臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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喘息の話(3)・・・井上先生の呼吸器レクチャー@Zoom
前回の続きです。
前回は喘息を疑ったら、ICS/LABA(吸入ステロイド/長時間作用型β刺激薬)を使って積極的に診断していきましょうという内容でした。
では、診断したら治療を行う訳ですが、喘息ではICSが治療の中心になることは、どこかで聞いたことがあるはずです。このICSが導入されたことで、1995年から2013年までの18年間で、喘息による死亡が80%近くも低下しています。凄いですよね。こんなに死亡率が低下した疾患は他にないそうです(編集長としてもすごく実感します)。
さて、治療を行う際には症状の重症度をおさえたうえで、治療ステップに基づいて薬剤の選択をしていきます。重症度や治療ステップの表は見たことあると思いますが、その中から長期管理のための基本治療薬をまとめると以下のようになります。
なお、発作時はいずれのときでもSABA(短時間作用型β刺激薬)が基本となります。
【軽症間欠型】
頻度:週1回未満
強度:症状は軽度で短い
夜間症状:月2回未満
➡治療ステップ1
・低用量ICS
・LTRA(ロイコトリエン受容体拮抗薬)内服
・テオフィリン徐放剤内服
【軽症持続型】
頻度:週1回以上だが、毎日ではない
強度:月1回以上、日常生活や睡眠が妨げられる
夜間症状:月2回以上
➡治療ステップ2
・低~中用量ICS+LABAまたはLAMA(長時間作用型抗コリン薬)
・LTRA内服
・テオフィリン徐放剤内服
【中等症持続型】
頻度:毎日
強度:週1回以上、日常生活や睡眠が妨げられる。しばしば増悪
夜間症状:週1回以上
➡治療ステップ3
・中~高用量ICS+LABA+LAMA
・LTRA内服
・テオフィリン徐放剤内服
・抗IL-4受容体α鎖抗体(デュピルマブ)
【重症持続型】
頻度:毎日
強度:日常生活に制限、しばしば増悪
夜間症状:しばしば
➡治療ステップ4
・高用量ICS+LABA+LAMA
・LTRA内服
・テオフィリン徐放剤内服
・抗IgE抗体(オマリズマブ)
・抗IL-5抗体(メポリズマブ)
・抗IL-5受容体α鎖抗体(ベンラリズマブ)
・抗IL-4受容体α鎖抗体(デュピルマブ)
・経口ステロイド薬
・気管支熱形成術
次回紹介する予定ですが、ポイントは経口ステロイド薬よりも生物学的製剤の位置づけが上に来ていることに注意しましょう。
(編集長)
ER当直中の一コマ
(手を出したいけど、出さない指導医)
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