
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
肺炎患者の対応・・・A-DROP
前回に続いて、肺炎についてのポイントを整理していきます。今回は市中肺炎(CAP)です。
まず質問です。あなたがERでCAPの患者さんをみた時に最初にすることは何でしょう?
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まずはA-DROPですね。研修医も医学生も、ほとんどの人が答えてくれるほど浸透しています。A-DROPは重症度評価に使いますが、入院させるのか、それとも外来で治療するのかの判断材料になります。
A-DROPでは、各項目を1点としてスコア化します。それを基に治療方針を判断します。
・0点なら軽症:外来治療
・1~2点なら中等症:外来もしくは入院
・3点なら重症:入院
・4~5点なら最重症:ICU入院
ポイントは、レントゲン所見が入っていないことに注意しましょう。例えばレントゲン所見が大したことなくとも、SpO2が低ければヤバいと判断する必要があります。
重症度評価と共に、敗血症の有無についても評価して下さい。いろいろと議論はあるところですが、臨床で簡便なので敗血症の有無はquick SOFAを使うのが良いでしょう。
quick SOFAは
・呼吸回数≧22回/分
・意識障害
・収縮期血圧≦100mmHg
2点以上なら敗血症疑いとして、さらに本来のSOFAスコアで評価します。
すでに気づいているかもしれませんが、A-DROPの中にはR(呼吸)、O(意識)、P(収縮期血圧)とquick SOFAの項目もかぶっているので、同時に評価できます。微妙に基準値が異なりますが、その辺は気にしないでOKです。なにより、ヤバい肺炎を逃さないことが優先事項です。
これらを頭に入れておいて、指導医の先生に上手にプレゼンして下さい。例えば・・「71歳の男性のCAPで、qSOFAは0点ですが、A-Dropが2点(年齢・脱水)でした。SpO2も92~94%と低めで、呼吸回数も20回前後とちょっと速いので、入院させた方がいいと思いますが・・・。」とプレゼンできればイイですね。
(編集長)
ERでのライン確保
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肺炎患者の対応・・・分類
肺炎は日常的に遭遇する疾患です。たぶんあなたも担当したことがあると思います。ですが、よく遭遇するので、診療もついついワンパターンになりがちです。
例えば、肺炎ならA-Dropで評価して、入院させたらセフトリアキソン(CTRX)を開始。他にも、高齢者でちょっとでも誤嚥が疑われるなら、絶食にしてアンピシリン/スルバクタム(ABPC/SBT)。呼吸器関連肺炎(VAP)ならメロペネム(MEPM)と言った感じでしょうか。
まあ、決して間違っている訳ではありませんが、色々なツールやガイドラインをきちんと利用できているでしょうか?このへんで、もう一度要点を整理してみようと思います。
今回は肺炎の分類から。肺炎患者を見た時は、まず下記の3つの分類の、どれに該当するのかを考えましょう。
・市中肺炎:CAP:Community Acquired Pneumonia
・院内肺炎:HAP:Hospital Acquired Pneumonia
・医療介護関連肺炎:NHCAP:Nursing and Health-Care Associated Pneumonia
では、それぞれの定義を確認しておきましょう。
・CAPは「病院外で日常生活を送っている人に発症した肺炎」
・HAPは「入院48時間以上経過した患者に新たに発症した肺炎」
・NHCAPは「医療ケアや介護を受けている人に発症した肺炎で、以下の1つ以上を満たすもの」
①療養病床、介護施設、精神病床に入所している
②90日以内に病院を退院した
③介護を必要とする高齢者、身体障害者
④通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制剤等)を受けている
ちなみに、ここでの介護の定義はPS(Performance status)≧3が該当します。PS3とは、限られた身の周りのことしかできない、日中の50%以上をベッドか椅子で暮らしている状態のことを指します。
次回は、CAPについて紹介します。
(編集長)
今回はこの二人♪
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初めての神経筋疾患
(George)
今日もPICC
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下剤のキホン2
こんにちは。現在、呼吸器内科で研修中の新潟県産もやしです。
肺癌患者さんの入院管理を行う上で必ずぶち当たるのが便秘の対応です。入院しているだけでも便秘が生じやすいのに、抗がん剤の副作用にも便秘があり、また抗がん剤に対する制吐薬の副作用にも便秘があります。以上より抗がん剤治療中の肺癌患者さんはほぼ必ず便秘の訴えがあります。というこうとで今回は下剤についてまとめてみました。以前、ネギトロ先生がまとめてくれたやつがあるので、それに追加してまとめたいと思います。
まず便秘患者さんを診たら器質的な便秘を見逃さないでください。腸閉塞の方に便秘薬を処方すると悪化してしまうので注意です。
さて、機能的な便秘についてですが大きく以下の2つのパターンがあります。
①排便の回数が減少する
②便は直腸にあるが排便するのが困難
患者さんがどちらのパターンなのか知るには患者さんの訴えも大事ですし、直腸診をして便があるのか軟便・硬便なのか判断してもいいですし、エコーで直腸内を評価しても良いです。
患者さんがどんな便秘なのか評価できたら、使用する下剤について考えます。下剤には大きく分けて刺激性下剤と非刺激性下剤があります。具体的な下剤についてはネギトロ先生の記事を参照ください。
①の患者さんには刺激性下剤と非刺激性下剤を用います。ネギトロ先生がまとめてくれたように、非刺激性は長期的な使用に、刺激性下剤は短期間の使用に向いています。ですから、まずは頓用で刺激性下剤を使用し腸を動かし、その後、定期的に緩下剤を使用し便の硬さをコントロールするのが良いです。
②の患者さんには、摘便や浣腸、座薬によって物理的に直腸にある便をとり除いたり、定期で非刺激性下剤を使用し、便の硬さをコントロールします。刺激性下剤は直腸を刺激する作用はないので②の患者さんには不向きです。
指示簿での便秘の指示は、基本的には頓用の即効性のある刺激性下剤で大丈夫です。ただし、連用すると耐性ができてしまうため、その後は定期で非刺激性下剤を処方しておきましょう。
参考文献:レジデントノート誌2021年5月号「ルーティンを見直す!病棟指示と頻用薬の使い方」
(新潟県産もやし)
日本海の夕焼け
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薬の副作用
(編集長)
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みなさんお久しぶりです。新潟県産もやしです。
新潟の大学病院にもどって早いもので数カ月たちました。水戸済生会病院とは異なる電カルシステムに戸惑いながらも、なんとか頑張ってます(笑)。
さて現在、大学病院の呼吸器内科で研修しているのですが、肺癌患者さんがとても多いです。抗がん剤治療を行っている患者さんの入院管理を行う上で副作用の対策が大切であると感じています。皆さんの中には薬剤の副作用はなんとなく分かっていても、それがどのくらいの時期に出現するのかまで把握している人は少ないのではないでしょうか。
患者さんを診察する際、open question → closed questionを利用する人が多いと思いますが、副作用の出現する時期まで理解しておけば、closed questionはしやすいです。
例えば、抗がん剤の有名な副作用に骨髄抑制がありますが、これは投与開始後1-2週間頃から出現します(抗がん剤の種類によりますが、、)。そのくらいの時期の患者さんがいたら、私は回診の際に「立ちくらみやフラフラする感じはありませんか?」や「鼻血が出たり、あざができやすくなってませんか?」など聞いています。
薬剤の副作用について調べるときは、ぜひその出現時期についても意識してみるといいかもしれません。今回はステロイドの副作用について簡単にまとめてみましたので参考にしてみてください。(ただし、この表はステロイドの量や投与回数、投与経路によって若干異なってくるのでご注意下さい)
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せん妄の診断・・・CAM
前回はせん妄を見た時に鑑別すべきポイントを紹介しました。せん妄は一言でいえば、「いつもと様子が違うこと」と捉えておけばOKですが、実際にせん妄と診断するには、どうすればいいのか知っていますか?
せん妄診断のゴールドスタンダードとしてDSM-5が用いられますが、これは現場ではちょっと使いにくく(文末参照)、ベッドサイドではCAMを利用するのが良さそうです。
CAMとはConfusion assesment methodのことで、せん妄のスクリーニングにも、診断にも使われるツールの一つです。感度94%、特異度89%と早期発見に役立つもので、世界で広く使われており、さらにICU用、ER用、ナーシングホーム用のCAMも開発されています。
CAMでは、下記4項目のうち、①と②を満たし、③か④のどちらかが該当すれば、せん妄の診断となります。
①急性発症と変動性の経過(Acute onset and fluctuating course)
②注意散漫(Inattention)
③支離滅裂な思考(Disorganized thinking)
④意識レベルの変化(Altered level of consciousness)
看護師さんも使えるので、入院患者さんがちょっと様子が違うと思った時に、このCAMを使って情報共有してみてください。
ちなみにDSM5の診断基準を載せておきます。
(参考文献:あめいろぐ高齢者医療)
(編集長)
慌ただしいERの一コマ
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せん妄を見つけたときに考える鑑別診断
あなたも経験したことがあると思いますが、高齢者が入院すると想像以上にせん妄症状が出る人が多く、さらに激しい症状の人が多いのに驚かされると思います。逆にせん妄症状が出ない人の方が少なく、それだけコモンな疾患です。
せん妄は3つのパターンがあって、
・行動にあらわれるような過活動性せん妄(Hyperactive delirium)
・症状が分かりにくい低活動性せん妄(Hypoactive delirium)
・その2つがあらわれる混合型せん妄(Mix delirium)
に分けられますが、一言でいえば「せん妄とは、いつもと様子が違うこと」と思えばOKです。
それだけ頻繁に遭遇する高齢者のせん妄ですが、せん妄を見たときに鑑別すべきポイントを「DELIRIUM」で覚えておくと良いと思います。
D : Drug / Withdrawal (抗コリン作動薬、ベンゾジアゼピンからの離脱など)
E : Electrolyte / Endocrine (電解質、血糖、甲状腺機能など)
L : Line (点滴、心電図モニタ、尿道カテーテル、身体拘束など)
I : Infection (感染症)
R : Retention (尿閉、便秘)
I : Intracranial (脳梗塞、硬膜下血腫など)
U : Uremia (脱水)
M : Mortality (心筋梗塞や肺塞栓などの致死性急性疾患)
すぐに薬剤や身体拘束で対応せず、これらを素早く確認して、できるものは対応を変えていきましょう。
(参考文献:あめいろぐ高齢者医療)
(編集長)
まだ1週間ですが、
ガンガンPICC入れてます
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中枢性尿崩症(Central Diabetes Insipidus : CDI)
今回は蘇生後脳症による中枢性尿崩症(Central Diabetes Insipidus : CDI)の症例を経験したのでまとめてみました。
下垂体の後葉から抗利尿ホルモン(バソプレシン)が分泌されると、腎臓内で水の再吸収(尿濃縮)が促され、体内に必要な水分量をコントロールできます。下垂体機能障害の1つである中枢性尿崩症(Central Diabetes Insipidus : CDI)は、抗利尿ホルモンが分泌されなくなる、または低下することにより発症し、体内の水分が大量の尿となって失われます。
【症状】
症状は多尿→口渇→多飲→多尿…とループを繰り返し、昼夜を問いません。尿検査では低張尿(Uosm≦300 mOsm/kgH2O,Uosm<Posm)、低比重尿(<1.010)を認めます。続発性では原疾患の症状を合併します。
【検査】
検査は中枢性尿崩症の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)にて明確に記載されていたため抜粋します。
1.尿量は成人において1日3000㎖以上または40㎖/㎏以上
2.尿浸透圧は300mOsm/kg以下
3.高張食塩水負荷試験におけるバソプレシン分泌の低下:5%高張食塩水負荷(0.05 ml/kg/min で 120 分間点滴投与)時に、血漿浸透圧(血清ナトリウム濃度)高値においても分泌の低下を認める。
4.水制限試験(飲水制限後、3%の体重減少で終了)においても尿浸透圧は300 mOsm/kg を越えない。
5.バゾプレシン負荷試験(水溶性ピトレシン 5 単位皮下注後 30 分ごとに2 時間採尿)で尿量は減少し、尿浸透圧は 300 mOsm/kg 以上
に上昇する。
確定診断は3症状すべてが揃い、検査の1,2,3または1,2,4,5を満たすもの、となります。検査を進める中で心因性多飲症と腎性尿崩症の鑑別が重要になります。
【治療】
治療はデスモプレシン(DDAVP)の経鼻製剤2.5μg/回または口腔内崩壊錠60μg/回を1日1回から投与します。治療導入後は尿量、尿浸透圧(または比重)、血清Na濃度、体重などをなるべく毎日測定し、投与量や回数を調整します。
発症原因は大きく3つ(特発性、家族性、続発性)に分かれ、続発性が最も多く約80%を占めます。これは画像上で視床下部や下垂体に器質的障害が認められるタイプで、具体的には脳腫瘍、脳手術後、感染など炎症、癌転移などがあります。一方で特発性とは、画像上で視床下部~下垂体に器質的異常を認めないタイプで約10%を占めます。
今回は蘇生後脳症にともなう中枢性尿崩症の症例を経験しましたが、文献によると、低酸素脳症後に尿崩症を発症するまでに60±46時間、2-3日後に尿崩症と判断されることが多い、と記載されており、本症例は心肺停止後から心拍再開するまでが長く、結果として低酸素脳症に至り、その2日後に尿崩症の診断に至りました。またその文献では、低酸素脳症の尿崩症は死亡リスクが高く予後不良因子とされており、予断を許さない状況であることに変わりはないと再認識できました。
我が国内の患者数は「3万人に1人」と言われる珍しい病気で、国内の患者数は約4000~5000人程度なので文献の絶対数も少ないです。調べる中で発症原因の統計にバラ付きがみられるのはこうした背景の影響と思われ、今後のデータ収集が期待されます。
(Aotearoa)
松永先生カンファの時の一コマ
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透析患者の血糖コントロール指標
糖尿病で維持透析中の患者さんが入院してきました。採血データをみると、HbA1cが5.9%と正常範囲内でした。ところが、内服薬を確認するとDPP4阻害薬を服用していました。コントロールは非常によいのに、なぜDPP4阻害薬を継続しているのでしょうか?
糖尿病のコントロール目標としてHbA1cが使用されるのはご存じの通りです。過去1~2か月の平均血糖値を反映する便利な指標です。ところが、一般的に透析患者さんはHbA1cが低くなって、平均血糖値と解離することが知られています。ですから糖尿病のコントロール指標としては不適とされています。
HbA1cは、すごく単純に言うと砂糖漬けのヘモグロビンの割合のことですが、これは平均血糖だけでなく赤血球寿命にも関連があります。具体的には出血や溶血性疾患、肝硬変のときには低値になります。
透析患者は透析による失血(回路内の残血など)や出血、エリスロポエチン製剤による幼弱赤血球の増加などの影響でHbA1cが低値、つまり過小評価になるのです。
そんな透析患者さんの血糖コントロールに役立つ指標がグリコアルブミン(GA)です。
グリコアルブミンは血清アルブミンの糖化産物のことで、半減期約17日。つまり約2週間の平均血糖を反映しています。基準値は11~16%。血糖の管理目標としては20%未満が目標とされています。
冒頭の患者さんに戻ると、HbA1cは5.9%でしたが、GAは20.1%とやや高めでしたので、DPP4阻害薬の継続が必要なことが理解できました。
(編集長)
参考文献:糖尿病治療ガイド2022ー2023
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3月19日に東京ビックサイトで開催されるレジナビに当院も参加します。
当日は研修医と編集長らがブースであなたをお待ちしています♪
病院見学の時間が取れないあなた、どの病院にいくべきか決めかねているあなた。
ぜひブースにお越しください!
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当院には基幹型内科専門研修プログラムがありますが、その強みは消化器内科、循環器内科、腎臓内科の診療体制です。あなたも最短で内科専門医、そして施設を異動することなくサブスペシャルティ専門医と関連する各種の資格を取得できます。そんな内科専門研修プログラムを紹介するブログもぜひご覧ください。
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インスリンを処方する時に覚えておくべきこと
病棟で看護師さんから「インスリンがもうなくなるので処方して下さい」と言われました。つい2日前にその患者さんに処方した記憶があるけど・・・、と思いつつ言われた通りに処方しましたが、どうもスッキリしません。
ちなみにその患者さんは、入院前には3種類の経口糖尿病薬を処方されていましたが、今回は肺炎で入院して、血糖コントロールが悪化していたのでインスリン強化療法を行っていました。具体的にはノボラピッド朝14単位、昼10単位、夕10単位とグラルギンを眠前に12単位で打っています。実は2日前に処方したのはグラルギンで、今日言われたのはノボラピッドの方でした。
さて、あなたはグラルギンが何日で無くなるか、ノボラピッドは次に何日後に処方しなくてはいけないか、分かりますか?
研修医に聞いてみると、たいてい答えが返ってきません(笑)。でも難しくないので、覚えておくと便利です。
患者さんが使うインスリンには、プレフィルドタイプとカートリッジタイプの2種類がありますが、いずれも1本あたり300単位入っています(ランタスXRという製剤のみ450単位入っています)。そして、インスリンを1回打つごとに、空打ち分として2単位必要になります。
つまり、1回打つたびに「打つ単位数+2単位」必要になることを覚えておけば大丈夫です。
冒頭の例で考えると・・・・、
グラルギンは1日1回12単位ですから、1日あたり12+2=14単位を使用することになります。グラルギン1本に300単位入っていますから、300÷14=21日分ということになります。
ノボラピッドでは、1日3回で14+10+10=34単位となりますが、空打ち分として毎回2単位ずつ必要になるので2×3=6単位
つまり1日あたり34+6=40単位を使用することになります。ノボラピッドも1本に300単位入っていますので、300÷40≒7日分ということになります。
そうなると、グラルギンは3週間に1本処方、ノボラピッドは1週間に1本処方でOKということになります。
またインスリンの際に必要な注射針についても簡単です。当院で採用されているナノパスニードル®は1パックに14本入っているので、インスリン強化療法(=1日4回打ち)をやっている時は、2パック処方すれは1週間もつことになります。
これらを前もって処方しておけば、看護師さんからのPHSが減ることになりますので、ぜひ覚えておいてください。
(編集長)
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