臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
大腿骨頭壊死症
ある日、ステロイドを含む化学療法で入院加療していた90代の患者さんに、「入院してから背中が痛いんですよ」と言われました。しかし診察すると、背中というよりは臀部の痛み。臀部だからまあ筋肉の痛みなのかな、と思い温湿布を処方しました。しかし、そのフォローの外来のカルテを確認してみると… 「大腿骨頭壊死 疑い」
あ。あ~~…と、鑑別に思いつきもしなかったことを反省しながら、改めて大腿骨頭壊死症について調べてみました。
◎大腿骨頭壊死症
・特発性大腿骨頭壊死症の男女比は1.2~2.1:1と男性に多い
・全国の有病率は10万人に18.2人
・Risk factorはステロイドの全身投与・飲酒・喫煙。そのほか、若年・男性・SLEを有することもrisk factorとして報告あり。
・ステロイドについては投与から1-3か月で起こることが多いとされる。
・壊死域は変化しないとされる
<診断基準>
X 線所見(股関節単純 X 線像の正面像および側面像で判断)
1.骨頭圧潰あるいは crescent sign(骨頭軟骨下骨折線像)
2.骨頭内の帯状硬化像の形成
1.2 については stage 4 を除いて(1)関節裂隙が狭小化していないこと ,(2)寛骨臼には異常所見がないこと,を要する.
検査所見
3.骨シンチグラム:骨頭の cold in hot 像
4.MRI:骨頭内帯状低信号域(T1 強調画像でのいずれかの断面で骨髄組織の正常信号域を分界する像)
5.骨生検標本での骨壊死像(連続した切片標本内に骨および骨髄組織の壊死が存在し,健常域との界面に
線維性組織や添加骨形成などの修復反応を認める像)
判定: 上記項目のうち,2 つ以上を満たせば確定診断とする.
除外診断: 腫瘍および腫瘍類似疾患,骨端異形成症は診断基準を満たすことがあるが,除外を要する.なお,外傷(大腿骨頚部骨折,外傷性股関節脱臼),大腿骨頭すべり症,骨盤部放射線照射,減圧症などに合併する大腿骨頭壊死,および小児に発生する Perthes 病は除外する.
・治療
免荷・物理療法/高圧酸素療法・ビスホスホネート製剤などの薬物療法は推奨度5(明確な推奨を提示しない)
骨切り術・人工股関節置換術は推奨度2(行うことを弱く推奨する)
(研修医S)
朝の回診で鑑別疾患を考え中
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