臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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喘息の話(4)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.20
カテゴリー: カンファレンス 内科

井上先生の呼吸器レクチャーからです。前回は喘息の治療について紹介しました。症状から治療ステップを選択するというものです。

 

しかし実際の臨床では、なかなか症状がコントロールできない場合があります。そんな時の診療の進め方がガイドラインにあります。

 

 

他に井上先生は、喘息のコントロール状態について医師と患者との間で認識に大きなギャップがあることを強調していました。治療を受けている患者らを調べると、医師側は79%でコントロール良好と認識していたのに、患者側では約半数しかコントロール良好と回答していなかったというデータがあるそうです。つまり、患者側の喘息治療に対する治療満足度が低いということです。

 

もう一つ、全身ステロイド投与、つまり経口とか点滴でのステロイド投与についてですが、長期に全身投与することは、いろいろ問題があるのは容易に想像できると思います。ですので、喘息コントロールのための経口ステロイドの使用は短期間の間欠投与(ステロイドバーストと呼ぶそうです)が原則です。

 

でも、ステロイドバーストを年4回以上行っていると、いくら短期使用といっても、骨粗鬆や高血圧、肥満、糖尿病などのリスクが上昇してしまいます。ですので、年に何度もステロイドの全身投与をするような患者さんでは、生物学的製剤の位置づけが高くなっているそうです。生物学的製剤は値段も高くて使用に条件がありますので、専門医に紹介して導入してもらいましょう。

 

まとめると、喘息の管理目標である

 

1、症状のコントロール(発作や喘息症状がない状態を保つ)

2、将来のリスク回避(喘息死回避、急性増悪予防、呼吸機能の経年低下抑制、治療薬の副作用回避、健康寿命と生命予後を良好に保つ)

 

これらを意識しながら、患者さんの満足度を高めるように積極的な治療を行う必要があります。

(編集長)

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喘息の話(3)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.16
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回の続きです。

前回は喘息を疑ったら、ICS/LABA(吸入ステロイド/長時間作用型β刺激薬)を使って積極的に診断していきましょうという内容でした。

 

では、診断したら治療を行う訳ですが、喘息ではICSが治療の中心になることは、どこかで聞いたことがあるはずです。このICSが導入されたことで、1995年から2013年までの18年間で、喘息による死亡が80%近くも低下しています。凄いですよね。こんなに死亡率が低下した疾患は他にないそうです(編集長としてもすごく実感します)。

 

さて、治療を行う際には症状の重症度をおさえたうえで、治療ステップに基づいて薬剤の選択をしていきます。重症度や治療ステップの表は見たことあると思いますが、その中から長期管理のための基本治療薬をまとめると以下のようになります。

 

なお、発作時はいずれのときでもSABA(短時間作用型β刺激薬)が基本となります。

 

【軽症間欠型】

頻度:週1回未満

強度:症状は軽度で短い

夜間症状:月2回未満

➡治療ステップ1

  ・低用量ICS

  ・LTRA(ロイコトリエン受容体拮抗薬)内服

  ・テオフィリン徐放剤内服

 

【軽症持続型】

頻度:週1回以上だが、毎日ではない

強度:月1回以上、日常生活や睡眠が妨げられる

夜間症状:月2回以上

➡治療ステップ2

  ・低~中用量ICS+LABAまたはLAMA(長時間作用型抗コリン薬)

  ・LTRA内服

  ・テオフィリン徐放剤内服

 

【中等症持続型】

頻度:毎日

強度:週1回以上、日常生活や睡眠が妨げられる。しばしば増悪

夜間症状:週1回以上

➡治療ステップ3

  ・中~高用量ICS+LABA+LAMA

  ・LTRA内服 

  ・テオフィリン徐放剤内服

  ・抗IL-4受容体α鎖抗体(デュピルマブ)

 

【重症持続型】

頻度:毎日

強度:日常生活に制限、しばしば増悪

夜間症状:しばしば

➡治療ステップ4

  ・高用量ICS+LABA+LAMA

  ・LTRA内服

  ・テオフィリン徐放剤内服

  ・抗IgE抗体(オマリズマブ)

  ・抗IL-5抗体(メポリズマブ)

  ・抗IL-5受容体α鎖抗体(ベンラリズマブ)

  ・抗IL-4受容体α鎖抗体(デュピルマブ)

  ・経口ステロイド薬

  ・気管支熱形成術

 

次回紹介する予定ですが、ポイントは経口ステロイド薬よりも生物学的製剤の位置づけが上に来ていることに注意しましょう。

(編集長)

ER当直中の一コマ

(手を出したいけど、出さない指導医)

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喘息の話(2)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.11
カテゴリー: カンファレンス 内科

井上先生の呼吸器レクチャーからです。今回は喘息を疑った時の対応についてです。

 

前提として、

・喘息は小児から高齢者まですべての年代において発症し得る疾患

・喘息の診断には「ゴールデンスタンダード」となりうる客観的指標はない

・喘息の診断には症状が重要なので、詳細な問診が必要

・症状の中で最も特異性の高い症状が「喘鳴」、最も頻度が多いのが「咳嗽」

 

これらを踏まえて、まず問診チェックリストを用います。

・「大項目+小項目のうちいずれか1つ以上」あれば喘息を疑い、次に紹介する診断アルゴリズムに移ります。

 

<問診チェックリスト>

大項目

  喘息を疑う症状(喘鳴、咳嗽、喀痰、胸苦しさ、息苦しさ、胸痛)がある

 

小項目

〔症状〕

 ①ステロイドを含む吸入薬もしくは経口ステロイド薬で呼吸器症状が改善したことがある

 ②喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)を感じたことがある

 ③3週間以上持続する咳嗽を経験したことがある

 ④夜間を中心とした咳嗽を経験したことがある

 ⑤息苦しい感じを伴う咳嗽を経験したことがある

 ⑥症状は日内変動がある

 ⑦症状は季節性に変化する

 ⑧症状は香水や選考などの香りで誘発される

〔背景〕

 ⑨喘息を指摘されたことがある(小児喘息も含む)

 ⑩両親もしくは兄弟に喘息がいる

 ⑪好酸球性副鼻腔炎がある

 ⑫アレルギー性鼻炎がある

 ⑬ペットを飼い始めて1年以内である

 ⑭末梢血好酸球が300/μl以上

 ⑮アレルギー検査(血液もしくは皮膚検査)にてダニ、真菌、動物に陽性を示す

 

繰り返しになりますが、上記チェックリストで「大項目+小項目のうちいずれか1つ以上」あれば、下記のアルゴリズムに従って診断します。

 

日本喘息学会 喘息診療実践ガイドライン2021より 

 

これを見ると分かりますが、喘息を疑ったらICS/LABAを試して積極的に喘息を診断しに行きましょうという感じが伝わりますね。

(編集長)

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喘息の話(1)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom

2021.11.09
カテゴリー: カンファレンス 内科

今年度から始まった井上先生の呼吸器レクチャー@Zoomが先日開催されました。

 

今回のタイトルは「それでいいのか?喘息、COPDの診療」ちょっと攻めた感じでした(理由は井上先生の専門領域だからです)。今回から井上先生のレクチャーの中から気管支喘息(以下、喘息)について紹介していきます。

 

まず、あなたの喘息に対するイメージはどんなものでしょうか?

ゼーゼーしながら病院に来て、吸入や点滴をすると良くなって帰宅する病気と言った感じでしょうか?

 

編集長が研修医の頃は喘息発作の入院が多くて、それはもっぱら研修医の仕事でしたが、今は喘息発作の入院を経験したことがない研修医が大半かもしれません。。

 

ところが、喘息として治療を受けている人は約111万人(2017年統計)ですが、喘息様の症状がある人は数百万人いると推定されているそうです。その全てが喘息ではないとしても、、喘息と診断されておらず、未治療の人がまだまだ多いということです。

 

その未治療の喘息患者さんを診断し、治療に結び付けていくにはどうしたら良いか?それにはあなたが喘息を診断しなければいけません。

 

では、どうやって診断しますか?

初めに喘息の定義を振り返ってみると、
「気道の慢性炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳などの臨床症状で特徴付けられる疾患」

となっています。

 

ここでのポイントは、纐纈奴や糖尿病などと異なり、数値が入っていないぼんやりした定義だということです。つまり、何か検査をして喘息と診断する訳でなく、症状から疑っていく必要があるということです。

 

具体的には

 風邪でもないのに・・・、

 冷たい空気を吸うと・・・、

 風呂の湯気を吸うと・・・、

 タバコや線香の煙で・・・、

 天気が悪くなると・・・、

 

 咳が出る

 息が吸いづらい

 胸が重苦しい

 胸が圧迫される

これらは喘息の症状かもしれません。

 

実際のところ、長引く咳の原因の7割が喘息関連(咳喘息+咳優位型喘息)というデータがあるそうです。(Niimi A et al. J Asthma. 2013; 50: 932 937)

 

繰り返しになりますが、あなたが「もしかしたら喘息かもしれない」と疑うことが未治療の喘息を診断する第一歩になります。

 

次回は、喘息を疑ったときの対応を紹介します。

(編集長)

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高齢者の食欲不振

2021.09.28
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はJ1で総合内科をローテー中のE.Tが記事を書いてくれました。よく遭遇する問題の鑑別のヒントです。

 

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誤嚥性肺炎で入院された患者さん。抗菌薬の治療で熱も下がって呼吸状態も良くなってきて、よし退院だと思っていたら、なんだかご飯を全然食べてくれなくて困り果ててしまいました…。

 

なにか介入できる原因はないか?食欲低下や体重減少を鑑別する時に使えるゴロを紹介します!

 

それが、MEALS ON WHEELS

(車輪の上に乗った食事、いわゆる配食サービスの意味です)

 

M:Medication 薬剤

E:Emotional  特にうつ病

A:Alcoholism, Abuse, Anorexia アルコール依存、拒食症

L:Late life paranoia 老年期妄想

S:Swallowing problems 嚥下障害
O:Oral Problems  義歯が合っていない、虫歯、口内炎

N:Nosocomial infections, No money  院内感染、金欠
W:Wandering 認知症など行動異常

H:hypothyroidism, Hyperglycemia 甲状腺機能低下症、高血糖

E:Enteral problems: 吸収障害など

E:Eating problems 自分で食べられない

L:Low salt, Low cholesterol カロリー不足など

S:Stones, Shopping problems, Social Problems, isolation 買物、社会的問題、孤独

 

これで原因を鑑別してみてください!

 

ちなみに、薬で食欲増やしてください!と言われたら、なかなか厳しいですが、、、食欲増やすと言われている薬はこちら↓↓↓

 

・副腎皮質ステロイド
・抗精神病薬(オランザピンなど)
・ヒスタミン受容体(H1受容体)拮抗薬(ザイザル、アレロック、ペリアクチンなど)

 

よければ参考にしてみてください!

(E.T)

このカルテ書き終えればちょっと休憩♪

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糖尿病のお薬・・・・インスリン

2021.09.25
カテゴリー: カンファレンス 内科

シリーズで紹介してきた糖尿病のお薬ですが、今回のインスリンで最後になります。

 

インスリンというと、種類も多くて良く分からない、処方する時に何本処方するとか針はどうするのかが良く分からない、などと苦手意識をもつ人が多いのですが、今回は最低限の知識だけに絞って紹介します。

 

【機序】

血中のブドウ糖を肝臓や脂肪細動、骨格筋などの細胞内に取り込ませることで血糖値を低下させます。

 

【特徴】

1型糖尿病では必須の薬剤であることはご存じのとおりですが、血糖コントロールが悪い人だけでなく、肝不全や腎不全(透析)、重症感染症の患者さんに用います。また妊婦さんの糖尿病でもインスリンが必須です。

 

【禁忌】

特別なものはありません。

 

【副作用】

「インスリンの副作用はなに?」と質問すると多くの研修医が「低血糖」「低カリウム血症」答えてくれます。もちろんこれは正解ですが、これに加えて、体重増加」もぜひ覚えておいてください。

 

インスリンは血糖を肝臓や脂肪細胞などに取り込ませるだけでなく、脂肪の分解を抑制する作用もあるため、体重増加につながります。入院中など急性期にインスリンでコントロールするのは問題ありませんが、外来での管理の時はできるだけインスリンを増やさない工夫が求められます。

 

また、経口糖尿病薬を使ってもコントロールが悪い時にインスリンに切り替える方法もありますが、治療開始早期にインスリンを導入し、コントロールを付けてから経口薬に切り替える方法もあります。患者さんにどのような方針なのかを良く説明しておくことが大事です。

 

インスリン製剤の選択や具体的な使い方は、いろいろあるので編集長は上手く紹介できません。でも大事なことは、その患者さんの生活スタイルに合わせてアドヒアランスを向上させるように工夫することです。糖尿病の先生はいろいろな手を知っているので、困ったときは相談すると良いと思います。

 

シリーズの最初でも述べたように、どの診療科に行っても糖尿病の患者さんがいます。手術や検査の時に食事を止める場合は一緒に糖尿病薬の中止や減量を指示しないといけません。苦手意識を持たずに、ぜひ覚えてください。

(編集長)

次の救急車が来るまでに準備!

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【お知らせ】病院見学の受付を再開します

2021.09.23
カテゴリー: カンファレンス 内科

新型コロナの新規感染者も減少し、茨城県では9月19日で非常事態宣言が解除されました。

今まで医学生の病院見学を受け入れを中止していましたが、宣言解除を受けて、病院見学の受付を再開することとします。

 

もちろん、新規の感染者が減ったとはいえ油断はできませんが、当院としては一度は病院見学にお越しいただき、研修医たちから直接ホントのところを聞き出していただきたいと考えています。

 

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あなたのお申し込みをお待ちしています!

 

(編集長)

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糖尿病のお薬・・・・SGLT2阻害薬

2021.09.21
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はSGLT2阻害薬です。

ご存じの通り、SGLT2阻害薬は今一番ホットな話題で、その理由は糖尿病薬としてではなく、心血管イベントを低下させる循環器病薬、腎保護作用を有する腎保護薬としての有用性を示すデータが出てきたからです。これからもしばらく話題を提供してくれるでしょう。

 

今回は、循環器領域のことはあえて触れず、基本に戻って糖尿病薬としての役割を整理しておきます。

 

【機序】

・腎臓で糖を再吸収させるSGLT2の働きを阻害することで、尿糖排泄を促進させます。

 

【特徴】

・インスリンとは独立して作用を示す。

・1型、2型糖尿病どちらにも適応あり

・体重減少や血圧低下が見られる

・腎保護作用がある

・心血管イベントを抑制する

 

【禁忌】

・重症感染症、術後などは使用しません

 

【副作用】

・尿路・性器感染症

・脱水・口喝

・DKA

・皮疹 など

 

DPP4阻害薬と並んで、現在多く処方されている糖尿病薬ですが、エネルギーを尿に排泄するので、高齢者では低栄養やサルコペニアを悪化させる可能性があり、症例を選ぶ必要があります。

 

腎機能低下例では効果が減弱するので良い適応ではありません。また透析例では使用しません。尿路感染症はADLの良い人ではそれほど経験しませんが、編集長は、おむつを使用するような高齢者には避けています。

 

最も向くのは、比較的若年で、腎機能に問題なくて肥満や脂肪肝のあるような人に良いと思います。

 

(編集長)

研修医部屋での一コマ

昨年(2020年)撮影したものです♪

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糖尿病のお薬・・・・αグルコシダーゼ阻害薬(αGI)

2021.09.18
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回から糖吸収・排泄調整系の薬剤を紹介します。

このクラスに分類されるのは、αグルコシダーゼ阻害薬(αGI)とSGLT2阻害薬ですが、今回はαGIについてです。

 

【機序】

・小腸において二糖類からブドウ糖への分解を阻害し、糖の吸収を遅らせることで食後の急激な血糖上昇を抑えます。

 

【特徴】

・二糖類が未消化のまま大腸に行き、それが大腸の細菌叢により発酵されてガスが発生する。この結果、おならや腹部膨満感などの副作用があります。

・体重が増加しにくい。

 

【禁忌】

・重症感染症、術後などは使用しません

 

【副作用】

・重篤な肝機能障害

・開腹手術歴がある人、高齢者では腸閉塞に注意

 

空腹時の血糖はそれほど高くないけど、食後高血糖があるような、比較的軽症の糖尿病患者さんに向きます。しかし中等症以上の糖尿病では他剤との併用薬という位置づけになります。毎食前に服用する必要があるので、その点で向かない患者さんもいます。

 

もしαGIを服用中の患者さんが低血糖を起こした場合は、ブドウ糖を服用させないと速やかに血糖が改善しないので注意が必要です。

(編集長)

もちろん仕事の話です・・・

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糖尿病のお薬・・・・GLP1受容体作動薬

2021.09.14
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はGLP1受容体作動薬についてです。

 

GLP1作動薬は注射薬として登場しましたが、2020年になって内服薬も発売されて選択肢が増えました。

 

【機序】

・インスリン分泌を促進する消化管ホルモン(インクレチン)の一つであるGLP1のアミノ酸配列を変化させて、DPP4で分解されにくくした薬剤。

 

【特徴】

DPP4阻害薬同様に、

・体重増加を来しにくい。

・空腹時に低血糖を来しにくい(GLP1は腸管に食べ物が入る刺激で分泌され、空腹時は分泌されない)。

 

さらに、

・長時間分解されなくても低血糖を起こさないので週1回投与の注射薬がある。

・当初は注射薬だけでしたが、2020年に経口薬も登場(1日1回服用です)

 

【禁忌】

特別なものはありません。腎機能低下例でも使用可能。

 

【副作用】

・消化器症状:嘔気、胃部不快感、便秘、下痢、腸閉塞

(DPP4阻害薬と同様に、消化管ホルモンの作用を増強し、腸管蠕動や食欲抑制する方向に作用します)

 

週1回の注射で済むので、アドヒアランスが保てない患者に向きます。例えば高齢者なら、家族や訪問看護師さんが週1回打つだけになるので、コントロールが安定するケースを良く経験します。一方、食欲低下作用があるので、高齢者では脱水や低栄養、サルコペニアや骨量減少など、マイナスの面が出ることがあります。体重の推移に十分注意を払う必要があります。

 

なお、Webで検索するとダイエット目的のGLP1受容体作動薬の広告が出てきますが、ダイエット目的の使用は薬機法違反になります!!当たり前ですが、やったら捕まります。

(編集長)

今夜は忙しめのER当直

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