臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
家族の判断を理解するヒント
あなたも患者さんが亡くなりそうな場面に何度か遭遇したことがあると思います。当院のJ1の中でも、多い人だと4~5回はお看取りを経験し、死亡診断書を書いています。
患者さんの容態が悪化してくるとお亡くなりになる前から、ご家族に病状を説明して、いよいよ最後の時はどのように対応するかという話もします。その時のご家族の反応はどうだったでしょう?
最後まで積極的な治療を望む家族もいれば、意外にあっさりしていたり、「苦しまないようにお願いします」と言われたり、話をするまでどんな反応があるか、なかなか予想できないと思いませんか?
我々は疾患のことを理解しているので、その後の経過をある程度予測できるし、こんな感じで対応するのがイイかなとイメージしながらご家族に話を切り出します。
ところが、ご家族の反応は我々の予想通りにはいかないことがほとんどです。でも、どうしてご家族がそう判断するのかを理解するヒントを得る方法があるのですが、あなたはご存じですか?
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それは家族歴に隠されています。
入院時などに家族歴を聞く時に、患者さんのご家族の中で既に亡くなっている方がいれば、その方の話を詳しく聞き出してみてください。
編集長の経験で言えば、例えば脳梗塞が原因で寝たきりで、療養病院を何度も転院した経験がある方がいたご家族は、その苦労を思い出して、積極的な治療を希望しないことが多い印象があります。
逆に、大動脈解離や心筋梗塞などで急にご家族を亡くされた方は、何もしてあげられなかったということをずっと悔やまれて、最後まで積極的な治療を希望されたご家族が多かったように思います。
また、ご家族がみな健在で家族が亡くなる経験がない場合は、時間をかけて丁寧にお亡くなりになるまのでプロセスを説明する必要が出てきます。
家族歴は鑑別疾患を考える時の重要な情報源だけでなく、ご家族の考えや選択を理解する大きなヒントが隠れていることがあります。患者さんが亡くなりそうな状況でご家族に話をする時に役立ちますので、あなたもこういう視点で家族歴を聞き出してみてください。
(編集長)
ERの一コマ
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