臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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高齢者にはDEEP-IN
ご高齢の患者さんがとても多いことにあなたも気づいていると思いますが、担当患者さんのなかで一番若い方の年齢が88歳とか、90歳以上の患者さんが5名いるということも珍しくありません。ERに搬送される患者さんも同様です。さらにご高齢の患者さんは合併疾患も非常に多く持っていることがほとんどなので、普段なら悩まずにやっていた点滴や薬剤の選択も悩んでしまいます。
高齢者の診療では患者さん全体を把握して、何を優先すべきかを考えることが大事で、逆に言えばあなたの腕の見せ所とも言えます。今回はそんな高齢者の診療に役立つDEEPーINについて紹介します。
DEEP-IN とは
D :Dementia,Depression,Delirium,Drug(認知機能、抑うつ、せん妄、薬剤)
EE:Eye & Ear(視力、聴力)
P :Fall&Physical function(転倒、身体機能やADL)
I :Incontinence(失禁)
N :Nutrition(栄養、体重減少)
これらのポイントを「すべての高齢者に」、「ファーストタッチの時に」把握することで、後の診療がが非常にラクになります。
一つずつ具体的に見ていきましょう。
D:認知機能は、家族のこと、服用している薬のことなどを質問して、あやふやな答えなら「認知症があるかもしれない」と把握しておくだけでOK。あとで改めてMMSEなどをやればよいでしょう。
D:抑うつは高齢者に高頻度に見られ、不眠を主訴にしている場合もよくあります。介入で改善する可能性があるものだという認識を持ちましょう。
D:せん妄は成書をみるといろいろ書いてありますが、「いつもと違う」状態と思えばOK。問題はその原因が何か?です。
D:薬剤については、高齢者のポリファーマシーが問題になっているのは聞いたことがあると思いますが、まず何を服用しているのか?どんな病名で処方されているのか?を把握すること。でもこれがかなり大変な作業になることがしばしばです。
E:視力についてはメガネの有無はもちろん、「目が見えにくくて、生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
E:聴力も同様で、「聞こえにくくて、生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
P:身体機能は杖や車いすの使用の有無、転倒歴(骨折歴)の確認をすればとりあえずOK
I:失禁については質問しにくいですが、大人用おむつを付けている人も多いので、聴診する時などにそっと確認します。
N:栄養は、おいしく食事を摂れているか? 体重が減っていないか?などの質問に加えて、ベルトやズボンのサイズが明らかに合っていないことなどを確認するのもいい手です。
お気づきと思いますが、このDEEP-INは疾患を診断するものではなく、高齢者の機能評価のツールです。検査や治療の計画を立てるときに、これらを把握しておくとスムーズに進みます。まずはざっくりで良いので把握してみてください。
(編集長)
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