臨床研修ブログ

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いつCTを撮るべきか?

2020.01.28
カテゴリー: カンファレンス循環器

50歳代の男性が胸痛で搬送

されてきました。心電図は

下壁誘導(Ⅱ、Ⅲ、aVF)でST上昇が

見られます。

 

バイタルは血圧170/100mmHg、

心拍数86bpm、体温36.5℃、

呼吸数20回/分

 

STEMIと診断して、緊急PCIの準備に

取り掛かりました。

 

そんな最中に、

「A型解離の可能性は大丈夫かな?」

「CTどうする?」

と誰かが言いました。

 

こんな時、あなたならどうしますか?

 

確かに、急性A型大動脈解離では

胸痛の訴えが多いですし、

右冠動脈を巻き込むことが多く、

下壁梗塞の心電図を呈します。

 

では、下壁梗塞とか、胸痛を

訴える患者さんは、A型解離を

鑑別するために、全員に造影CTを

施行するべきなのでしょうか?

 

一方で、STEMIに比べれば、

急性A型大動脈解離は頻度が

ずっと少ないですし、CTを撮れば

PCI開始までの時間が長くなり、

せっかちな循環器医は待ってくれません。

 

こんなときに参考になるのが、

大動脈解離診断リスクスコア

(ADD-RS : Aortic Dissection

Detection Risk Score)です。

(Circulation 2011; 123:2213-8)

 

 

3つのカテゴリーがありますが、

各カテゴリーの中で1つ以上

該当するものがあれば1点とし、

0点から、最高3点となります。

 

0点は低リスク、1点は中リスク、

2点以上は高リスクとします。

 

このスコアでは、症状も重要で、

裂けるような痛みと表現されて

います。

(ちなみにSTEMIでは胸痛と

言っても、「象に乗られたような、

胸全体が苦しい感じ」という

表現に近くなります。ですので、

胸痛と一言で片づけないで、

良く症状を聞き出しましょう)

 

さらに、このADD-RSとDダイマーを

あわせて、大動脈解離を除外

していくアルゴリズムも提唱

されています。

(Circulation.2018; 137:250-8.)

 

 

「解離の可能性は?」

「CTを撮るべきか?」

悩んだ時は参考にしてみてください。

(編集長)

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