臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
救命救急センターだより「低体温症」
週末救急医のNaoです、こんにちは。
(この記事は2023年1月末に書いてますが、公開されるのはちょっと先になるかと思います)
さて、日本列島には記録的大寒波が到来しており、当地域でも珍しく降雪しています。そうなると救急外来をにぎわすのが、事故や転倒そして転落などの外傷と低体温症です。
偶発的低体温症は、何らかの理由により体内の熱産生よりも放熱が上回ってしまい、深部体温が35℃以下になってしまった状態を指します。当院へ運ばれてくるような患者さんは、それに伴いCPAになってしまったような病態の方ばかりです。しかし、重度の低体温症に伴うCPAはROSCまでに比較的長時間を要しても神経学的予後が良好な例も報告されており、救急医としては本気で向かっていく病態です。特に深酒をして道路で寝込んじゃって重度の低体温になったような方は簡単には諦められません。
ちなみに、重度の低体温症からのCPAでは、ECMOを日常的に回している病院であれば、ECPRの良い適応になります。ECPRとは体外循環式心肺蘇生法で、救命センターに運び込まれたら直ちに静脈に脱血管、動脈に送血管を留置してV-A ECMOを回して呼吸循環動態を保つという方法になります。ECMOでは血液を加温することができますので、効率的な復温を図ることができるのです。
と、いつも通り前置きが非常に長くなってしまったのですが、今回は医学生や初期研修医の皆様がうっかり街中や雪山で低体温症の患者さんに遭遇してしまったときにどう対応したらいいか、という話を非常に簡潔にお話ししたいと思います。
寒い中に倒れている方がいたら、まずBLSのスタートです。が!
低体温症を疑う方の場合、呼吸、循環、意識の評価のほかに重要になるのが、震えの有無です。寒いのに震えが消失している場合は重度の低体温症を示唆するためです。震えているうちは、まだましです。
心肺停止に至っていない低体温症の場合、濡れている場合は衣服を除去して乾かします。そして、基本的には外から加温する必要がありますので、ホッカイロなどあれば使用しましょう。屋内や車内など暖房の効いた空間への収容も大切です。加温ができない場合は、衣類や毛布などで保温します。
いざというとき、医師として、医学生として動けるようにシミュレーションしておきましょう!何より、低体温に自分がならないように、泥酔して外で寝ちゃったりしないように注意してくださいね!
(Nao)
ICUでECMO抜去中
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