臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
「先生!レート走ってますけど」と言われた時は
あなたのところに病棟から「先生!レート走ってます。どうしますか?」とコールが来ました。行ってみるとモニターはこんな波形。
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これは頻脈性心房細動のモニター波形です。たとえ循環器疾患で入院していなくとも、発作性心房細動の既往があったり、既往がなくとも
状態が悪い時は、よくこんな状況に遭遇します。
こんな時どうしたら良いのでしょう?あなたは準備が出来ていますか?
まず最初にすべきことは・・・・、
・バイタルの確認と
・患者さんの様子を見に行く
この2つです。
頻脈でも患者さんはケロッとしていることもあれば、苦しそうにしていることもあります。必ず見に行くことが大事です。血圧が下がっているとか、具合が悪そうなら、急いで対応しなければいけないのは当然ですが、血圧もOKで元気そうなら慌てないで対応を考えます。
では、その次はどうしましょう?
少し慣れてきたあなたは「ベラパミル(ワソラン®)」とか、「ランジオロール(コアベータ®、オノアクト®」など、指導医が使っていたのを見ていたかもしれません。でも、これは編集長的にはNGです。状況によっては危険だからです。
次にやるべきことは・・・・、
「なぜレートが速くなったのか?なぜ心房細動になったのか?その原因を考えること」です。
*心房細動は一般的に頻脈になるので、ここからは頻脈性心房細動のことを心房細動と書くことにします。
心房細動になる原因には、たとえば
・心不全
・発熱
・低酸素
・貧血
・甲状腺
・疼痛
・脱水
・薬剤(β刺激薬など)
など、いろいろあります。
今まで大丈夫だった患者さんが急に心房細動になったのですから、何かしら原因はないか?と考えましょう。
心不全が悪化しているのにβ遮断薬を静注しては、かえってヤバいことになります。
肺炎が悪化して低酸素が原因になっているのなら、NPPVや挿管を先にしないと、薬剤だけでは良くなりません。
脱水が原因で心房細動になってしまうことは、特に高齢者でしばしば経験します。こんな状況でワソランの静注をしてしまうと、びっくりするほど血圧が下がることがあります。(編集長は研修医時代に経験済みです)
もちろん、心房細動でも早い段階で電気的除細動をしなければいけないこともあり得ますが、そんなに多い状況ではありません。
繰り返しますが、心房細動などの頻脈を見たらすぐにレート下げる薬剤を使おうとせず、まずはその原因を探りましょう!
(編集長)
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