臨床研修ブログ

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骨髄異形成症候群 その3

2024.07.27
カテゴリー: カンファレンス 内科

医学生のしかまる先生が書いてくれたレポートの最終回です。今回は治療に関してです。

 

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MDSの根治が期待できる治療法は造血幹細胞移植のみである。全てのリスクのMDSが対象となるが、年齢、心臓や肝臓などの臓器機能、ドナーとのHLA適合性という基本条件を基に検討される。

 

低リスク群では急性白血病への移行リスクは低い。したがって、血球減少に対する保存的治療が中心となり、必要に応じた輸血や、細胞産生を促進するサイトカイン療法が選択される。鉄キレート療法は、頻回の赤血球輸血による鉄過剰症に対して行われる。5q−がある低リスクMDSには免疫調整薬レナリドミドが使用される。

 

高リスク群は保存的治療のみでは予後不良であり、造血幹細胞移植が施行可能であれば速やかな実施が求められる。予後を改善することが示されている薬物治療としては現在DNAメチル化阻害薬のアザシチジンのみが保険適応であり、移植の適応とならない症例や移植までのつなぎとして選択される。アザシチジンに不応・不耐用の場合は化学療法が検討される。

 

本例は高リスクのためアザシチジンによる治療が行われ、今後は移植も検討する予定である。

 

<症例の感想>

本例の患者さんは、自覚症状がほとんどないお元気そうな方である。しかし前述の通りIPSS-RではHighリスク群、予後は生存期間中央値1.6年とのことであり、患者さんにとってこの診断は非常に唐突で受け入れがたいものなのではないかと思った。治療にも少なからず副作用のリスクを伴うため、丁寧なインフォームドコンセントや入院後の日々のコミュニケーションの重要性を改めて実感した。今回の実習では入院時のインフォームドコンセントと毎日朝夕の回診に参加し、先生方がどのように患者さんとコミュニケーションをとっているかを学び、自分でも毎日患者さんにお会いして話を伺うことができた。今後も疾患ではなく患者さんを診るという基本姿勢を忘れずにいたい。

参考文献:骨髄異形成症候群診療の参照ガイド 令和 4 年度改訂版

(しかまる)

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