臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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低ナトリウム血症の対処4
低Na血症の鑑別を紹介して
きましたが、改めて最初に提示した
症例に戻ってみましょう。
症例は70歳代の男性
8年前に陳旧性心筋梗塞による心不全で
入院歴あり。その後は心不全での入院や
狭心症状もなく経過。
冠危険因子は糖尿病、高血圧、脂質異常症。
内服薬はフロセミドとスピロノラクトン
ARBとβ遮断薬、スタチン、抗血小板薬、
メトホルミン、DPP4阻害薬でした。
ある日の外来で、
Na117mEq/lと著明な低Na血症を指摘。
この時の血糖は189㎎/dl、HbA1cは6.9%
2か月前の採血ではNa136mEq/lと
正常範囲でした。バイタルは問題なく、
特に倦怠感の訴えも意識障害もなしでした。
低Na血症を見た時は
・血症浸透圧
・尿浸透圧
・随時尿での尿中Na濃度
この3つをオーダーして、さらに
患者さんの体液量を評価します。
この症例では
血漿浸透圧は239mOsm/l
尿浸透圧は194mOsm/l
尿中Naは49.7mEq/l
体液量は正常でした。
前回のフローチャートを見ていくと
・SIADH
・甲状腺機能低下症
・副腎不全
が鑑別になります。
ところが、フロセミドを内服していると
尿中Naは高値になります。
患者さんも元気で食事もとれていたので
甲状腺と副腎の採血を追加して、
さらにフロセミドの内服中止の指示を
出して3日後に外来で採血フォローを
することにしました。
その3日後、採血してみると
Naは118mEq/lと変わりありませんでした。
尿中Naも同様に32mEq/lと高値のままで、
さらに甲状腺機能低下も副腎不全も
否定されました。
となると診断は・・・、SIADH
今までずっと外来でフォローしてきた
患者さんが、いきなりSIADHになって
しまった??
さて、あなたなら次はどうしますか?
考えてみて下さい。
(編集長)
ベッドサイドでの診察風景
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