臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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救命救急センターだより「病院前診療と急性心筋梗塞」

2023.01.14
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科を目指すnaoです。

 

救命センターだよりを読んでいただいている医学生の皆さんの中には、「救急」に興味がある方も多くいらっしゃることと思います。私も元々救急志望、その後なぜか耳鼻科医を目指し、最終的には消化器内科を選択し消化器内科医としてキャリアを積んできましたが、重症COVID診療を担うなかで、救急医に集中治療について教わる中で、本当は救急医になりたかったんだと思い出し、集中治療に興味をもって今に至っています。

 

今後は消化器内科医という立場で、専門診療(救急診療も専門診療があってこそですから)をより充実させつつ、病院前診療と集中治療の分野で救急の先生たちの仲間に入れてもらいながら修行を積んでいきたいなと思っています。

 

さて、それは閑話休題として、皆さんは病院前診療ではどんな症例で呼ばれることが多いと思いますか?

 

私の記事を読んでいただいている人はなんとなくイメージがついているかもしれませんが、「意識障害」と「胸痛」、「目撃ありCPA(目撃ナシはドクターカー適応外となっています)」が多いです。

 

そう。外傷は少ないんですよ。少なくとも当県では。外傷が一番テンションが上がるんですが。なんつったって救急医が目に見えてかっこよく動き回れますからね!

 

でも、地味な仕事の中にこそ問われる真価というものがあります。内科系救急医の僕としては、地味な仕事をひたむきにこなしていく中でカッコよさを見せつけていく必要があります。

 

さて、今回は「胸痛」がテーマなわけですが、病院前診療ではそれがいわゆる「本物」かそうでないかをいち早く見極め、適切な医療機関へ搬送することが求められます。

 

最近の救急車は十二誘導心電図が取れるようになっています。でも「とれる」のと「読める」のでは雲泥の違いがあります。救急医は迅速に十二誘導心電図を撮り、かつ心エコーをあて、それが本物かどうかを見極めます。ここで本物であると確信した場合は患者収容要請と同時に、循環器内科医師呼び出しを依頼します。

 

脳血管疾患と違い、心電図と心エコーが使えるので、虚血性心疾患の見極めは精度高く行うことができます(陳旧性の梗塞がある場合などでスカしてしまうこともあるのですが…)。

 

将来的には、救命士たちが心電図を読み、心エコーをあて判断できる日が来ることを願いますが、現状ではすでにその経験のある医師たちがそれを行うことでより迅速に患者さんの対応に当たることができます。

(Nao)

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国家試験までの過ごし方

2023.01.12
カテゴリー: 初期研修

J1の新潟県産もやし先生が、国試前のあなたにアドバイスをくれました。

 

もやし先生は新潟大学からのローテで、昨年4月から当院で研修していましたが、今月末で新潟にもどります。いろいろ経験値を増やしたので、新潟でも活躍してくれるはずです。そんなもやし先生からのアドバイスをぜひご覧ください!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

受験生のみなさんへ。国試まで一ヶ月を切り、不安と焦りでいっぱいになっているかもしれません。

国試を受けてまだ一年たってない私から、昨年の経験を踏まえ少しでもアドバイスできればと思い、この記事を記載しました。参考程度に読んでいただければと思います。

 

① あれもこれも手を出さない

各予備校から様々な直前講座が開設され、まわりの友達がやっていると、自分もやらなければいけないのかという気持ちになりますが、惑わされてはいけません。自分がこれまでやってきた勉強を繰り返す方が良いです。自分の場合は回数別5年分を解き直したり、まとめノートを見返したりしていました。直前講座ひとつもやらなくても合格すると思いますが、お守り的な感じで一つくらいは受けてもいいかもしれません。以下にそれぞれの特徴を簡単にまとめます(主観的です)

・究極マップ:広く浅く、抜けがないかの確認ができる

・直前アシスト:要点を絞っているが、近年的中している問題もある。

・サマライズ、ラスメ:量が多くて大変ですが、メックユーザーにはいいかもしれません。

 

② 最後の模試で落ち込まない

テコ4を受験した方は、おそらく偏差値が下がって、もしかしたら落ち込んでいるかもしれませんが気にしなくていいです。今年のテコ4は難易度が高かったようですし、国試前、最後の模試ということで、受験生が気合を入れて受験するので平均点が上がり、自分の偏差値が下がるのは当然です。結果は気にせず、間違えた問題だけを復習し、そのまま国試に出ればいいなーくらいの感覚がいいと思います。

 

③ 国試前日にやることを決めておく

国試前日は緊張で勉強に集中できませんし、あれもこれもやりたいと思ってしまいますが、ホテルまでの移動などを考えると自分のやろうと思っていたことはほとんどできません。この時期から予めやることを考えておき、それだけをやるようにしましょう。私は、公衆衛生の復習とコクタマの確認だけやりました。コクタマは近年ぜんぜん的中していませんが、多くの受験生が登録しているので、一応目を通しておくといいと思います。ちなみに国試前日の夜はなかなか眠れないそうです。(私は寝れましたが)一睡もせずに国試に臨み合格してる人もいるので、寝れなくても大丈夫です。あと検温検査を不安に思う人もいると思いますが想像以上にざるシステムなので心配しなくていいです。

 

国試に合格し、四月から水戸済生会病院で働いている自分の姿を想像し、気分をあげて日々過ごしてください。みなさんが合格できるよう心より願っております。

(新潟県産もやし)

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入院中から忘れず評価すべきこと・・・栄養とADL

2023.01.10
カテゴリー: カンファレンス 内科

80歳代の男性でADLは自立、敷地内の別棟に息子さん家族がんでいる(茨城はこのパターンが多いんです)方が、肺炎で入院しました。幸い、順調に経過し、血ガスも胸部レントゲンも、WBCやCRPも改善しています。

 

では、そろそろ退院してもらおうと家族に話をしたら、「こんなんじゃ、おじいちゃんを連れて帰れません!」と言われてしまいました。

 

なぜだか分かりますか?

その患者さんは、食事は食べれるけどむせ込まないように誰かがついてないといけません。摂取量も十分とは言えない。ADLも歩けているけど歩行器を使用していて自宅で一人での移動は無理。

 

家族からすれば、今まで全く手がかからなかったのに、常にだれか家にいなくてはいけないなんて、家族みんな仕事しているから無理! となる訳です。こんなことは、あなたもこの先必ず経験するハズです。

 

特に高齢者では、入院を契機に急速にADLの低下を来します。脳梗塞を起こしたわけでもないのに、嚥下機能が落ちたり、食事量も激減することはしばしば日常で遭遇します。

 

なので、すべての入院患者さんについて「栄養とADL」を忘れずに評価しておきましょう。

 

入院前の生活に戻れるのか? 転院や施設を考慮した方がいいのか? 早い段階で家族に見通しを伝えて、退院に向けての準備を始めておかないと、退院直前になって冒頭のようなことになってしまいます。

 

疾患のことばかりでなく、いろいろ目配せが大事ですが、特に「栄養とADL」はキモになることを覚えておきましょう。

(編集長)

 

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鑑別疾患のあげ方(解剖学的アプローチ)

2023.01.07
カテゴリー: カンファレンス 内科

あなたがたとえどの診療科に進むとしても、初期研修医のうちに必ず身に着けてもらいたいことの一つに、「鑑別疾患のあげ方」があります。

 

鑑別疾患は、星の数ほどあるので全部覚えることは無理ですが、鑑別疾患のあげ方(フレームワーク)をおさえておくと、考えやすくなるだけでなく、抜けがなくなるので、ぜひ覚えて下さい。

 

編集長が勧める鑑別疾患のあげ方には2つあって、前回は1つ目のVINDICATE!!!Pを紹介しました。今回は2つ目の、解剖学的アプローチを紹介します。

 

この方法は具体例を出した方が分かりやすいので、やってみましょう。

では、「胸痛」の鑑別をできるだけたくさんあげてみてください

いくつ鑑別をあげられましたか?

 

狭心症、心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓、気胸・・・・、多くの研修医は、ERで見落とすとヤバい疾患はすぐに言えても、あまり

ヤバくない(生命にすぐにかかわらない)疾患は、なかなか挙げられません。ヤバい疾患ではなくとも、患者の不安は一向に解消されないので、下手をするとトラブルのもとになることもあります。



こんな
時に、解剖学的に近い臓器や組織を考えていくと鑑別疾患を挙げやすくなります。

 

具体的に、胸に近い臓器は・・・・

皮膚:

 帯状疱疹

乳房:

 乳癌、乳腺炎

骨:

 肋骨骨折、圧迫骨折、骨転移

筋肉:

 筋肉炎

肺(さらに胸膜、肺胞、間質、気管支、気管と分けて考えましょう):

 気胸、胸膜炎、肺癌、肺炎、気管支炎、肺塞栓

心臓(冠動脈、心外膜、心筋、弁):

 狭心症、心筋梗塞、急性心外膜炎、心筋炎、肥大型心筋症、大動脈弁狭窄症、

大血管(大動脈とその分枝、大静脈):

 大動脈解離(特に上行解離)、大動脈瘤破裂

縦隔:

 縦隔炎、縦隔気腫、縦隔腫瘍

食道:

 逆流性食道炎、食道破裂、食道腫瘍

胃:

 胃炎、胃潰瘍、胃癌

肝臓:

 肝膿瘍、肝腫瘍

胆嚢・胆道:

 胆石、胆嚢炎、胆管炎

甲状腺:

 甲状腺炎

神経:

 肋間神経痛、帯状疱疹後神経痛

横隔膜:

 横隔膜下膿瘍

 

まだまだあると思いますが、このように解剖学的に近いものを順に頭に浮かべて、それに関する疾患をあげていくと意外とたくさん出てきます。臨床の現場では、前回紹介したVINDICATE!!!+Pと、この解剖学的に攻める方法を無意識に組み合わせて鑑別疾患を考えていると思います。

 

医学生や研修医のうちは、鑑別疾患をたくさんあげるトレーニングを意識しましょう。同時に、鑑別疾患を広げるだけでなく、目の前の患者さんの診断に至るように鑑別を絞り込むトレーニングも大事です。こちらはまた別の機会で紹介します。

(編集長)

回診中に鑑別疾患を聞かれているところ♪

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救命救急センターだより「ロード アンド ゴー」

2023.01.05
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科を目指すNaoです。本年も宜しくお願い致します。

 

「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ。」

 

最近はドクターヘリよりドクターカーの出勤が多くて飛べていません。冬は、空気が澄んでいるのと、暑くないので空が楽しいんですけどね。ただの豚じゃなくなりたいものです。

 

さて、僕たち救命に携わる医師および看護師が現場進出の上で、病院外で患者さんに一刻も早い治療を届けるべく働いたりしますが、これを病院前診療と言います。現場進出の手段によりドクターカーやトクターヘリと呼んでいます(最近はドクタージェットというものもありますが、これはどちらかというと搬送が目的ですかね)。医師や看護師が現場進出するのも大切ですが、現場でできることには限りがありますので、やはり一刻も早い「搬送」が大切になります。

 

僕が現場に行った事案ではありませんが、このことを示す一つ良い事例がありました。交通外傷により大動脈損傷、横隔膜損傷および腹腔臓器損傷をきたした症例です。胸部大動脈損傷に対してTEVARを行い、その後緊急開腹して救命したというものになりますが、この時現場進出した救急医は、当然ながら超重症であることを一目で判断しました。

 

そこからがポイントなのですが、現場でできることは少ないと判断し、必要最小限の治療を行い一刻も早く搬送することを優先したのです。ともすると、僕のようなひよっこは、現場で色々細かく評価したり、できる検査や処置全部やりたくなってしまったりしますが、患者さんの救命には、早く病院に連れていき、より正確に診断し治療介入することのほうが重要なこともあります。重症だからこそ、です。

 

医師の介入なしでも現場の救急隊でこれを判断して行えるようにした仕組みが、「Load and Go(ロード アンド ゴー)」です。Load and Goは収容してすぐに現場離脱するものですが、生命の危険が少しでも疑われる傷病者への対応方針を言います。状況評価で高エネルギー事故に該当するもの、初期評価ででABCに異常がみられるもの、全身評価でJPTECが定める損傷(フレイルチェストや頭頚部および体幹部の穿通性外傷、骨盤骨折、両側大腿骨骨折など)がある場合などに適応とされます。

 

この場合、救急隊はLoad and Goを宣言し、救命救急センターである我々は必要最小限の情報だけを受け取り、受け入れの準備を行います。病院選定時に不必要に情報のやり取りで時間をかけないための方策で、これにより収容から搬入までに少なくとも数分以上の時間短縮が見込まれます。

 

数分、数秒が命の時間を左右することは、救命センターでは少なからず経験されます。消防および救命センターの強い連携のもとで引き続き地域医療を守っていきたいと思います。

 

実際そこまでシビアな症例は多くありませんが、当院で2年の研修を積むと経験することになります。救命センターでの仕事は、大きなやりがいがあります。

 

皆さんと当院で一緒に働けるのを楽しみにしています。ぜひ見学にいらしてください!

(Nao)

慌ただしいERの一コマ

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新年明けましておめでとうございます。

2023.01.03
カテゴリー: 初期研修

ブログ読者のみなさま

新年明けましておめでとうございます。本年もこのブログをどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

この数年はサボっていましたが、以前は新年最初のブログでキャリアなどの将来計画に関する話題を何度か紹介していました。今年は久しぶりにこれに関連する話題を紹介してみようと思います。

2020年新年最初の記事

2018年新年最初の記事

2017年新年最初の記事 

 

あなたは「キャリアのVSOP論」というのを聞いたことがあるでしょうか?年代ごとに求められるスキルのことだそうです。

 

20代はVitality(バイタリティ)

積極的にいろいろなことに取り組んで視野を拡げることで、自分の得意な分野や方向性を掴む年代

 

30代はSpecialty(スペシャリティ)

自分の得意分野を深堀りしていく時期。つまり、「自分はこの分野で勝負する」という方向性を決める年代。

 

40代はOriginality(オリジナリティ)

専門性を持ったとしても、周囲との差別化はできません。自分にしかできない仕事を意識して追及する年代。

 

50代はPersonality(パーソナリティ)

「役職が高い」と言うことではなく、周囲の人から「信頼されている人」なのかどうかで、自分の価値が決まる「人間力」で勝負する年代。

 

ちなみにこのVSOP論は1978年に脇田保と言う方の本に書かれたのが最初のようです。編集長はネットで見つけたので、原著はもちろん読んだことはありませんが、ネット上ではVがVariety(バラエティ:多様性)と書かれている記事が多くあります。でも、原著では「Vitality」と書かれているらしく、時代とともに少し変わっているようですね。さらに60代はPhilosophy(フィロソフィー:哲学)と書き加えられているものも見つけました。

 

由来はどうでもいいですが、研修医から医師として独り立ちしていく過程で、20代は失敗しながら一生懸命にいろいろなことに挑戦してみる、30代は自分の得意な専門性を高めていく、40代は専門領域の中で自分にしかできないことを探っていく、というのは、既にもうちょっと上の年代に達した編集長からするとすごく腑に落ちるところです。あなたの周りでカッコよく活躍している先生も、最初からできたわけではないのです。

 

将来のことは普段は忙しくて考えることを後回しにしがちです。せっかくの年の初めですから、短い時間でもVSOPを意識しながら将来のことを考えてみてはいかがでしょうか?

 

あなたにとって2022年が飛躍の1年になるよう一緒に頑張って行きましょう!本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 

(編集長)

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年末のご挨拶

2022.12.31
カテゴリー: 初期研修

早いもので、大みそかになりました。あなたはいかがお過ごしでしょうか。

 

振り返ってみると、今年もコロナに振り回された1年でした。当初のようにECMOを回すような重症症例はほぼいなくなりましたが、院内のあちこちでコロナ陽性患者が現れて、その対応に追われていました。波が過ぎ去ったと思うとすぐに次の波が来て、という感じであっという間に1年が過ぎたというのが実感です。

 

そんな状況でも、当院の研修医らは発熱外来、ER、コロナ病棟、そしてワクチン接種と様々な場面で頑張ってくれました。また、このブログにも多くの研修医が記事を書いてくれました。どうも有難うございました。

 

さて、年が明ければ、6年生のあなたは国試に向けてラストスパートになります。今まで幾多の試験を乗り越えてきたので、真面目に取り組めば問題ないはずです。体調管理に十分に注意を払って頑張ってください!

 

そして、このブログもあなたにとって価値ある情報をお届けできるよう努力して参ります。引き続きよろしくお願いいたします。

 

どうぞ良いお年をお迎えください。

(編集長)

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鑑別疾患のあげ方(VINDICATE!!!P)

2022.12.29
カテゴリー: カンファレンス 内科

早いもので、もう年末ですね。J1のあなたはだいぶ仕事に慣れて、余裕も出て年末年始の当直に臨んでいるはずです。J2のあなたも、春からの研修先が決まり、それに向けてモチベーションをあげてる時期だと思います。

 

さて、あなたがたとえどの診療科に進むとしても、初期研修医のうちに必ず身に着けてもらいたいことの一つに、「鑑別疾患のあげ方」があります。

 

鑑別疾患は、星の数ほどあるので全部覚えることは無理です。でも、鑑別疾患のあげ方(フレームワーク)をおさえておくと、考えやすくなるだけでなく、抜けがなくなるのでお勧めですので、ぜひ覚えて下さい。

 

編集長が勧める鑑別疾患のあげ方には2つあります。1つ目は病因から攻める方法で有名な VINDICATE!!! + P(ヴインディケイト+P)です。2つ目は解剖学的に攻める方法です。

 

今回はVINDIVATE!!!+P(ちなみに!!!にも意味があります)を紹介します。

V:Vascular (血管系)
I:Infection (感染症)
N:Neoplasm (良性・悪性新生物)
D:Degenerative (変性疾患)
I:Intoxication (薬物・毒物中毒)
C:Congenital (先天性)
A:Auto-immune (自己免疫・膠原病)
T:Trauma (外傷)
E:Endocrinopathy (内分泌系)
!:Iatrogenic (医原性)
!:Idiopathic (特発性)
!:Inheritance (遺伝性)
P:Psychogenic (精神・心因性)

 

これは鑑別診断の神様として有名なティアニー先生が紹介していたものですが、すごいところは全ての疾患が網羅されているところです。もともとティアニー先生が病理学をやっていたので、こんなフレームワークに至ったと聞いたことがあります。

 

この鑑別方法は、一見すると関係なさそうな症状や検査データを俯瞰的に考える時に役立つと思います。原因が良く分からない、もしかしたら他の疾患を考える必要があるかもしれないと思った時に、これを見ながら鑑別疾患を考えてみて下さい。

(編集長)

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患者さんとの会話をスムーズにするコツ

2022.12.27
カテゴリー: 初期研修

80歳代後半の男性患者さんが入院してきました。ADLは自立していたものの、当然ながら軽度の認知症もあります。病歴を聞こうと思っても、なかなか話を分かってくれないし、自分からは話をしてくれません。

 

こんな時、あることを尋ねたら、その後は患者さんがいろいろ話をしてくれるようになりました。

どんな質問をしたのでしょうか?考えてみてください。

答えは、「以前の職業」です。

 

この患者さんは、若いころから魚屋さんをやっていたそうです。その話を聞き出したことをきっかけに、患者さんはいろいろ話してくれるようになりました(病歴とは関係ない話もだいぶありましたが・・・笑)。

 

患者さんが、あまり話してくれないことはよくありますが、こちらとしては結構ストレスですよね。こんな時は、FORMを意識して

質問してみるといいかもしれません。

 

FORMとは

Family:家族のこと

Occupation:仕事のこと

Recreation:趣味のこと

Message:自分の信念や人生観など

 

これらのことは、自分から話しやすいからです。また職業について言えば、現役で仕事している方なら、今後の検査プランや、治療プランをどうするかにも関わるので、編集長は必ず聞き出しています。

 

初めのうちは、何となく聞きにくいかもしれませんが、いろいろ役に立つので、必ず聞き出しておきましょう。

(編集長)

患者さんのところに行く前の情報収集中

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救命救急センターだより「当センターでの救急医の役割分担」

2022.12.24
カテゴリー: 救命救急センター

みなさんこんにちは、空飛ぶ消化器内科医を目指すNaoです。

 

以前の記事で次のチャンスでは「外傷外科医を目指したい」とうっかり書いてしまったために、記事を読んでくれた当院の外科のセンセイから「今後はぜひ一緒に」と声をかけてもらいました。最初は「うわ、やってしまった」と思いましたが、これはまたとないチャンスだと思いましたので、「是非呼んでください」と返事しました。今のところ実際には呼ばれていないのですが、この記事も読んでいただいていると思いますので、必ず、忘れずにぜひ呼んでくださいね!

 

さて前回の記事で紹介しましたが、当院の救急外来では一般日当直(walk in担当)、ER日当直(救急車対応)、ドクターカー番、ドクターヘリ番と4人の医師がおり、このうちER、ドクターカー、ドクターヘリを救急科が担当しています。ちなみにほかに、ICU当直、麻酔科当直、産婦人科当直がおり、研修医当直が2名おりますので、常時院内には最低でも研修医を含めて9名の医師がいます。

 

私はドクターカーだけ独り立ちさせてもらっているのですが、ER やドクターヘリはOJT(On the job training:上級医について仕事をしながら学ぶ)立場です。なぜドクターカーは独り立ちできて、ERとヘリは独り立ちできないのか、についてお話させていただこうと思います。私の個人的な意見も入る回ですのでその点よろしくお願いいたします。

 

まずは既に独り立ちしているドクターカー医師の役割について説明します。ドクターカーは水戸市からの委託事業であり、日中のみの運用となっています。カバー範囲はざっくりと水戸消防の管轄地域になります。ただし当院は水戸市の西のはずれの方にありますので、東のはずれに向かうと救急車でも30分以上かかります。

 

ドクターカーの場合は車で移動していますので、基本的にいざとなったら自分の病院へU-turnしてくれば良いということになります。とにかくABCを安定させることを考え、その後、純粋に患者さんの状態からどこに搬送すればよいかを考えるということになります。水戸市内ですので近隣病院の事情も頭に何となく入っていますし、医療機関の選定も比較的スムーズに行えます。

 

一方でドクターヘリはカバー範囲が県内全域、状況によっては隣県も含まれます。ドクターヘリの場合は、医療者の現場出動の他にヘリコプターによる高速搬送という役割もあります。「適当な医療機関」の選定範囲が陸送に比較し広くなりますので検討すべき事情が大きくなります。患者さんの状態、来院する家族の事情、交通事情や土地の状況・天候を踏まえた搬送手段および搬送先の選択、空中での急変に備えた準備(AMI疑いの患者さんにはあらかじめ除細動パッドを貼っておくなど)と考慮すべき事情が増えます。また多重事故や災害などドクターカーより大きな現場へ投入される可能性も大きくなります。そのため、ドクターカー医師より多くのことを考え対応できる必要があるのです。

 

最後はER番です。ER番は、おそらく救急科の先生たちは一番好きじゃないと思います。ER番は20名程度の救急科入院患者の対応と救急車、ドクターカーやヘリの搬送患者すべてに対応する必要があります。カーやヘリが出動していない時は、その担当医も手伝ってくれますが、ER処置中に呼ばれていなくなってしまうと、ER番の先生が全部自分でやらなければならなくなります。また、院内急変があった場合の対応もER番の医師がリーダーとなり対応することになるため、その肩に乗る責任は非常に大きくなります。

 

いつの日かERを任せてもらえる日が来るかもしれません。あまり望んではいませんが・・・(笑)

 

全然関係ないですが、最後に皆さんに一言。

 

いつも書いていますが、人生に無駄なことはないです。医学生の皆さんはこの後、初期研修、後期研修の中でやりたくもないことをやらされたり、経験させられたりすることがあることと思います。そのすべてとは言いませんが、でも多くの経験が何らかの形で役に立つ日が来ます。卒業試験や国家試験のために覚えるマイナーな病気も、役に立つ日が来ます。今与えられた役割をしっかりこなして、将来の研修・勤務先に当院を選んでいただけた日には、一緒に空を目指しましょう!(笑)

(Nao)

ICUでの処置中の一コマ

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