臨床研修ブログ
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肺炎患者の対応・・・人工呼吸器関連肺炎(VAP)
今回は人工呼吸器関連肺炎(VAP)です。
VAPはHAPの一つですが、「気管挿管下人工呼吸を開始して48時間以降に発症した肺炎」と定義されます。
ICUにおける主要な感染性合併症であり、全挿管患者の9~27%に発生するとされています。
起炎菌は緑膿菌が最多ですが、エンテロバクターやセラチア、マルトフィリアなど、治療に難渋するグラム陰性桿菌も多く、黄色ブドウ球菌やMRSAの割合も高いようです。
では、ここで質問です。あなたはどうやってVAPを診断していますか?
そもそも、挿管されるくらい原疾患の状態が悪い、抜管できないという状況な訳ですから、CAPのようにレントゲンで肺炎像がはっきり見えるとは限りません。でも、挿管されている患者が発熱すればVAPと診断してよいしょうか?
欧米のガイドラインなどでも確立した診断基準はないようですが、成人肺炎診療ガイドライン2017では以下のようになっています。
こうしてみると、もっともなことばかりですが、臨床でははっきりしない、モヤモヤが残ることも多いのが実際のところです。
挿管されている患者さんでは、発熱の原因として、VAP以外に尿路感染症やCLABSI(ライン感染)などいくらでもあるので、VAPの診断は簡単ではないのです。
VAPは早期の治療開始は大事ですが、熱が出たからVAPと簡単に決めないで他の熱源の検索も忘れないようにしましょう。
そして、治療もさることながら、大事なのは予防です。具体的には
①手指衛生
②仰臥位の回避
③呼吸器回路を頻回に交換しない
④過剰な鎮静を避ける
⑤人工呼吸器からの離脱
⑥声門下腔吸引孔付きチューブの使用
⑦口腔ケア
ちなみに、②のために頭部を30~45度挙上するだけで、VAPリスクが67%も減少します。⑥はメタ解析でVAPの発症を低下させることが示されているそうです。
(編集長)
徳田先生カンファの一コマ
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