臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
薬の副作用
(編集長)
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みなさんお久しぶりです。新潟県産もやしです。
新潟の大学病院にもどって早いもので数カ月たちました。水戸済生会病院とは異なる電カルシステムに戸惑いながらも、なんとか頑張ってます(笑)。
さて現在、大学病院の呼吸器内科で研修しているのですが、肺癌患者さんがとても多いです。抗がん剤治療を行っている患者さんの入院管理を行う上で副作用の対策が大切であると感じています。皆さんの中には薬剤の副作用はなんとなく分かっていても、それがどのくらいの時期に出現するのかまで把握している人は少ないのではないでしょうか。
患者さんを診察する際、open question → closed questionを利用する人が多いと思いますが、副作用の出現する時期まで理解しておけば、closed questionはしやすいです。
例えば、抗がん剤の有名な副作用に骨髄抑制がありますが、これは投与開始後1-2週間頃から出現します(抗がん剤の種類によりますが、、)。そのくらいの時期の患者さんがいたら、私は回診の際に「立ちくらみやフラフラする感じはありませんか?」や「鼻血が出たり、あざができやすくなってませんか?」など聞いています。
薬剤の副作用について調べるときは、ぜひその出現時期についても意識してみるといいかもしれません。今回はステロイドの副作用について簡単にまとめてみましたので参考にしてみてください。(ただし、この表はステロイドの量や投与回数、投与経路によって若干異なってくるのでご注意下さい)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
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せん妄の診断・・・CAM
前回はせん妄を見た時に鑑別すべきポイントを紹介しました。せん妄は一言でいえば、「いつもと様子が違うこと」と捉えておけばOKですが、実際にせん妄と診断するには、どうすればいいのか知っていますか?
せん妄診断のゴールドスタンダードとしてDSM-5が用いられますが、これは現場ではちょっと使いにくく(文末参照)、ベッドサイドではCAMを利用するのが良さそうです。
CAMとはConfusion assesment methodのことで、せん妄のスクリーニングにも、診断にも使われるツールの一つです。感度94%、特異度89%と早期発見に役立つもので、世界で広く使われており、さらにICU用、ER用、ナーシングホーム用のCAMも開発されています。
CAMでは、下記4項目のうち、①と②を満たし、③か④のどちらかが該当すれば、せん妄の診断となります。
①急性発症と変動性の経過(Acute onset and fluctuating course)
②注意散漫(Inattention)
③支離滅裂な思考(Disorganized thinking)
④意識レベルの変化(Altered level of consciousness)
看護師さんも使えるので、入院患者さんがちょっと様子が違うと思った時に、このCAMを使って情報共有してみてください。
ちなみにDSM5の診断基準を載せておきます。
(参考文献:あめいろぐ高齢者医療)
(編集長)
慌ただしいERの一コマ
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せん妄を見つけたときに考える鑑別診断
あなたも経験したことがあると思いますが、高齢者が入院すると想像以上にせん妄症状が出る人が多く、さらに激しい症状の人が多いのに驚かされると思います。逆にせん妄症状が出ない人の方が少なく、それだけコモンな疾患です。
せん妄は3つのパターンがあって、
・行動にあらわれるような過活動性せん妄(Hyperactive delirium)
・症状が分かりにくい低活動性せん妄(Hypoactive delirium)
・その2つがあらわれる混合型せん妄(Mix delirium)
に分けられますが、一言でいえば「せん妄とは、いつもと様子が違うこと」と思えばOKです。
それだけ頻繁に遭遇する高齢者のせん妄ですが、せん妄を見たときに鑑別すべきポイントを「DELIRIUM」で覚えておくと良いと思います。
D : Drug / Withdrawal (抗コリン作動薬、ベンゾジアゼピンからの離脱など)
E : Electrolyte / Endocrine (電解質、血糖、甲状腺機能など)
L : Line (点滴、心電図モニタ、尿道カテーテル、身体拘束など)
I : Infection (感染症)
R : Retention (尿閉、便秘)
I : Intracranial (脳梗塞、硬膜下血腫など)
U : Uremia (脱水)
M : Mortality (心筋梗塞や肺塞栓などの致死性急性疾患)
すぐに薬剤や身体拘束で対応せず、これらを素早く確認して、できるものは対応を変えていきましょう。
(参考文献:あめいろぐ高齢者医療)
(編集長)
まだ1週間ですが、
ガンガンPICC入れてます
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中枢性尿崩症(Central Diabetes Insipidus : CDI)
今回は蘇生後脳症による中枢性尿崩症(Central Diabetes Insipidus : CDI)の症例を経験したのでまとめてみました。
下垂体の後葉から抗利尿ホルモン(バソプレシン)が分泌されると、腎臓内で水の再吸収(尿濃縮)が促され、体内に必要な水分量をコントロールできます。下垂体機能障害の1つである中枢性尿崩症(Central Diabetes Insipidus : CDI)は、抗利尿ホルモンが分泌されなくなる、または低下することにより発症し、体内の水分が大量の尿となって失われます。
【症状】
症状は多尿→口渇→多飲→多尿…とループを繰り返し、昼夜を問いません。尿検査では低張尿(Uosm≦300 mOsm/kgH2O,Uosm<Posm)、低比重尿(<1.010)を認めます。続発性では原疾患の症状を合併します。
【検査】
検査は中枢性尿崩症の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)にて明確に記載されていたため抜粋します。
1.尿量は成人において1日3000㎖以上または40㎖/㎏以上
2.尿浸透圧は300mOsm/kg以下
3.高張食塩水負荷試験におけるバソプレシン分泌の低下:5%高張食塩水負荷(0.05 ml/kg/min で 120 分間点滴投与)時に、血漿浸透圧(血清ナトリウム濃度)高値においても分泌の低下を認める。
4.水制限試験(飲水制限後、3%の体重減少で終了)においても尿浸透圧は300 mOsm/kg を越えない。
5.バゾプレシン負荷試験(水溶性ピトレシン 5 単位皮下注後 30 分ごとに2 時間採尿)で尿量は減少し、尿浸透圧は 300 mOsm/kg 以上
に上昇する。
確定診断は3症状すべてが揃い、検査の1,2,3または1,2,4,5を満たすもの、となります。検査を進める中で心因性多飲症と腎性尿崩症の鑑別が重要になります。
【治療】
治療はデスモプレシン(DDAVP)の経鼻製剤2.5μg/回または口腔内崩壊錠60μg/回を1日1回から投与します。治療導入後は尿量、尿浸透圧(または比重)、血清Na濃度、体重などをなるべく毎日測定し、投与量や回数を調整します。
発症原因は大きく3つ(特発性、家族性、続発性)に分かれ、続発性が最も多く約80%を占めます。これは画像上で視床下部や下垂体に器質的障害が認められるタイプで、具体的には脳腫瘍、脳手術後、感染など炎症、癌転移などがあります。一方で特発性とは、画像上で視床下部~下垂体に器質的異常を認めないタイプで約10%を占めます。
今回は蘇生後脳症にともなう中枢性尿崩症の症例を経験しましたが、文献によると、低酸素脳症後に尿崩症を発症するまでに60±46時間、2-3日後に尿崩症と判断されることが多い、と記載されており、本症例は心肺停止後から心拍再開するまでが長く、結果として低酸素脳症に至り、その2日後に尿崩症の診断に至りました。またその文献では、低酸素脳症の尿崩症は死亡リスクが高く予後不良因子とされており、予断を許さない状況であることに変わりはないと再認識できました。
我が国内の患者数は「3万人に1人」と言われる珍しい病気で、国内の患者数は約4000~5000人程度なので文献の絶対数も少ないです。調べる中で発症原因の統計にバラ付きがみられるのはこうした背景の影響と思われ、今後のデータ収集が期待されます。
(Aotearoa)
松永先生カンファの時の一コマ
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透析患者の血糖コントロール指標
糖尿病で維持透析中の患者さんが入院してきました。採血データをみると、HbA1cが5.9%と正常範囲内でした。ところが、内服薬を確認するとDPP4阻害薬を服用していました。コントロールは非常によいのに、なぜDPP4阻害薬を継続しているのでしょうか?
糖尿病のコントロール目標としてHbA1cが使用されるのはご存じの通りです。過去1~2か月の平均血糖値を反映する便利な指標です。ところが、一般的に透析患者さんはHbA1cが低くなって、平均血糖値と解離することが知られています。ですから糖尿病のコントロール指標としては不適とされています。
HbA1cは、すごく単純に言うと砂糖漬けのヘモグロビンの割合のことですが、これは平均血糖だけでなく赤血球寿命にも関連があります。具体的には出血や溶血性疾患、肝硬変のときには低値になります。
透析患者は透析による失血(回路内の残血など)や出血、エリスロポエチン製剤による幼弱赤血球の増加などの影響でHbA1cが低値、つまり過小評価になるのです。
そんな透析患者さんの血糖コントロールに役立つ指標がグリコアルブミン(GA)です。
グリコアルブミンは血清アルブミンの糖化産物のことで、半減期約17日。つまり約2週間の平均血糖を反映しています。基準値は11~16%。血糖の管理目標としては20%未満が目標とされています。
冒頭の患者さんに戻ると、HbA1cは5.9%でしたが、GAは20.1%とやや高めでしたので、DPP4阻害薬の継続が必要なことが理解できました。
(編集長)
参考文献:糖尿病治療ガイド2022ー2023
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◆レジナビでお会いしましょう!
3月19日に東京ビックサイトで開催されるレジナビに当院も参加します。
当日は研修医と編集長らがブースであなたをお待ちしています♪
病院見学の時間が取れないあなた、どの病院にいくべきか決めかねているあなた。
ぜひブースにお越しください!
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インスリンを処方する時に覚えておくべきこと
病棟で看護師さんから「インスリンがもうなくなるので処方して下さい」と言われました。つい2日前にその患者さんに処方した記憶があるけど・・・、と思いつつ言われた通りに処方しましたが、どうもスッキリしません。
ちなみにその患者さんは、入院前には3種類の経口糖尿病薬を処方されていましたが、今回は肺炎で入院して、血糖コントロールが悪化していたのでインスリン強化療法を行っていました。具体的にはノボラピッド朝14単位、昼10単位、夕10単位とグラルギンを眠前に12単位で打っています。実は2日前に処方したのはグラルギンで、今日言われたのはノボラピッドの方でした。
さて、あなたはグラルギンが何日で無くなるか、ノボラピッドは次に何日後に処方しなくてはいけないか、分かりますか?
研修医に聞いてみると、たいてい答えが返ってきません(笑)。でも難しくないので、覚えておくと便利です。
患者さんが使うインスリンには、プレフィルドタイプとカートリッジタイプの2種類がありますが、いずれも1本あたり300単位入っています(ランタスXRという製剤のみ450単位入っています)。そして、インスリンを1回打つごとに、空打ち分として2単位必要になります。
つまり、1回打つたびに「打つ単位数+2単位」必要になることを覚えておけば大丈夫です。
冒頭の例で考えると・・・・、
グラルギンは1日1回12単位ですから、1日あたり12+2=14単位を使用することになります。グラルギン1本に300単位入っていますから、300÷14=21日分ということになります。
ノボラピッドでは、1日3回で14+10+10=34単位となりますが、空打ち分として毎回2単位ずつ必要になるので2×3=6単位
つまり1日あたり34+6=40単位を使用することになります。ノボラピッドも1本に300単位入っていますので、300÷40≒7日分ということになります。
そうなると、グラルギンは3週間に1本処方、ノボラピッドは1週間に1本処方でOKということになります。
またインスリンの際に必要な注射針についても簡単です。当院で採用されているナノパスニードル®は1パックに14本入っているので、インスリン強化療法(=1日4回打ち)をやっている時は、2パック処方すれは1週間もつことになります。
これらを前もって処方しておけば、看護師さんからのPHSが減ることになりますので、ぜひ覚えておいてください。
(編集長)
病棟で看護師さんと情報共有
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大腿骨頭壊死症
ある日、ステロイドを含む化学療法で入院加療していた90代の患者さんに、「入院してから背中が痛いんですよ」と言われました。しかし診察すると、背中というよりは臀部の痛み。臀部だからまあ筋肉の痛みなのかな、と思い温湿布を処方しました。しかし、そのフォローの外来のカルテを確認してみると… 「大腿骨頭壊死 疑い」
あ。あ~~…と、鑑別に思いつきもしなかったことを反省しながら、改めて大腿骨頭壊死症について調べてみました。
◎大腿骨頭壊死症
・特発性大腿骨頭壊死症の男女比は1.2~2.1:1と男性に多い
・全国の有病率は10万人に18.2人
・Risk factorはステロイドの全身投与・飲酒・喫煙。そのほか、若年・男性・SLEを有することもrisk factorとして報告あり。
・ステロイドについては投与から1-3か月で起こることが多いとされる。
・壊死域は変化しないとされる
<診断基準>
X 線所見(股関節単純 X 線像の正面像および側面像で判断)
1.骨頭圧潰あるいは crescent sign(骨頭軟骨下骨折線像)
2.骨頭内の帯状硬化像の形成
1.2 については stage 4 を除いて(1)関節裂隙が狭小化していないこと ,(2)寛骨臼には異常所見がないこと,を要する.
検査所見
3.骨シンチグラム:骨頭の cold in hot 像
4.MRI:骨頭内帯状低信号域(T1 強調画像でのいずれかの断面で骨髄組織の正常信号域を分界する像)
5.骨生検標本での骨壊死像(連続した切片標本内に骨および骨髄組織の壊死が存在し,健常域との界面に
線維性組織や添加骨形成などの修復反応を認める像)
判定: 上記項目のうち,2 つ以上を満たせば確定診断とする.
除外診断: 腫瘍および腫瘍類似疾患,骨端異形成症は診断基準を満たすことがあるが,除外を要する.なお,外傷(大腿骨頚部骨折,外傷性股関節脱臼),大腿骨頭すべり症,骨盤部放射線照射,減圧症などに合併する大腿骨頭壊死,および小児に発生する Perthes 病は除外する.
・治療
免荷・物理療法/高圧酸素療法・ビスホスホネート製剤などの薬物療法は推奨度5(明確な推奨を提示しない)
骨切り術・人工股関節置換術は推奨度2(行うことを弱く推奨する)
(研修医S)
朝の回診で鑑別疾患を考え中
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◆”レジナビFairオンライン2023 東日本”に参加します!
2月1日から開催されているレジナビFairに当院も参加します。
研修医も参加するので、どしどしご質問ください♪
当院は 2月21日(火)18:30からです。
レジナビのサイトからお申し込みが必要ですので、
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Fisher症候群・・・山中先生のZoomレクチャー
先月のことになりますが、今年度2回目となる山中克郎先生のZoomレクチャーを開催しました。
山中先生は、福島県立医大会津医療センター総合内科の教授として活躍されていますが、総合内科の大御所の一人です。著書もたくさんあります。
コロナ前は当院にお越しいただいていましたが、コロナになってからは年に2回のペースでZoomでのレクチャーをお願いしています。今年度は昨年5月に開催しましたが、それに続いてのレクチャーとなりました。
今回は神経内科領域の話題でした。その中から1つシェアしたいと思います。
40歳代男性が「ふらつき」と「話しにくい」を主訴に受診。病歴では2週間前に友人と焼肉を食べて、その後発熱と水様性の下痢を来しました。3日前からふらつきと話しにくさ、むせこむようになりました。受診時は複視の訴えもありました。身体所見では左右の眼球運動が悪く、嚥下障害と構音障害を認めました。膝踵試験は両側で稚拙。さらに上腕二頭筋、上腕三頭筋、膝蓋腱、アキレス腱反射は消失していました。さて、疾患は?? (ちなみにJ1の研修医S先生は見事に診断していました♪)
↓
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急性の外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失があり、さらに抗GQ1b IgG抗体>3.00 陽性が判明し、Fisher症候群と診断されました。
Fisher症候群
• ①急性の外眼筋⿇痺、②運動失調、③腱反射消失
• 瞳孔異常、眼瞼下垂、顔⾯神経⿇痺、球⿇痺、四肢の痺れ
• 先⾏感染(インフルエンザ桿菌、カンピロバクター)後に発症。1~2週間の進⾏後に⾃然軽快
• ギランバレー症候群の亜型
• ⾎清ガングリオシドGQ1b IgG抗体陽性(80-90%)
• 動眼、滑⾞、外転神経はGQ1bが豊富
• 男︓⼥=2︓1 平均発症年齢40歳
• 意識障害などを起こしBickerstaff型脳幹脳炎に移⾏することあり
さらに、今回の契機となったのは焼肉(たぶん生焼けの肉)からのカンピロバクター感染ですが、これについてもまとめていただきました。
カンピロバクター感染症
症 状)・⽔様性下痢(しばし⾎便)
・臍周囲の腹痛
・嘔気/嘔吐
・前駆症状︓発熱、悪寒、頭痛、倦怠感
その他)・潜伏期︓2-7⽇
・最も多い⾷中毒
・5-6⽉、9-10⽉に多い
・鶏⾁の>50%は感染
・⼗分加熱されていない鶏⾁は危ない
・ギラン・バレー症候群と関連あり
(編集長)
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◆”レジナビFairオンライン2023 東日本”に参加します!
2月1日から開催されているレジナビFairに当院も参加します。
研修医も参加するので、どしどしご質問ください♪
当院は 2月21日(火)18:30からです。
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感染性心内膜炎の手術適応
前回は感染性心内膜炎(IE)の症例を紹介しました。IEは抗生剤加療で軽快するケースもありますが、中にはすぐに手術に踏み切らないといけないものもあります。今回はIEの外科的治療についてまとめました。
外科的治療は、進行する心不全,心内構築の破壊,難治性感染症,塞栓症の可能性の際に考慮するものですが、起炎菌や併存疾患などによっても影響を受けるため、そのタイミングなどは症例ごとにチームで検討を要します。中でも早期の手術を考えなくてはいけないケースは以下の通りです。
・うっ血性心不全
IEで最も多くみられる合併症であり、弁破壊による逆流が原因となり発症します。NYHA分類Ⅲ-Ⅳ度であればそれ単独で緊急手術の適応であり、Ⅱ度であっても重度の弁逆流を伴う場合には肺高血圧等認めた際に早期手術の適応となります。
・抵抗性感染
最も効果的な抗菌薬が一定期間(3-5日程度)適切に投与された後も、血培が陰転化せず、発熱・白血球上昇・CRP高値などの感染所見が持続する場合には、治療抵抗性感染と判断し早期に手術を行う必要があります。また、抗生剤加療が奏功しにくい真菌・グラム陰性菌・MRSAなどの多剤耐性菌は治療抵抗性の経過をとることが多く、手術適応となります。
・疣腫が巨大な場合
重度の弁機能障害を伴う10mm以上の疣腫を有する自己弁IE患者に対しては、できるだけ早い手術を推奨する、とされています。
前回の記事で紹介した症例では、幸い塞栓症等の発症はなく疣贅も抗生剤投与後数日のうちに消失しましたが、僧帽弁腱索が断裂しておりsevere MRを認めました。心不全の予防の観点から、外来フォローののち待機的に手術の方針となりました。
参考資料:感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)
(研修医S)
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こんな症例を経験しました
J1の研修医Sがはじめてブログに投稿してくれました。彼が担当した患者さんのことを調べてまとめてくれています。ぜひご覧ください。
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先日のことですが、こんな症例を経験しました。
50歳代後半の男性。主訴は発熱。現病歴は2週間前から38度台の発熱を自覚。その後も軽快せずに救急外来を受診しました。発熱以外の自覚症状はなく、一見して元気そう。既往歴も内服歴もありませんでした。発熱以外のバイタルは正常でした。
このような患者さんなら、僕なら話を聞いてたぶん解熱剤を処方して、翌日の内科外来を受診してくださいと言って帰宅としてもらったと思います。
ところがこの患者さんを診察した先生は、身体所見をとり、聴診で心尖部の汎収縮期雑音に気づきました。結果として感染性心内膜炎(IE)の診断となりました。
咳嗽や右季肋部通など、ある程度臓器を推定できる症状があれば鑑別疾患を思い浮かべるのは比較的簡単ですが、症状がはっきりしない、パッと見て分からない、原因となる臓器を推定できない時には丁寧に身体所見をとることが大切だと改めて気づいた症例でした。
Head to toe approachという、発熱患者にとるべき全身の身体所見を示したものがあります。
頭頚部:蜂窩織炎・蝶形紅斑・ヘリオトロープ疹・リンパ節腫脹・頸静脈怒張・甲状腺痛
眼:眼瞼結膜蒼白・眼球結膜黄疸・点状出血
口腔:扁桃腫大・白苔・齲歯
胸部:呼吸音・心雑音・胸肋鎖関節痛
背部:呼吸音、CVA叩打痛、褥瘡、棘突起叩打痛
腹部:圧痛・Murphy徴候、肝叩打痛・腹膜刺激徴候
上肢:肩関節・上腕部筋把握痛・ゴットロン徴候・Mechanic’s sign・爪囲紅斑、Osler、Janeway
下肢:膝・足関節の熱感・腫脹、蜂窩織炎、大腿部筋把握痛
上に挙げたもの以外にもさまざま追加できるので、症状などに合わせて自分でカスタマイズして、一通りの診察ができるようになれるといいですね。
(研修医S)
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