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水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
自分のペースで仕事をするコツ
仕事を始めて半年がたつこの時期は、あなたも仕事に慣れてできることが増えてきているはずです。最初のうちは何から何まで指導医に確認していましたが、最近では細かいチェックも少なくなって、任せてくれるようになったので、逆に不安だったりします。
指導医ほど処理速度が速くないので一つ一つ仕事を処理していくのですが、病棟からのコールのたびに仕事が中断されてしまい、なかなか仕事が進まない、間違ってしまいそうになる、と思ったことはありませんか?
実際のところ仕事を中断されるのは生産性を下げるし、間違いも多くなることが分かっています。
となると、病棟からのコールを極力減らすことができれば、自分のペースで仕事ができて、生産性が上がって、間違いも少なくなるはずです。(そんなうまい話がある訳ないと思わないで、最後まで読んでみてください♪)
病棟からのコールを減らすには、その傾向を把握しておくことが大事です。あなたも何となく気づいているはずですが、病棟からのコールが多いタイミングには2つあります。
1つ目は、どこの病院でも病棟の看護師からPHSに連絡が来るのは申し送り前後です。日勤の看護師が準夜の看護師に申し送るために、日中の出来事をまとめておく必要があります。具体的には16時前には日勤看護師の情報収集が始まっていますから、もし、この時点で翌日の点滴のオーダーが出ていなければ確認しなければいけません。もし、翌日に手術や検査が予定されていれば、その準備が必要なので、食事とかクスリを確認しなければいけません。
2つ目は、患者さんが入院した時です。原則論として、医師からの指示がなければ看護師さんは何もできないことになっています。なので、「何やりますか?早く指示簿を書いて下さい」となる訳です。でも、この時点であなたは指導医から、どんな患者さんかを聞いていないことが多いですよね。それで看護師さんへの指示出しを後回しにしてしまう。するとまた病棟からPHSが鳴らされて・・・、と悪循環です。
対策としては、翌日のオーダーやルーティンの指示は16時前に出しておくことです。予定入院なら指導医から朝のうちにやっておくことを聞き出しておく、予定外の新規入院患者さんについては、入院の知らせがあったらすぐに、指導医に方針の確認をして、その足で患者さんの様子を見に行き、挨拶をしてしまうことです。こうすることで、とりあえずの指示は書けます。そして、分かる範囲で指示やオーダーを出して、足りない部分は後で付け足せば看護師も分かってくれます。
看護師も患者さんに何をしてあげられるのか? 大事なことは何か?の情報共有や方針の確認をしたいのです。ここをおさえておけば、病棟からのコールを減らすことができるはずです。看護師さんたちを味方につけて、効率の良い仕事を出来るように工夫してみて下さい。
(編集長)
カテ中にコールされるのもストレス・・・
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
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当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
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救命救急センターだより「子育てとスマホ」
皆さんこんにちは。空を夢見る消化器内科医です。
当救命救急センターではInstagramをはじめました。「水戸済生会救命救急センター」でぜひ検索してください!
さて、当救命救急センターで運用しておりますドクターカーですが、これは水戸市からの委託で水戸市消防と共同で運用しています。365日8時半ごろから17時ごろまで稼働しています。
ドクターカーの車両および2名の救急隊員は水戸市から、医師と看護師は当院のスタッフになります。そのため、出動の際には救急隊とコミュニケーションをとる機会にもなり、いろいろな情報を得る機会にもなります。
先日、小児の事案で出動した際に救急隊から言われた話で、はっとしたことがありましたので記事にさせていただきます。その日の要請内容は幼い子が遊具で遊んでいた際に転落し、頭部打撲で意識混濁とのことで覚知要請(119通報があった時点で要請内容から重症度が高いと判断しドクターカー出動)されました。実際には先着隊が軽症と判断してキャンセルとなりましたが、帰路に救命士と話している際に、一つ大切な話を聞いたので皆さんにもお伝えします。
その救命士さんも幼い子を持つ親であり、お子さんを公園に連れていく際などに周りの親御さんの様子で思うところがあったようです。というのも、最近はスマホの画面ばかり見ていて、お子さんが危険な行動をしていても全く見ていないというシーンが多く、スマホさえなければ防げる事故も多かろう、と日々思っておられるとのことでした。そのためその方は子守の時はスマホは家に置いて、通話にしか使えないガラケーを持って歩いているそうです。そのせいでスマホに子供の写真が少ないのが難点だ、とおっしゃっておられましたが・・・。
多くの場面でこの判断の仕方は大切だと思いました。自分は今何を最優先に行動すべきなのか、ちゃんとそれを考えていかなければならないな、と思った次第です。
(Nao)
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CPC報告 赤痢アメーバ(2)
CPCからのシェアの続きです。
症例は50歳台の独身男性。主訴は下痢、腹痛でした。近医で加療を受けたものの症状改善なく、腎機能も悪化したため当院に紹介となった患者さんで、約1か月の経過で腸管穿孔、汎発性腹膜炎、多臓器不全となり亡くなったケースです。
<赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)>
【重症化リスク】
糖尿病、アルコール中毒、悪性腫瘍、妊娠、ステロイド投与、免疫不全状態など
【診断】
・糞便検査で原虫(嚢子or栄養体)を検出 → 栄養体は速やかに検鏡することが重要
・内視鏡検査:多発する潰瘍病変、潰瘍間の粘膜は正常であることが多い
・E.histolycaに対する血清抗体検査も有用であったが2019年3月時点で試薬製造が中止された。
→現在はE.histolycaの抗原検出法やPCR法による検出は一部の施設に依頼可能である。
【治療】
・メトロニダゾール内服が第一選択
・治療効果判定 → 治療終了1-2週間後に糞便検査で赤痢アメーバの陰性化を確認する。
・メトロニダゾール治療後に嚢子に対する治療として、パロモマイシンによる根治治療が推奨される。
この症例の反省点は、渡航歴や性交歴の確認ができていなかったため、赤痢アメーバを鑑別に挙げられていなかったことに尽きます。独居の独身男性のため性行為感染症(STI)も鑑別に入れるべきで、もし把握できていれば鑑別に挙げることは比較的容易であった可能性が高いです。しかし一般的に、性行為感染症(STI)の鑑別に性交歴を聞き出すのは、ある程度患者さんとのコミュニケーションが取れていないと聴取は困難ですし、家族も把握していないのは当然です。この症例のように急速に病状が悪化する時は、さらに聞き出すのは困難になります。当院に入院した時点で重症化していたので、結果は変わらなかったかもしれませんが、もしかしたら助けられた症例であったと思うと悔しいですね。
今回は赤痢アメーバによる重症腸炎の症例でしたが、良く分からない症例ほど病歴を詳細に聴取することがとても大事で、聴取した病歴からいろいろな可能性を考えて鑑別疾患を挙げていくことができます。良く分からないときは患者さんのところに行ってみると大きなヒントが隠されています。
(編集長)
赤痢アメーバの栄養型
(大腸病変部の固定標本)
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CPC報告 赤痢アメーバ(1)
先月のことですが、院内でCPCが開催されました。CPCでは2症例が提示されましたが、そのうちのJ2の2人が発表してくれた赤痢アメーバによる重症大腸炎の症例を2回に分けてシェアします。
症例は50歳台の独身男性。主訴は下痢、腹痛でした。近医で加療を受けたものの症状改善なく、腎機能も悪化したため当院に紹介となった患者さんで、約1か月の経過で腸管穿孔、汎発性腹膜炎、多臓器不全となり亡くなったケースです。
ちなみに、この症例の診断のキモは問診でした(次回に紹介します♪)。
<赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)>
【感染経路】
感染者の糞便に排泄されるシスト(嚢子)の経口感染による。発展途上国では汚染された水や飲食物を介して感染が起き、本邦では同性間・異性間性的接触(口腔・肛門性交)で感染する
【流行地域】
発展途上国を中心に世界中で流行。本邦では流行地域への渡航・滞在、男性同性愛者間、知的障害者施設入所者に多い
【発生頻度】
日本では年間800件ほどで、9割が男性
【潜伏期間】
通常2-4週間が潜伏期間だが数か月~数年に及ぶ場合もある。
【症状、検査所見】
感染者のうち5-10%が発症。
イチゴゼリー状の粘血便、下痢、テネスムス、排便時の下腹部痛、体重減少など(発熱に至る例は肝膿瘍を認めることが多い、基本的には稀)。盲腸~上行結腸、S状結腸~直腸など大腸に病変が多い。時に肉芽腫様病変や潰瘍部が壊死性に穿孔することがある。
(編集長)
矢頭はS状結腸壁の菲薄化・大きな穿孔
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救命救急センターだより「スマートデバイスとこれからの医学」
皆さんはスマートウォッチなどを使用しておられるでしょうか?
原理を調べていないのですが、アップルウォッチが心電図のモニタリング機能を搭載するようになるなど、これまでは病院にしかなかった医療機器を、だれもが身に着ける時代になってきました。当院の救急外来にもスマートデバイスからの「指示」で救急外来を受診するケースが散見されるようになってきました。これからご紹介するケースは実例で、ご本人様にもブログで紹介させていただくことをご了承いただいたものになります。
50代の特別な既往のない、自立生活を営む女性が、起床時に息苦しさを自覚されました。アップルウォッチで経皮的血中酸素飽和度を測定したところ、普段は97-98%であるものが88%程度とのことで病院を受診されました。
病院でSpO2を測定したところやはり88%程度とのことで、急いで検査を始めました。担当してくれた研修医の先生もとても優秀で、しっかりと低酸素血症の鑑別を頭に入れながら検査を組み立ててくれました。
心電図やレントゲンでは特に問題は指摘されませんでしたが、採血でd-dimerが30程度と異常高値であり、CTにて肺動脈血栓塞栓症を指摘し、遅滞なく循環器内科へコンサルし治療に移ることができました。
「私ちゃんと考えて最初からd-dimer取ってましたから!」ドヤァと素敵な笑顔な研修医の先生でしたが、引き続きいろいろな経験をしながらより頼もしく成長してくれることを願っています。
当院の救急外来では研修医の先生たちが一生懸命勉強しながら地域医療を支える重要な戦力として頑張ってくれています。医学生の皆さんも当院で一緒にドヤ顔医療しませんか?医学生の皆さんの当院の救命センターの見学をお待ちしております!
(Nao)
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感染性心内膜炎に細菌性髄膜炎を合併した一例 松永先生の感染症カンファより
9月13日に松永先生による感染症カンファが行われました。その際、症例発表した患者さんについて軽くまとめます。
患者さんは既往に糖尿病がある施設入所中の84歳男性。入院1週間前より発熱を認め、なかなか改善しないため入院されました。入院当初は、尿検査より尿路感染症を疑い、セフトリアキソン(CTRX)を開始しましたが、尿のグラム染色でグラム陽性球菌(GPC)を認め、次に血培でGPC4本/4本で陽性と判明したため、バンコマイシン(VCM)を追加しました。後日、尿培・血培の結果が分かったのですが、結果はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)でした。
さて、ここまでで違和感を感じたあなたはスバラシイです。尿路感染症の原因としてMSSA??
尿路感染症の原因菌として多いのは、大腸菌などのグラム陰性桿菌(GNR)であり、MSSAの頻度は多くありません。松永先生のカンファでもよくでてきますが、感染症治療を考えるときは下図の三角形を意識すると良いです。
どこに?何が?を意識して他に熱源がないか精査したところ、心エコー検査で感染性心内膜炎(IE)の診断となりました。また意識レベルが悪く、頸部硬直を認めたため、髄液穿刺をしたところ、多核球優位の細胞数高値を認めました。この患者さんはIEに細菌性髄膜炎を合併していたのです。
では治療はどうするのか。MSSAのIEのみならば第一世代セフェムのセファゾリン(CEZ)でいいのですが、髄膜炎を合併している場合、CEZは下図のように髄液移行性がないため使用できません。今回の症例は髄液移行性を考慮してCTRXを6W投与しました。しかし、CTRXはMSSAをカバーしているものの抗菌活性は強くありません(CEZに劣る)。
実際のところIEのMSSA髄膜炎合併例に対する治療は現場で苦心する状況であり、苦肉の策としてセフェピム(CFPM)やメロペネム(MEPM)などの広域抗菌薬を使用することもあります。(MSSAごときに緑膿菌をカバーする広域抗菌薬か、、、泣)
具体的な例として、髄膜炎用量で抗菌薬(CFPM、MEPM、CTRXなど)を2週間程度投与し、髄液フォローした後に、CEZを4週間投与するという治療戦略があるそうです。
※国内では承認されていませんが、海外ではMSSAに強い抗菌活性があり、髄液移行性がある抗菌薬にナフシリンやオキサシリンというのもあります。このためMSSAの髄膜炎で悩むことはないそうです。
(新潟県産もやし)
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高齢者の診察でおさえるポイント DEEP-IN
入院患者さんはご高齢の方がもともと多いものですが、最近はホントに高齢の入院患者が多くて、担当患者のなかで一番若い方の年齢が88歳ということも稀ではありません。ERでも外来でも同様で、ご高齢の患者さんの対応は欠かせないものになっていることに、あなたも何となく気づいているはずです。
さらに年齢だけでなく、合併疾患も非常に多く持っているので、疾患ベースで考えようとすると思考停止になりがちです。でも、患者さん全体を把握して何を優先すべきかを考えることが高齢者診療では大事なことで、これにはコツがあります。
今回はそんな時に役立つ高齢者のアセスメント法のひとつ、DEEPーINについて紹介します。
DEEP-IN は
D:Dementia,Depression,Delirium,Drug(認知機能、抑うつ、せん妄、薬剤)
EE:Eye & Ear(視力、聴力)
P:Fall&Physical function(転倒、身体機能やADL)
I:Incontinence(失禁)
N:Nutrition(栄養、体重減少)
これらのポイントを「すべての高齢者に」、「ファーストタッチの時に」行うことで、後の診療がが非常にラクになります。
具体的に見ていきましょう。
D:認知機能は、家族のこと、服用している薬のことなどを質問して、あやふやな答えなら「認知症があるかもしれない」と把握しておくだけでOK。あとで改めてMMSEなどをやればよいでしょう。
D:抑うつは高齢者に高頻度に見られ、不眠を主訴にしている場合もよくあります。介入で改善する可能性があるものだという認識を持ちましょう。
D:せん妄は成書をみるといろいろ書いてありますが、「いつもと違う」状態と思えばOK。問題はその原因が何か?です。
D:薬剤については、高齢者のポリファーマシーが問題になっているのは聞いたことがあると思いますが、まず何を服用しているのか?どんな病名で処方されているのか?を把握すること。でもこれがかなり大変な作業になることがしばしばです。
E:視力についてはメガネの有無はもちろん、「目が見えにくくて生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
E:聴力も同様で、「聞こえにくくて生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
P:身体機能は杖や車いすの使用の有無、転倒歴(骨折歴)の確認をすればとりあえずOK
I:失禁については質問しにくいですが、大人用おむつを付けている人も多いので、聴診する時などにそっと確認します。
N:栄養は、おいしく食事を摂れているか? 体重が減っていないか?などの質問に加えて、ベルトやズボンのサイズが明らかに合っていないことなどを確認するのもいい手です。
お気づきと思いますが、このDEEP-INは疾患を診断するものではなく、高齢者の機能評価のツールですからざっくりで良いので把握してみましょう。
(編集長)
PICC後の手技の振り返り
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救命救急センターだより「AIUEOTIPS(アイウエオチップス)」
実は空飛ぶ消化器内科医を目指す僕は県外の大学で大学生活をなんと8年もしています。そして何の縁か、大学時代のもとの学年の友人、つまり現在は2年先輩医師となった友人が同じ病院で働いています。その友人との会話。
友人脳外科医:「研修医になるとかかる病気があるんだよ。学生のうちは大丈夫なんだけど、学生のうちはあんなにちゃんとしてたのに、研修医になったら突然かかるんだよ。知ってっか?」
空を夢見る医師:「そんな病気あったか???」
友人脳外科医:「あるんだよ。『意識障害=脳卒中』病」
空を夢見る医師:「あぁ…」
友人脳外科医:「あぁ、じゃねーよ真面目な話だよ。お前意識障害の鑑別言えるか?」
空を夢見る医師:「えーと、脳出血とか、SAHとか…」
友人脳外科医:「待てよ。意識障害って言ったら、鑑別で覚える有名なやつあんだろ。いきなり脳出血からスタートするなよ。お前も同じ病気かかってんじゃねーのか?お前救急医になりてえんだろ?ちゃんとしろよ。」
意識障害の鑑別:AIUEOTIPS
A:alcohol(アルコール・ビタミンB1欠乏)
Apoplexy(脳卒中)
Acidosis(代謝性アシドーシス、循環不全)
I:Insulin(低血糖・高血糖→糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡)
U:Uremia(尿毒症)
E:Encephalopathy (脳症→肝性脳症、副腎不全による二次性脳症、高血圧性脳症)
Encephalitis(脳炎)
Endocrinopathy(内分泌疾患→粘液水腫、甲状腺クリーゼ、副腎不全など)
Electrolytes(電解質→ Na,K,Ca,Mgの異常)
O:Opiate(麻薬)
Overdose(薬物中毒)
Oxygen(低酸素血症)
CO2(高二酸化炭素血症)
T:Trauma(頭部外傷→脳挫傷、急性硬膜外 血腫、慢性硬膜下血腫)
Temperature(高体温・低体温)
Tumor(脳腫瘍)
I:Infection(感染症)
P:Psychiatric(精神疾患)
Porphyria(ポルフィリア)
S:Stroke/SAH(脳血管障害)
Seizure(てんかん重積)
Syncope(失神)
Shock(ショック)
Senile(老年症候群)
(*他にもいろいろあるので、自分なりのAIUEOTIPSを作ってください)
皆さんは僕と同じ病気に罹患しないよう、しっかりとせっかくの知識を使ってくださいね。
(Nao)
ドクヘリの現場
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感染性心内膜炎(IE)を疑う時
こんにちは。研修医1年目のチャリンコです。研修が始まって半年たちますが、感染性心内膜炎(IE)や、その疑いがある患者さんは思っていた以上に多いなと感じたので、いつ疑わなくてはいけないのかや合併症について簡単にまとめてみました。
【感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)を疑うとき】
感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドラインには『IEとは、弁膜や心内膜、大血管内膜に疣贅を形成し、菌血症、血管塞栓、心障害などをおこす全身性敗血症性疾患である。』と書いてあります。これを読むだけで、IEはとても恐ろしい疾患であることが分かります。
IEの主な症状には発熱、心雑音、体重減少、Osler結節やJaneway病変などがありますが、患者さんの主訴は多彩です。不明熱のエピソードや塞栓症の症状を主訴に来院することも多く、疑っていないと見逃してしまう疾患として有名です。たとえば、腰痛を主訴に来院した患者さんで発熱があったため精査したところ、腰痛の原因は化膿性椎体炎で、背景にIEが隠れていたなんていうことがあります。
では、どんな時にIEを疑えばよいのでしょうか?それは原因不明の発熱や炎症が続いている時、血液培養でブドウ球菌やレンサ球菌などのグラム陽性球菌になった時、その他の菌でも血液培養が陽性になり続ける時です。こんな時は積極的にIEを疑う必要があります。
また、IEの診断をして治療を開始しても油断はできません。多彩なIEの合併症に注意して治療を進めていかなければなりません。
以下にIEの合併症を挙げます。
・心不全: 合併症の中で最も多い。感染による大動脈弁、僧帽弁の弁破壊でおきることが多い。
・塞栓症: 脳梗塞が最も多い。脾臓がそれに次ぐ。その他に化膿性椎体炎、敗血症性肺塞栓症など。
・中枢神経合併症: 脳梗塞が最も多い。その他にTIA、髄膜炎、脳膿瘍など。
・腎障害: 腎梗塞、腎膿瘍、腎炎、抗菌薬による腎障害など。
IEは合併症も多彩であり、特に中枢神経合併症に関しては、明らかな神経症状がなく、頭痛、めまいなどの非特異的な症状のみであっても、場合によってはIEによる合併症を疑ってMRIや造影CT撮影を行う必要があります。反対にIEが疑わしい患者さんで塞栓症や中枢神経の症状をみたら、もしかしたら背景にIEがあるかも!と考えなければなりません。
以上のようにIEは主訴や症状、合併症が多彩で見逃されやすい疾患ですが、疑わしい場合は常に鑑別に入れていれば、もしかしたら…と気づくことができ、早期診断ができるかもしれません。疑わしい時はIEを鑑別からもらさないよう注意したいですね!
(チャリンコ)
松永先生のレクチャー
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梅毒の治療
前回までで、は梅毒の症状と診断についてまとめてきました。最後のテーマは梅毒の治療についてです。
梅毒の治療は、感染症を防ぐほか、合併症の予防につながるので治療歴がなければ積極的に治療します。ペニシリンがすべての病期に
選択すべき抗生物質です。
以下は処方例です。
【第一期・第二期梅毒、潜伏梅毒】
・アモキシシリン2-3gを2回/日+プロベネシド1gを1回/日、経口 14日間
・セフトリアキソン1gを生食10mlに溶解し1回/日、静注 14日間
・ペニシリンアレルギーの場合、テトラサイクリン500mg4回/日、経口 14日間
*後期潜伏梅毒の場合は4週間投与
*アモキシシリンに尿酸排泄薬のプロベネシドを併用するのは、アモキシシリンの尿中排泄を阻害して、血中濃度を維持するためです。
【第三期梅毒】
・筋注用ベンジルペニシリンカリウム720万単位を1週間おきに240万単位ずつ3回筋注
・セフトリアキソン1gを生食10mlに溶解し24時間毎に静注 14日間
治療上最も重要なことはRPRなどの定量非トレポネーマ抗原検査の抗体価が低下し、最終的に陰性化あるいは安定化することの確認です。治療後は3-6か月毎にRPR定量化検査をし、低下しているなら効果あり、4倍希釈以上の値の上昇は再感染、再発を疑わせます。
※Jarisch-Herxheimer反応
第一期・第二期梅毒患者の治療開始後数時間で、発熱、皮疹の増悪、リンパ節腫脹などを生じることがあります。第一期梅毒では半数で、第二期梅毒ではほとんどの症例で生じます。自然に消失するので、薬剤性の発熱と判断して、治療を中断してはいけません。国試でもそろそろ出題されそうと噂されてる内容なので学生の方は覚えておくといいかもしれませんね。
(新潟県産もやし)
松永先生とベッドサイドで診察中
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
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◆内科専門研修プログラム説明会@Zoomを開催します!
来年度からの専門研修をどうするか? 医局はどうしたらいいのかお悩み中のあなた。
医局に属さずに消化器内科、腎臓内科、循環器内科のサブスぺ資格を取得できる
水戸済生会の内科専門研修プログラムについて、下記日程で説明会を開催します。
J2が対象ですが、関心のあるJ1や医学生も参加可能です。ぜひご参加ください。
日時:2022年9月21日(水)20時~(40分程度の予定です)
場所:Zoom
内容:①内科専門研修の概略について
②消化器内科の専門研修について
③腎臓内科の専門研修について
④循環器内科の専門研修について
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送ってるのか?あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
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https://recruit-mito-saisei.jp/entry
◆専門研修ブログもご覧ください!
当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
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