臨床研修ブログ

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救命救急センターだより「ロード アンド ゴー」

2023.01.05
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科を目指すNaoです。本年も宜しくお願い致します。

 

「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ。」

 

最近はドクターヘリよりドクターカーの出勤が多くて飛べていません。冬は、空気が澄んでいるのと、暑くないので空が楽しいんですけどね。ただの豚じゃなくなりたいものです。

 

さて、僕たち救命に携わる医師および看護師が現場進出の上で、病院外で患者さんに一刻も早い治療を届けるべく働いたりしますが、これを病院前診療と言います。現場進出の手段によりドクターカーやトクターヘリと呼んでいます(最近はドクタージェットというものもありますが、これはどちらかというと搬送が目的ですかね)。医師や看護師が現場進出するのも大切ですが、現場でできることには限りがありますので、やはり一刻も早い「搬送」が大切になります。

 

僕が現場に行った事案ではありませんが、このことを示す一つ良い事例がありました。交通外傷により大動脈損傷、横隔膜損傷および腹腔臓器損傷をきたした症例です。胸部大動脈損傷に対してTEVARを行い、その後緊急開腹して救命したというものになりますが、この時現場進出した救急医は、当然ながら超重症であることを一目で判断しました。

 

そこからがポイントなのですが、現場でできることは少ないと判断し、必要最小限の治療を行い一刻も早く搬送することを優先したのです。ともすると、僕のようなひよっこは、現場で色々細かく評価したり、できる検査や処置全部やりたくなってしまったりしますが、患者さんの救命には、早く病院に連れていき、より正確に診断し治療介入することのほうが重要なこともあります。重症だからこそ、です。

 

医師の介入なしでも現場の救急隊でこれを判断して行えるようにした仕組みが、「Load and Go(ロード アンド ゴー)」です。Load and Goは収容してすぐに現場離脱するものですが、生命の危険が少しでも疑われる傷病者への対応方針を言います。状況評価で高エネルギー事故に該当するもの、初期評価ででABCに異常がみられるもの、全身評価でJPTECが定める損傷(フレイルチェストや頭頚部および体幹部の穿通性外傷、骨盤骨折、両側大腿骨骨折など)がある場合などに適応とされます。

 

この場合、救急隊はLoad and Goを宣言し、救命救急センターである我々は必要最小限の情報だけを受け取り、受け入れの準備を行います。病院選定時に不必要に情報のやり取りで時間をかけないための方策で、これにより収容から搬入までに少なくとも数分以上の時間短縮が見込まれます。

 

数分、数秒が命の時間を左右することは、救命センターでは少なからず経験されます。消防および救命センターの強い連携のもとで引き続き地域医療を守っていきたいと思います。

 

実際そこまでシビアな症例は多くありませんが、当院で2年の研修を積むと経験することになります。救命センターでの仕事は、大きなやりがいがあります。

 

皆さんと当院で一緒に働けるのを楽しみにしています。ぜひ見学にいらしてください!

(Nao)

慌ただしいERの一コマ

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