臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

ステロイドの副作用

2024.06.06
カテゴリー: カンファレンス 内科

みなさんこんにちは。研修医のSatominです。

 

今年度から総合内科に血液内科と膠原病内科の先生が加わってくださり、総合内科での研修がますますパワーアップしています。今日はそんな血液内科でも膠原病内科でもよく使われるステロイドのお話です。

 

ステロイドは強い抗炎症作用をもつ薬であり自己免疫性疾患やアレルギー疾患、最近ではCOVID19感染症など幅広く使用されています。剤形も錠剤から注射剤、塗り薬まで数多く展開されています。

 

様々な診療科で使う機会が多く、私たち医療職にとっては身近な薬ですが副作用も多いため投与には注意が必要です。主な副作用を下記に挙げていきます。

 

・高血糖

肝臓からの糖の放出を亢進させインスリン抵抗性を高めるため高血糖をきたします。特に食後の血糖値が上昇しやすくなります。対応としてはインスリン療法が基本ですが、もともと2型糖尿病を患っている方は経口血糖降下薬を用いる場合もあります。

 

・消化管潰瘍

薬剤性の消化管潰瘍といえばNSIADsが有名ですがステロイドでも起こります。ステロイドによる胃粘膜防御作用の低下と胃酸分泌促進作用などにより胃潰瘍や十二指腸潰瘍が生じやすくなります。消化管潰瘍の既往があったりNSAIDsを服用していたりと潰瘍リスクの高い方にはPPI投与が望ましいとされています。

 

・感染症

免疫を抑制させる働きを持つため感染症にかかりやすくなります。細菌やウイルス感染はもちろん、真菌といういわゆるカビに感染することもあります。また、結核やB型肝炎ウイルスなど一度感染すると体内に潜伏し続ける病原体が、ステロイドによる免疫力の低下のために再活性化し感染症を引き起こすこともあります。治療は各感染症に応じたものを行います。手洗いうがい、マスク、人込みを避けるなどの基本的な感染対策や、過去に結核やウイルス性肝炎に感染していないかの検査も重要になります。

 

・精神症状

不眠や抑うつ、不安感、焦燥感などをきたす場合がありステロイド誘発性精神病と呼ばれています。原因ははっきりとはわかっていませんが脳内のホルモンと関係していると考えられています。治療はステロイドが減量可能なら減量を、不可なら睡眠薬、抗うつ薬、気分安定薬などで対応しますが確固とした治療法はまだないのが現状です。

 

・骨粗しょう症

骨強度を低下させるため軽い動作でも骨折しやすくなります。長期のステロイド投与が見込まれる場合は、予防のために投与前から投与開始直後に骨密度の検査を行います。骨密度の低下や脆弱性骨折の既往、ステロイドの投与量が多いなど、骨折を生じやすいと思われる時はビスホスホネート製剤や副甲状腺ホルモン製剤、活性型ビタミンD3製剤などで予防を行っていきます。

 

これまで挙げてきた副作用はほんの一部で他にも食欲亢進、皮膚萎縮、白内障、骨頭壊死など数多くの副作用があります。

 

ステロイド製剤は幅広い疾患に使われるため困ったらステロイドというような使い方をされがちですが、同時に副作用も多い薬になります。また投与量や期間にもよりますが突然中止すると副腎不全をきたすため、一度始めるとやめるまで時間のかかる薬です。適応をしっかり考えて使いこなせるようになりましょう。

(Satomin) 

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水戸済生会総合病院の臨床研修は

総合診断能力を有するスペシャリスト

を目指します

◆レジナビFair2024 東京 ~臨床・専門研修プログラム~

 6月16日(日)東京ビックサイトで直接お会いしましょう!

 

レジナビ東京に水戸済生会も出展します。

当院の初期研修から専門研修まで包み隠さずお話しします♪

 

しかも、当日は茨城県立こども病院と隣り合わせのブースで出展しますので、

小児科のことも聞けちゃいます。当院の研修医も多数参加予定ですので、

直接質問をぶつけてみてください!!

 

参加にはレジナビからの参加申し込みが必要です。

下のリンクから申し込んでからご参加ください

レジナビの申し込みページはこちら

 

 

◆病院見学に来ませんか?

当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?

あなたの目で確かめてみてください!

 

病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。

 

なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、

下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。

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投与期間の決定・・・一般的な目安

2024.06.04

少し間があいてしまいましたが、松永先生の感染症レクチャーから「感染症診療の流れ」を紹介してきました。今回は最後のポイントである、投与期間の決定についてです。

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例えば、あなたが蜂窩織炎の患者さんを担当していたとします。血液培養で黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出されました。第1世代セフェムのセファゾリン(CEZ)の投与で順調に改善して、血液培養の陰性化も確認できています。

 

患者さんも元気になってきて「いつ退院できますか?」とか「点滴はいつまでやるの?」と聞いてきました。

 

こんな時、あなたは何と答えますか? CRPが陰性化するまででしょうか??

ちょっと考えてみてください

結論としては、投与期間の判断は「各疾患の一般的な目安+個々の患者の状態」で決めることになります。

 

血液培養でMSSAが検出されていれば、抗菌薬の10~14日間投与を考えます。でも、人工血管などのデバイスがある患者さんだったら、かなり悩んでしまいます。血液培養の陰性化も確認しなくてはなりません。ということで、「決まり」ではなく、「目安」をもとに、培養結果や感染局所の指標を見ながら判断することになります。

 

「抗菌剤投与の目安」には以下のようなものがあります。近年は投与期間を短くして大丈夫というような研究結果も出てきていますので、おおよその日数を頭に入れておき、その都度ガイドラインなどで確認するのが良いでしょう。

 

【髄膜炎】

髄膜炎菌、インフルエンザ菌 ・・・・7日間

肺炎球菌 ・・・・・・・・・・・・・14日間

リステリア菌 ・・・・・・・・・・・21日間

 

【肺炎】

肺炎球菌 ・・・・・・・・・・・・・解熱後3~5日(最短5日)

レジオネラ・非定型 ・・・・・・・・5~7日

腸内細菌科、緑膿菌 ・・・・・・・・14日以上も考慮

 

【心内膜炎】

緑色連鎖球菌 ・・・・・・・・・・・14日(GM使用下)

腸球菌 ・・・・・・・・・・・・・・28日~42日

黄色ブドウ球菌 ・・・・・・・・・・28日~42日

 

【腎盂腎炎】

一般的に・・・・・・・・・・・・・・14日

CPFX、LVFX使用 ・・・それぞれ7日、5日

 

【菌血症】

感染源除去可能 ・・・・・・・・・・10~14日

(編集長) 

ERで血培採取

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なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、

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【お知らせ】令和7年度採用初期研修医の採用について

2024.06.01
カテゴリー: 初期研修

 例年に比べてご案内が少し遅くなってしまいましたが、来春採用予定の初期研修医募集要項を当院のサイトにアップしました。

募集要項のページはこちら

 昨年同様に新型コロナウイルス対応として始めた直接面接とZoomを用いたWeb面接の併用を今年も継続します。また水戸済生会ではWebのみで申し込みが完結するので、印刷や郵送が不要です。

 直接面接は2回開催しますが、それぞれ8名までとし、直接面接が定員に達した場合はWeb面接になりますのでご了承ください。またWeb面接では日程調整が必要となりますので、できるだけ早めにお申し込みください。もちろん、いずれの方法を選択しても選考基準に違いはありません。

 昨年と異なる点としては、①締め切りを若干前倒しした点 ②「小論文」としていたものを「エッセイ」とした点、そして③Webでの申し込みの際に「エッセイ」を提出していただく点です。小論文のような形式にあまりとらわれずに、ご自分の経験や考えなどを「エッセイ」としてまとめていただき、申し込み時点で提出してください。

 今のところ応募フォームは6月14日(金)から運用開始を予定していますが、改めてこのブログや病院サイトでお知らせいたします。あなたの応募をお待ちしています!

募集要項のページはこちら

(編集長) 

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