臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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言葉の重み

2023.07.27
カテゴリー: 初期研修

だいぶ以前のことですが、開業医の先生から紹介されて編集長が担当した患者さんの話です。その患者さんは治療の甲斐なく亡くなられてしまったのですが、少したってから患者さんの奥様がわざわざ編集長の外来にやってきました。

 

奥様との話の中で、「(紹介してくれた)先生もお葬式に来てくれて、主人の顔を眺めながら『とってもきれいにしてもらいましたね』、『あの病院にお願いすると、亡くなった時もとても良く対応してくれるんです』と言ってもらいました。どうか看護師さん達にもお礼を言っていただけますか」と言われました。

 

編集長は患者さんのお葬式に参列したことはなかったので、その先生が患者さんのお葬式に参列したことも驚いたのですが、ご家族にこのように声をかけていたのには、もっと驚きました。そして、この先生の一言でご家族がすごく安心されたので、わざわざ病院までお礼を言いに来てくれたのではないかと思いました。

 

もちろん亡くなった患者さんの対応してくれた看護師さんも丁寧にやってくれたと思いますが、この先生の言葉は家族が亡くなったという悲しみの中に、ホッとした気持ちにさせる力があったのだと思いました。当時の編集長にとって、我々ドクターが発する一言が、こんなに家族のこころに深く残るのだなと、すごく印象に残ったエピソードでした。

 

病院で亡くなりそうな時や死亡確認をする状況にはいろいろあるので一概には言えませんが、ドクターのちょっとした一言で、家族もホッとした表情を見せてくれます。逆に、かえって不安をあおってしまうこともありえるので、十分心して対応しないといけません。

 

当院でも、担当の患者さんが亡くなった時には、研修医に死亡確認をしてもらいます。もちろん指導医がそばについているのですが、実際その場になると、うまく言葉が出てこないものです。

 

こんな時のために、指導医たちのセリフだけでなく、立ち居振る舞いをよく観察しておくと良いと思います。そして、自分がその立場になったときに、どんなセリフ言うのか、どんな立ち居振る舞いに気を付けるべきかをシュミレーションしておくと良いと思います。最初から完璧にできる訳ではありませんが、丁寧に対応すればご家族にも気持ちが伝わるものだと思います。

(編集長)

ICUの一コマ

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