臨床研修ブログ

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進行性核上性麻痺(PSP)はhummig birdだけじゃない!

2023.09.23
カテゴリー: カンファレンス 内科

J1のホナミンのブログデビュー記事です。Parkinson病と他院で診断されていた入院患者さんの臨床経過に違和感を感じて、いろいろ調べてくれたことをまとめてくれました。良くまとまっているので、あなたも是非参考にしてみてください♪

 

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皆さんこんにちは。今日は私と一緒に『進行性核上性麻痺(PSP)』について勉強しましょう。国試受験のときは、PSP=humming bird signという一対一のキーワードしか覚える余裕がなかった私ですが、総合内科をローテーションしている際にParkinson病とPSPの鑑別について学ばせていただきました。拙い文章ですが、私のアウトプットのためにも勉強したことを共有させていただきます。

 

①PSPってなに?

パーキンソニズム(安静時振戦、筋強剛、無動、姿勢保持障害)をきたす疾患の中でParkinson病についで頻度が高い、中年以降に追好発する神経変性疾患。パーキンソニズムのうち、安静時振戦はマレ。

これがあったらPSPかも?と考える特徴的な所見は、眼球運動障害(垂直性核上性注視麻痺=注視できない、特に下方視、発症3年程度で出現)、頸部後屈(四肢<体幹に目立つ筋強剛)、早期から転倒しやすい(姿勢保持障害のため)皮質下認知症、偽性球麻痺(構音障害や嚥下障害)など。

進行例では、頭部MRIで第3脳室の拡大や中脳被蓋の萎縮(←矢状断でhumming bird signがみられる理由)がみられる。大脳基底核と脳幹を中心にタウ蛋白が異常蓄積するが、その機序は明らかでなく、現時点で有効な治療法はないため対象療法を行う。

予後としては4~5年で寝たきりとなり、5~9年で衰弱で死亡と、進行が速いのも特徴。

 

②鑑別ってなにがあるの?

鑑別のポイントは様々あり、例えばParkinson病は一側の手の振りが減少するのが特徴らしいのですが、患者さんを観察しても、うーんよく分からない…。そのため、今回はそんな私でも鑑別ができたポイントをまとめてみました!

 

・Parkinson病(PD)

-頭部MRIで異常所見は見られない。

-心筋シンチグラフィー(MIBG)で後期相での取り込み低下がみられる。

-レボドパがよく効く(十分量投与しても反応性が乏しかったり、逆に薬剤を中止しても症状増悪しなければPDじゃないかも⁉というヒントに。)

-PSPは頸部後屈がみられるが、PDは頸部を前に突き出す姿勢がみられる。

-寝たきりになるまで進行するのに大体15年以上かかる。

 

・多系統萎縮症(MSA)

-小脳失調(ふらつき、四肢の協調運動障害)、自律神経症状(起立性低血圧、便秘)が特徴。

-頭部MRI T2強調画像で被殻外縁にスリット上の高信号を認める。

 

・大脳皮質基底核変性症(CBD)

-大脳萎縮や四肢の症状(肢節運動失行、筋強剛、ジストニア)に左右差が見られる

-他人の手徴候(aline hand signとも言う、自分の腕が勝手に動き自分で制御できない)が特徴的

-しかしPSPとCBDの臨床診断は困難なことも多く、基本的に病理診断らしい。

 

次回は診断基準を紹介します。

(ホナミン)

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