臨床研修ブログ
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感染症診断の2つの軸・・・どこで?なにが?
4月にZoomで松永先生の感染症レクチャーがありましたが、感染症診療の基本は日常臨床において、とても大事です。編集長は、もう10回以上聴講しているのでだいぶ覚えてきたように思いますが、毎回何かしらの発見があります。そして、良く分からない時ほど基本に立ち返ることが必要です。
今回は2年前のブログの再掲になりますが、感染症診断の2つの軸について紹介しているので、ぜひご覧ください。
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あなたがER当直をしていると高齢の女性で、施設入所中の患者さんが発熱を主訴に搬送されてきました。血液検査ではWBCが1万、CRPは18と炎症反応が上昇していましたが、それ以外は明らかな異常はありません。尿所見は白血球も細菌もなし、腹部は圧痛なしでした。胸部レントゲンは明らかな肺炎像はないけれど、施設のスタッフの話では食事の際にむせこむこともあったらしい。
以前に肺炎で入院歴があるので、今回もきっと誤嚥性肺炎だろう。そう考えて、血液培養を2セット採取後に抗菌薬(ABPC/SBT)を開始しました。よくありそうな症例ですよね。
ところが翌日に細菌検査室から「4本中4本でグラム陽性球菌です」と連絡がありました。さらにその翌日には「G群溶連菌(GGS)でした!」こんな報告が届きました。
この症例の診断は、肺炎で良かったでしょうか?
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松永先生は「感染症診断の二つの軸」を強調しています。感染症を診断する時は、同時に2つことを考えるということです。
その2つとは感染巣(解剖学的診断)と起炎菌(微生物学的診断)。言い換えると、どこで(Where?) なにが?(What?)悪さをしているのかを考えましょうということです。
冒頭の症例は、血液培養からGGSが検出されたら、「肺炎ではなさそうだぞ」と違和感を持つ必要があります。
微生物学的診断(なにが?)はGGSと判明しているので、どこを探すか?
GGSが起炎菌となりそうな臓器、例えば口腔内、皮膚軟部組織、血液を思い浮かべて探しに行きます。この症例は、背部や臀部も含めて皮膚軟部組織には異常なく、感染性心内膜炎も否定されました。最終的に口腔内の所見から化膿性耳下腺炎と診断されました。
診断は違っていましたが、当初の抗菌薬でカバーされていたので、結果は同じだったかもしれません。でも、もし感染性心内膜炎だったら、中途半端な治療になってしまうことも十分あり得ます。感染性心内膜炎の再燃で再入院なんて経験したくないですよね。
感染巣が分かれば、起炎菌も絞られます。 微生物が分かれば、感染巣も絞られます。
どこで?(=感染巣) なにが?(=微生物)をおさえながら診療に取り組んでいきましょう!
(編集長)
カテの助手として奮闘中
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