臨床研修ブログ

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骨髄異形成症候群 その1

2024.07.23
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回は医学生のしかまる先生が書いてくれたレポートからのシェアです。

 

しかまる先生は総合内科で実習してくれましたが、実習期間中に骨髄異形成症候群(MDS)の患者さんを担当してくれたので、まとめを作ってもらいました。MDSはまとめを作りにくい領域ですが、とても良い出来だと思います。ぜひ、ご覧ください。

だいぶにぎやかな

総合内科の朝カンファ

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症例は60歳台の男性。

主訴はなかったが、前医の血液検査でHb 10.9 g/dl、血小板5.6万/μl、好中球数1046/μlと汎血球減少が認められ、当院受診した。そこで再度行われた血液検査で末梢血中に芽球を18.5%認め、その後施行された骨髄検査で芽球を17%認めたため、加療目的に入院した。さらに、骨髄塗抹標本で芽球割合の増加に加え、微小巨核球や赤芽球の核辺縁不整といった異形成を認めたことから、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome: MDS)の診断となった。

 

MDSは造血幹細胞の腫瘍であり、未熟な造血細胞に生じた異常によって造血細胞の異常な増殖とアポトーシスが誘導され、その結果以下のような特徴を持つ。

 

1)無効造血(造血細胞が成熟途中で壊れてしまう)

2)造血細胞の形態学的な異形成

3)末梢における血球減少

しばしば急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia: AML)へ移行する点も重要である。

 

症状は血球減少に伴う慢性貧血、出血傾向、易感染性があるが、慢性の経過をたどるため本例のように血液検査で偶然発見されることも多い。

 

診断基準の詳細は省略するが、おおまかには1系統以上の持続的な血球減少と骨髄造血細胞における異形成の存在を鍵とし、血球減少と異形成をきたしうる他疾患の除外を必要とする。

 

鑑別疾患として、感染性疾患、自己免疫疾患、アルコール過剰摂取、薬剤性血球減少症、栄養障害、肝疾患のほか、先天性の造血異常、悪性貧血、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、血球貪食症候群などの造血器疾患が挙げられる。中でもMDSの類縁疾患として挙げられるAMLや骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasm: MPN)、再生不良性貧血(aplastic anemia: AA)との鑑別ポイントを表1に示す。

 

参考文献:骨髄異形成症候群診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版

(しかまる)

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