臨床研修ブログ

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糖尿病のお薬・・・SGLT2阻害薬

2024.03.07
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はSGLT2阻害薬です。

 

ご存じの通り、SGLT2阻害薬は糖尿病薬というよりも、心血管イベントを低下させる循環器病薬、腎保護作用を有する腎保護薬としての地位を確立しましたが、なぜ心血管イベントが低下するのか詳細な機序ははっきりしていません。これからもしばらく話題を提供してくれるでしょう。

 

今回は、循環器領域のことはあえて触れず、基本に戻って糖尿病薬としての役割を整理しておきます。

 

【機序】

・腎臓で糖を再吸収させるSGLT2の働きを阻害することで、尿糖排泄を促進させます。

 

【特徴】

・インスリンとは独立して作用を示す。

・1型、2型糖尿病どちらにも適応あり

・体重減少や血圧低下が見られる

・腎保護作用がある

・心血管イベントを抑制する

 

【禁忌】

・重症感染症、術後などは使用しません

 

【副作用】

・尿路・性器感染症

・脱水・口喝

・DKA

・皮疹 など

 

エネルギーを尿に排泄するので、高齢者では低栄養やサルコペニアを悪化させる可能性があり、症例を選ぶ必要があります。またケトン体上昇に関連した有害事象の増加が報告されており、術前は中止が必要です。さらに血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性があります(正常血糖ケトアシドーシス)。服用中の患者さんが全身倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛などを訴える場合は血中ケトン体(できない時は尿ケトン体)を確認することが大事です。

 

腎機能低下例では効果が減弱するので良い適応ではありません。また透析例では使用しません。尿路感染症はADLの良い人ではそれほど経験しませんが、編集長は、おむつを使用するような高齢者(特に女性)には使用を避けています。

 

最も向くのは比較的若年で、腎機能に問題なくて肥満や脂肪肝のあるような人に良いと思います。もちろん心不全が合併している患者さんにもよい適応です。

 

 (編集長)

Aラインの確認中

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