臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

【周産期センター】産科緊急症例

2023.02.16
カテゴリー: 周産期センター
こんにちは!
チームさんば所属の産婦人科後期研修医です。
 
産婦人科研修が必修になったこともあり、最近は当科で研修してくれる初期研修医の先生が増えていて、とても嬉しく思います!
 
産婦人科の症例は、馴染みがなく実際に経験してみないとイメージが湧かないかもしれませんが、緊急の対応が必要な疾患が多いので是非知っておいてもらいたいところです。そこで今回は当院の産科救急症例を一部ご紹介します。
 
●常位胎盤早期剥離
持続する腹痛と出血を認めた妊娠中期の妊婦さんが搬送になり、早剥と診断。早剥が起こるとあっという間に赤ちゃんの酸素供給が止まり、お母さんは大量出血からDICとなり、母児ともに命に関わる超緊急事態です。1秒も惜しい気持ちで上級医の先生と手術室に飛び込み、緊急手術となりました。赤ちゃんはお隣のこども病院新生児科の先生に蘇生していただき、NICU入院に。お母さんも大量輸血をして帰室しました。このような緊急事態に備えて日々院内のチームでシュミレーションを行っているので、早いときは病着から10分たたずに入室できます。その甲斐あって、幸いにも母児ともに元気に退院しました。
 
●膣壁血腫
経膣分娩後の褥婦さんが会陰部の激痛・膨隆を認め、造影CTで膣壁血腫の診断に。お産に伴う出血は通常とは桁が異なり、短時間で数千Lと出血してあっという間にショックとなるため早急な対応が必要です。外科的処置が難しい位置だったので、当院のIVR(血管内治療)チームにUAE(子宮動脈塞栓術)を依頼し、止血してもらいました。当院は循環器内科によるIVRが盛んで、他にも子宮筋腫による過多月経の方へのUAEなど、とてもお世話になっています。
 
●墜落産
かかりつけの経産婦さんから「いきみたくて産まれちゃいそう!」と連絡がありました。分娩が急速に進んで病着前にお産になる墜落産は、赤ちゃんが低体温や頭部外傷から仮死につながることがあり、大変危険です。救急外来の入口にストレッチャーやお産セットをスタンバイ、妊婦さんが到着するとすでに排臨(児頭がチラ見え)の状態でしたが、児頭を抑えて病棟に上がり何とか無事にお産となりました。
 
●前置胎盤警告出血
前置胎盤で入院中の妊婦さんが大量に出血し、緊急手術になりました。前置胎盤は子宮の入り口を胎盤が塞いでいる状態なので、赤ちゃんが出てこようとする徴候があると、胎盤が先に剥離する形になります。胎盤剥離に伴う出血を警告出血と言い、少量で済むこともありますが、多いときは滝のような勢いで止めどなく溢れ出てとても恐ろしいです(これが自宅で起きたらと思うとぞっとします…)。ですので、前置胎盤の方は少しでも出血があれば即入院として管理します。
 
他にも子宮破裂、切迫早産、子癇発作など産科は時間との戦いが多いです。
ではまた。
(チームさんば)

初めてのB-lynch縫合

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