臨床研修ブログ

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PSA(前立腺特異抗原)が高値でした!

2025.06.21
カテゴリー: カンファレンス 内科

70歳台の男性が発熱を主訴に入院しました。エコーで前立腺肥大と多量の残尿を認め、尿所見と合わせて尿路感染症と診断しました。尿道カテーテルを挿入して抗菌薬の点滴を開始し、さらにあなたは前立腺がんの合併があるかもしれないと思って、採血の際にPSA(前立腺特異抗原)も追加しました。順調に解熱が得られたのですが、数日後に戻ってきたPSAの結果を見ると、ナント38ng/mlと今まであなたが見た中で一番の高値でした。

 

慌てて泌尿器科の先生のところに「PSAが高値でした!」と相談に行ったのですが、「どうせ○○〇だから、あてにならないよ」と言われて終了でした。いったに何があったのでしょうか? 

PSAは前立腺がんの際に上昇する腫瘍マーカーですが、ご存じの通り前立腺肥大でも上昇します。でも、実はこれ以外に下記のような状況でもPSAが上昇することが知られています。

 

・前立腺炎:急性・慢性を問わず、炎症があるとPSAが高くなることがあります。

・尿路感染症:感染が前立腺に波及すると、これも一時的な上昇要因になります。

 

このほかにも

・尿道カテーテルの挿入や膀胱鏡検査

・自転車やバイクの長時間運転

・射精や前立腺マッサージ

・放射線治療後に一時的にPSAが上昇するバウンス現象(再発と区別が難しくなる)

 

つまり、PSA値の変動は必ずしも「がんの進行」ではなく、一時的な刺激や良性の変化によることも多いため、1回の数値だけで判断せず、経過観察や追加検査が重要になります。

 

冒頭の症例は、尿路感染症や尿道カテーテル挿入といったことが影響してPSAが高値になったと考えられます。尿路感染症がしっかり落ち着いてから、もう一度測定してみるのが大事になります。

(編集長)

 

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