臨床研修ブログ
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感染症【経過観察】の2つの軸・・・全身と局所のパラメータ
4月に開催された松永先生の感染症レクチャーから、基本の復習です。前回までに、【診断】の2つの軸、【治療】の2つの軸、そして【抗菌薬】について紹介してきました。今回は治療を開始した後の【経過観察】の2つの軸を紹介します。
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例えば、肺炎の患者さんに抗菌薬を開始したけど、一向に熱が下がらない、WBCやCRPが下がらない。抗菌剤を代えた方がいいか?なんて不安になることはしばしば経験しますよね。あなたはそんな時はどうしますか?
こんな時はまず、抗菌剤を変更する前に感染症治療が上手くいっているかの判断をする必要があります。ところで、あなたは何を根拠に治療が上手くいっているかを判断していますか?
たいていの人は、「発熱」が続いている、「WBC」や「CRP」が下がらない、と答えてくれます。確かに、分かりやすく有用な指標ですが、その特徴と限界を把握しておく必要があります。
松永先生は「2つのパラメータ」をよく理解する必要性を強調しています。それは、「身体全体の総体を表すパラメータ(全身のパラメータ」と「感染局所の病態を表すパラメータ(局所のパラメータ)」です。
「全身のパラメータ」とは、体温、WBCやCRP、プロカルシトニンなどの炎症マーカー、そして敗血症性ショックの治療に用いられるノルアドレナリンの用量、インスリンの用量、乳酸値などを指します。
「局所のパラメータ」とは、感染局所の症状、徴候、グラム染色などの検査所見を指します。
例えば、肺炎の患者さんなら、呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)喀痰量などが感染局所の指標になります。全身のパラメータが改善していなくとも、局所のパラメータが改善していれば、治療は上手く行っていると考えることができます。この肺炎の場合なら、CRPが上昇していても、呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)が改善傾向なら抗菌薬を変更する必要はありません。「検査値を治しているんじゃない!患者を治しているんだ!」というのが、松永先生のメッセージです。
具体的な感染局所のパラメータには・・・、
【肺炎】
症状(咳、痰、呼吸困難感)、
徴候(呼吸数、呼吸器の設定、痰の量・質)
検査(血液ガス、喀痰のグラム染色)
【尿路感染】
症状(排尿困難、頻尿など)
徴候(腹部の圧痛、背部の叩打痛)
検査(尿中白血球数、尿グラム染色)
【蜂窩織炎】
症状(疼痛)、
徴候(発赤、腫脹、熱感、浸出液の量・質)
検査(浸出液のグラム染色)
【心内膜炎】
血液培養が検出されるまでの日数
血液培養の陰性化
感染症治療では発熱やCRPだけでなく、感染局所のパラメータに注目して、それを追いかけることが重要です。そして、これらのパラメータは診断する時点、治療を開始する時点で、経過を見る指標を決めていくことが大事です。発熱とCRPに惑わされないで頑張ってみてください。
(編集長)
PICC挿入
手際よくやっています♪
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2回目:11:00~11:45 病院紹介・質疑応答
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