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水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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敗血症 徳田先生のカンファより
先週のことですが、6月に引き続いて徳田安春先生にお越しいただき、今年度2回目の症例検討会を開催しました。
この企画は茨城県が主催しているもので、徳田先生が県内の各臨床研修病院をまわって症例検討会を行うものです。徳田先生は超有名で著書も多数あります。当院とは徳田先生が水戸協同病院に赴任した時からの、かれこれ15年のお付き合いです。
今回はその症例検討会でJ1の内田先生が大腸憩室炎から腸腰筋膿瘍となった症例を提示しながら、敗血症についてまとめてくれたものをシェアします。
<敗血症>
【定義】
感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態
【診断】
➀感染症もしくは感染症の疑いがあり、かつ②SOFAスコアの合計2点以上の急上昇、として行う。
集中治療室、あるいはそれに準ずる環境における場合はSOFAスコアを、一般病棟、救急外来、病院前救護における場合はqSOFAスコアを使う。qSOFAの2項目以上が満たされる場合に敗血症を疑い、早期治療開始や集中治療医への紹介のきっかけとする。
<敗血症と敗血症性ショックの診断の流れ>
qSOFA≧2点では、集中治療室またはそれに準じた環境におけるSOFAスコアの評価に移行する。血液・生化学検査、動脈血ガス分析などよりSOFAスコアを時系列で評価する。SOFA スコアの合計点数が 2 点以上の急上昇となる場合に敗血症の確定診断とする。
輸液蘇生だけでは平均血圧≧ 65mmHgを維持できずノルアドレナリンなどの血管収縮薬を併用し、さらに血中乳酸値>2mmol/L (18mg/dL)の場合に敗血症性ショックと確定診断する。
内田先生が提示した症例では、憩室炎の腹痛症状は軽減していたものの、血液培養でEscherichia coli、ESBL産生Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Bacillus speciesといった腸管内の菌が複数陽性となり、外科的処置が行われて改善したという経過でした。
敗血症では血液培養の所見が重要になりますが、ガイドラインでもクリニカルクエスチョン(CQ)として血液培養と画像検査について記載されています。
CQ2-1 : 血液培養はいつ採取するか?
→ 抗菌薬投与前に2セット以上採取する。
CQ2-2 : 血液培養以外の培養検体は、いつ採取するか?
→ 抗菌薬投与前に必要に応じて血液培養以外の各種培養検体を採取する。
CQ3-1 : 敗血症を疑う患者に対して、感染源検索のために画像検査を行うか?
→ 感染源が明らかでない場合は、感染源検索のために画像検査を行う。画像検査は、最適な治療法の選択を可能にするという観点で有 益である。一方、X線被爆・造影剤使用のリスク、特に重症患者の場合は検査室への移動中に急変のリスクなどの害があることも十分に認識する必要がある。
日本版 敗血症診療ガイドライン2020 https://www.jsicm.org/pdf/jjsicm28Suppl.pdfより
(編集長)
徳田先生カンファの一コマ
グループごとに相談中
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救命救急センターだより「人工呼吸器の管理」
寒さが一段と厳しくなってきましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
当院のICUはsemi closed型の運用となっており、術後などは主科で管理していますが、呼吸器やCHDFが必要になる症例など集学的治療を要する場合は救急科が管理を行っています。
長期呼吸管理をする場合は複雑な病態の患者さんが多く、なかなか研修医の先生が手出ししにくく、ショックや痙攣などBの異常以外の理由で挿管した場合の呼吸管理は短期間になることが多いことから、なかなか研修医の先生が人工呼吸器の管理を覚えるチャンスが少ないのが実情です。
そんな中でも、救急科のメーリングリスト(救急科はシフト制のため、その日の救急症例やICU症例の状態について毎日報告しあっています)では人工呼吸器の管理などについての情報もまわり、これは「研修医の先生が勉強になる症例」と位置付けるなどして研修医の先生に学んでもらうチャンスを作っています。研修医の先生たちも、難しい症例でも一生懸命勉強しながら管理を考えてくれていて頼もしいです。
人工呼吸器の管理は、自分がちゃんと勉強したのはコロナの管理のためで、当院はコロナの重症専用病棟を持っていたので、2020年4月から多数の呼吸器およびECMO患者さんを管理してきました。それまではショックや膵炎の患者さんの呼吸状態悪化したときの管理くらいしかやってこなかったのでまだまだ学ぶべきところがたくさんあります。
そんな中で今回研修医の先生向けに、指導医の先生方がいろいろな情報を流してくれているのですが、僕も勉強になった話を一つお伝えします。
人工呼吸管理をする場合、人工呼吸管理に至った理由をしっかり明確にしておくことが重要です。
心不全、肺炎、ショック、気道閉塞、手術・処置のための挿管、鎮静、意識障害、呼吸筋など理由は一つではないかもしれませんが、何のための呼吸管理なのか。何のための呼吸管理なのか明確にすることで、自動的に呼吸管理の予測期間、goalなどが定まってきます。
例えば、処置のための挿管であれば処置が終わればもう抜管してよいわけです。呼吸に問題があるわけではありませんので。呼吸筋の問題は神経難病によるものがほとんどでしょうが、呼吸器離脱できるとしても時間がかかる可能性が高いので、早期に気切し覚醒し呼吸リハを開始していく必要があります。
呼吸器だけにかかわらないですね。何のために何をしているのか、goalをどうするか、それを見定めることは医療だけでなく、日々の生活でも必要なことかもしれません。
(Nao)
重症患者搬送直後のER!
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病院見学のススメ
マッチングも終わり、編集長はホッと一息つきたいところですが、すぐに来年度のローテーション作成などに取り掛かる時期です。そして4年生もしくは5年生のあなたは冬休み中の病院見学をどうしようかとそろそろ考え始めるころでしょうか?
年が明けるとあっという間に春休みで、それが過ぎると気づいたらマッチング面接の時期になってしまいますから、まだ時間があると思わないで、少しずつでも情報収集を始めるのが良いと思います。
でも、コロナも第8波の始まりと言われるようになっており、当院でも患者さんの増加を実感しているところですから、なかなか病院見学に行きにくいかもしれませんが・・・・、
可能な限り、病院見学に行ってください。
レジナビなどのWeb病院説明会で情報収集をするのが当たり前になりましたが、それだけでは不十分だと思います。実際に行ってみると、それぞれの病院によって想像以上に雰囲気が違うことに気づくはずです。行けない時には、Web病院説明会で質問コーナーや個別面談のようなコーナーを設けているものが増えているので、積極的に利用して雰囲気をつかむのが良いと思います。
病院見学に行った際のポイントは・・・、
指導医クラスの話は、半分程度に聞いておけばOKです。なぜかと言えば、基本的にイイことしか言わないからです(編集長も自覚があります・・・)。
必ず研修医たちに直接話を聞きましょう。そしてあなたの知りたいことを質問してみましょう。研修医も1年前には同じように悩んでいた訳ですから、たとえあなたがつまらない質問かもと思っても、そのような質問こそ聞いておくべきです。一番参考になる答えが返ってくるはずです。
そして研修医たちの元気の良さや看護師さんや技師さんたちの雰囲気にも注目してみて下さい。研修医を育ててくれるのは指導医だけではありませんからね。
さらに、気になっている病院や候補として考えている病院には2回、3回と見学に行ってみることをおススメしています。何故かと言えば、どうしても初めてのところは緊張するし、余裕がないので周りを見ているようで見えていません。2回目になると余裕ができて、おなじ病院見学でも見える風景が違うはずです。
加えて1回目にあった研修医が、2回目にはものすごく頼りになる研修医に見えるはず。この時期なら、1年目でもかなり仕事ができるようになっていますので、そんな研修医の姿を見ると、あなたの研修のイメージも描きやすくなるはずです。
当院に病院見学に来ていただいた方からは
・研修医の先生が担当してくれて質問しやすかった。
・昼食の時に研修医の先生とお話する時間が確保されていて、聞きたいことを全部聞くことができ、とても参考になった。
・研修医の先生方が当たり前のように現場に溶け込んでいて、手技もこなしていて、自分もこんなにできるようになれるのか、という驚きと期待感が強く印象に残りました。
などのコメントをいただいています。
そろそろ冬休みの病院見学の申し込みをいただいています。コロナの影響は読めないところがありますが、できるだけ病院見学を受け入れる方針でいます。あなたもお早めに下のリンクからお申し込みください!
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(編集長)
先日は徳田安春先生に
お越しいただきました♪
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救命救急センターだより「病院前診療における脳卒中診断2」
空飛ぶ消化器内科医を夢見て日々奮闘しておりますnaoです、こんにちは。
前回の記事が中途半端で終わってしまいましたので、続きです。
病院前の脳卒中診断のためには「シンシナティ病院前脳卒中スケール」というのが有名かと思います。これは
- 顔面筋の左右差
- Barre徴候
- 構音障害
で脳卒中の可能性を判断するものです。
最近の脳卒中の病院前診療では、血栓回収の適応があるLarge Vessel Occlusion(LVO)を的確に見抜くことも大切になります。そこで日本医科大学から提唱されたのが、ELVO screen (Emergent Large Vessel Occlusion screen)です。これは
- 眼球変異のチェック
- 眼鏡や時計を見せて、これは何ですか?と質問する
- 4本の指を見せて、指は何本ありますか?と質問する
2は失語、3は視野欠損や半側空間無視に焦点を当てた質問だそうです。LVO予測としての感度は85%、特異度は72%と報告されています。
LVO screeningについては現在研究が活発に行われているようで、兵庫医科大学からJapan Urgent Stroke Triage score(JUST score)というものも発表されています。これで脳卒中の可能性だけでなく、LVOなのか、脳出血かSAHかといった病型まで分類できるといわれています。発表時21項目でしたが、より簡便性を高めるためにJUST-7 scoreといって7項目まで減っています。
OJTとしてヘリミッションで救急科Drにくっついていくと、指導医の先生たちは現場でこれは出血っぽいとか梗塞っぽいとか判断しているのですが、自分には脳卒中だろうというところ止まり、正直なところ病型の分類ができないので、JUST scoreを使いこなして病型分類にたどり着けるようになりたいと思っています。
現場活動では、なにかと経験が大切に感じますが、足りない経験は専門家の知恵を借りて補いましょう!笑
(Nao)
ドクヘリの格納庫内
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「できない」を「できる」に変える方法
例えば、あなたがCVやPICCを入れるとき、またはERで挿管するとき、指導医からやり方を教えてもらったり、すでに経験済の同期から教えてもらったり、シュミレーターやYouTube動画で勉強してから臨みますよね。もちろん初めから上手くできる人はいませんが、何度か失敗すると「自分には向いていない」「できない」と思ってしまい、ついついやらなくなりませんか?せっかく指導医から「やってみる?」と言われても、些細な理由をつけてチャンスを同期に譲ったり・・・。
我々の脳は一度「できない」と思うと、「できない」記憶の連鎖がループのように回り始め、なかなかそこから抜け出せなるクセがあるそうです。それをそのままにしておくと、ホントに「できない自分」が作られてしまいます。今回はそんな「できない」から「できる」に変える方法を紹介します。
1.「できなかった」記憶を「できた」記憶に変える
失敗の記憶は、少し見方をズラしてあげると「できた」記憶に変えることができます。たとえば、過去の失敗から「できた」を探すことで記憶をポジティブなものに変えることができます。
例えば、エコーガイドでPICCの挿入を例にすると、「PICCを挿入できなかった」という失敗があったとして、その記憶をあらためて見直して「できた」ところを振り返ってみましょう。
例えば
・患者さんの体位はよかった
・エコーで目的の血管はきれいに描出できていた
・患者さんに上手く声掛けできていた
など、いろいろ出てくると思います。我々は何か失敗して、不快な感情、恥ずかしかったという感情がわくと、「全然ダメだった…」と一般化してしまうクセがあります。でも、100%ダメってことはまずありません。些細なことでOKなので、「できた」と思えることを1つずつ思い出してみると、「できなかった」が「できた」という記憶に変わってきます。
2.「何ができていないか」を具体化する
これとは逆に「何ができていないか」をできるだけ具体化していく作業も重要です。前述のとおり「全然できなかった」と一般化して認識してしまいがちですが、これではどう改善したらいいかわからないから「できなかった」という自分が強化されるだけです。なので、「何ができていなかったか」を具体的にすることが重要です。
先ほどのPICC挿入での失敗を分析してみると
・左手で持っていたエコーが動いてしまい、針先を見失った。
・消毒前にエコーで確認した時の体位と消毒して覆布をかけた時の体位が少し変わってしまい、見えにくくなった。
・穿刺は上手くいったけど、左手で持っていた外套を動かしてしまった。
ということが出てくるかもしれません。何ができたのか?何ができなかったのか?を具体的に分けることで次の改善案やアクションが生まれて、「できた」「乗り越えた」という記憶に変えることができます。
ただし、できなかった記憶と向き合うことは辛いので、みんなやりたがりません。でも、みんなやらないからこそ、これをやることで大きな差がつきます。プロフェッショナルは、「できなかった」体験と向き合うプロでもあります。ぜひ失敗と向き合って、「できる」を少しずつ増やしてみてください。
(編集長)
PICC挿入♪
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成人Still病
県央レジデントセミナーで行った症例提示からのシェアです。前回は皮疹を伴う発熱患者を診察する時のポイントをシェアしましたが、その患者さんの診断は成人Still病でした。そこで今回は成人Still病についてのまとめをシェアします。
Still病とは関係ないですが、10月30日に水戸漫遊マラソンが開催され、研修医もランナーとして、また救護ボランティアとして参加しました。インスタにありますのでぜひご覧ください。
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どうもこんにちは。新潟県産もやしです。10月20日にレジデントセミナーが開催され、症例発表させていただきました。とても緊張して、早口になったり、視聴者の質問に上手く答えられなかったりと反省点が多々ある発表でしたが、良い経験になったと思います。
さて、今回症例提示した患者さんは成人Still病でしたので、成人Still病について少しまとめたいと思います。成人Still病は全身性の炎症疾患で病因は不明です。比較的若年成人女性に多いですが(平均年齢38.1歳)高齢者の発症例も報告されています。
【臨床徴候】
T細胞やマクロファージの活性化に伴う高サイトカイン血症によって引き起こされる多彩な臨床徴候を呈します。頻度が多いものとして高熱、関節痛、皮疹がありますが、咽頭痛、筋痛、眼球症状、神経症状、心筋炎などもきたします。多くは敗血症を思わせる臨床像で来院されるため、発熱+皮疹やリンパ節腫脹、関節痛の鑑別疾患として成人Still病を挙げましょう。
・発熱:39度以上に上昇し、解熱する弛張熱の熱型をとります。感染症とは異なり、消耗性が少なく解熱時には比較的元気で食欲もあります。
・関節痛:膝、手首、足首、肘、肩などの比較的大きな関節の関節痛や関節炎が多いです。関節炎の程度は体温と並行することが多く、高熱時に疼痛や熱感は著明となりますが、解熱時は症状改善します。
・皮膚症状:サーモンピンク疹と表現される紅斑性丘疹で直径は数mm程度です。特に初期には発熱時にのみ出現しやすく、解熱時に消褪します。掻痒感が少ないのも特徴です。
【診断】
感度・特異度ともに高い山口らの成人Still病の分類基準が用いられます。合計5項目以上(大項目は少なくとも2項目以上)で成人Still病と分類されます。
【治療】
NSAIDsとステロイドが基本的な治療です。
・軽症例(発熱と関節症状が主体で臓器病変を伴わない):NSAIDsのみで寛解にいたります。
・多くの症例:中等量のステロイド(プレドニン20-40mg)を用います。
・重篤な臓器病変(間質性肺炎、漿膜炎、中枢神経症状)を伴う重症例:ステロイドパルス。トシリズマブ(IL-6阻害薬)を使用することもあります。
成人Still病はなかなか遭遇する疾患ではないかもしれませんが、成人Still病を疑った際は参考にしてみてください。疾患特異的な徴候や所見はなく、特に病初期には典型的な所見が揃わないことが多く、診断が難しいです。診断するときに大切なことは、盲目的にならず除外すべき疾患(悪性腫瘍、感染症、膠原病)をしっかりと鑑別にあげることです。
(新潟県産もやし)
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救命救急センターだより「病院前診療における脳卒中診断」
空飛ぶ消化器内科医を夢見て日々奮闘しておりますNaoです、こんにちは。
病院前診療において、ドクターカーとドクターヘリに求められる役割に少し違いがあります。(これは多分に私の個人的な意見が含まれるため、一部当センターの基本姿勢と相反する部分があるかもしれません)
本来的には病院前診療というものは病院到着前に迅速に医療介入することが主目的です。当院が水戸市と共同運航するドクターカーは患者搬送能力を持つ、いわゆる救急車方式ですが、病院・地域によってはラピッドレスポンスカーという、単に医療従事者を搬送するためだけの方式もあります。どちらにもメリット・デメリットがあるわけですが、単純にラピッドレスポンスカーって見た目が非常にかっこいい車が多くて憧れますよね(注:個人の感想です)。
つまり、ドクターカーの場合、病院への搬送能力だけで言った場合、救急車を超えることは全くないため搬送手段としてはドクターカーは不要です。あくまで現場への医療スタッフ派遣、あるいは搬送途上での医療スタッフ接触です。
極論では、ABCDの異常に対してのみドクターカーは価値を持ちます(ABCDの異常があっても救命救急士に許される特定行為は非常に限定的です)。
一方で、ドクターヘリは少し意味合いが変わってきます。というのは、搬送能力が(条件によっては逆転することもありますが)救急車よりも高いという点です。この場合の能力はあくまで搬送に要する時間という意味になります。
ですので、脳梗塞、特にLarge Vessel Occlusionではドクターヘリの搬送能力が求められることになります。脳梗塞疑いに対してドクターカーが出動する意味合いは低いが、ドクターヘリでは意味がある(私個人の意見ですが)と考えます。
かといって、脳卒中疑いの患者を何でもかんでも血管内治療可能な医療機関に運んでしまってはキャパシティオーバーとなってしまいます。もちろん、アメリカの脳卒中センターのように1日何十件でもかかってこい、という状況なら別ですが、日本の医療事情はだいぶ異なります。つまり、現場で脳梗塞なのか、脳出血なのか、脳梗塞なら血栓回収の適応がありそうかどうかなどを判断していく必要があります。
そこで役に立つのがELVO screeningなわけですが、今日は長くなってしまったので来週に続きます。タイトル詐欺みたいになってすみません。
(Nao)
ドクヘリに患者収容
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【御礼】3年連続フルマッチ!
先日マッチングの結果が発表されましたが、当院は3年連続でフルマッチでした!
これも関係者の皆様のご協力、特に当院の研修医たちがていねいに見学に来てくれた医学生の対応をしてくれたおかげです。心より感謝申し上げます!
マッチングの順位を決めるにあたっては、例年のことながら院内でかなり長い時間をかけて当院の希望順位を検討しました。面接でも一緒に仕事したいなと思う方ばかりだったので、かなり悩んだ末の順位付けでしたが、マッチしなかった方にはホント申し訳ない気持ちです。でも、当院には後期研修などの今後の機会でお越しいただき、ぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。
来春から仲間に加わってくれる10名には、期待以上の成長をサポートできるように、指導医はもちろん先輩となる今のJ1も心して準備を進めたいと思います。
医師国家試験まではもう少し時間があります。寒くなる時期ですので、体調を崩さずに頑張ってください!
(編集長)
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皮疹を伴う発熱患者を診たときは
10月20日のことですが、第33回目となる県央レジデントセミナーがハイブリッドで開催されました。
このセミナーは水戸地区の4つの研修病院(水戸済生会総合病院、水戸協同病院、ひたちなか総合病院、水戸医療センター)の研修医が集まって、研修医同士の勉強や交流を目的に年に2回のペースで開催しているものです。
今回は水戸医療センターが当番病院として総合司会を、症例提示を水戸協同病院と当院とが担当し、当院からは司会をJ1の逆井先生、症例提示をJ1の井原先生が務めてくれました。今回は井原先生のスライドからシェアさせてもらいます。
当院の症例は、「症例は50歳台の女性、約2週間前からの発熱で、四肢から体幹に拡大する皮疹を認め、近医で抗菌薬を処方されましたが改善なく当院に入院となりました。」
特徴的な皮疹であれば一発で診断できる疾患もありますが、実際には私たちが見ても良く分からないというのが大半です。ただ、この病歴からは発熱期間が少し長いので、感染症以外の疾患も鑑別に挙げておく必要があります。
では、鑑別を進めていくうえで、どんな病歴や身体所見を聴取したら良いかを井原先生がまとめてくれています。
<皮疹を伴う発熱患者で聴取すべき情報>
旅行歴や動物・植物との接触歴にあるレプトスピラ症は感染経路がネズミや犬などの野生動物からで、野外活動(レジャー、研究活動、農作業)、都市部のネズミから感染することがあります。
また、ツツガムシやマダニなどの流行地域に行っていないかも確認しましょう(茨城県はツツガムシ発生ありです)。
Sick contactでは家族構成も重要で、茨城県は敷地内同居が多いので、夫婦二人暮らしといいつつも、同一敷地内に息子さん家族の家があって、幼稚園のお孫さんと毎日接触している、なんてことがあります。
ぜひチェックリスト代わりに使ってみてください♪
(編集長)
発表風景
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外来診療をスムーズにする10のコツ その3
「外来診療をスムーズにする10のコツ」の続きです。
7)受療行動を把握する
同じような症状で、繰り返し受診しているのか、他の医療機関にかかっているのかを把握します。他院でも検査や処方を受けているのなら、その結果がどうだったのかを確認しましょう。患者さんの解釈モデルの理解につながり、検査や治療計画を立てる時に無駄な検査を省けます。同時に家庭環境や仕事の状況も聞き出すと、これらの計画を立てやすくなります。
8)要約を述べる
患者さんによっては、同じ話を繰り返してなかなか終わらない人がいます。こんな時は、例えば動悸が主訴なら「日中の仕事をしている時は何ともないけど、ホッと一息ついてソファに座ったり、夜にお布団に入って眠りにつくまでの間に、脈が抜けるような、ドキッとする感じがあるんですね」というように、患者さんの話を要約して、確認してみましょう。
こうすることで、患者さんもちゃんと話を聞いてもらえていると実感できるし、患者さん自身も問題点を整理できるようになります。
9)質問や追加したいことがないかを尋ねる
患者さんからの話を聞いて、こちらの方針もだいたい定まってきました。検査の予定などを決めて、そろそろ診察を終えるタイミングで、「他に聞いておきたいことはないですか?」と一言付け加えましょう。
この一言で患者さんは一生懸命話を聞いてくれていると感じて、より印象が良くなります。またこの質問をきっかけに、いままでスッキリ理解できなかった患者さんの解釈モデルや受診動機が判明することがあります。
10)次のステップを示す
患者さんにいろいろと話をしますが、残念ながら実はよく理解できていません。それは仕方ないことです。患者さんは「で、どうすればいいの?」と思っているのです。なので、「次は1週間後に検査結果を説明します」など具体的な次のステップを示しましょう。これは患者さんの記憶に残りやすいようにワンフレーズにするとイイかもしれません。
紹介してきた「外来診療をスムーズにする10のコツ」を使って、あなたも外来診療を楽しんでみてください!
(編集長)
研修医の外来診察室
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病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
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◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
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