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水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
レジナビご参加ありがとうございました!
昨日(5月27日)にレジナビFairオンライン2024西日本Weekに登壇しました。多数の方にご参加いただき、どうも有難うございました!
ご承知の通り、研修病院探しではレジナビは完全に定番となっています。20分という短い時間ですが、司会がいて上手に進行してくれるので、静寂の時間がなく、我々もとてもやりやすいのが特徴です。
いつも通り前半は病院説明、後半の質疑応答ではJ1の榊先生とJ2の布施先生の2人が加わってくれました。そして、今回はこの2人が参加者からの質問に非常に的確に回答してくれていたので、編集長は最後にちょっとだけ話しただけで終わるという、なかなかイイ流れでした。
普段から言っていることなのですが、病院見学などでは指導医からの話は半分程度に聞いておき、研修医から直接話を聞くのが大事なポイントです。その点で、今回のレジナビFairオンラインはもう一度見る価値があると思います。近いうちにレジナビでは今回の動画をみれるようにアップしてくれますので、ぜひあなたもチェックしてみてください。
さて、もう6月になります。6年生のあなたはマッチング面接まで残された時間は短いのですが、病院見学には必ず行って下さい。当院の病院見学もまだ受け付けていますので、ぜひお早めに下記のリンクからお申し込みください! お待ちしています!!
もう一つ、6月16日に開催されるレジナビ東京では、お隣の茨城県立こども病院と並んでブースを出展する予定です。皆さんにブースに訪問していただけるような企画を考えていますので、今後ご紹介していきます♪
(編集長)

今回はこの2人♪
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?
あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、
下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
臨床実習報告・・・歩行障害の一例②
3週間、水戸済生会総合病院総合内科で臨床実習させていただいております、医学部6年のりんごです。ALSについての2回目の記事になります。よろしくお願いいたします。
<筋萎縮性側索硬化症(ALS)について②>
【病型】
ALSの臨床症候は①上位運動ニューロン障害、②下位運動ニューロン障害、③球麻痺の3つの症状から成る。①のみ認めるものを原発性側索硬化症(PLS)、②のみ認めるものを進行性筋萎縮症(PMA)、③のみ認めるものを進行性球麻痺(PBP)、①・②・③全てを認めるものを古典型ALSと分類されることが多かった。
近年は、病変が運動系を超えて広範な部位に見られる多系統病変型、両上肢近位部と肩甲帯に筋萎縮が限局するflail arm syndrome、両下肢に筋萎縮が限局するflail leg syndrome、認知症を伴うALSなど、様々な病型が報告されている。
★ここまで多くの病型があるとは知りませんでした。認知症を伴うALSは前頭側頭型認知症(国試でも頻繁に出題されますね…)を呈し、日本では湯浅・三山型ALSとよばれることもあるそうです。
【検査所見】
様々な検査を実施しましたが、針筋電図検査と神経伝導検査が特に印象に残りました。
〇針筋電図検査:神経原性変化が見られる。
★重要事項★
・線維自発電位は一つの筋線維由来の異常興奮であるため筋原性変化でも見られます。一方、線維束性電位は下位運動ニューロン軸索起源の自発電位であるため神経原性変化でのみ認められます。
・強収縮時に評価する干渉波は、複数の運動単位の動員状況を評価できる指標です。筋収縮力を強めると収縮する筋線維の運動単位数が増加し、一つ一つの運動単位電位(MUP)を判別することが困難になります。これを完全干渉といいます。逆に、筋収縮力を増加させても運動単位数が増加しない場合は一つ一つのMUPを判別することができ、これを不完全干渉といいます。
・医師国家試験対策では、神経原性変化といえば安静時の脱神経電位(線維自発電位と陽性鋭波)と線維束電位、弱収縮時の高振幅・長持続・多相性のMUP、強収縮時の不完全干渉が特徴と習ったのですが、今回の症例では見られなかったので調べてみたところ、下位運動ニューロン障害の進行具合によって所見が異なるそうです。
初期:脱神経電位はまだ出現せず、不完全干渉のみ認められます。
脱神経早期:脱神経電位が出現し始めます。不完全干渉も認められます。
神経再支配早期と神経再支配完成期:運動ニューロン障害に伴う筋線維萎縮をきたしていない筋内部からの神経発芽による神経再支配か、もとの運動ニューロンからの神経再支配かによって所見が異なります。弱収縮時の高振幅・長持続・多相性のMUP、強収縮時の不完全干渉が見られるのは神経発芽による神経再支配です。詳細は本記事最後に添付した参考文献(2)をご覧ください。
・ALSでは肉眼的に筋の線維束性収縮が見られることがあります(今回の症例でも見ることができました)。これは、安静時に見られる線維束電位に相当します。
〇神経伝導検査
運動及び感覚神経伝導速度は基本的に保たれる。筋萎縮に伴い、運動神経の複合筋活動電位(CMAP)の低下を認めることがある。
★重要事項★
・脊髄前角細胞の障害によって伝導速度の速い神経線維が変性脱落すると、運動神経伝導速度が低下することがあります。今回の症例でもごく軽度の伝導速度低下を認めました。
今回はここまでとさせていただきます。次回は鑑別疾患についてまとめようと思います。それでは失礼します。
(参考文献)
(1)辻 省次・祖父江 元. アクチュアル脳・神経疾患の臨床 すべてがわかるALS・運動ニューロン疾患. 株式会社中山書店
(2)赤星 和人.針筋電図における運動単位活動電位(MUAP)の生理と臨床. リハビリテーション医学. 1999. Vol.36, No.10, p.669-677(最終閲覧日:2024/5/17)
「https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/36/10/36_10_669/_pdf/-char/ja」
(りんご)

PICCでの一コマ
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆次はレジナビです!
5月27日(月) 18:30~18:50
レジナビFairオンライン2024 西日本Weekに当院も登壇します。
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?
どんな生活を送っているのか?
あなたの質問に直接お答えします♪
参加にはレジナビのサイトから申し込みが必要です。
下記リンクからお申し込み下さい。
◆病院見学に来ませんか?
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なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、
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臨床実習報告・・・歩行障害の一例①
今回の記事は3週間ほど当院で臨床実習をしてくれた医学生が書いてくれました。総合内科ではJ1,J2と同様に病棟を回って、患者さんも何人か担当して、朝夕の回診ではプレゼンもやってもらいました。実習のまとめ的な感じで書いてもらいましたので、ぜひご覧ください。
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3週間、水戸済生会総合病院総合内科で臨床実習させていただいております、医学部6年のりんごです。実習中に出会った症例のまとめがブログに載るという非常に貴重な機会をいただいたので、頑張って書いていきます。よろしくお願いいたします。
症例は70代の男性の方です。主訴は歩行障害です。現病歴についてですが、腰痛と両下肢痛を主訴に当院整形外科を受診したところ、手指振戦や姿勢保持困難などが認められ、Parkinson症候群が疑われたため当院脳神経内科に紹介されました。
外来受診時、両下肢のびまん性筋萎縮が認められたこと、数カ月程前から慢性進行性に症状が増悪していることから「●●●」が疑われ、精査目的に入院となりました。
さて、「●●●」には何が入ると思いますか?
↓
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答えは筋萎縮性側索硬化症(ALS)が入ります。ALSは報道番組などでも頻繁に取り上げられるため、ポピュラーな疾患になりつつありますが、医師国家試験での出題頻度はそこまで高くない印象です。そこで教科書に書かれている基本事項と実習中に新たに学んだことを織り交ぜながら、3回に分けて書かせていただきます。
<筋萎縮性側索硬化症(ALS)について①>
【概要】
上位運動ニューロン及び下位運動ニューロンが選択的にかつ進行性に変性・消失し、全身の筋萎縮と筋力低下を来たす原因不明の指定難病である。
【症状・身体所見】
主な症状・身体所見は以下の3つである。
①上位運動ニューロン障害:皮質脊髄路(錐体路)の障害による。下肢に強く出現することが多い。
②下位運動ニューロン障害:脊髄前角細胞の障害による。上肢に強く出現することが多い。
③球麻痺:延髄の運動核(Ⅸ、Ⅹ、Ⅻ)の変性による。
★重要事項★
・筋萎縮の強い筋でも腱反射が保たれている、もしくは腱反射亢進を認めることは、上位運動ニューロン障害を示唆する重要な所見になります。
・前面に出るのが上位運動ニューロン障害か下位運動ニューロン障害かは、障害の程度によって変わります。
・糖尿病などの末梢神経障害をきたす疾患併発例では腱反射が減弱するため、上位運動ニューロン障害の有無を正確に把握することが難しくなります。
・母指球筋は萎縮し、小指球筋は保たれる解離性小手筋萎縮(split hand)がALSに特徴的な所見です。余談ですが、母指球筋は短母指外転筋、短母指屈筋、母指対立筋、母指内転筋の4つの筋肉から成ります。手掌では、母指から環指の撓側半分までを主に正中神経が支配しているため、母指球筋は正中神経支配では?と思いがちですが、母指内転筋のみ尺骨神経支配になっています。母指を外転、屈曲、対立させた場合はいずれも母指球筋が固くなりますが、母指を内転させた場合のみ母指球筋は柔らかいままです。この点に着目すると母指の運動を支配する神経支配の覚え方は簡単になります。ちなみに母指の伸展は橈骨神経支配ですが、その際には全く母指球筋は固くなりません。指導医の先生が教えてくださったのですが、ここまで記憶に定着しやすい覚え方があるのかと感動しました。
・末梢神経や髄節の分布に沿わない上位運動ニューロン障害または下位運動ニューロン障害が見られることが特徴で、鑑別の際にも重要になります。鑑別疾患については3個目の記事に書かせていただきます。
・医師国家試験で出題頻度が高いのはALSの陽性所見よりも陰性所見です。四大陰性所見としては感覚障害、眼球運動障害、膀胱直腸障害、褥瘡があり、さらに小脳症状と錐体外路症状が加わることもあります。今回の症例でも感覚障害や眼球運動障害などは見られませんでした。
今回はここまでとさせていただきます。次回は病型と検査所見についてまとめようと思います。それでは失礼します。
(参考文献)
(1)辻 省次・祖父江 元. アクチュアル脳・神経疾患の臨床 すべてがわかるALS・運動ニューロン疾患. 株式会社中山書店
(りんご)

回診の一コマ
(りんご先生も写っています)
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◆次はレジナビです!
5月27日(月) 18:30~18:50
レジナビFairオンライン2024 西日本Weekに当院も登壇します。
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?
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全身のパラメータ、局所のパラメータ・・・経過観察の2つの軸
肺炎の患者さんに抗菌薬を開始したけど、一向に熱が下がらない、WBCやCRPはいったん低下したものの、そこから下がっていかない・・・。そろそろ抗菌剤を代えた方がいいか?なんて不安になることがありますよね。あなたはそんな時はどうしますか?
こんな時はまず、抗菌剤を変更する前に、今の抗菌薬でホントに感染症治療が上手くいっているかの判断をする必要があります。では、あなたは何を根拠に治療が上手くいっているかを判断していますか?
たいていの人は、「発熱が続いている」「WBCやCRPが下がらない」と答えてくれます。でも、これってホントにそうなのでしょうか??
WBCやCRP、PCTといった採血の項目は、確かに分かりやすく有用な指標ですが、その特徴と限界を理解しておく必要があります。
松永先生は「2つのパラメータ」をよく理解する必要性を強調しています。それは、「身体全体の総体を表すパラメータ(全身のパラメータ」と「感染局所の病態を表すパラメータ(局所のパラメータ)」です。
「全身のパラメータ」とは、体温、WBCやCRP、プロカルシトニンなどの炎症マーカー、そして敗血症性ショックの治療に用いられるノルアドレナリンの用量、インスリンの用量、乳酸値などを指します。
「局所のパラメータ」とは、感染局所の症状、徴候、グラム染色などの検査所見を指します。
例えば、肺炎の患者さんなら、呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)喀痰量などが感染局所の指標になります。全身のパラメータが改善していなくとも、局所のパラメータが改善していれば、治療は上手く行っていると考えることができます。この肺炎の場合なら、CRPが上昇していても、呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)が改善傾向なら抗菌薬を変更する必要はありません。
「検査値を治しているんじゃない!患者を治しているんだ!」というのが、松永先生のメッセージです。
局所のパラメータの具体例を挙げると・・・、
【肺炎】
症状(咳、痰、呼吸困難感)、
徴候(呼吸数、呼吸器の設定、痰の量・質)
検査(血液ガス、喀痰のグラム染色)
【尿路感染】
症状(排尿困難、頻尿など)
徴候(腹部の圧痛、背部の叩打痛)
検査(尿中白血球数、尿グラム染色)
【蜂窩織炎】
症状(疼痛)、
徴候(発赤、腫脹、熱感、浸出液の量・質)
検査(浸出液のグラム染色)
【心内膜炎】
血液培養が検出されるまでの日数
血液培養の陰性化
感染症治療では発熱やCRPだけでなく、感染局所のパラメータに注目して、それを追いかけることが重要です。そして、これらのパラメータは診断する時点、治療を開始する時点で、経過を見る指標を決めていくことが大事です。発熱とCRPが改善しないと、つい抗菌薬を変更したくなりますが、まず局所のパラメータがどうなっているのかを評価してからです。惑わされないで頑張ってみてください。
(編集長)

気合でPICC挿入♪
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◆次はレジナビです!
5月27日(月) 18:30~18:50
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当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?
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【有難うございました!】エムスリーのオンライン病院座談会
5月15日にエムスリーのオンライン病院座談会 ~救急に強い病院特集~ に参加しました。多数のご参加をいただき有難うございました。
エムスリーのWeb座談会はレジナビよりも長い40分枠で、司会者がついてくれています。前半のスライドを使った病院紹介もレジナビより内容を盛り込めますし、後半の質疑応答では司会者が上手にコントロールしてくれるので沈黙する時間はほとんどなく、多くの質問に対応できるのが特徴です。
今回は救急に強い病院というテーマでしたので、救急科ローテを終えたJ2の福本先生と現在救急科ローテ中のJ1の立枝先生の2人に質問に答えてもらいました。決めた理由とか研修の実際はどうかといったよくある質問に加えて、4月からの働き方改革の影響についての質問もいただきました。
さて、5月も半分を過ぎてしまいましたが、6年生のあなたにとっては、あっという間にマッチング面接の時期になります。当院では募集要項を採用サイトに来週中には掲載できるように準備中です。ぜひチェックをお願いします。
4年生、5年生のあなたは、少し早いですが夏休みを利用した病院見学の予定も考え始める時期になってきました。当院の病院見学では原則として、午前中に1つ、午後に1つの計2つの診療科を選択していただきます。日によっては病棟業務ばかりという時は、臨機応変に他の診療科の見学も手配ていますので飽きさせません! ぜひお申し込みをお待ちしています。
最後に、今月5月27日にはレジナビオンラインに、6月16日のレジナビ東京には現地参加予定です。ぜひご参加ください!
(編集長)

今回はこの二人♪
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当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?
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三角形を考える・・・抗菌薬
40歳代の男性が数日前から頭痛と発熱を自覚していましたが、意識レベルが低下したため救急搬送となりました。ERであなたが診察すると項部硬直もあります。髄膜炎を疑って髄液検査をしたら、髄液は濁っていて明らかに異常でした。細菌性髄膜炎が強く疑われるので、培養結果を待たずにすぐに抗菌薬を投与しなければなりません。
こんな状況の時、あなたならどの抗菌薬を選択しますか?
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調べてみると、40歳代の髄膜炎では肺炎球菌は絶対に外してはいけない起炎菌と書かれていました。そこで以前に肺炎球菌性肺炎の時に使用した経験のある第2世代セフェムのセフォチアム(CTM)を投与しようと指導医に確認したところNGを出されてしまいました。
NGをだされた理由は何でしょう??
抗菌薬を選択する時のキーワードは、「三角形を考える」と「抗菌薬は2度選ぶ」です。
最初の「三角形を考える」とは図のように感染部位、微生物、抗菌薬の関係を考えるということです。
冒頭の例では、確かにCTMは肺炎球菌をカバーしている、つまり感受性のある抗菌薬を選択することは当然です。しかし、髄膜炎の場合は髄液移行性、つまり感染部位に到達できるか否かが重要になります。この点ではCTMの髄液移行性が悪いので感受性があっても感染部位に到達しませんからいくら感受性があっても効果が期待できませんよね。細菌性髄膜炎が強く疑われる状況では、髄液移行性の良いセフトリアキソン(CTRX)などの第3世代セフェムを選択します。
抗菌薬を選択する時に三角形を考えるとは、感染部位に抗菌剤が到達するために移行性や投与経路(静注、経口)や用量はどうしたら良いのか? その他に、ドレナージなど物理的治療は必要ないか?人工物を除去する必要はないか?といった、感染部位、微生物、抗菌薬の関係性を常に意識しましょうということです。
とは言っても、臨床では原因微生物が判明しないうちに抗菌剤の投与を決めなくてはいけませんよね。そこで、経験的(empirical)に感染部位からよくある原因微生物を考えて抗菌薬を選択します。(ちなみに冒頭の症例なら肺炎球菌や髄膜炎菌を念頭にCTRX2g 12時間毎+VCM500~750㎎ 6時間毎がEmpiricなレジメになります)
その後に原因微生物が判明したら、それにあわせて標的治療(definitive therapy)に切り替えます。これがde-escalation(デ・エスカレーション)と呼ばれるもので、すなわち「抗菌剤は2度選ぶ」ということです。
この2度目の抗菌薬の選択は、十分な抗菌力があること、なるべくカバーする範囲が狭いもの、を基準に選択します。経験的治療で上手くいっている治療を、あえて抗菌薬を変える訳ですからなんとなく抵抗がありますが、「de-escalationは未来の患者さんため」と、松永先生は強調していますが、肝に銘じるべき言葉ですね。
(編集長)
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化学的と物理的・・・治療の2つの軸
70歳代の女性が発熱で入院しました。CVA叩打痛と尿所見から尿路感染症と診断しました。尿培養と血液培養を採取後に抗菌薬(CTRX)を開始。培養結果は、尿も血液も素直なE.coliでした。感受性をみても抗菌薬は当たっているのですが、5病日目になっても解熱しないし、CRPも良くなってきません。
こんな状況に遭遇したら、あなたはどうしますか?
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もし、あなたが「抗菌薬の変更」を考えていたのなら、残念ながら不正解です。
多くの人にとって感染症治療といえば抗菌薬の選択というイメージを持っていると思います。もちろん抗菌薬が重要な軸であるのは間違いないのですが、もう一つの重要な軸も忘れてはいけません。それが「物理的に除去する」ということです。
松永先生のレクチャーの中で「治療の2つの軸」として「化学的と物理的」が紹介されています。そもそも、抗菌薬の役割は微生物を「化学的に除去する」ことですが、用量が少なすぎたり、目的のところに十分到達しなければ効果は得られません。ドレナージや洗浄、切除(切断)、人工物の除去など「物理的に除去する」ことを外科医などと協力して治療を行うことを忘れてはいけません。
物理的に微生物を除去する対象には、具体的に以下のようなものがあります。
-膿瘍
-「うっ滞性」感染症
・胆石・腫瘍による胆道閉塞 ⇒ 胆管炎
・尿路結石による尿路閉塞 ⇒ 尿路感染症
-人工物
・中心静脈ライン
・動脈ライン
・人工呼吸器
・胃管
・尿カテ
・人工弁
・人工関節 など
-壊死組織
冒頭の症例は腎周囲膿瘍を来していたため、単なる抗菌薬の点滴のみでは改善に時間がかかった症例です。幸いドレナージせずに、保存的治療のみで治癒しました。感染症治療の際は抗菌薬だけで安心しないで、物理的な治療の必要性も常に考えておきましょう。
(編集長)

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◆エムスリーの座談会に登壇します!
5月15日(水) 18:00~18:30
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どこで?何が?・・・診断の2つの軸
高齢の患者さんが発熱を主訴に入院してきました。脳梗塞の既往があって、ADLは一応自立していたけど、ほとんど自宅でもベッド上で過ごしているようです。食事などでむせこむこともしばしば。胸部レントゲンも右下肺野で透過性が低下しているように見える。よくありそうな、誤嚥性肺炎の経過です。
抗菌薬の点滴を開始して、徐々に解熱が得られ、全身状態も改善傾向です。ところが、2日後に判明した入院時の血液培養では、4本中4本からE.coliが検出されました。
でも、この血液培養の結果は何かおかしくないですか?
ここで「肺炎なのに血培からE.coli?」と、あなたが違和感を感じたのならかなり臨床センスがありますね。
多くの人は「感受性もあってるし、患者さんも元気になっているし、抗菌薬はこのまま継続でいいね」としか考えません。
でも、ちょっと考えてみてください。そもそもE.coliが肺炎の起炎菌になる得るのでしょうか?
松永先生のレクチャーで何度も登場してきますが、感染症診断の2つの軸は「どこで」、「何が」でした。
「どこで(=感染巣)」が分かると、起炎菌が絞れます。
「何が(=起炎菌」」が分かると、感染巣が絞れます。
E.coliが悪さをするのは肺ではなく、真っ先に尿路感染症が思い浮かびますよね。一度誤嚥性肺炎だと診断してしまうと、たとえ尿検査で膿尿、細菌尿を認めていてもスルーされていたり、単純に結果を確認していなかった、ということが起こります。
培養結果など、後日に結果が判明するものも必ず目を通して、今までの経過と矛盾がないかを振り返ってみてください。
(編集長)

レクチャーの後も症例の相談
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【御礼】ブログ開始から9年目です!
いつも当ブログをご覧いただき有難うございます。
2016年5月9日から始めたこのブログですが、今日で9年目に突入します!
いつの間にか9年目になったという感じですが、今日のこのブログが1293本目の記事となります。こうして長いこと続けてこれたのも、あなたが読んでくれているからです。改めて御礼申し上げます。そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
このブログでは、当院のイベントや研修の実際、そして初期研修医や医学生のあなたに知ってもらいたいこと、病棟やERで役立つ知識などを編集長だけでなくいろいろな先生が記事にしてきました。
そして、研修医たちのアウトプットの場としても活用させてもらっています。学会発表するほどではないけど印象に残った症例や、今後も使える知識などを、自分の後輩や一緒に仕事する看護師さんたちに説明するような感じで書いてもらっています。最近では「大学の医局の先生が読んでいました」とか、某偉い先生から「記事を読みましたよ」と言われることがあり、なぜか編集長が冷や汗をかく場面がありました(笑)。
1年前の記事でも紹介しましたが。このブログのおかげで水戸済生会の採用サイトの閲覧数(PV)は月に5万PVを維持していますし、グーグル検索でも相変わらず上位に検索される記事が数多くあります(あなたも試しにグーグルで「ACT 凝固」や「ガンマ計算」と検索してみてください)。
これからも当院の研修をもっと知ってもらい、なおかつ、あなたに役立つ内容をお伝えできるように、このブログを続けていますので引き続きご愛読をお願いいたします。
(編集長)

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5月15日(水) 18:00~18:30
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感染症診療の流れ
あなたが研修医外来に出ていると、消化器外科からのコンサルトが回ってきました。70歳台の男性で約半年前に消化器外科で大腸の手術を行い、本日は定期外来のための受診でした。本人は特に症状もなかったのですが、ルーチンの血液検査でCRPが8.6㎎/dlと上昇していました。
外科の担当医からは「CRPが上がっているので感染だと思うんだけど、どの診療科にお願いしたらいいのか分からないし、抗菌薬は何にしたらいいのかな?」ということで研修医外来に回って来たようです。
こんな時は外科の先生よりも、各科をローテーションしている研修医が力を発揮できる場面ですが、あなたならどうしますか? ちょっと考えてみてください。
↓
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先日開催された松永先生の感染症レクチャーのテーマが「感染症診療の基本」でしたが、この中で松永先生は「感染症診療を学ぶ時は、抗菌薬の使い方よりも感染症診療の流れを把握することが重要」と繰り返されていました。
松永先生の言う「感染症診療の流れ」とは、以下の6つのポイントです。
①感染症? 感染症以外?
②診断の2つの軸
③治療の2つの軸
④抗菌薬
⑤経過観察の2つの軸
⑥投与期間の決定
感染症のよくある誤解に、
発熱=感染症 CRP上昇=感染症 発熱=抗菌剤 抗菌剤=解熱剤
というのがありますが、これは全て間違いです。
正しくは、
発熱≠感染症 CRP上昇≠感染症 発熱≠抗菌剤 抗菌剤≠解熱剤
です。
冒頭の症例に戻ると、CRPが高値で症状がないのであれば、まずはホントに感染症なのか?ホントに抗菌薬が必要なのか?と疑ってかかることから始めましょう。
そして感染のフォーカスを探しです。「感染症ならば必ず燃え盛っている現場があるので、そこを探すことに尽きる」と松永先生が繰り返していました。もちろんフォーカスを探しに行くのも型があります。
まずは 3か所(肺、腹部、尿路)+α で考えます。具体的には、肺、腹部、尿路の3か所、そして人工物(CVカテーテル)や皮膚(創部)さらに中枢神経系(髄液) です。
もちろん感染部位が分からないこともありますが、その時の型としては、
・全身性疾患 HIV、マラリア、リケッチ etc
・深部の膿瘍
・深部の人工物感染
・副鼻腔炎(特に胃管留置患者)
・腎盂腎炎(特に高齢者)
一緒に見落としやすいものも覚えておきましょう。
・腎盂腎炎
・胆道系感染症
・前立腺炎
・皮膚・軟部組織感染症
・カテーテル関連菌血症
・偽膜性腸炎
・浅部の人工物感染 ペースメーカー、CVポート
・ダニ媒介性疾患
・心内膜炎
(編集長)

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