臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
直腸潰瘍 その1
あなたは80歳台の心不全患者さんを担当していました。心不全は落ち着いていますが、入院を契機にADLが低下してしまい、リハビリ以外はベッド上で過ごすことがほとんどでした。
そんなある日、病棟の看護師さんから「先生!下血しています。結構な量ですよ」とコールがありました。行って見ると、おむつに野球ボールくらいのコアグラがありました。患者さんは腹痛の訴えはなく、腹部を触診しても柔らかく圧痛もありませんでした。
さて、あなたは鑑別に何を考えますか?
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黒色便ではない下血の時は一般的に下部消化管からの出血を考えますが、腹痛を伴わない下血では①内痔核、②憩室出血、③直腸潰瘍
この3つを考えてみてください。冒頭の症例は直腸潰瘍からの出血で、内視鏡で止血を行ってもらいました。
でも、直腸潰瘍ってどんな患者さんにできるのでしょうか?
意外と鑑別に挙げられないのですが、入院中の患者さんで時々遭遇する直腸潰瘍について、J1のくま先生がまとめてくれたのでシェアします。
(編集長)
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直腸に発症する潰瘍性病変は、疾患概念や臨床病理学的特徴から急性出血性直腸潰瘍(acute hemorrhagic rectal ulcer : AHRU)、直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome : MPS)、宿便性潰瘍、虚血性大腸炎、NSAID起因性大腸潰瘍、外傷(浣腸、異物)などに分類されます。特にAHRUや宿便性潰瘍は高齢者の長期臥床患者に多く、直腸粘膜への血流障害が原因となります。
今回はAHRUについてポイントを紹介します。
【急性出血性直腸潰瘍(AHRU】
<好発年齢>:高齢者
<性 差>:女性>男性
<機 序>:ストレスや臥床による血流低下など
<基礎疾患>:
脳血管疾患(最多、脳血管疾患と脳腫瘍を合わせると半数を超えるとされている)、肺炎、閉塞性黄疸、糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全、心不全、肝不全、COPD、敗血症、多臓器不全、膵炎、脱水、不明熱
<症 状>
突然の大量新鮮血下血(1000ml超が多いが、ごく少量の場合もある)
無痛性が多いが、肛門部痛と下痢を契機に診断されたケースも
<発生部位>
歯状戦に接するか、その近傍の下部直腸に限局
<内視鏡所見>
不整形、帯状、地図状の潰瘍で横軸方向に長く分布
単発も多発もある
潰瘍内部に露出血管を伴うことが多い
<病 理>
全周性、輪状、不整形、地図状、類円形、
潰瘍底に露出血管を伴うことが多い
単発も多発もある
<治 療>
補液
止血処置(内視鏡、経肛門的結紮術、動脈塞栓術、直腸部分切除、直腸切断術、人工肛門)
治癒までには平均3~5週
(くま)
患者さんとお話し中
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【本年度最終】松永先生の感染症レクチャー
3月1日に今年度最後の松永先生の感染症レクチャー@Zoomがありました。前回はコロナも落ち着ていたのでリアル開催できましたが、残念ながら今回は再びZoomに戻ってしまいました・・・。
さて、今回のテーマは「医師も知っておきたい感染対策」
切り口としては
1、問題となる微生物を作らない
2、問題となる微生物を広げない
3、耐性菌の種類
4、結局のところ「基本の徹底」
というもので、J2にとっては2年間にわたる感染症レクチャーのまとめという内容でした。
「問題となる微生物を作らない」では、「どこで?何が?」と原因微生物と感染臓器を考えながら抗菌薬を選択し、耐性菌を生まないためにde-escalationや投与期間を考えていくという話でした。
「問題となる微生物を広げない」では、標準予防策や感染経路別(接触感染、空気感染、飛沫感染)予防策に関する話や手指衛生の話でしたが、具体的な事例と絡めて分かりやすく解説していただきました。
編集長が印象に残ったのは耐性菌のところですが、
・耐性菌の感染対策には特別なものはない
・耐性菌かどうかは、検査しなければ分からないので、標準予防策の徹底(=基本の徹底)がもっとも大切
ということを繰り返し強調していたところです。
実は、松永先生は12年前に現在の帝京大学に異動されたのですが、異動された直後に多剤耐性アシネトバクター(MDRA)による院内感染が大問題になり、その対応を仕切った先生です。編集長はその頃のご苦労もある程度知っているのですが、実感のこもった説得力のあるお話でした。
そんな松永先生の感染症レクチャーは新年度も開催されます。このブログでもアップデートしていきますので、ご期待ください。
(編集長)
もっとも大切なことは・・・「基本の徹底」
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【御礼】レジナビフェアにご参加いただき有難うございました!
今日から3月ですね。
急に暖かくなってきましたが、春休み前のこの時期はレジナビフェアオンラインが開催されています。当院も昨日(2月28日)に編集長と共に研修医の梶先生と生瀬先生とで参加しました。前回に引き続き、大変多くの方にご参加いただきました。どうも有難うございました。
あくまで編集長の印象ですが、医学生のみなさんもかなりWeb説明会に慣れた感じで、チャットでの質問もたくさんいただくことができました。しかも以前にはなかったような、ちょっと鋭い質問も・・・・・。
具体的には、当院は基幹型の内科専門プログラムがあるので消化器内科、循環器内科、腎臓内科を強調して説明しているのですが、
「それ以外の内科を考えてる場合は向かないということでしょうか?」という質問をいただきました・・・。
そんなことはありません!!
当院には呼吸器内科専門医はいませんが、呼吸器内科に進んだ先輩もいますし、代謝内科を目指している研修医もいます。また、産婦人科や小児科に進んだ先輩が多いのは事実ですが、今回触れることができなかった麻酔科に進んだ先輩も複数います。もちろんマイナー系に進んだ先輩もいます。
全部で20分という短い時間がレジナビの特徴ですが、もっとお伝えしたいことはたくさんありますので、是非とも病院見学やZoomでの個別説明会をご利用ください!
病院見学については受け入れを継続しており、春休み中の枠が少なくなってきています。どうぞ早めにお申し込みをお願いします。お申し込みは下記フォームからお願いします。Zoomをご希望の場合は「その他ご希望」という欄に「Zoom希望」と記入ください。
あなたのお申し込みをお待ちしています!
(編集長)
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