臨床研修ブログ

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患者さんはホントのことを言わない

2024.02.17
カテゴリー: 初期研修

研修医外来で少し前にあったエピソードからです。

 

70才台の女性が受診しました。主訴は右肩の疼痛。でも、右上肢の可動制限や筋症状、神経症状も無く、すでに整形外科を受診して治療も開始されていました。

 

研修医が一通り話を聞き終えてから、隣で外来をやっている指導医のところに相談に来ました。

 

「特に問題なさそうで、整形外科でも痛み止めを処方されています」 

「何もすることもないと思うんですけど・・・、どうやって帰したらいいでしょう?」

 

確かに肩の痛みは問題なさそうです。でも、こんな時あなたならどうしますか?考えてみてください。

この時、指導医は「何かほかに受診した理由があるはずだから、もっと家庭の状況とか、最近の状況とかを聞き出してごらん」とアドバイスしました。

 

研修医がもう一度話を聞き出したところ・・・・、

・患者さんの知人が最近ガンで亡くなった。

・その知人が元気な時に、「肩が痛い」と言っていたので、自分も心配になってしまった。

・整形外科では痛み止めで治ると言われたけど、今のところあまり変わりない。

・もしかしたら内臓の病気?ガンかもしれないと思って内科を受診した。
ということが分かりました。

 

ここで大事なことは、「患者さんの言葉を(そのまま)信じてはいけない」ということです。

 

どういう事かと言うと、患者さんからすれば病院を受診するのは、なんだかんだ言ってもハードルが高いものです。ドクターや看護師に「そんなことで受診するなんて」と言われたらどうしようと、ちょっとビクビクしながら受診しているのです。ですから、初めからホントのことを言ってくれません。何となくもっともらしい「建前」の理由を話すのです。

 

患者さんが話していることは基本的に建て前。

患者さんは(最初から)ホントのことを言わない。

患者さんの言葉を(そのまま)信じてはいけない。

 

このことをよく理解すると、あなたは患者さんから格段に良い情報(本音)を聞き出せるようになります。そして、その本音の部分を理解して、不安や疑問を解決してあげることが大事です。ぜひこれから患者さんの話を聞く時は、これを意識してみてください。

 (編集長)

 

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