臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

基本的臨床能力評価試験2025

2025.01.23
カテゴリー: 初期研修

毎年この時期は当院の研修医らのテストの季節です。

 

テストと言っても、初期研修医の客観的な臨床能力の実力を知るためのテストで、日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)というNPOが行っている基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)というものです。

 

CBT方式で研修医部屋の自分の机で受験するうえ、夜勤や夜勤明けの研修医が必ずいるので全員そろうこともなく、あまりテストという雰囲気を感じさせないのですが、もちろん真剣に臨んでいました。

 

試験の内容は、基本的臨床能力と言っても幅広い分野から出題され、総合診療をやっている病院には有利な印象を受けましたが、毎日の臨床で経験したことをこまめに振り返っておけば、そこそこできる問題だと思います。英文の問題もボリュームがあって、早く終わる人はおらず、全員が試験時間が終わるまで取り組んでいました。

 

初期研修中はホントに自分は実力がついているのか?と不安になることがあります。自分の実力を知る方法としては、他の研修病院に行った同期の研修医と会話するとか、合同セミナーのような時のちょっとした発言などから、「スゲーやつかも」とか、「自分の方が結構できてるかも」と勝手に判断するくらいしかありませんでした。でも、このテストを受ければ自分の実力が全国でどのあたりなのかが分かるので、とても良い機会だと思っています。

 

受験者の母集団が優秀ですから、テストを甘く考えていると信じられないような低い偏差値になることがあります(笑)。でもJ1よりJ2の方が成績が良くなっていますから、成長しているのが数字にも表れていますので安心しています。さて、今年の成績がどうなってういるのか編集長的にはすごく楽しみです♪

(編集長)

 

テスト中の一コマ

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◆第23回水戸医学生セミナー

~復活!メディカルラリーで救急のエッセンスを体験しよう~

 

2025年3月15日(土)、16日(日)に開催します。

JATEC,MCLSなどの内容を盛り込んだメディカルラリーに挑戦してください!

医学生セミナーの詳細を今すぐ確認する

 

IgG4関連疾患(IgG4-RD)

2025.01.21

60歳代の女性が腎後性腎不全で入院となりました。尿管ステントを入れえて水腎症を解除すると腎機能も改善しましたが、造影CTで後腹膜線維症の疑いと膵頭部腫瘤を指摘されました。こんな時、あなたならどんな鑑別疾患を考えますか?

いろいろ挙げられるかもしれませんが、鑑別の一つに挙げておく必要があるのがIgG4関連

疾患です。そこで今回はJ1のK.T先生がIgG4関連疾患についてまとめてくれたのでシェアします。

 

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皆さんはIgG4関連疾患(IgG4-RD)と聞いて何を思い浮かべますか?名前を聞いたことはあっても詳しくご存知の方は少ないかもしれません。ちょっとだけ一緒に学んでみましょう。

 

【定義】

IgG4関連疾患とは、比較的高齢者に好発し、「リンパ球やIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により、全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める慢性炎症性疾患」と定義されます。

 

【症状・検査・診断基準】

上記に全身諸臓器とありますが、膵臓、胆管、涙腺・唾液腺をはじめとして肺、消化管、腎臓、後腹膜…と挙げればキリがありませんし、症状も多岐にわたります。

 

具体的には自己免疫性膵炎で閉塞性黄疸を呈したり、後腹膜線維症における尿管閉塞による水腎症などなど。体の隅々まで炎症のチェックが必要なため、PET-CTも検査として有用なようです。

 

次に診断基準を見てみます。IgG4関連疾患包括診断基準によれば、

 

1.臨床的及び画像的に単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める。

※リンパ節が単独病変の場合は除く。

 

2.血液学的に高IgG4血症(135 mg/dL以上)を認める。

 

3.病理組織学的に以下の2つを認める。

①組織所見:著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める。

②IgG4陽性形質細胞浸潤:IgG4/IgG陽性細胞比40%以上、かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える。

③特徴的な線維化、特に花筵状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれかを認める。

→上記のうち、1 + 2 + 3を満たすものを確定診断群、1 + 3を満たすものを準確診群、1 + 2を満たすものを疑診群とする。

 

いかがでしょうか。長くなりましたが要するに、「IgG4が増え、体のあらゆるところに腫瘤を形成し、病理学的に特徴的な線維化が見られる炎症性疾患」とでも表現すればよろしいでしょうか。

 

ちなみに上記の包括的診断基準を満たさなくても、臓器別の診断基準は満たすことがあります。またClassificaion Criteriaという別の診断基準もあります。

 

【鑑別のポイント】

特異的な自己抗体のない慢性炎症性疾患ですので、よりコモンな感染や悪性腫瘍を除外しつつ、その他の炎症性疾患を除外することが重要です。

 

【治療】

ステロイドになります。誤って悪性腫瘍に投与した場合も一時的に良くなってしまうことがあるのでしっかりと診断すべきところです。また減量・中断により再発が多いことも難治性疾患と言われる所以です。

 

【国試】

医学生の皆さんに一つお伝えしたいのは、この疾患は日本が先導して情報発信してきた新しい概念ということで、「国試的に出しやすい」とも言われております。具体的には111A08、114A13などに出題されており、今後も対策する必要があるかと思います。

  

まだまだ奥が深く解明されていない疾患です。興味を持たれた方は、ぜひ詳しく調べてみてください。

(K.T)

 

ICUの回診中

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なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、

下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。

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メディカルラリーとは?

2025.01.18
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

ただいま第23回水戸医学生セミナーの参加申し込み中です!

続々とお申し込みをいただいています。

定員が12名と少ないですので、お早目にお申し込みください!

 

医学生セミナーの詳細はこちら

 

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あなたはメディカルラリーをご存知でしょうか?

 

医学生のあなたはメディカルラリーなんて聞いたことが無いかもしれませんが、水戸医学生セミナーの参加者が一番悔しがってリベンジを心に誓うのが、このメディカルラリーです。

 

コロナで一時途切れましたものの、救急科の先生たちや救急隊が参加するメディカルラリーは国内各地で行われていますが、日本でのメディカルラリーは2002年に開催された大阪の千里メディカルラリーが日本で最初のラリーでした。

*YouTubeで「千里メディカルラリー」と検索するとたくさん出てきます。

 

なぜ国内でラリーが開催されるようになったのか?これには水戸済生会の前救命救急センター長である須田先生が深く絡んでいます。

 

須田先生はとっくに還暦を過ぎていますが、今でも時々、ドクターカーやドクターヘリに搭乗している筋金入りの救急医です。この須田先生が海外でメディカルラリーなるものがあると聞いて、2001年に他の2人のドクターと参加しました。そのラリーはメディカルラリーの元祖と呼ばれるもので、今から約30年前の1997年からチェコで開催されている「Rallye Rejviz(ラリー・レビー)」です。

 

須田先生らはこの大会に日本から初めて参加した訳ですが、結果は散々なものだったそうです。例えば、車で指定された場所に行き、そこで「あの建物の中で何かあるぞ」と言われ、そのまま入ったら銃で撃たれてすぐにゲームオーバーになったり、診断を付けることに気を取られ過ぎて周りの状況が把握できず時間切れなど、大会スタッフに「何しに日本から来たんだ?」と言われたそうです。

 

安全確認をしないで救急活動を始めてはダメという基本が頭に無かったり、院内の救急室と同じ感覚で野外での活動をしたりと、須田先生らはかなりショックを受けたそうです。

 

でも、実際の車がひっくり返してあるなど、町中がステージになっている臨調感いっぱいのラリーは非常に楽しかったので、日本に帰ってきて、一緒に参加した先生方と国内でラリーを開催したいと意見がまとまり、翌年の千里メディカルラリーの開催に至ったという話です。

 

水戸医学生セミナーのメディカルラリーでは、2010年の開催当初は須田先生にシナリオを作っていただいていました。ある意味、日本初のメディカルラリーの流れをくむ由緒正しい(?)メディカルラリーと言えます。そしておそらく国内唯一の医学生限定メディカルラリーです。

 

過去の参加者の感想は

↓↓↓

・メディカルラリーは初めてだったが、机上で学んだ知識を実際に活かすことの難しさを感じた。

・初めてのラリーで、患者さんを助けられませんでしたが、とても楽しかったです。またリベンジしたいです。

・打ちのめされました。

・実際の災害現場を模して体験することで、いつかこの場を経験した時にしっかり判断して適格な指示をできるようにしたいです。

・現場に出たときに自分がどのような問題に直面するのかを知るための良い機会だった。

 

スタッフの迫真の演技で、まさに実戦さながらのラリー

 

ぜひあなたも、水戸医学生セミナーのメディカルラリーに挑戦してください! 

 

セミナーの詳細は下記URLをクリックし、ページ最下段のお申し込みフォームからお申込みください。定員になり次第、受付を終了させていただきます。

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【開催概要】

【日程】 2025年3月15日(土)、16日(日) 1泊2日

     (1日目は13時開始予定。2日目は13時30分終了予定です)

【場所】 水戸済生会病院  

     (宿泊は水戸市内のビジネスホテルを予定)

【対象】 全国の 医学部 3、4、5年生 計12名

【内容】 1日目 JATEC、MCLSを中心とした講義と実技

         2日目 水戸済生会総合病院でのミニメディカルラリー 

【費用】 参加費、宿泊費は無料(病院までの交通費はご負担ください)

(編集長)

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国試前の過ごし方

2025.01.16
カテゴリー: 初期研修

年が明けて、国家試験まで1か月を切りました。

 

受験するあなたも、トップギアに入っていると思います。日本海側は大雪のところが多いようですが、どうぞ体調管理に気を付けて過ごしてください。

 

さて、昨年もこの時期に先輩から国試前のあなたにアドバイスの記事を載せました。今回は当院J1のメッシ先生からの記事です。どうぞご覧ください。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

受験生のみなさんへ。
国試まで一ヶ月を切り、不安と焦りでいっぱいになっているかもしれません。国試を受けてまだ一年たってない私から、昨年の経験を踏まえ少しでもアドバイスできればと思い、この記事を記載しました。参考程度に読んでいただければと思います。
 
国試前に一番大事なのは勉強時間でも内容でもなく、体調管理だと私は思います!!当然まわりの皆んなと同じ流れで勉強することは大事ですが、体調を崩してしまっては何もできなくなってしまいます!こんを詰めすぎるのも良くないですね。よく食ってよく寝る、これにつきますね。
心配事は人それぞれですが、全国の医学部6年生はみんな何かしら心配事あります、ない人なんていません!だから大丈夫です!体調管理に気をつけて過ごしましょう。
 
国試の内容は膨大で網羅するだけでも数ヶ月単位と時間かかりますよね。そんな大量の内容を網羅する試験の1ヶ月前って逆に何したらいいか分からないってことありませんでしたか?自分はそうでした。苦手なところや抜けてるところ挙げたらキリがなかったですが、かといって全てきっちりやっていては時間がない。そうすると何から手をつければいいか、試験1ヶ月前のタイミングで自分はふとそう思う時がありました。
解決法としては、ある程度妥協することかなと思います。自分で判断できなければ仲の良い友達と話してこれは後回しでいいんじゃない、なんて感じで自分の中で優先順位決めることかなと思います。具体的にはメジャー科かつ国試に出る割合が多い診療科の問題を再度重点的に解く、予備校の教材使用している方はそこで重要と言っていた箇所を隠して自分なりの一問一答をしてみるなんてのがよろしいのではないでしょうか。苦手な診療科の問題を回すこともいいでしょう。しかし、個人的にですが、例えばマイナー科の苦手科目を回すくらいだったらメジャー科を回すに尽きるのかなと思います。
 
医学部は情報戦社会でもあったりします。笑 例年色々な予備校からも今年の傾向であったり、トレンドというものが発表されているかと思いますのでそういうのもしっかり追うことが重要かなと思います。日々友達と一緒に勉強することも大事でして、それはメンタルを保つ事以外にも情報共有やアップデートという名目もあります!
 
大事なことをまとめると、仲の良い友達と勉強して、睡眠しっかりとってうまいもん食って体調に気をつけることがこの1か月の最重要課題です!!
 
国試に合格し、卒業旅行や自分が試験後やりたかったこと、そして4月から研修医として働いている自分の姿を想像し頑張ってください!  成功を陰ながら祈ってます!
(研修医界のメッシより)

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◆第23回水戸医学生セミナー

~復活!メディカルラリーで救急のエッセンスを体験しよう~

 

2025年3月15日(土)、16日(日)に開催します。

JATEC,MCLSなどの内容を盛り込んだメディカルラリーに挑戦してください!

 

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【本日より受付開始】第23回水戸医学生セミナー

2025.01.14
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

お待たせしました!お知らせしていた第23回水戸医学生セミナーの募集を本日から開始します。

 

その前に、このブログで「水戸医学生セミナー」について少し紹介してきましたが、改めて説明させて下さい。

 

水戸医学生セミナーとは2010年から新型コロナ流行前の2020年まで20回を開催した医学生向けのセミナーです。水戸済生会総合病院とお隣の水戸協同病院との共催で、全国の医学生が参加し、リピーター参加者もいるなど好評を博していました。20回も開催していたので、参加した医学生はのべ190名以上いて、セミナーに参加した医学生が当院や水戸協同病院の初期研修医となってくれた人も多くいました。

 

そんな水戸医学生セミナーを今年3月に復活させることにしました!

 

21回目はコロナの影響で中止となり、ウェビナー形式で22回を開催していましたので、今回が23回目となります。

 

今回は日程の都合で水戸済生会総合病院の単独開催となるので、「メディカルラリーで救急のエッセンスを体験しよう」をテーマにBLSやACLSの内容はもちろんのこと、外傷患者の対応を学べるJATECや災害や多数傷病者対応のMCLSのエッセンスを、1日目に講義と実技練習、そして2日目にメディカルラリーで体験していただきます。特に救急領域に関心のあるあなたは、是非ともメディカルラリーに挑戦してみてください

 

詳細とお申し込みは下記URLをクリックし、ページ最下段のお申し込みフォームからお申込みください。定員になり次第、受付を終了させていただきます。

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【開催概要】

【日程】 2025年3月15日(土)、16日(日) 1泊2日

     (1日目は13時開始予定。2日目は13時30分終了予定です)

【場所】 水戸済生会病院  

     (宿泊は水戸市内のビジネスホテルを予定)

【対象】 全国の 医学部 3、4、5年生 計12名

【内容】 1日目 JATEC、MCLSを中心とした講義と実技

         2日目 水戸済生会総合病院でのミニメディカルラリー 

【費用】 参加費、宿泊費は無料(病院までの交通費はご負担ください)

 

過去に参加した医学生の感想は・・・・

<第18回参加者>

・何をしてよいか分からず焦るという体験を学生のうちにできてよかったです。次はできるようになりたいという思いを強くしました。

・冷や汗をかきながらもリアリティのある症例を体験できてよかったです。

 

<第17回参加者>

・1日目の講習で勉強したことを、メディカルラリーで実際に体を使って体験する形式は、とても頭に入りやすかったです。

 

<第16回参加者>

・難しかったけれどとても勉強になりました。

 実際に動いてみる経験ができて良かったです。

・現場に出たときに自分がどのような問題に直面するのかを知るための良い機会だった。

 

 

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詳細とお申し込みは上記URLをクリックし、ページ最下段のお申し込みフォームからお申込みください。定員になり次第、受付を終了させていただきます。

(編集長)

 

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頭が真っ白になりました・・・

2025.01.11
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

「冷静に考えればそんなに難しいことじゃないのに、あの場でいろいろ言われると頭が真っ白になる・・・・。できなかったことは悔しいけど学生のうちに「知っているのとできるのは違う」ってことに気が付けたのは大きな収穫でした。」

 

これは以前に開催した水戸医学生セミナーでのメディカルラリーを終えた直後の参加者の言葉です。ラリー中に、この医学生が何をしていいのか分からず立ち尽くしていたので、終了後にスタッフが「どうでした?」と尋ねたらこの言葉が返ってきたそうです。

 

水戸医学生セミナーでのメディカルラリーは、医学生と研修医の4,5名が1チームとなって、約20分間のステージ中にスタッフが演じる患者のトリアージ、診断、処置を行い、その点数を競うものです。スタッフは臨調感あふれる演技で、参加者を戸惑わせます。冒頭の医学生は、外傷患者を評価して、それに続けて現場での処置をしようとしていたのですが、別の傷病者役のスタッフから「はやく何とかしてくれ!」と大声で言われてしまったことで頭が真っ白になったのです。

あなたが知識としては知っている、理解していることでも、実際にやってみると出来ないことは多くあります。「そんなに難しいことじゃないのに・・・、」と、「できない自分」と今のうちに対峙しておくことは、これからの臨床の現場に出ていくあなたにとって間違いなく貴重な経験になります。

そんなメディカルラリーを体験できる水戸医学生セミナーを今年3月に復活させることにしました。来週には募集開始できるように準備を進めていますので、このブログのフォローをお願いします!

(編集長)

 

第19回医学生セミナーでの

メディカルラリーの一コマ

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ちょっと想像してみてください・・・

2025.01.09
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

研修医になって、もう10か月目です。

 

あと数か月すれば、新しい研修医も入ってきます。たまに指導医に注意されることはありますが、仕事の段取りもスムーズにできるようになりました。ER当直も、最初のようには緊張しなくなり、とりあえず体は動くようになったので、ちょっとだけ自信も出てきた感じです。医学生のあなたも、来年の今頃はきっとこんな状況になっているはず。

 

でも、ちょっと想像してみてください。

もし、あなたがER当直をしている時に多発外傷患者が搬送されて来たら・・・。

しかも3人同時に搬送されて来たら・・・。

 

上級医が来るまでのわずかな間とはいえ、患者さんを目の前にして、何から手を付けたらよいのか、最初に何をすべきなのか、あなたは準備が出来ていますか?

 

こんな時に役に立つのがJATECです。JATECはJapan Advanced Trauma Evaluation and Careのことで外傷患者への初期対応を定めた、言ってみればACLSの外傷版です。

 

もしあなたがJATECを知っていれば、当直中に重傷多発外傷患者が搬送されて来ても、慌てることなく初期評価・初期対応が出来ます。少なくとも外科医や上級医が来てくれるまでの場をつなぐことがあなたにもできるようになります。研修医になって、最初の外傷患者に遭遇した時から、役立つことを実感できるでしょう。

 

ただしJATECは受講の機会が少なかったり、費用も高いなど、あなたが受講するには少々ハードルが高いのが実情です。でも、水戸済生会ではコロナ前まで医学生のあなたにもJATECのエッセンスを学んでいただくセミナーを開催していました。それが水戸医学生セミナーです。

 

水戸医学生セミナーとは2010年から新型コロナ流行前の2020年まで20回を開催した医学生向けのセミナーです。水戸済生会総合病院とお隣の水戸協同病院との共催で、全国の医学生が参加し、リピーター参加者もいるなど好評を博していました。20回も開催していたので、参加した医学生はのべ150名以上いて、セミナーに参加した医学生が当院や水戸協同病院の初期研修医となってくれた人も多くいました。

 

そんな水戸医学生セミナーを今年3月に復活させることにしました。21回目はコロナの影響で中止となり、ウェビナー形式で22回を開催していましたので、今回が23回目となります。

 

JATECのエッセンスを学べる水戸医学生セミナーの募集をもう少しで開始します。

 

救急に興味があるあなたにはもちろん、何でもできるようになりたいあなたも、救急は正直怖いと思っているあなたにも必ず役立つ内容です。

 

もう少しでご案内できますので、このブログのフォローをお願いします!

(編集長)

 

第19回医学生セミナーでの

メディカルラリーの一コマ

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TAFな3X

2025.01.07
カテゴリー: 救命救急センター

年明け早々にER当番をしていたら、バイクの単独事故の患者さんが搬送されてきました。橈骨動脈は蝕知できるけど、脈が速く、皮膚は冷たくしっとりしていて、意識もイマイチです。何より呼吸がおかしいことに、あなたも一目見て分かりました。聴診すると胸部で呼吸音に左右差があります。そのうちに橈骨動脈も触れなくなってきました。

 

何が起こったのでしょう?

今回は胸部外傷の患者に遭遇した時の対応についてです。外傷患者でもABCDEが基本となりますが、B(Breathing & Breast)の評価には「呼吸・頸部の評価と致命的な胸部外傷の処置」が含まれます。

 

モニターで酸素飽和度や呼吸回数の変化に注意を払いながら、胸部では

・外傷性出血は?

・胸郭挙上は?

・左右差は無いか?

・奇異呼吸は?

・呼吸音の左右差は?

・胸郭の動揺は?

・圧痛は?

・皮下気腫は?

・頸静脈の怒張は?

・呼吸補助筋の使用は?

・気管の偏位は?

 

これらを素早く評価して、すぐに処置をしないと致命的な疾患を見逃さないようにします。

致命的な胸部外傷を疑う状況では「TAFな3X」が役立ちます。

 

TAFな3X(タフなスリーエックス)とは、

 

T:Tamponade Cardiac 心タンポナーデ

A:Air way obstruction 気道閉塞

F:Flail chest フレイルチェスト

X:Open pneumothorax 開放性気胸

X:Tension pneumothorax 緊張性気胸

X:Massive hemothorax 大量血胸

 

これらはABCの異常がオーバーラップしているので生命に直結してきます。

ERで行う処置は、気道確保、人工呼吸、陽圧換気、胸腔ドレナージですが、複数を併発していることもあるので、繰り返しの評価も重要になります。

 

冒頭の症例は、緊張性気胸を起こしていたため血圧低下を来していましたが、ドレナージで改善できた症例です。外傷患者では素早い評価と対応が重要ですね。

(編集長)

ERで申し送り中

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心停止の鑑別・・・6H6T

2025.01.04
カテゴリー: 救命救急センター

あなたが年始からER当番をやっていたところ、救急要請が飛び込んできました。

 

「70歳台の男性のCPA(心肺停止)症例です。自宅で胸痛を訴えたあとに突然意識を失いました。」

 

10分かからないうちに救急車は病院に到着しました。救急隊員が車内で点滴ルートを確保してくれて、胸骨圧迫を続けいていますが、まだ自己心拍は再開していません。あなたもERの看護師さんらとともに、手際よく胸骨圧迫を代ったり、薬剤投与を行います。

 

でも、この時にあなたには、もう一つやらなければいけないことがあります。それは何でしょう?

それはCPAの原因を探ることです。なぜCPAに至ったのか、その原因がわからなければ同じことを繰り返してしまい、せっかくROSC(自己心拍再開)しても、その心拍をつなぎ留めておくことができなくなってしまいます。

 

蘇生と同時に、蘇生する先の「なぜ」を探る必要がありますその鑑別が「6H6T」です(5H5Tと言われることもあります)。

 

6H6Tとは、

 

Hypovolemia(循環血液量減少)

Hypoxia(低酸素

Hydrogen ion(アシドーシス)

Hypo/Hyperkalemia(カリウム異常)

Hypoglycemia(低血糖)

Hypothermia(低体温)

 

Tamponade(心タンポナーデ)

Toxins(毒)

Tension pneumothorax(緊張性気胸)

Thrombosis coronary(冠動脈疾患)

Thrombosis pulmonary(肺動脈血栓)

Trauma(外傷)

 

この鑑別を常に頭の中に入れ、心肺蘇生法を行いながら、採血、レントゲン、エコーを隙間を縫いつつ行っていきます。蘇生の先を見据えて行動することで、救命~社会復帰を手繰り寄せることができるのです。

 

なお、冒頭の症例はROSC後に造影CTで急性肺動脈塞栓症と診断されました。ECMO管理で改善し、無事退院となった症例です。

(編集長)

慌ただしい年始のER

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新年のご挨拶

2025.01.02
カテゴリー: 初期研修

新年明けましておめでとうございます!

本年もこのブログをどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

新年を迎えて、あなたは今年の目標、そして将来の目標を考えてみましたか?6年生のあなたなら今年の目標はもちろん国試合格ですが、臨床研修が始まってからの将来の目標も忘れずに考えてくみてださい。

 

さて、その将来の目標に絡めての話ですが、内科系であっても外科系であっても、何か一つの仕事をマスターするには時間が必要ですよね。単に仕事ができるのではなく、想定されるあらゆる状況下できちんと結果を出せるようになるには、かなりの時間が必要なことはあなたも想像できると思いますが、どのくらいの時間を考えておけば良いのでしょうか?

 

そこで、今回はあなたに「1万時間の法則」を紹介したいと思います。

 

「1万時間の法則」とは、マルコム・グラッドウェルの著書『天才!成功する人々の法則』で紹介された、ある分野で一流になるためには1万時間の練習や努力が必要だという話です。1万時間と言えば、毎日3時間の練習を10年間続けることに相当します。

 

10年と言われるとガッカリする人もいると思いますが、ここで注意してほしいのは、この法則を「何かに熟達するには1万時間の練習が必要である」「1万時間練習しないと技能を身につけることはできない」という意味ではないということです。

 

ちょっと考えればわかることですが、練習時間だけが全てを決めるわけではありませんし、効率よく学べばもっと短い時間で熟達できるはずです。必ずしも1万時間を費やす必要はありません。

 

でも、何かに熟達するには自分から勉強して、繰り返し練習して、フィードバックを受けて、また繰り返すことが必要で、それには時間がかかるものなのです。手技の習得だとこのプロセスはイメージしやすいですが、手技以外の業務でも同じことが言えます。

 

すぐに上達しないから、自分にはセンスがない、自分には向いていないと判断するのは賢いとは言えません。

 

そして、時間をかけて熟達するにはいくつかコツがあります。よく言われることですが、目標を明確にする、そして努力の対象を好きになる、努力を習慣化することで、熟達するまでの長い期間でもモチベーションも維持できます。

 

1万時間の法則は、医学生のあなたにも、研修医や専攻医のあなたにとっても、大いに参考になる考え方だと思います。長い道のりを歩む中で、日々の努力を積み重ねることが成長への鍵となります。2025年も、皆さんが目標に向かって努力し続けることを応援しています。

 

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(編集長)

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