臨床研修ブログ

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リスクの伝え方

2022.05.14
カテゴリー: 初期研修

あなたは手術の説明をして同意書にサインをもらったことはありますか?まだやったことがない人が大多数かもしれませんが、いずれ似たようなことをする必要がでてきます。そんな時に手術のリスクをどう伝えるのか?考えたことはあるでしょうか?

 

例えば、高齢で腎機能も悪い患者さんで周術期死亡率が5%と予想される手術の説明をするとしましょう。

 

患者さんは「先生におまかせします」というばかりですが、死亡率5%の手術は通常の冠動脈バイパス手術(CABG)の死亡率が1~2%ですから、かなりリスクの高い手術ということになります。なので、あなたはもっと深刻に捉えて欲しいと思っています。

 

この時、あなたは

① この手術は死亡率は5%の手術です。

② この手術では20人に1人が死亡する可能性のある手術です。

どちらで説明しますか?ちょっと考えてみてください。

リスクを自分のこととして捉えてもらいたい時は、②の説明の方が伝わりやすと言われています。

 

「5%」も「20人に1人」も、どちらも同じことを言っているのですが、「20人に1人」と言われた方が人は、より「もしかしたら自分の身に起こるかもしれない」と考えるそうです。

 

他の具体的な例を考えてみると、似たようなことがコロナワクチンでもありました。

 

1回目のワクチン接種が始まったころに、「ワクチン接種後に〇〇人死亡した」という報道が良くありました。でも、ワクチンの接種回数がその時点ですでに何万回という状況だったので死亡率は非常に低い頻度だったはずです。さらにワクチンと死亡には前後関係はあるかもしれませんが、ホントにワクチンの影響なのかという因果関係は分からない状況だったのに、患者さんの中には非常に不安に受け止めていた人が多くいました。「〇〇人死亡」という実数でリスクを自分のことと受け止めやすくなったのだと思います。

 

リスクを伝えるとき、同じことを言っているのに相手にどのように受け取られるかについては、私たちはもっと注意を払った方がよさそうです。

           (編集長)

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