臨床研修ブログ

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一過性全健忘・・・山中克郎先生のレクチャーより

2025.02.15
カテゴリー: カンファレンス 内科

2月6日に山中克郎先生をお迎えして、今年度2回目のレクチャーを開催しました。

 

山中先生は藤田医科大学の教授を務めた後、諏訪中央病院の総合診療科、福島県立医大会津医療センター総合内科の教授として活躍され、退官後の現在は諏訪中央病院に戻られて診療を続けている総合内科の大御所の一人です。著書もたくさんあります。

 

当院とは2018年からのお付き合いでコロナ期間中もZoomでのレクチャーをお願いしていました。今年度は10月にもお越しいただきましたが、今回もリアルでのレクチャーをお願いしました。

 

最初にJ1の川並先生から症例提示を行って、後半は「危険な精神症状」のテーマでレクチャーをしていただきました。

 

 

いくつかの疾患の典型例を教えていただいたのですが、今回は一過性全健忘についてシェアします。

 

症例は48歳⼥性。現病歴はご主人の話によると、22︓30頃に突然話が通じなくなったとのこと。具体的には「ここはどこ︖」と聞いたり、⾃分で作ったおかずを⾒て、「これ何︖」と突然⾔い出した。話をしている相⼿が夫ということは分かっているようだ。既往は特になし。内服もなし。

 

経過観察のため⼀泊⼊院を勧め、本⼈も同意されたが、10分後「どうして⼊院することになったの︖もう帰る︕」と患者は夫と喧嘩を始めた。

こんな症状で画像検査でも何も所見がなければ、一過性全健忘(Transient Global Amnesia)を思い出してください。

 

一過性全健忘(TGA)とは

<症状>
・数⽇〜数年の記憶が喪失(逆⾏健忘) 

   →「ここはどこ?」「これ何?」
・発作中は新たな記憶ができない(前向健忘)

   →本人も同意したが「どうして入院することになったの?」
・患者は不安になり、何度も同じ質問を繰り返す
・昔の記憶は障害されていない

   →話をしている相⼿が夫ということは分かっている
・記憶以外の⾼次機能は障害されない
・24時間以内に症状は改善する

<原因>
・不明、中年に多い
・MRIでは海⾺の神経脱落や虚⾎が⽰唆されている
・疼痛、ストレス、息こらえがtriggerとなることがある

 

編集長もTGA症例に遭遇した経験がありますが、知っていれば一発診断できるものなので、ご家族を安心させることができますよ。

(編集長)

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