや疾患も異なってきます。当然、やり方も変えていく必要が出てきます。

 

そこで一つだけアドバイスすると、外来診療では「時間を味方につける」ことがポイントになります。ERと違って、その場で検査を全部やって、診断を付けなくともよいのです。それから、長い経過を見ていくことが重要です。何てことないと思っていた胸部レントゲンの影が半年後には肺がんだったということもあります。

 

当院では1年間にわたって、各ローテーションと外来診療を並行して行いますので、できるだけ長く患者をフォローして、臨床能力の向上を目指してもらいます。

(編集長)

外来診察室

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自分のペースで仕事をするコツ

2022.10.11
カテゴリー: 初期研修

仕事を始めて半年がたつこの時期は、あなたも仕事に慣れてできることが増えてきているはずです。最初のうちは何から何まで指導医に確認していましたが、最近では細かいチェックも少なくなって、任せてくれるようになったので、逆に不安だったりします。

 

指導医ほど処理速度が速くないので一つ一つ仕事を処理していくのですが、病棟からのコールのたびに仕事が中断されてしまい、なかなか仕事が進まない、間違ってしまいそうになる、と思ったことはありませんか?

 

実際のところ仕事を中断されるのは生産性を下げるし、間違いも多くなることが分かっています。

 

となると、病棟からのコールを極力減らすことができれば、自分のペースで仕事ができて、生産性が上がって、間違いも少なくなるはずです。(そんなうまい話がある訳ないと思わないで、最後まで読んでみてください♪)

 

病棟からのコールを減らすには、その傾向を把握しておくことが大事です。あなたも何となく気づいているはずですが、病棟からのコールが多いタイミングには2つあります。

 

1つ目は、どこの病院でも病棟の看護師からPHSに連絡が来るのは申し送り前後です。日勤の看護師が準夜の看護師に申し送るために、日中の出来事をまとめておく必要があります。具体的には16時前には日勤看護師の情報収集が始まっていますから、もし、この時点で翌日の点滴のオーダーが出ていなければ確認しなければいけません。もし、翌日に手術や検査が予定されていれば、その準備が必要なので、食事とかクスリを確認しなければいけません。

 

2つ目は、患者さんが入院した時です。原則論として、医師からの指示がなければ看護師さんは何もできないことになっています。なので、「何やりますか?早く指示簿を書いて下さい」となる訳です。でも、この時点であなたは指導医から、どんな患者さんかを聞いていないことが多いですよね。それで看護師さんへの指示出しを後回しにしてしまう。するとまた病棟からPHSが鳴らされて・・・、と悪循環です。

 

対策としては、翌日のオーダーやルーティンの指示は16時前に出しておくことです。予定入院なら指導医から朝のうちにやっておくことを聞き出しておく、予定外の新規入院患者さんについては、入院の知らせがあったらすぐに、指導医に方針の確認をして、その足で患者さんの様子を見に行き、挨拶をしてしまうことです。こうすることで、とりあえずの指示は書けます。そして、分かる範囲で指示やオーダーを出して、足りない部分は後で付け足せば看護師も分かってくれます。

 

看護師も患者さんに何をしてあげられるのか? 大事なことは何か?の情報共有や方針の確認をしたいのです。ここをおさえておけば、病棟からのコールを減らすことができるはずです。看護師さんたちを味方につけて、効率の良い仕事を出来るように工夫してみて下さい。

(編集長)

カテ中にコールされるのもストレス・・・

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救命救急センターだより「子育てとスマホ」

2022.10.08
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんこんにちは。空を夢見る消化器内科医です。

当救命救急センターではInstagramをはじめました。「水戸済生会救命救急センター」でぜひ検索してください!

インスタはこちら

 

さて、当救命救急センターで運用しておりますドクターカーですが、これは水戸市からの委託で水戸市消防と共同で運用しています。365日8時半ごろから17時ごろまで稼働しています。

 

ドクターカーの車両および2名の救急隊員は水戸市から、医師と看護師は当院のスタッフになります。そのため、出動の際には救急隊とコミュニケーションをとる機会にもなり、いろいろな情報を得る機会にもなります。

 

先日、小児の事案で出動した際に救急隊から言われた話で、はっとしたことがありましたので記事にさせていただきます。その日の要請内容は幼い子が遊具で遊んでいた際に転落し、頭部打撲で意識混濁とのことで覚知要請(119通報があった時点で要請内容から重症度が高いと判断しドクターカー出動)されました。実際には先着隊が軽症と判断してキャンセルとなりましたが、帰路に救命士と話している際に、一つ大切な話を聞いたので皆さんにもお伝えします。

 

その救命士さんも幼い子を持つ親であり、お子さんを公園に連れていく際などに周りの親御さんの様子で思うところがあったようです。というのも、最近はスマホの画面ばかり見ていて、お子さんが危険な行動をしていても全く見ていないというシーンが多く、スマホさえなければ防げる事故も多かろう、と日々思っておられるとのことでした。そのためその方は子守の時はスマホは家に置いて、通話にしか使えないガラケーを持って歩いているそうです。そのせいでスマホに子供の写真が少ないのが難点だ、とおっしゃっておられましたが・・・。

 

多くの場面でこの判断の仕方は大切だと思いました。自分は今何を最優先に行動すべきなのか、ちゃんとそれを考えていかなければならないな、と思った次第です。

(Nao)

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CPC報告 赤痢アメーバ(2)

2022.10.06

CPCからのシェアの続きです。

 

症例は50歳台の独身男性。主訴は下痢、腹痛でした。近医で加療を受けたものの症状改善なく、腎機能も悪化したため当院に紹介となった患者さんで、約1か月の経過で腸管穿孔、汎発性腹膜炎、多臓器不全となり亡くなったケースです。

 

<赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)>

 

【重症化リスク】

糖尿病、アルコール中毒、悪性腫瘍、妊娠、ステロイド投与、免疫不全状態など

 

【診断】

・糞便検査で原虫(嚢子or栄養体)を検出 → 栄養体は速やかに検鏡することが重要

・内視鏡検査:多発する潰瘍病変、潰瘍間の粘膜は正常であることが多い

・E.histolycaに対する血清抗体検査も有用であったが2019年3月時点で試薬製造が中止された。

 →現在はE.histolycaの抗原検出法やPCR法による検出は一部の施設に依頼可能である。

 

【治療】

・メトロニダゾール内服が第一選択

・治療効果判定 → 治療終了1-2週間後に糞便検査で赤痢アメーバの陰性化を確認する。

・メトロニダゾール治療後に嚢子に対する治療として、パロモマイシンによる根治治療が推奨される。

 

この症例の反省点は、渡航歴や性交歴の確認ができていなかったため、赤痢アメーバを鑑別に挙げられていなかったことに尽きます。独居の独身男性のため性行為感染症(STI)も鑑別に入れるべきで、もし把握できていれば鑑別に挙げることは比較的容易であった可能性が高いです。しかし一般的に、性行為感染症(STI)の鑑別に性交歴を聞き出すのは、ある程度患者さんとのコミュニケーションが取れていないと聴取は困難ですし、家族も把握していないのは当然です。この症例のように急速に病状が悪化する時は、さらに聞き出すのは困難になります。当院に入院した時点で重症化していたので、結果は変わらなかったかもしれませんが、もしかしたら助けられた症例であったと思うと悔しいですね。

 

今回は赤痢アメーバによる重症腸炎の症例でしたが、良く分からない症例ほど病歴を詳細に聴取することがとても大事で、聴取した病歴からいろいろな可能性を考えて鑑別疾患を挙げていくことができます。良く分からないときは患者さんのところに行ってみると大きなヒントが隠されています。

(編集長)

赤痢アメーバの栄養型

(大腸病変部の固定標本)

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CPC報告 赤痢アメーバ(1)

2022.10.04

先月のことですが、院内でCPCが開催されました。CPCでは2症例が提示されましたが、そのうちのJ2の2人が発表してくれた赤痢アメーバによる重症大腸炎の症例を2回に分けてシェアします。

 

症例は50歳台の独身男性。主訴は下痢、腹痛でした。近医で加療を受けたものの症状改善なく、腎機能も悪化したため当院に紹介となった患者さんで、約1か月の経過で腸管穿孔、汎発性腹膜炎、多臓器不全となり亡くなったケースです。

 

ちなみに、この症例の診断のキモは問診でした(次回に紹介します♪)。

 

<赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)>

【感染経路】

感染者の糞便に排泄されるシスト(嚢子)の経口感染による。発展途上国では汚染された水や飲食物を介して感染が起き、本邦では同性間・異性間性的接触(口腔・肛門性交)で感染する

 

【流行地域】

発展途上国を中心に世界中で流行。本邦では流行地域への渡航・滞在、男性同性愛者間、知的障害者施設入所者に多い

 

【発生頻度】

日本では年間800件ほどで、9割が男性

 

【潜伏期間】

通常2-4週間が潜伏期間だが数か月~数年に及ぶ場合もある。

 

【症状、検査所見】

感染者のうち5-10%が発症。

イチゴゼリー状の粘血便、下痢、テネスムス、排便時の下腹部痛、体重減少など(発熱に至る例は肝膿瘍を認めることが多い、基本的には稀)。盲腸~上行結腸、S状結腸~直腸など大腸に病変が多い。時に肉芽腫様病変や潰瘍部が壊死性に穿孔することがある。

(編集長)

矢頭はS状結腸壁の菲薄化・大きな穿孔

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救命救急センターだより「スマートデバイスとこれからの医学」

2022.10.01
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんはスマートウォッチなどを使用しておられるでしょうか?

 

原理を調べていないのですが、アップルウォッチが心電図のモニタリング機能を搭載するようになるなど、これまでは病院にしかなかった医療機器を、だれもが身に着ける時代になってきました。当院の救急外来にもスマートデバイスからの「指示」で救急外来を受診するケースが散見されるようになってきました。これからご紹介するケースは実例で、ご本人様にもブログで紹介させていただくことをご了承いただいたものになります。

 

50代の特別な既往のない、自立生活を営む女性が、起床時に息苦しさを自覚されました。アップルウォッチで経皮的血中酸素飽和度を測定したところ、普段は97-98%であるものが88%程度とのことで病院を受診されました。

 

病院でSpO2を測定したところやはり88%程度とのことで、急いで検査を始めました。担当してくれた研修医の先生もとても優秀で、しっかりと低酸素血症の鑑別を頭に入れながら検査を組み立ててくれました。

 

心電図やレントゲンでは特に問題は指摘されませんでしたが、採血でd-dimerが30程度と異常高値であり、CTにて肺動脈血栓塞栓症を指摘し、遅滞なく循環器内科へコンサルし治療に移ることができました。

 

「私ちゃんと考えて最初からd-dimer取ってましたから!」ドヤァと素敵な笑顔な研修医の先生でしたが、引き続きいろいろな経験をしながらより頼もしく成長してくれることを願っています。

 

当院の救急外来では研修医の先生たちが一生懸命勉強しながら地域医療を支える重要な戦力として頑張ってくれています。医学生の皆さんも当院で一緒にドヤ顔医療しませんか?医学生の皆さんの当院の救命センターの見学をお待ちしております!

(Nao)

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