臨床研修ブログ

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どこで?何が?・・・診断の2つの軸

2025.05.06

90歳近くの高齢の患者さんが発熱を主訴に入院してきました。COPDと心筋梗塞の既往があって、ADLは一応自立していたけど、発熱と体動困難となり受診。胸部レントゲンで右肺に肺炎像を認め、肺炎の診断で抗菌薬を開始しました。ただ、入院を契機に経口摂取は難しいと判断し、高カロリー輸液で栄養管理を行っていました。幸い、発熱も酸素化も改善し、抗菌薬は効いているようです。

 

ところが抗菌薬を開始して7日を過ぎたころに再び高熱を来しました。

 

誤嚥のリスクは非常に高い人なので、誤嚥性肺炎と判断して抗菌薬を変更しましたが、この時採取した血液培養から、4本中4本からカンジダが検出されました。

 

カンジダ肺炎でしょうか?? あなたならどう対応しますか?

 

ここで「肺炎なのに血培からカンジダ?」と、あなたが違和感を感じたのならかなり臨床センスがありますね。

 

多くの人は「COPDもあるし、カンジダ肺炎か。カンジダだったら抗真菌薬に変更しなくては」としか考えません。

 

でも、ちょっと考えてみてください。いくら高齢でCOPDがある患者さんと言え、血液疾患や抗がん剤投与中でもないのにカンジダが肺炎の起炎菌になる得るのでしょうか?

 

松永先生のレクチャーで何度も登場してきますが、感染症診断の2つの軸は「どこで」、「何が」でした。

 

「どこで(=感染巣)」が分かると、起炎菌が絞れます。

「何が(=起炎菌」」が分かると、感染巣が絞れます。

 

血液疾患や抗がん剤投与中でもない患者さんで、血液培養からカンジダが検出された時には、まずカテーテル感染を疑います。抗真菌薬の投与だけでなく、カテーテルの抜去を考える必要があります。

 

培養結果は後日に結果が判明するものですが、必ず目を通して今までの経過と矛盾がないか、抗菌薬を開始した時のアセスメントが正しかったのかを振り返ってみてください。

(編集長)

 

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