
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
退院までの道のり(1)
入院患者さんで、特に高齢者では、せっかく元気になったのに退院できないということが日常的にありますが、こんな時は他の職種と力を合わせて退院に向けて、患者さんや家族、関係先に働きかけを進めていくこともドクターの大事な仕事の一つです。このような場面ではソーシャルワーカーや看護師だけでなく、リハビリや薬剤師などからの情報も統合したうえで家族に話をしますが、退院までの道のりの全体像を頭に入れておかないと、話がかみ合わないことがあります。
この記事は4年前に、当時J2だったNくん(現在は麻酔科専攻医)が書いてくれたものですが、良くまとまっていて、その後も何度か紹介した記事です。病棟で必ず役に立つ内容ですので、病棟での仕事をこなせるようになってきた今の時期に、ぜひ読んでみてください。
(編集長)
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当院の総合内科では、自分が主治医になって治療にあたります.それは医師として当たり前の仕事なので納得できると思いますが,高齢者であればあるほど,家族による退院の受け入れ体制が脆弱になり,施設の利用や介護サービスの介入が重要になってきます.
その理由としては,
・独居である場合
・高齢の配偶者と2人ぐらしで子どもは別の場所で暮らしている場合
・子どもや孫と同じ住居であるが,もともと介護に時間がとられ,慢性的に介護疲れしている場合
・施設入所しており、すでに家族との関係が疎遠になっている場合
などなど.あげだしたらきりがないです.
退院先の受け皿を広くする役割を持つのが
・ケアマネージャ
・介護保険申請
・特別養護老人ホーム等の施設型介護福祉施設
・かかりつけ医
これらの福祉サービスのいずれかを何らかの理由で享受していない場合,高齢者の退院は非常に難しくなります.
そのため,特に救急搬送されてくる患者に関しては,ERで患者家族がいる時点で「要介護度は?(介護保険は申請していますか?)」「ケアマネはいますか?連絡先は?名前は?」「施設の利用は?」と聞いておくことが大切です.
次回から,転院や退院の際に私たちが知っておくべきことを紹介していきます.
(Nくん)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆内科専門研修プログラム説明会を開催します
水戸済生会の内科研修プログラム説明会をZoomで開催します。
J2が対象ですが、水戸済生会の内科専門プログラムに関心のある方なら、医学生でもJ1でも参加可能です。あなたの参加をお待ちしています♪
日時:2025年9月26日(金)
19時開始(40~50分程度の予定です)
場所:Zoom
内容:①内科専門研修の概略
②消化器内科の専門研修
③腎臓内科の専門研修
④循環器内科の専門研修
⑤膠原病内科の専門研修
⑥血液内科の専門研修
⑦脳神経内科の専門研修
⑧質疑応答
申し込み方法
下記リンクの問い合わせフォームからお申し込みください。フォーム内の「お問い合わせ内容」欄に「内科専門研修プログラム説明会参加希望」と入力し、送信して下さい。
自動返信メールが届きますが、後日改めてZoomのURLをお知らせいたします。
退院までの2つの治療計画
春から研修が始まって半年が経過しました。初めは何が何だか分からなかったと思いますが、あなたも今では指導医に言われたことに要領が良く対応できるようになってきたはずです。
一方で、患者さんがなかなか退院しないので、いつの間にか担当患者さんが増えているなんてことも経験しているはずです。
そこで今回は、段取りよくスムーズに退院に結び付けるためのコツを紹介します。そのコツとは、「2つの治療計画を考えておく」ことです。
どういうことかというと、1つ目は「その日1日の計画」。例えば術後の患者さんなら、今日はドレーンを抜くとか、糖尿病の人なら今日中に眼科コンサルトをするとか。ICUの患者さんなら、何とかバイタルを安定化させようとか、抜管しようとか、カテコラミンをこの辺まで減量しようとか。
そして、多くの人に欠けているのが2つ目の「退院までの計画」です。例えば感染性心内膜炎と診断されたら、4週間は抗菌薬の投与が必要ですから、それまでに何を済ませるとかは、時間的な余裕があります。
ところが高齢者の肺炎なら、抗菌剤の投与は2週間程度としても、すぐに退院できるように、リハビリの介入をして、ADLを落とさないようにする。退院担当の看護師さんやソーシャルワーカーさんと相談して、自宅退院なのか?施設なのかを手配しておかないといけません。さらに家族にも退院に向けて、準備してもらわないといけません。意外とやることがあります。
このように疾患と直接関係ないことも、先読みして計画を立ててスムーズな退院に持ち込むのは、必須のスキルになります。
研修医の間は指導医の先生に言われたことを片付けようと必死になるは仕方ないことですが、指導医と議論しながら退院までの全体の治療計画を意識して仕事をしていくと、格段に段取りが良くなります。ぜひ意識して診療にあたってみてください。
(編集長)
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②消化器内科の専門研修
③腎臓内科の専門研修
④循環器内科の専門研修
⑤膠原病内科の専門研修
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患者さんへの挨拶。その次は?
ERでも病棟でも、患者さんから話を聞く時や診察する時に、あなたは患者さんの名前や生年月日を確認して、「こんにちは、研修医の○○と言います。よろしくお願いします。」と、まず挨拶して名乗りますよね?
では、挨拶した次に、あなたは患者さんにどんなことを言っていますか? ちょっと今日の病棟のことを思い出してみてください。
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↓
もしかして、いきなり「普段のお薬はどこでもらっていますか?」とか、「いつから痛かったんですか?」など、指導医から聞いて来いと言われたことを聞いていませんでしたか? それって患者さんはどう感じたでしょうか?
実はだいぶ昔の話ですが、編集長が病棟の患者さんのところに行って、話を聞いて立ち去ろうとしたら、こんなことを言われました。
「聞きたいことだけ聞いたら、さっさといなくなるんだな」
そう、こちらの聞きたいことを矢継ぎ早に質問して、それが終わればさっさと立ち去ってしまう。患者さんからすれば、いきなり来て、文脈のよくわからない質問をされて、いったい何の意味があるのか?何しに来たのか分からない、というのが正直なところでしょう。
当時の編集長には、患者さんからのこの一言はかなり深く刺さりました。
どうして挨拶の後に、「今つらいところはどこですか?少し話を伺えますか?」「腹痛で来院されたと聞いたのですが、今はどうですか?」 「今、胸の感じとか息苦しさとかはないですか?」というように、患者さんをいたわる言葉をかけなかったんだろうと反省しました。
そして今でもこのことは気を付けています。挨拶の次に具合を尋ねたり、いたわる一言があるだけで、患者さんは間違いなく安心してくれますし、その後の話もスムーズになります。ぜひ、あなたも今日からやってみてください。
(編集長)
ERでの診察後
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◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?
どんな生活を送っているのか?
あなたの目で確かめてみてください!
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なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、
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茨城県修学生サマーセミナー2025 @水戸済生会総合病院
茨城県では、修学生や地域枠の医学生を対象に各種のイベントが企画されていますが、毎年夏休み中にはサマーセミナーを開催しています。
このサマーセミナーは、低学年を対象に県内各地の医療機関の見学などが主な内容で、昨日当院に14名の医学生が来てくれました。編集長から病院の概要や初期研修の説明、研修医との情報交換、そして院内見学を、午前中の短い時間でこなしてもらいました。
参加してくれたのは1~3年生でしたので、今まで病院見学の経験もなく、診療科のことや初期研修のことも、イマイチ想像しにくかったと思いますが、熱心に研修医の先生に質問していました。
そして、ドクターカーとドクヘリの見学もしましたが、ドクヘリの離着陸も間近で見ることができてラッキーでした♪
低学年と言え、実際に病院に足を運んで、研修医から直接話を聞くと、少し視界がクリアになるはずです。次は、ゆっくり時間を取って病院見学にお越しください!
(編集長)
研修医に質問中♪
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よく雰囲気が良いと言われます
先日のことですが、エムスリーのオンライン座談会に当院も参加しました。ご参加いただき有難うございました。
7月にも<救急に強い>というテーマでエムスリーの座談会に参加しましたが、今回は<フルマッチ>がテーマでした。
エムスリーは司会者がいて、40分と余裕のある構成が特徴です。今回は研修を始めて5か月たったJ1の田中先生と、すっかり風格すら漂うになったJ2の太田先生の2人に参加してもらいました。
4年生や5年生が参加してくれましたが、顔出しで質問もしていただき、大変うれしかったですね。当院のイメージを少しはお伝えできたのではないかと思います。
今回のテーマであるフルマッチに関してですが、見学に来た医学生からも、当院を希望して面接を受けてくれた方からも、よく雰囲気が良いと言われます。ずっと前から言われ続けていますし、フルマッチも続いているので、おそらく雰囲気の良さがフルマッチの理由の一つであることは間違いないと思います。
ただ、編集長的には、もちろん雰囲気が良いのは分かるのですが、当たり前すぎてどこがどう良いのかをうまく言語化できないという悩み(?)がありました。でも、当院の採用サイトのこのページを読んでいただくと、少しわかっていただけると思い、座談会の中でも紹介しました。
あなたも是非読んでいただき、そのうえで病院見学にお越しいただくと良いと思います。病院見学は、このページの下段のリンクからお申込みいただけます。あなたのお越しをお待ちしています♪
(編集長)
今回はこの二人♪
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NURSE・・・患者さんやご家族に話をする時
前回までは患者さんに話をする時に役に立つSPIKESプロトコールを紹介しましたが、もう一つ使えるツールを紹介します。
今回紹介するのは感情に対応するスキルの一つであるNURSEです。看護師さん、特にがん看護の領域でよく知られているものですが、ドクターにとっても非常に有用です。
SPIKESで紹介したE:感情の把握と共感と言っても、ちょっと分かりにくくて難しいところがあります。例えば患者さんが怒り出したとか、泣き出した、何も話してくれなくなった、という時にNURSEが役立ちます。
NURSEとは、
N: Name
U: Understand
R: Respect
S: Support
E: Explore
N:Name(感情を言葉で表す)
患者さんの感情を想像して言葉で表現することで、患者に共感していることを示します。これによって、患者自身が感情の中にいることを認識し、気持ちを静めるきっかけにできます。例えば「こんな話を聞いて驚かれたと思います」「こんな話をされては辛いですよね」と声をかけます。
この時は感情を正確に感情を言葉にすることが目的にではないので、あまりに気にする必要はないそうです。共感を示そうと努力していることが伝わるだけでも、気持ちを静めるきっかけになるそうです。
U:Understand(理解を示す)
良くない知らせを聞かされて、様々な感情が生じるのは当然のことと理解を示します。例えば怒り出した患者に「いきなりこのような話を聞かされて、お気持ちをお察しします」と理解を示すことで、心を開いてくれるきっかけになります。
R:Respect(敬意を示す)
患者や家族に、現在の状況に至るまでの苦労をねぎらいます。こうすることでつらい気持ちから救われたように感じて、心を開いてくれるきっかけになります。例えば「大変な治療を頑張って続けてこられたのですね」とか、加須に「毎回病院に付き添うだけでも大変だったでしょう」といった声掛けが患者に敬意を示すことにつながります。
S:Support(支持する)
とてもがっかりしている患者や家族に対して「医師としてできる限りのことをします」といった言葉をかけましょう。辛い状況でも、あなたに見捨てられることなくサポートが得られると分かれば、救われたような気持ちになります。
E:Explore(さらに掘り下げて聞く)
患者がなかなか感情を抑えられない時でも、発する一言一言に耳を傾けて、掘り下げて聞いてみます。特に、繰り返し発する言葉の裏に、患者の真意が隠されていることが多いように思います。例えば会話の中で「家族には迷惑をかけたくない」といった発言から、家族の状況を掘り下げて聞き出し、家族のサポートを提案することで気持ちを静めることができるかもしれません。
実際にはSPIKEで話を進めていく途中で、患者や家族の感情にNURSEを使って対応し、再びSPIKESに戻って話を進めるという感じで使うのが良いようです。患者や家族とのコミュニケーションが主目的ですから、SPIKESもNURSEもあくまでツールとして考えましょう。最初から全部型通りにやろうと思わずに、使えるところから使ってみてください。
(編集長)
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SPIKES(2)・・・患者さんやご家族に話をする時
前回に続いてSPIKESプロトコールを紹介します。
SPIKESとは、
S:Setting(インタビュー環境のセッティング)
P:Perception(患者の認識の把握する)
I:Invitation(話への導入)
K:Knowledge(事実を伝える)
E:Explore emotions and empathize(感情の把握と共感)
S:Strategy and summary(治療戦略とまとめ)
今回はKnowledgeからです。
K: Knowledge giving medical facts(事実を伝える)
説明する時は医学用語を避けて、患者や家族が理解できる言葉で話しましょう。「Perception」で把握した患者や家族の理解と医学的事実のギャップを埋めていくようにします。説明する時はまとめて話さないで、少しずつ区切って話し、区切りごとに「私の話についてこれていますか?」と、患者の理解度を確認すると良いでしょう。
E: Explore emotions and empathize as patient responds(感情の把握と共感)
患者の感情を探って、認識して、それに応答していきます。例えば患者さんが泣き出したり、怒り出したら、それ以上話しても相手の頭に入っていきません。まずは感情に対応して、信頼関係を築くことが優先です。
具体的には、「あなたがどう感じているのか話してもらえませんか?」と、患者の感情を探るためにOpen questionで、かつ直接的な問いかけを使います。その後に「あなたはこれを期待していなかったようですね」「たいていの人は、これが見つかると怒ります」このような言葉で、患者の感情に対して共感的に反応します。さらに、「もっと話してみて下さい」といったフレーズを使って患者に話をしてもらいます。
S: Strategy and summary(治療戦略とまとめ)
Strategy(医学的な戦略を立てて患者に提示する)
1.医学的にベストな戦略を考える
2.患者の状態や治療とその結果についての期待を考慮する
3.戦略を提案する
4.患者の反応を見る
5.患者の同意を得る
まとめ(インタビューの終わりは3つの要素を含めるとよい)
1.話し合ったメインの話題についての正確なサマリー
2.患者の理解度を確認し、疑問や質問がないか尋ねる
3.次に会う約束をする
SPIKESは、もともとテキサス大学MDアンダーセンCancer centerで用いられていたもので、主に癌の患者さんに悪いニュースを伝える時を想定したプロトコールですが、もちろん癌の患者さん以外にも使えるツールです。
大事なことは、自分が話す前に患者が何を知っているのか?どんな気持ちなのか?を話してもらうことです。自分だけ話すのではなく、患者と対話するのがポイントですね。
(編集長)
EHCUでの一コマ
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SPIKES(1)・・・患者さんやご家族に話をする時
病棟でもERでも、患者さんやご家族に病状や今後の見通しを説明する場面が必ずあります。しかもこの手の話は、患者さんにとってあまり良くない内容のことが多いですが、あなたはうまく伝えられているでしょうか?
水戸済生会の総合内科では、患者さんの病状や疾患の説明を研修医にやってもらっています。もちろん重要な話の時は指導医が脇についているし、こんな感じで話しましょうとシナリオを事前に打ち合わせしています。でも、いざ話始めると頭が真っ白になって・・・・、という感じで、思ったように上手くいきません。
初めから上手くいく訳はないので、ガッカリする必要はありません。これは練習あるのみです。ですが、セリフを全部覚えて臨むというより、話すフレームワークをおさえておくと、イザという時に混乱しません。こんな時に使えるのがSPIKESです。
編集長はこのSPIKESを知ったのは医師になってだいぶ経ってからでした。すごく実践的で役に立つもので、それまでモヤモヤしていたのがすっきりしたのを覚えています。だいぶ前から国試にも出題されているものですから、あなたも使いこなせるようになって欲しいので、もう一度確認したいと思います。
SPIKESとは、
S:Setting(インタビュー環境のセッティング)
P:Perception(患者の認識の把握する)
I:Invitation(話への導入)
K:Knowledge(事実を伝える)
E:Explore emotions and empathize(感情の把握と共感)
S:Strategy and summary(治療戦略とまとめ)
一つずつ見ていくと、
S: Setting and listening skills(インタビュー環境のセッティングと傾聴のスキル)
要点としては、邪魔されない静かな環境で話をする。家族も同席させて、患者とあなたの間に何も無いようにそばに座って、アイコンタクトをとりながら話をしましょう。もちろんカルテの内容や説明に使う画像の準備も含まれます。
P: Patient’s Perception of condition and seriousness(患者がどの程度まで自分の状態や重症度を理解しているかを認識する)
「他のドクターはあなたの病状について何と言っていましたか?」とか、「あなたが自分の病状についてどの程度知っているのか教えてくれませんか?」と患者に聞いてみましょう。患者や家族が現在の(医学的)状況について、すでにどの程知っているのかを、あなたが話す前に質問します。そのことで患者や家族の理解のレベルが分かります。
患者や家族の理解と現実の状況とで乖離があることや、患者が(病気のことを)否定したい、聞きたくないと思っているサインに注意を払います。
I: Invitation from patient to give information(話への導入)
「今日はあなたの検査結果について話そうと思いますが、よろしいですか?」とか、「まずは今までの検査結果について整理して話しますね」などと言って、患者が自分の状況や治療について詳細を知りたがっているのかどうかを聞き出します。その上で、どこまで話をするのかというゴールを設定します。この際、患者の知りたくないという権利も受け入れましょう。
次回に続きます。
(編集長)
ERでの一コマ
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帯状疱疹は内服か? 点滴か?
ある日のあなたが日曜の日直をしている時に、体幹部の痛みを主訴に80歳台の患者さんが受診しました。3、4日前から右側腹部がピリピリ痛いことを自覚しており、本日になり発熱と発疹も出現してきたため心配になって受診しました。見ると水疱が集簇した紅斑が側腹部から帯状に見られ、典型的な帯状疱疹と分かりました。
さて、あなたは抗ウイルス薬を処方しよう考えましたが、内服にするか?それとも点滴にするか?
なにか判断の目安になるものはありますか?
↓
↓
帯状疱疹では、抗ウイルス薬を早期に開始することが大事なのはご存じだと思いますが、内服薬にも何種類かあるし、点滴もあって悩みます。
内服薬なら外来加療ですが、点滴なら原則として入院が必要になるので、どのような患者さんが入院した方が良いかを、皮膚科医でなくともおさえておく必要があります。
先日開催された水戸協同病院皮膚科の田口先生による皮膚科教育レクチャーでは、帯状疱疹をテーマにレクチャーしていただき、このあたりのモヤモヤをすっきり解消してもらいました。
まず、帯状疱疹で入院させる目安になるのが以下の項目です。
一つでも該当する場合は入院を勧めた方が良いとのことでした。
a.発熱と汎発疹(ウイルス血症)
b.80歳以上
c.痛みがハンパない
d.顔面・陰部に発症した
e.免疫抑制(血液疾患PSL内服)
そして、田口先生が推奨する治療には
・内服薬はアメナビル(アメナリーフ®)一択
理由は腎機能での用量調整が不要で、1日1回400㎎の7日間服用で済むから
・点滴は
①アシクロビル5mg/kg/回を1日3回
②ビダラビン(アラセナA®) 5-10mg/kg/回を1日1回
アラセナAの場合は外来での点滴も可能ですが、投与に2時間以上かける必要があります。
冒頭の症例は、80歳以上で、発熱を伴っていることから入院が望ましい症例と判断できます。お盆の後は疲れも出て、帯状疱疹の患者さんが増える傾向にあるそうです。あなたも入院が必要な患者さんをうまく拾い上げてください。
(編集長)
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呼吸困難?それとも胸痛?
あなたが当直をしているときに、ERに息苦しさ(呼吸困難)を主訴に70歳台の男性が受診しました。1週間前から息が苦しくなってきた、今日は夕食後に苦しくなったとのこと。
糖尿病と狭心症でPCIの既往がありましたが、バイタルは問題なし、SpO2の低下もなく、胸部レントゲンではうっ血も胸水もなしで、心電図もST変化や異常Q波もありません。採血ではトロポニンもNTproBNPとも上昇していませんでした。
あなたは患者さんの症状も消失していたので、その日は翌日の循環器外来を指示して帰宅としました。
その翌日、患者さんは循環器内科の外来を受診しましたが、循環器内科の先生は心電図が変化していないことを確認しただけで、不安定狭心症の診断で心カテ目的に当日入院にしました。
あなたは、なぜ循環器内科の先生がいきなり心カテ入院にしたのだと思いますか?
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ここで重要なのは、患者さんの訴えである息苦しさ(呼吸困難)をどうとらえるかです。
息苦しさ(呼吸困難)と言っても、
・労作時なのか? ⇒心不全、狭心症、COPD
・安静時なのか? ⇒喘息、冠攣縮性狭心症
・起坐呼吸なのか? ⇒心不全
・早朝の呼吸困難なのか? ⇒喘息
という感じで鑑別が変わってきます。
指導医になぜ入院させたのかを聞いてみたところ、「OPQRST-LAを聞いたかい?」と言われました。
OPQRST-LAとは疼痛などの症状を聞く時の型で、
O:Onset(発症)
P:Provocative/Paliative factor(増悪/寛解因子)
Q:Quality(痛みの質・性状)
R:Radiation(放散)
S:Severity(重症度)
T:Time course(時間経過)
L:Location(場所)
A:Associated symptom(随伴症状)
のことです。
このOPQRST-LAを踏まえて、改めて患者さんの話を聞きなおしてみると
O:家の中で移動するとき
P:労作時のみで安静時や就寝時にはない
Q:胸全体を鉄板で押さえつけられるような
R:放散はなし
S:動きを止めてじっとしなければいけないくらい
T:数分から5分程度
L:前胸部全体
A:嘔気や発汗はない
こうしてみると患者さんの訴えは、「労作時に数分間持続する胸部圧迫感」を「息苦しい」と表現していたことが分かります。循環器内科の先生は、患者さんの訴えを1週間前から悪化傾向にある胸部圧迫感と解釈したので、不安定狭心症を疑って同日に心カテするという判断に至ったようです。実際のところ、心カテでは左冠動脈前下行枝の近位部に高度狭窄を認め、PCIを行ってから退院となりました。
患者さんの言葉は大事ですが、そのまま鵜呑みにするのではなく、OPQRST-LAなどのツールを使いながら、話を聞きだしてみてください。
(編集長)
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