
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
腰痛のレッドフラッグサイン
40歳台の男性が、腰痛を主訴にERを受診しました。日中の仕事中に荷物を運ぼうとして腰を痛めたようです。帰宅してから徐々に痛みが強くなったので来院しました。
診察すると、痛そうにしていたものの、歩いて診察室に入ってきました。下肢のしびれや麻痺もありません。脊椎の叩打痛もなし。
レントゲンなどもチェックしないで、痛み止めを処方して帰宅させて良いでしょうか?
ちょっと考えてみて下さい。
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ここで思い出してもらいたいのは「腰痛のレッドフラッグサイン」です。
腰痛はよくある症状で、すぐに画像検査や入院が必要となることは少ないのですが、中には重篤な疾患が隠れていることがあります。そこを見分ける時に役立つのがレッドフラッグサイン(警告症状・警告所見)です。
具体的には
・4~6週間の保存療法でも改善しない
・夜間疼痛や安静時痛
・筋力低下や感覚障害の進行
・50歳以上
・癌あるいは癌を強く疑わせるような病歴
・原因不明の体重減少
・静脈麻薬の使用
・最近の尿路感染症、皮膚感染症
・免疫抑制状態
・発熱、悪寒
・骨粗鬆症の既往
・慢性のステロイド使用
・薬物乱用
・強い外傷
冒頭の症例は、上記のいずれにも該当しないので、画像検査なしで帰宅で良い症例だと思います。もちろん、痛みが長引いたり、麻痺やしびれなどが出現したら、受診するように伝えておくことも重要です。
一方、最近のエムスリーの記事で、化膿性脊椎炎を疑ってMRIを施行すべきであったという判決が取り上げられていました。
少なくともこの記事の内容からは、患者さんは50歳以上で発熱を伴っていたことから、画像検査を考慮すべき状態であったようです。
ミスが心配だからと、なんでもかんでも検査というのは、あまりセンスの良いものではないと思いますが、検査を考慮すべき症例では、行えるようにしておいて下さい。
(編集長)
無事にAライン確保♪
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患者さんへの挨拶。その次は?
ERでも病棟でも、患者さんから話を聞く時や診察する時に、あなたは患者さんの名前や生年月日を確認して、「こんにちは、研修医の○○と言います。よろしくお願いします。」と、まず挨拶して名乗りますよね?
では、挨拶した次に、あなたは患者さんにどんなことを言っていますか? ちょっと今日の病棟のことを思い出してみてください。
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もしかして、いきなり「普段のお薬はどこでもらっていますか?」とか、「いつから痛かったんですか?」など、指導医から聞いて来いと言われたことを聞いていませんでしたか? それって患者さんはどう感じたでしょうか?
実はだいぶ昔の話ですが、編集長が病棟の患者さんのところに行って、話を聞いて立ち去ろうとしたら、こんなことを言われました。
「聞きたいことだけ聞いたら、さっさといなくなるんだな」
そう、こちらの聞きたいことを矢継ぎ早に質問して、それが終わればさっさと立ち去ってしまう。患者さんからすれば、いきなり来て、文脈のよくわからない質問をされて、いったい何の意味があるのか?何しに来たのか分からない、というのが正直なところでしょう。
当時の編集長には、患者さんからのこの一言はかなり深く刺さりました。
どうして挨拶の後に、「今つらいところはどこですか?少し話を伺えますか?」「腹痛で来院されたと聞いたのですが、今はどうですか?」 「今、胸の感じとか息苦しさとかはないですか?」というように、患者さんをいたわる言葉をかけなかったんだろうと反省しました。
そして今でもこのことは気を付けています。挨拶の次に具合を尋ねたり、いたわる一言があるだけで、患者さんは間違いなく安心してくれますし、その後の話もスムーズになります。ぜひ、あなたも今日からやってみてください。
(編集長)
ERでの診察後
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服薬のアドヒアランス
編集長が外来をやっている時に重視しているのは、服薬のアドヒアランスです。
こちらとしては、患者さんの症状を軽減させたり、長期的な予後の改善やイベント抑制のためにお薬を処方している訳ですが、患者さんが服用してくれなければ、効果は期待できません。
服薬のアドヒアランスを確認する方法は、独自の技をお持ちの先生がいるので、是非聞きだして、参考にしてみると良いと思いますが、編集長は下記のようなところで確認しています。
その方法は、残薬の確認です。年に1,2回ですが、患者さんに「残薬を調整するので、次回の外来の時に自宅に残っているお薬をぜんぶ持ってきてください」と伝えています。
忘れる人もいますが、持ってきたらざっと数えて、残薬数が一定に処方を調整します。薬剤が多いと時間も取られて面倒ですが、どの薬剤が残っているのかを把握するだけでもOKです(もちろん処方のコメント欄に記入すれば、調剤薬局に依頼することもできます)。
この情報を把握すると、アドヒアランスを改善するための処方の変更に役立ちます。たとえば、朝夕に服用するDOACが、夕方の分だけ多く残っている時は、朝のみの服用のDOACに変更するなどです。
他にも、予想もしないような理由で服用していないことが明るみになることがあります。
ある時、血圧のコントロールがなかなか付かない高齢の患者さんに、残薬を持ってきてもらったところ、ナント降圧剤が380錠(!)も残っていたことがあります。詳細は忘れましたが、雑誌で読んだか、知人に言われたか、とにかく薬はあまり良くない旨のことを言われ、不安から服用しなくなったようです。
こんな時に、患者さんを責めてもいいことはありませんから、一度すべての処方をやめて、一剤ずつ、本人が納得するように時間をかけて再開していきました。編集長も、かなり凹んだエピソードなのですが、これ以降も年に数回は残薬確認するように患者さんに声掛けをしています。
ちなみに、ワーファリンを処方している患者さんは、ほぼ毎回INRをチェックしますが、これが安定している人はアドヒアランスの問題もほぼないというのが経験則です。
我々は、処方したから服用しているだろうと考えがちですが、患者さんは不安や不満を言い出せず、服用していないことは想像以上に多いようです。我々の方からいろいろな機会を作って、確認してみることが大事です。
(編集長)
お勉強中♪
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